攻略なんてしませんから!

梛桜

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潜む闇

作戦会議です。2



「最高神官長にハシビロを使わない理由?」
「ええ、他の子達が躾中だからですの?」
「違うよ、嫌いなんだって。ハシビロ」
「は?」
「最高神官長は、極度の動物嫌いなんだよアメーリア嬢」

 ラズーラ殿下の思い掛けない言葉に目を丸くしている私に、リモナイト殿下は苦笑を浮かべて紅茶を一口飲み、隣で目を閉じて大人しく控えているハシビロさんの背を撫でました。アズラが苦手なの知ってましたよね?あれ?何か伝言飛ばす用事でもあるのかな?

「お父様はハシビロ使うのお好きなんだけどね、神殿には絶対に使うな!って言われてるんだって」
「ハシビロ二号はとても優秀でしてよ?」
「何せあの方は、カルシリカ家の血筋だからね。文官向きの方を無理に騎士団へ入れたりするから、動物嫌いになるんだよ」
「ルミエール様の獣人・獣嫌いは、その所為ですの?」
「ちょっと違うな、あの方は自分の思い通りにならないモノが嫌いなんだ」

 包み隠すのが貴族の習いだとてしても、聞きたい事を遠まわしにグダグダとやってられません。真っ直ぐに聞く私にアイクお兄様が苦笑を浮かべてましたけど、今は前世の私に戻って突っ込みたい事は聞きますわ。
 現国王陛下の治世はとても穏やかで、私達がのほほんと学園生活を満喫できているのも、国王陛下のお陰です。他国に戦を仕掛けるような血気盛んな王でもありませんし、周りとも友好な関係を築いているというのが設定にもありました。つまり、敵は無い。

(王族だからと言っても、この国は魔法だってありますし騎士団にばかり固執してないはずですけど?)

「王宮の騎士団に、獣騎隊があるのは知っているだろう?」
「はい、ハシビロさんもそちらの隊に所属しておりますし、何度かお願いして見学させて頂いております」
「ルミエール叔父上の獣嫌いは、その獣騎隊の所為でもある。折角王家に生まれた光属性だったからな、魔術師としてだけではなく、騎士としてもいけるんじゃないかと、前国王陛下…。お祖父様に、獣騎隊に叩き込まれたらしい」
「側妃様のご出身のカルシリカ家は文官、若しくは学者を多数輩出している家系ですわよ?」
「何を考えていらしたのかは、私達にも分からない。まぁ、父上が魔法に剣技にと突出されていたからな。出来ると思ったんじゃないか?」
「そんな無茶苦茶な…」
「それが、おじい様だったからね。獣騎隊もおじい様が作ったものだし」

 遠い目になる王族兄弟ですが、温厚な国王陛下に比べて好戦的だったようですね。

「王族で稀に出た光属性で、側妃様がとても可愛がられていたようですね。本より重いものは持たないくらいの」
「父から聞いた話ですと、一族で猫可愛がりしていたようですね。ゆえに騎士団ではなく神殿へ行ったのではないかと、当時囁かれていたようです」

(何処の深窓の御令嬢だよ!)

 心の中で突っ込めた自分を褒めたい。
 流石に幼馴染とはいえ、殿方達の前ですからね。本音を言うとアイクお兄様に怒られるからですけどね。甘やかして育てられて、いきなり騎士団に放り込まれたら嫌にもなるかぁ…。性格がその辺りで捻じ曲がったかなー?

(だからといえ、其れを愛しのモフモフ達やルチルレイやアズラにむけていいとは言ってませんけどね。しかも身内のリィ様でさえ、光属性で自分よりも魔力量が多いから嫌いだと?何処の我が儘っこだよ!)

「王妃殿下はアトランティ家の血筋だからな、魔力量が多いのも頷ける。其処に神殿も目を付けたようで、最近特に煩くなったようだ」

 溜息を零すラズ様の顔には、疲労が浮かんでいる。リィ様だって、あんな態度を取られていては辛いだけでしかない。

 (光属性は清廉な感情を必要とするのに、我が儘に嫉妬にと忙しい方ですのね…)

『魔』に近いと言われている闇属性よりも、もしかしたら魔に染まりやすいのではないかと思ってしまう。純真で純粋なものほど、闇や魔を引寄せやすいとギベオンが言っていた。
 リィ様の光属性の力は多分、私のチートも原因だろうなぁと思っている。魔力増幅のお菓子を一番食べてますし、王族は火や光属性を持つ家系ですのでね。

(アトランティ家は光というよりも、風と水を得意としていましたし、闇の属性魔法の使い手も出てました。光はハウライトの力のみです)

「そもそも、カルシリカ家から側妃が出たのは、事務処理が苦手な前陛下が優秀な文官を欲しがったからだというのは本当なのか?マウシット」
「はい、その時に学者として勤めていた数人が、文官として移動しています」
「アトランティ家からもそうですね、王妃殿下を婚約者として文官を得てますので」

(うえええ!?コラ!なんて理由ですか。そんな理由で妃を娶らないで!?)

 つまり、末弟で何も望まれていない王子様が、稀少な光属性の力を持って産まれて、それに今後を期待した前国王陛下の無茶振りが炸裂したと。やりすぎた所為で王子様は神殿に家出して、今でも王宮を恨んでると。

(……なんて、めんどくさい。んでもって、そこを魔に狙われたって事ですか?)

 詳しく聞いていれば、面倒な身の回りで大変だったのだろうとか想像できる。
 だけど、同じ王子として産まれて、面倒な政務の手伝いや魔力の研鑽を重ねているラズーラ殿下はどうなる?同じ光属性を持っていても、奢る事無くラズーラ様を支えようと一生懸命勉強しているリモナイト殿下は?

「…ふふふ、根性叩き直したい」
「あ、アメーリア様!?」

 そうだそうだ。綺麗なお人形なルミエール様の初恋が、光属性をもつルチルレイになるんだった。ヘタレで逃げた神殿だったのに、一生懸命頑張る光属性の美少女に一目惚れしたと!とんだ隠しキャラじゃないですか!アメーリア側の隠しキャラに謝れ!?そんな可愛いもんじゃなかったよ!?


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