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潜む闇
沸点はかなり低いです
『邪魔を、スルナ!小娘ガ!!』
「アリア!」
「確かに私は小娘かもしれませんが、好き勝手に私の大切な人を貶されるのは気分が悪いですわ!神殿に逃げたヘタレのくせに!」
「ちょ、アリア、今は煽らないでー!?」
「頑張って逃げてくださいな、アズラ」
「僕まかせなの!?」
『魔』を祓う光魔法は、沢山の魔力を持っていかれます。たとえレベルが上がってようと、自主練習で魔力の量を上げようと訓練していても、『魔』の強さによって持っていかれる力が半端ないのです。
ルチルの時でさえ枯渇状態まで持っていかれたのが、苦い経験ですわね。リモナイト殿下も一緒に祓ってくれていなかったら、魔力切れで倒れるだけじゃすまなかったと思います。下手したら命に関わる大事になるんです。
(アイクお兄様の氷のお怒りも怖かったですが、お母様とお父様のダブル攻撃のお叱りも怖かったのですよ。マーカサイト様がホーランダイト伯爵様と一緒にお見舞いに来てくださらなかったら、きっと正座で二時間以上はかかってた)
アズラにお姫様抱っこをされながら、『魔』が放ってくる黒い靄の攻撃をかわしていますが、これって魔力を使わないんですかね?ルミエール様の魔力量は少ないって聞いてるから、魔力は関係してないのかな?
「頼むから、無茶はしないで」
「無謀なことはしませんが、無茶は時と場合によりいたします」
「アリア!?」
「必要な無茶は、してもいいんですわ」
キリッとした顔で言いましたが、何故かアズラに哀しそうな顔をされてしまいました。別にあの黒い靄に突っ込んで行こうとは思ってませんよ?
それにしても、アズラも抱き上げる力が随分と安定しています。騎士科の二年生ともなれば、逞しくなるんですね。と、ちょっと違った事を考えて冷静になろうと思います。モフモフ貶されてちょっと?大分?頭に血が上ってる自覚はありますのでね。
『勝手ナ事を、我はいつも頑張ッテイタノニ、見もシナカッタのは、あの王だ!』
「あらあら、誰と一緒にしていらっしゃるのか分かりませんが、今の国王陛下は前陛下とは違いましてよ?それに、誰が頑張れといいましたの?」
「放り込まれた…んじゃなかった?」
「違いますわ、前陛下が期待されていたのです。あの頃はまだ騎士の活躍のほうが上でしたからね」
ルミエール様の意識が昔の王子の頃に戻っているのか、話がかみ合わない。ラズーラ殿下から聞いていなかったら、きっと意味が分からなくて戸惑っているしか出来なかったでしょう。
(まぁ、そんな昔から『魔』に目を付けられていたんでしょうけどね)
勝手に期待されて、出来なければ失望されて、見放されていく。なんて理不尽なのでしょう。そんな事を小さいうちから受けていたら、ひねくれてもおかしくないですわね。
『その獣モ、私には付カズに抵抗シタカラ、滅ボシテヤッタというのに!!』
「はぁ!?其処は初耳なんですけど!?ハウライト、オブシディアンに。『光の壁』強化版で!」
「はい、アリア!」
「アリア、待って、落ち着いて!」
(魔力温存、ナニソレ、美味しいの?だ!王宮でオブシディアンが死に掛けてた原因ってお前かぁ!?)
「無理、絶対無理、うちの可愛いこになにしてくれたんですか!!」
『アリア、魔力使うな』
「使います、又オブシディアンに何かされてからでは遅いのです!魔力が枯渇しようが、それだけは絶対に許しません!」
(自分の力だけでは水と風の魔法しか使えませんが、『魔』にはたいして効果が無いのが悔やまれる)
「水撃弾食らわせてやりたい」
「もう、なんでモフモフに関しては直ぐ怒っちゃうかなぁ?自分が何か言われてもそう怒らないのに」
『アリアだから』
「ですね、アリアは自分の大切な人の事で怒りますから」
「それならオブシディアン様のことなら、即行で怒りますね」
「煩いですわよ其処!そもそも、頑張りなんて勝手に期待してくるほうが悪いのです!出来る事と出来ない事は誰にでもありますわ!頑張り続ける事だって、無理に決まってるじゃないですか!それこそ無謀だというのです」
アズラの腕から降り、向かってくる靄を水撃弾で相殺させ、不機嫌オーラ全開でルミエール様を向き合いました。オブシディアンがいなかったら、ハウライトがゲームの公式のように無表情になってた。もしかしたら、そこを『魔』に憑かれていたかもしれない。
「アメーリア側の隠しキャラについては、ずっと疑問に思ってましたが、漸くわかりましたわ」
ポツリと呟いた私の言葉に、ハウライトとオブシディアンが首を傾げる。アズラは水撃弾を展開する私が靄に囚われないようにと逃げてくれているけど、クールダウンなんて知ったことじゃない!
(怒られるのは分かってますが、あえてお叱りは受けましょう!)
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