攻略なんてしませんから!

梛桜

文字の大きさ
62 / 71
潜む闇

沸点はかなり低いです



『邪魔を、スルナ!小娘ガ!!』

「アリア!」
「確かに私は小娘かもしれませんが、好き勝手に私の大切な人を貶されるのは気分が悪いですわ!神殿に逃げたヘタレのくせに!」
「ちょ、アリア、今は煽らないでー!?」
「頑張って逃げてくださいな、アズラ」
「僕まかせなの!?」

 『魔』を祓う光魔法は、沢山の魔力を持っていかれます。たとえレベルが上がってようと、自主練習で魔力の量を上げようと訓練していても、『魔』の強さによって持っていかれる力が半端ないのです。
 ルチルの時でさえ枯渇状態まで持っていかれたのが、苦い経験ですわね。リモナイト殿下も一緒に祓ってくれていなかったら、魔力切れで倒れるだけじゃすまなかったと思います。下手したら命に関わる大事になるんです。

(アイクお兄様の氷のお怒りも怖かったですが、お母様とお父様のダブル攻撃のお叱りも怖かったのですよ。マーカサイト様がホーランダイト伯爵様と一緒にお見舞いに来てくださらなかったら、きっと正座で二時間以上はかかってた)

 アズラにお姫様抱っこをされながら、『魔』が放ってくる黒い靄の攻撃をかわしていますが、これって魔力を使わないんですかね?ルミエール様の魔力量は少ないって聞いてるから、魔力は関係してないのかな?

「頼むから、無茶はしないで」
「無謀なことはしませんが、無茶は時と場合によりいたします」
「アリア!?」
「必要な無茶は、してもいいんですわ」

 キリッとした顔で言いましたが、何故かアズラに哀しそうな顔をされてしまいました。別にあの黒い靄に突っ込んで行こうとは思ってませんよ?
 それにしても、アズラも抱き上げる力が随分と安定しています。騎士科の二年生ともなれば、逞しくなるんですね。と、ちょっと違った事を考えて冷静になろうと思います。モフモフ貶されてちょっと?大分?頭に血が上ってる自覚はありますのでね。

『勝手ナ事を、我はいつも頑張ッテイタノニ、見もシナカッタのは、あの王だ!』
「あらあら、誰と一緒にしていらっしゃるのか分かりませんが、今の国王陛下は前陛下とは違いましてよ?それに、誰が頑張れといいましたの?」
「放り込まれた…んじゃなかった?」
「違いますわ、前陛下が期待されていたのです。あの頃はまだ騎士の活躍のほうが上でしたからね」

 ルミエール様の意識が昔の王子の頃に戻っているのか、話がかみ合わない。ラズーラ殿下から聞いていなかったら、きっと意味が分からなくて戸惑っているしか出来なかったでしょう。

(まぁ、そんな昔から『魔』に目を付けられていたんでしょうけどね)

 勝手に期待されて、出来なければ失望されて、見放されていく。なんて理不尽なのでしょう。そんな事を小さいうちから受けていたら、ひねくれてもおかしくないですわね。

『その獣モ、私には付カズに抵抗シタカラ、滅ボシテヤッタというのに!!』
「はぁ!?其処は初耳なんですけど!?ハウライト、オブシディアンに。『光の壁リヒトウォール』強化版で!」
「はい、アリア!」
「アリア、待って、落ち着いて!」

(魔力温存、ナニソレ、美味しいの?だ!王宮でオブシディアンが死に掛けてた原因ってお前かぁ!?)

「無理、絶対無理、うちの可愛いこになにしてくれたんですか!!」
『アリア、魔力使うな』
「使います、又オブシディアンに何かされてからでは遅いのです!魔力が枯渇しようが、それだけは絶対に許しません!」

(自分の力だけでは水と風の魔法しか使えませんが、『魔』にはたいして効果が無いのが悔やまれる)

「水撃弾食らわせてやりたい」
「もう、なんでモフモフに関しては直ぐ怒っちゃうかなぁ?自分が何か言われてもそう怒らないのに」
『アリアだから』
「ですね、アリアは自分の大切な人の事で怒りますから」
「それならオブシディアン様のことなら、即行で怒りますね」
「煩いですわよ其処!そもそも、頑張りなんて勝手に期待してくるほうが悪いのです!出来る事と出来ない事は誰にでもありますわ!頑張り続ける事だって、無理に決まってるじゃないですか!それこそ無謀だというのです」

 アズラの腕から降り、向かってくる靄を水撃弾で相殺させ、不機嫌オーラ全開でルミエール様を向き合いました。オブシディアンがいなかったら、ハウライトがゲームの公式のように無表情になってた。もしかしたら、そこを『魔』に憑かれていたかもしれない。

「アメーリア側の隠しキャラについては、ずっと疑問に思ってましたが、漸くわかりましたわ」

 ポツリと呟いた私の言葉に、ハウライトとオブシディアンが首を傾げる。アズラは水撃弾を展開する私が靄に囚われないようにと逃げてくれているけど、クールダウンなんて知ったことじゃない!

(怒られるのは分かってますが、あえてお叱りは受けましょう!)


あなたにおすすめの小説

【完結】悪役令嬢はおねぇ執事の溺愛に気付かない

As-me.com
恋愛
完結しました。 自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生したと気付いたセリィナは悪役令嬢の悲惨なエンディングを思い出し、絶望して人間不信に陥った。 そんな中で、家族すらも信じられなくなっていたセリィナが唯一信じられるのは専属執事のライルだけだった。 ゲームには存在しないはずのライルは“おねぇ”だけど優しくて強くて……いつしかセリィナの特別な人になるのだった。 そしてセリィナは、いつしかライルに振り向いて欲しいと想いを募らせるようになるのだが……。 周りから見れば一目瞭然でも、セリィナだけが気付かないのである。 ※こちらは「悪役令嬢とおねぇ執事」のリメイク版になります。基本の話はほとんど同じですが、所々変える予定です。 こちらが完結したら前の作品は消すかもしれませんのでご注意下さい。 ゆっくり亀更新です。

【完結】ここって天国?いいえBLの世界に転生しました

三園 七詩
恋愛
麻衣子はBL大好きの腐りかけのオタク、ある日道路を渡っていた綺麗な猫が車に引かれそうになっているのを助けるために命を落とした。 助けたその猫はなんと神様で麻衣子を望む異世界へと転生してくれると言う…チートでも溺愛でも悪役令嬢でも望むままに…しかし麻衣子にはどれもピンと来ない…どうせならBLの世界でじっくりと生でそれを拝みたい… 神様はそんな麻衣子の願いを叶えてBLの世界へと転生させてくれた! しかもその世界は生前、麻衣子が買ったばかりのゲームの世界にそっくりだった! 攻略対象の兄と弟を持ち、王子の婚約者のマリーとして生まれ変わった。 ゲームの世界なら王子と兄、弟やヒロイン(男)がイチャイチャするはずなのになんかおかしい… 知らず知らずのうちに攻略対象達を虜にしていくマリーだがこの世界はBLと疑わないマリーはそんな思いは露知らず… 注)BLとありますが、BL展開はほぼありません。

幼馴染みが描いた悪役令嬢ものの世界に「メイド」として転生したので、6年後の断罪イベントをどうにか回避したい

ゆずまめ鯉
恋愛
通勤途中、猫好きではないのに轢かれそうな黒猫をうっかり助けてしまい、死んでしまった主人公──水縞あいり(26) 鳥の囀りで目を覚ますとそこは天国……ではなく知らない天井だった。 狭い個室にはメイド服がかかっている。 とりあえず着替えて備えつけの鏡を見ると、そこには十代前半くらいの子どもの姿があった。 「この顔……どこか見覚えが……」 幼馴染みで漫画家、ミツルギサイチ(御剣才知)が描く、人気漫画「悪役令嬢が断罪されるまで」の登場人物だということに気がつく。 名前はミレア・ホルダー(本名はミレア・ウィン・ティルベリー) 没落貴族の令嬢で、現在、仕えているフランドル侯爵によって領地と洋館を奪われ、復讐のために、フランドル侯爵の長女イザベラが悪役令嬢になるのを止めず、むしろ後押しして見事断罪されてしまうキャラだった。 原作は未完だが、相談を受けていたのでどういう結末を迎えるのか知っている。 「二期アニメもまだ見てないし、どうせ転生するなら村人Aとかヒロインの母親がよかった……!!」 幼馴染みの描く世界に転生してしまった水縞あいり=ミレアが、フランドル侯爵家で断罪回避するべく、イザベラをどうにかお淑やかな女性になるように導いている途中。 病弱で原作だと生死不明になる、イザベラの腹違いの兄エミールに、協力してもらっているうちに求愛されていることに気づいてしまい──。 エミール・ディ・フランドル(20)×ミレア・ウィン・ティルベリー(18) 全30話の予定で現在、執筆中です。2月下旬に完結予定です。 タイトルや内容が変更になる場合もあります。ご了承ください。

【完結済】私、地味モブなので。~転生したらなぜか最推し攻略対象の婚約者になってしまいました~

降魔 鬼灯
恋愛
マーガレット・モルガンは、ただの地味なモブだ。前世の最推しであるシルビア様の婚約者を選ぶパーティーに参加してシルビア様に会った事で前世の記憶を思い出す。 前世、人生の全てを捧げた最推し様は尊いけれど、現実に存在する最推しは…。 ヒロインちゃん登場まで三年。早く私を救ってください。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

【完結】悪役令嬢は何故か婚約破棄されない

miniko
恋愛
平凡な女子高生が乙女ゲームの悪役令嬢に転生してしまった。 断罪されて平民に落ちても困らない様に、しっかり手に職つけたり、自立の準備を進める。 家族の為を思うと、出来れば円満に婚約解消をしたいと考え、王子に度々提案するが、王子の反応は思っていたのと違って・・・。 いつの間にやら、王子と悪役令嬢の仲は深まっているみたい。 「僕の心は君だけの物だ」 あれ? どうしてこうなった!? ※物語が本格的に動き出すのは、乙女ゲーム開始後です。 ※ご都合主義の展開があるかもです。 ※感想欄はネタバレ有り/無しの振り分けをしておりません。本編未読の方はご注意下さい。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

公爵家の秘密の愛娘 

ゆきむらさり
恋愛
〔あらすじ〕📝🌹グラント公爵家は王家に仕える名門の家柄。 過去の事情により、今だに独身の当主ダリウス。国王から懇願され、ようやく伯爵未亡人との婚姻を決める。 そんな時、グラント公爵ダリウスの元へと現れたのは1人の少女アンジェラ。 「パパ……私はあなたの娘です」 そう名乗り出るアンジェラ。 ◇ アンジェラが現れたことにより、グラント公爵家は一変。伯爵未亡人との再婚もあやふや。しかも、アンジェラが道中に出逢った人物はまさかの王族。 この時からアンジェラの世界も一変。華やかに色付き出す。 初めはよそよそしいグラント公爵ダリウス(パパ)だが、次第に娘アンジェラを気に掛けるように……。 母娘2代のハッピーライフ&淑女達と貴公子達の恋模様💞  ✴️設定などは独自の世界観でご都合主義となります。ハピエン💞 ✴️稚拙ながらもHOTランキング(最高20位)に入れて頂き(2025.5.9)、ありがとうございます🙇‍♀️