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本編

第四十八話 食べ尽くして③࿇

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「あっ、や、あっ、あ……っ、待……っ」
 わざとだろうか。
 ぴちゃり……っ、ぴちゃ……っ、と、音を立てて蜜を舐め取られ、アリーチェはびくびくと身悶えながら嫌々と首を振る。
「だめ……っ、だ、め……ぇ……っ! イっちゃ……っ」
 頭の中が白くなり、ちかちかとした光が舞う。
「ぁぁあ……っ! だめ……ぇ……っ! すぐに、イっちゃ……、から……ぁ……っ!」
 蜜口にクロムのなまあたたかな舌が這わされる度にぞくぞくとした刺激に襲われて、なにがなんだかわからなくなってくる。
「いいですよ? 好きなだけイってください」
「や、ぁ……っ! だめ……っ、だめ……ぇ……っ、ぁあ……っ!?」
 泣き濡れた声を上げ、びくびくと腰を震わせている間に気づけばつぷり……っ、とクロムの指先が蜜口に潜り込んできて、見開いたアリーチェの瞳から涙の雫が舞った。
「や……っ、や、ぁ……っ! 気持ち、ぃ……! 気持ちいい、の……ぉ……っ!」
 ゆっくりと指を抜き差ししながら花芽を舐め取られ、理性を手離しつつあるアリーチェの口からは素直な嬌声が響き渡る。
「気持ちいい、の……っ、ぃやぁ……っ、ぁあ……っ!」
 蜜壁の弱い部分を擦られながら花芽に舌を這わされると、すぐにでも達してしまいそうになる。
「だめ……っ、ぃやぁ……っ! おかし……っ、おかしくな、っちゃ……」
 あれほど欲していた刺激にも関わらず、快楽が強すぎると怖くなり、アリーチェは涙を振り溢しながら嫌々と首を振る。
 知ったばかりの快楽に身を任せてしまうことは恐ろしいことでもあって。
「おかしくなったアリーチェさんも可愛いですから大丈夫です」
「ひぁ……っ!?」
 楽しそうに笑ったクロムが、二本に増やした指で蜜壺を掻き回してきて、甲高い悲鳴が上がった。
「や、ぁあ……っ! イ……ッ、ちゃ……」
「好きなだけおかしくなってください」
 花芽を口に含んで舌先で愛撫しながらぐちゅぐちゅと指を抜き差しされ、アリーチェの身体はびくびくと跳ね上がる。
「あ……っ、ぁぁあ……っ! や、ぁあ……っ!」
「こうされたかったんですよね?」
 溢れ出る愛液を掻き出すような指の動きに、蜜口ははくはくとした呼吸を繰り返してクロムの指を締め付ける。
「あっ、あ……っ、あ……!」
「もうぐちゃぐちゃですね」
 いつしか三本に増えていたクロムの指を呑み込んだアリーチェの蜜壺は、なおも貪欲に蜜を垂れ流し続けていて。
「あ……っ、ひぁ……っ、ぁあ……っ!」
「舐めても舐めても溢れてきて……」
「ひ、ぁあ……っ! 吸わ、な……っ、ぁあ……っ」
 とうとうクロムの唇に吸い付かれ、アリーチェはがくがくと腰を震わせる。
「すごく甘いです」
「あ……っ!」
 こくり、と。クロムの喉が鳴ったような気配がして、あまりの恥ずかしさから脚の先から頭のてっぺんまでが熱くなる。
「ゃ……っ、ぁあ……っ、あ、あ……!」
「もっとおかしくなっていいですよ?」
「ぁあ……っ!」
 指を抜き差しする度に溢れ出る愛液を舐め取られ、羞恥と快楽で頭の中が真っ白になった。
「あっ、あ……っ、あ……!」
 目の奥でちかちかと光が舞い、アリーチェの細腰は壊れそうなほどがくがくと打ち震える。
「あ……っ、ぁあ……っ!」
 そうして溜まりに溜まった快楽は限界を迎え――……。
「あ……っ、ぁ……、ぁぁあ……――――っ!」
 あまりの快楽から腰を浮かせたアリーチェは、背中を仰け反らせながら絶頂に身を震わせていた。
「あっ、あっ、あ……っ!」
 昇り詰めた衝撃からぼんやりと虚空に視線を彷徨わせ、浅い呼吸を繰り返す。
 と。
「そんな蕩け切った表情かおをして……」
 身体を起こしたクロムがアリーチェの顔を覗き込み、くす、と楽しそうな笑みを零す。
 その唇が光っているように見えるのは、アリーチェの蜜で濡れているからだと思えば、顔が沸騰するほどの羞恥が湧いた。
「可愛い」
「っ」
 ちゅ、とこめかみにキスを落とされ、ぴくりと肩が反応する。と同時にまだ蜜壺に埋められたままのクロムの指を締め付けてしまい、小さな喘ぎが洩れた。
「……ん……っ」
「こっちもこれだけ蕩け切っていれば大丈夫ですかね?」
「あ……っ!」
 すっかり蕩けた蜜壺を殊更ゆっくりと掻き回され、降り切れていない頂からの快楽に腰が跳ねる。
「あ……っ、や、ぁ、あ……」
「物欲しそうに絡んできます」
「!」
 それを知らしめるようにくちゅり……っ、と水音を立てて指を動かされ、アリーチェの身体には羞恥が広がっていく。
「ん……っ」
 クロムの指がゆっくりと引き抜かれていく感覚さえ過敏に受け止めて、アリーチェはぴくん、と肩を震わせていた。
「アリーチェさん」
「!」
 アリーチェの胎内なかから引き抜かれたクロムの指は妖しい光を放っていて、その原因である透明な体液を舐め取っていくクロムの赤い舌の動きに、アリーチェの瞳は大きく見開いた。
「……ぁ……」
 恥ずかしくて恥ずかしくて堪らないのに、なぜか背筋にぞくり……っ、とした痺れが走っていく。
「甘いです」
 くす、と小さな笑みを浮かべたクロムは、見せつけるように舌を這わせ、さらなる羞恥に誘われる。
 けれど、それと同時に、妙な男の色気を感じさせるクロムの仕草から目が離せなくて。
「あ……っ!?」
 クロムに目を奪わている間にぐい、と大きく脚を広げられ、アリーチェは羞恥と驚愕に息を呑んでいた。
「や……っ!? な……っ!?」
「凄いですね……。物欲しそうにひくひくしてます」
「――っ!」
 未だ蜜を零し続けている秘花を覗き込まれ、あまりの恥ずかしさから言葉を失った。
「やらしい……」
「……っ!?」
 “天才研究家”の名を思い出させるようにまじまじとそこを観察され、恐れからか秘花はきゅ、とすぼまって、クロムの視線から逃れようと膝が閉じかける。
 だが。
「閉じないでください」
「あ……っ!」
 強い力でささやかな抵抗は封じられ、さらに膝を開く格好を強いられる。
「自分から開いたんでしょう?」
「違……っ」
 くす、と笑われて反射的に否定するも、意味深に目を細めたクロムの視線にこくりと喉が鳴る。
「アリーチェさん」
「…………ぁ…………」
 乱雑な仕草で手早く服を脱ぎ捨てたクロムの裸体に、羞恥で顔を火照らせつつも期待するかのような吐息が洩れた。
「ほしい、ですか?」
「……ぁ……」
 ぎしり、とベッドが軋む音が鳴り、覆い被さってくるクロムの気配を感じてふるりと身体が揺れる。
「アリーチェさん」
「あ……っ!」
 アリーチェの意思を確認するかのように真剣な顔つきになったクロムは、それでも赤い瞳の奥に獰猛な情欲を覗かせていて。
「ココ、に……」
「っひぁ……!?」
 くちゅ、と音を立てながら蜜口の割れ目に指を滑らされ、びくりと身体が波打った。
れてほしい?」
「……あ……っ!」
 ゆっくりと入口を撫でられると、そこはひくひくと物欲しそうに収縮し、新たな蜜が零れ落ちる。
「……ぁ……」
 きっと、その身体の反応が全て。
 アリーチェの想いが自らの意思として形になるよりも前に、身体の方が素直に気持ちを表していて。
 羞恥か期待かわからないもので身を震わせながら、アリーチェは消え入るような声で想いを紡ぐ。
「……ほ、しい……」
 本当は、ずっとずっと欲しかった。
 初めてクロムに触れられたあの時から、ずっと身体の奥深くでクロムを感じたくて。
 泣きたくもないのに涙が溢れ出し、アリーチェは口元を手で覆って小さく願いを口にする。
「クロムの……、早く、れてほし……っ」
 言葉にした途端、またお腹の奥から熱い蜜が溢れ出たのを感じてアリーチェはふるりと内股を震わせた。
「貴女は本当に可愛い人ですね」
「……ぁ……っ」
 覆い被さってきたクロムの重みを感じ、きゅん、と胸が熱くなる。
「思い留まるなら今ですよ?」
「ん……っ」
 勝手に溢れていた涙をクロムの指先が優しく掬い、瞳にギラギラとした獰猛な色を湛えながらも困ったように微笑んだ。
「一度手に入れたら、もう逃がしてあげられません」
「……あ……っ」
 蜜口にクロムの熱が押し当てられる感覚がして、びくっ、と身体が揺れた。
「本当に、俺に捕まってしまっていいんですか?」
「……ぁ……、ん……っ」
 蜜口をクロムの半身がゆっくりと愛撫していって、甘い吐息が零れ落ちる。
「今度は俺に呪われても」
「!」
 大きな掌がアリーチェの頬を包むように触れてきて、真っ直ぐ向けられる真剣すぎる瞳に一瞬だけ目を見張る。
 クロムに、呪われる、とは。
「……い、いの……っ」
 その言葉の意味を理解しないまま、それでも勝手に言葉が口から滑り出た。
「クロムにだったら……っ」
 もう、ずっと思っている。
 何度も口にして伝えた気もする。
 それでも最後通告のような脅しをかけてくるのは一体どうしてなのだろう。
 ――『力のある魔術師は、その力が強ければ強いほど愛が重いそうです』
 クロムから与えられる愛の重さにアリーチェが押し潰されてしまうことを心配しているのだとしたら、みくびらないでほしいと僅かな苛立ちさえ覚えてしまう。
 クロムに対して、嫌だと思ったことは一度もない。
 クロムから与えられるものは全部。全部、全部、心地よいものばかりで。
 ――『頭の先から足の先まで』
 ――『俺のものにしていいんですよね?』
 アリーチェの全部を望まれているのだと思えば、歓喜さえ湧いてくる。
 だから。
「全部、クロムのものにして……っ」
 クロムの背中に手を回し、ぎゅ、とその身体を抱き締めた。
 と。
「あ……っ!?」
「でしたら、もう我慢しません」
 ギラギラとした瞳に射貫かれて、ぞわりと肌が粟立った。
「全部、俺のものにします」
「……ぁ……」
 先端部分が蜜口の割れ目に押し当てられたのを感じ、アリーチェはぴくりと腰を震わせながらその時・・・の衝撃に構えて目を閉じる。
 だが。
「この呪いも全部……、俺のものに書き換えます」
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