ぼくの夢は普通に暮らすことです

sea611

文字の大きさ
2 / 3

第一話

しおりを挟む
「なんでここにいるの?」
「たまたま、、、かな?」
「、、、は?」


そこそこぎりぎりの時間に学校に着き、入学式。
入学式も終わり次にあるのは、クラス発表だ。
「えーと、1年A組か。教室は、あっちか」
口では、余裕のあるようなことを言っているが、正直なところ、かなり緊張している。それは、他の人間も同じらしく、かなり緊張した表情をしている。

教室に入ると、ものすごく重い雰囲気に一瞬びっくりしてしまった。ま、まあ、それだけ緊張しているということなのだろう。

「うん?」

なんだろうか。今、ものすごく見られている気がしたのだが。まあ、そんなに目立つようなことは、してないはずだから、気のせいだろうが。

「俺の席は、、、そこか」

まただ。席に座った瞬間また視線を感じた。誰だ、と思い感じた方向を見ると、こちらを凝視している女子が一人。俺に見られ、慌てて逆側を見ている。

「、、、おい」
あいつ!無視しやがった。そもそもなんであいつがここにいるのか。たしかあいつは、お嬢様学校に行ったはずだが、、、

「、、、おい、静香」
びくっ
絶対静香だ。間違いない。なぜ、ここにいるのか聞くために立とうとし、、、

「はーい、全員いるなー」

先生と思わしき女性が入ってきた。タイミングが悪い。仕方がないのでとりあえず席に座る。覚えてろよという視線を送って前を向く。
それからは、とりあえず担当教師の自己紹介(高橋桜というらしい)と、俺たち、要するに、1Aのクラスメイトの自己紹介だ。
その時にしっかりと確認した。あいつが、やっぱり静香だってことと、「俺の来た理由」になっている「人」がいるかいないかを。
やっと、初ホームルームが終わり、逃げるように教室を出ていこうとする静香を止める。
「おい」
「、、、」
「話がある。とりあえず、ついてこい」
周りからの視線が気になるが仕方ない。今は、こっち優先だ。

校舎裏に来た。ここならだれもいない。じゃ、早速聞くか。
「静香だよね?俺の知ってる静香だよね」
「、、、うん」
「なんでここにいるの?」
「たまたま、、、かな?」
「、、、は?」
「、、、久しぶり?」
「、、、」
ゴン
「いたっ」
「真面目に答えんかい」
「うーー」
「もう一回やられたい?」
「ごめんなさい!」
「素直でよろしい」
はあ、なんで高校生活初日でこんなことをしなければならないのだろうか。
「で、なんでここにいるの?」
「う、、、」
「、、、」
「わ、わかったから」
「、、、」
「え、ええとね」
「、、、」
「し、シン君がここに入学するって聞いたから」
「、、、は?ストーカー?」
「ち、違うの。ストーカーなんかじゃなくて」
「じゃなくて?」
「、、、元許嫁として?」
「うん。帰ろうか」
はあ、元許嫁ってどういう理由だよ。まあ、確かにそんな時期もあった。親父が宴会に行ったときに、酔っぱらってるなか、ノリで決めたらしい。その話を聞いた時は、正直かなりキレた。が、もうその話はなくなったし、関係のない話だ。ちなみにいうと、静香とはそれからの付き合いだ。あれは、中1の夏の時の話だから2年半ぐらいの付き合いということになる。
「はあ、、、」
「、、、ごめんなさい」
「本当のところは?」
「、、、監視役です」
「やっぱり」
そんなことだろうとは思った。以前、「あれ」をやらかしたからな。「そういうこと」が起きないようにするのと、おそらく、俺がここに来た「本当の理由」を暴くのが役目なんだろうな。本当の理由は話してないからな。それにしても親父はよく気づいたな。おれが隠し事してるって。
「まあ、ここにいる理由はだいたい予想がついたし、わかった。でも、お前はそれでもいいのか?今なら、元の学校に戻れるんじゃないか?」
そう、これが一番の問題だ。俺は、こいつがどれだけ努力して、勉強したかを知ってる。必死に勉強してた。その分、それを知ってるだけにそれが気になる。
「いいの。シン君といれるから」
「はあ、、、」
またそれか。静香は俺のことを本気で好きでいる。元許嫁とか関係なくな。俺は、しっかりと拒否したんだが。
「ま、いいや」
「え?」
「別に、静香がいるから困るってこともないしな。第一、静香にも自分の意思があってきたのに、俺がそれを拒否するのも」
「じゃ、じゃあ、ずっと一緒にいてもいいの!?」
「いや、流石にずっとはだめだけどな。まあ、ときどき程度なら」
「やったーー!やっぱ、大好き!」
「はあ、はいはい。抱き着かない」
これで一件落着か、、、
「あ、」
「どうした?」
「そういえば、私のほかにも、みんな来てるよ?」
「え、みんなって?」
なんだろう。すごく嫌な予感がするのだが、、、
「いつも一緒にいたみんなだよ?同じクラスになったのは私だけだけどね。えへへへ」
「え、、、」
え、いつも?一緒に?いた?みんな?え、ちょっとまて、いつも一緒にいたみんなって言ってたよな。
「あ、あはははは、、、」
「どうしたの?」
おわった、、、おれの高校生活、、、
もう、、、こんなの、、、
「いやだああああああああああああああああ!」
「え、えええええええええええええええええ!」
「うわあああああああああああああああああ!」

その日の昼、突如として叫び声が上がり、何があったのかと、少し話題になったのだが、それはまた別の話。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…

しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。 高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。 数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。 そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…

鐘ヶ岡学園女子バレー部の秘密

フロイライン
青春
名門復活を目指し厳しい練習を続ける鐘ヶ岡学園の女子バレー部 キャプテンを務める新田まどかは、身体能力を飛躍的に伸ばすため、ある行動に出るが…

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

つまらなかった乙女ゲームに転生しちゃったので、サクッと終わらすことにしました

蒼羽咲
ファンタジー
つまらなかった乙女ゲームに転生⁈ 絵に惚れ込み、一目惚れキャラのためにハードまで買ったが内容が超つまらなかった残念な乙女ゲームに転生してしまった。 絵は超好みだ。内容はご都合主義の聖女なお花畑主人公。攻略イケメンも顔は良いがちょろい対象ばかり。てこたぁ逆にめちゃくちゃ住み心地のいい場所になるのでは⁈と気づき、テンションが一気に上がる!! 聖女など面倒な事はする気はない!サクッと攻略終わらせてぐーたら生活をGETするぞ! ご都合主義ならチョロい!と、野望を胸に動き出す!! +++++ ・重複投稿・土曜配信 (たま~に水曜…不定期更新)

処理中です...