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初恋の人が自罰的だったので溺愛することにした
初体験(2)
しおりを挟む最後の理性がねじ切れた。
ぶち、と頭の中で音を立てて、盛大に。
膝の裏に手を添えて「挿れるね」と一声かけて亀頭部を押し当てる。
きゅう、と目を瞑った彼の表情を了承と取り、童貞らしく恐る恐る挿入を進めていく。
理性というより、童貞の本能的なものというべきか。
伊達に二十代半ばまで童貞を守ってきたわけではない。
しかし亀頭部を全部入れたあたりから感じたこともない強烈な快楽で、脳が痺れ始めた。
歯を食いしばって耐えないと、一気に奥まで突き挿れたい衝動に負けてしまう。
「い……痛くない?」
「大丈夫……は……っ、お、奥まで、きて、大丈夫、だから……」
「くっ」
また煽るようなことを言う。
膝裏に手を入れるが、じんわりとした汗で滑りそうになる。
腰に手を移動させ、掴む。
ぬぷ、ぬぷという音と共に自分の腰を進めて、根元まで収まる。
ぽたりと顔から顎にかけて溜まった汗がリグの胸に落ちた。
次から次へと落ちていく。
汗ではない。
汗以外の液体。
「……挿入った……よ……」
「………………」
リグに驚いた顔をされた。
目を見開いて見上げられ、それからとても心配そうに手を伸ばされて目許を親指で拭われる。
その時、初めて涙が出ていたのだと知った。
「あれ……」
「なにか……苦しいのか? 痛い……?」
「い……いや。違う。違うよ……これは多分、嬉しい、んだと思う」
「嬉しい?」
息を整えながら、腰から手を外してゆっくり顔を近づける。
リグの顔に手を添えて、うん、と微笑む。
「本当に、ずっときみのことを好きだったんだ。……おれを受け入れてくれて、ありがとう」
改めて、驚いた顔をされる。
それから少しずつ紫瞳の色合いが変わったように見えた。
「キスしてもいい?」
「い、いい……」
「んっ」
顔を両腕で囲むようにして、キスを交わす。
角度を変えながら、舌を絡め合いながら、唇を吸い上げた。
ふう、と鼻で息を吐き出す。
「う、ごいて、大丈夫」
「っ、うん……頑張る……痛かったら、言って」
「んっ」
ゆっくり抜いて、ある箇所にカリが引っかかるとリグが「あ、そこ」と口にする。
見下ろすと「そこが、気持ちいい」と教えてくれた。
リグが教えてくれたところを亀頭部でこねるように押し上げると、その度に全身を跳ねさせて声を漏らす。
「あ……いっ、あっ、あっ、アッ、待っ……そ、そこ、すご……本当に、感じる、から……! そこばかりされたら、触って、ないのに……イッ――イってしまう……!」
「はぁ、ふぅ……ほ、ほんとだ、すごい……し、締まって……お、おれも……!」
「うううっ!」
もたない、と思って集中的に擦るのをやめて、最奥を突く。
あたたかで滑りのよい肉壁に包まれて、未知の快感が下半身から脳へ駆け抜ける。
なりふり構っていられない。
腰が止まらない。
目の前の相手が愛おしくて、シーツを掴む手を握り締めた。
切ない声を上げる唇を塞ぎ、もう中に出すことしか考えられない。
「ひぅ、いぃ、い……っ!? きもち、い……! いい、気持ちいい! 知らないこんなの、気持ちいいの、知らない……怖……ぁあ……ァァァッ!」
「リグ、リグ、好きだ……好きだ……!」
「ッうう……ンンンー!」
イキたい。
もうそれしか考えられない。
あたたかくてぬるぬるしているのに、しっかりフィリックスのモノを締め上げてしごいてくれる。
カリの部分でリグが気持ちいいと言ったところを必ず擦るようにすると、ますます締まりがよくなって気持ちいい。
見下ろすリグも紫色の瞳を涙で濡らし、気持ちいいと繰り返してくれる。
胸も腰も全部ピッタリとくっつけて、腰だけを執拗に打ちつけた。
バチュ、バチュといういやらしい音。
我慢も限界に近い。
「も、もう……中に……だ、出して……いいっ」
「はぁ、い……いい! 怖い、助けて……! 中にも出していいか、らぁ、フィー!」
「っう! リグ……好きだ!」
唇を塞ぎながら、中に放つ。
自分でも思った以上に堪えられなかった。
リグは、と顔を離して見下ろすと、ガクガク震えている。
驚いて体を離す。
頰に手を添えて「ごめん、大丈夫?」と聞いてみる。
「……ぅ、っ……ぁ……」
「リ、リグ、ごめん、大丈夫か?」
「だ、いじょ、ぶ……っ」
ぬる、と滑りに任せて引き抜く。
白濁の液がこぽっと溢れた。
受け入れてもらえたことが嬉しくて、ありがたくて無我夢中になってしまったけれど、リグはちゃんと気も良くなってくれただろうか?
気持ちいい、とは何度も言葉にして伝えてくれたけれど。
「ごめん、おればかり気持ちよくなってしまった。本当に、気持ちよくて……。リグは、その……イケたか?」
「あ、う、うん……ごめん」
「いや、そんな……謝らなくていいよ。ちゃんとイケてたなら、それでいいんだ」
体を離して下半身を見下ろすと、確かにリグのモノからも白濁の液が腹の上に散っている。
触れてはいなかったが、密着していたことでフィリックスの腹で扱かれてちゃんと達することができたらしい。
そこまで気が回っていなかったので、リグもちゃんと達していたことは安心した。
「えっと……なにか、ふ、拭くもの……」
「待って。大丈夫……」
と、言ってリグがスライムを召喚する。
フィリックスとリグの体の上を這い回りながら汗や体液を吸収していく。
「えっと、それじゃあ……その…………い、一緒にこのまま、寝てもいいか?」
「え? あ、う、うん?」
一瞬驚いた顔をされたが、そのまま体の清浄はスライムに任せて横たわる。
リグに「抱き締めてもいい?」と確認して、許可をもらってから抱き締めた。
息を整えながらもリグが困惑する気配。
「その、う、うまくできなくてごめん。初めてで余裕がなくて……」
「そ、そんなことは……」
「本当はもっとゆっくりできればよかったんだけど……その、嫌でなければ、また、シ、シてもいいか?」
「え? あ、う、も、もちろん」
「よかった」
もうヤりたくない、と言われたらどうしようかと思ったが、リグにはまた受け入れてもらえるらしい。
できれば今度は、スライムではなくフィリックスがリグを解せたりしないだろうか。
もちろんスライムを使うのが便利なのは、今実感しているけれど。
若干嫌がられそう……というよりドン引きされそうなのでもう少し様子を見てから考えよう。
「リグ? どうかした? 体がつらいところある?」
腕の中で考え込むようなリグに、心配して覗き込む。
だが特別痛いとかはない、と首を振るリグ。
「久しぶりだから、少し……不思議な感じがする。あと、あの感覚は、初めてで強烈だった。初めて性行為が気持ちいいと思ったし、またしたいと思った」
「え」
「こうして、行為のあとに抱き締めてもらうのも初めてだけれど、心地がいい。胸があたたかくて、なんだか満たされたような感じがする」
「…………」
ダロアログは本当に、リグのことを性処理にしか使っていなかったのだろう。
犯すだけ犯してスッキリしたら、後始末もなにもせずに放置して出ていったのだそうだ。
無理矢理体を発情効果で発情させられるのはつらくて、好き放題にされて終わり。
そんな生活が十五年。
(自分を道具だと――そう思わなきゃ正気も保てない、か)
そうしてゆっくりと蝕まれて、洗脳されていった。
“自分は道具”と。
「……これが“普通”なんだよ」
「普通……そうなのか」
「うん」
好きな人には大切だと伝える。
それは普通のこと。
「おれは今幸せだよ。リグに想いが通じたし、体を受け入れてもらえて。その上、こうしてくっついて一緒に眠れる。そのことをリグに心地いいと言ってもらえた。嬉しくて、幸せだよ」
「しあわせ……」
「うん。リグも同じ気持ちだと嬉しい。でも、今はまだよくわからないと思うから、ゆっくりと識っていってほしい。君の感情の名前」
「…………」
額にキスをして、改めて抱き締めて目を閉じた。
精一杯愛おしいという気持ちを伝え続けようと思った。
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