【R18】黒曜帝の甘い檻

第３５話

　頭の後ろにあった手が、ヒオリの顎に滑り上向かせる。
　口づけだ、とすぐに理解して目を閉じると、スェラドの唇が当てがわれた。
　見た目からは想像もつかない柔らかさ。
　熱い舌がぬるりと唇を舐めて、割り裂くように咥内に入ってくる。
　火照りの残る体は一気に期待で高まった。

（……あ、ああ……僕、ついに、ようやく……スェラド様と……！）

　ぬる、くちゃ、くちゅ……と、そんな淫靡な水音が耳の奥に響く。
　ねっとりと咥内を舐め上げられたあと、丹念に隅々まで舌先で突かれた。
　その刺激が唾液を増やし、絡め取られ、より大きな水音になる。
　口の端から流れ落ちるのも気づかずにその口づけに夢中になって、拙いなりに舌を使ってスェラドの舌に応戦もしてみた。
　あっという間に引き離され、かと思えば舌で押さえつけられたり執拗に舐められたりと結局好き放題にされてしまう。
　ああ、これは……もっと練習しなければダメだな。
　そんな事を考えているうちにどんどん脳が痺れていく。
　足腰の力が抜けて、簡易寝台の上に寝転がされる。
　ずるりと服代わりの布に大きな手が入ってきて、胸の飾りを摘まれた。

「ひっう……！」

　ビクン、と腰が跳ねる。
　十分過ぎるほど体は高まっていた。
　小さな刺激であろうと、起爆剤になる。
　一年で仕込まれたヒオリの体はとても敏感だ。
　後宮の姫たちに劣る感度ではない。
　いや、下手をすれば色街の娼婦よりも敏感かもしれない。
　まして、ヒオリの乳首はすでに十分過ぎるほど感じるように躾られている。
　そこをそんな風に摘まれて、指で転がされたらあっという間にのぼせ上ってしまうのは仕方がない。
　布は完全に脱がせる事もなく、それをずらしてもう片方の飾りにスェラドの赤い舌先が近づけられる。
　見せつけるようにゆっくりと伸ばされるそれに、ヒオリの背筋にゾクゾクとした快感が沸く。
　あれが、触れたら……。

「なにを期待している？」
「……あ……そ、それは、スェラド様の……舌が……」
「俺の舌がなんだ？」
「っ」

　両の飾りを抓るように引っ張られる。
　元々ツン、と天井へ固くなりつつあったそれは、ピン、と細くなり硬さを増す。
　また、抓られた事で色も赤みを増した。
　その果実のような乳首へと、舌先が近づけられる。
　涙が滲む。

「摘んだだけでこの反応とは……まだまだ躾甲斐があるという事か？　ああ、ではまたこれから躾けていこう。今日は俺も余裕があまりない。なにしろようやく……ここに挿れる日が来たのだから」
「んあ、あっ……は、はいっ」

　円を描くように平らな胸を掌で揉みしだかれる。
　胸全体の血行がよくなり、感度が上がるのだとスェラドが胸の躾を始めたばかりの時に語っていた。
　実際そのマッサージのような事をされてから乳首を触られると恐ろしいほど感じる。
　その刺激による快感を覚えた胸は、あっという間にそれだけで感じるようになった。
　今も、教え込まれた刺激を思い出して身をくねらせる。
　ただ今は切ない。
　下半身の刺激も欲しくて、つま先がシーツを巻き込んで丸まる。　

「っう！　あ、スェ、ラドさま、は、はやくぅ」
「ああ、もちろん」

　胸から腰へ。
　腰から尻へ。
　掌が降りていく。
　触れられた場所が火傷でもしたかのように熱く、火照る。
　尻をゆっくりと丁寧に揉みしだき、ヒオリをうつ伏せにしたあと用意されていた潤滑油を尻に垂らす。
　じっくりと指で入り口を解きほぐし、人差し指を挿れる。

「あ、あぁ……っ！」

　気持ちがいい。
　これだ、これが欲しかった。
　ここ数週間一切触れられなかった奥が喜んでいる。
　ヒオリには触れられない場所に、スェラドの指が入っていく。
　悦ぶ体。
　更に多くの指を迎え入れたくて、自分でも分かるほどにヒクヒクと呼吸した。
　指が増えて、丹念に解される。
　時折潤滑油が追加され、腸の奥へと流れ込む。
　その滑りを借りてスェラドの太く長い指がより奥へと進んだ。
　ヒオリの一番感じるところを熟知したその指は、容赦なくそこを掠めて出入りを繰り返す。
　そこを擦られる度に体がビクンビクンと面白いように跳ねる。
　腸が引き摺りされるような勢いで擦られても、もうヒオリの体は痛みなど感じない。
　その痛みさえ、快感に変わる。

「イ、イッてしま、いま、すぅ！　スェ、ラド、さ、まぁ！」

　ズッズッズッ、という等間隔の刺激に喉をのけ反らせて叫んだ。
　このままだとイってしまう。
　せっかくこれから初めて繋がるのだ。
　達する時は共にがいい。
　そんなヒオリの願いを察してなのか、スェラドが指を引き抜いて白い双丘を親指で左右に割る。

「はあっ、はっ、はっ……はぁっ……はあ……」

　くぱぁ……と開く尻穴。
　そこに先端がずりずりと擦り付けられている。
　カリ部分で穴の入り口を刺激されて、落ち着くものも落ち着かない。
　いよいよだ。
　ついに、だ。

「ああ、ヒオリ……ようやくだ。……ようやく貴殿を俺のものに出来る。他の誰にも触れさせない。『魔窟』を片付け、帝都に戻ったら二度とあの屋敷からは出さん。俺の鳥籠の中で朽ちるまで愛でさせろ」
「……はい……、はい、スェラド様……僕をスェラド様のお側にずっと置いておいてください」