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第34話ですわ!
しおりを挟む「これはもうご褒美なのではないでしょーかぁぁぁあ! 一日歩き回って収穫らしい収穫はなかったけれどー! 一日歩き回った私へのご褒美ぃ! キャリーたん! 女王様! 踏んでください!」
「い、いやぁぁあ!」
忘れてましたわ忘れてましたわ!
この人こういう方だったんですわー!
ハイル様が素早く足掛けして転ばせるのですがそれはそれでどうなのでしょうか!?
「っ……」
「うっ! キャ、キャロラインさん」
「あ、す、すみません、エイラン様、つい……」
ものすごいお顔で噴水の縁からジャンプしたエルミーさんが怖くなり、ついエイラン様の背中に隠れてしまいました。
失礼致しました。
「……ねえ、さっきの話、ハイル王子にしてみたら良いんじゃないかな」
「ハイル様とはお話済みですわ」
「えぇ……」
「こほん!」
「あ! ハ、ハイル王子、実は例のプレイヤーたちの居場所が分かったんだ。『花の森』らしい」
「……『花の森』! そうか、なるほどあそこなら……」
どうやらハイル様もその辺りすぐにお分かりになられたようですわね。
そしてエイラン様が兵を借りられないかとご相談するとすぐに頷かれました。
ですわよね!
「いっつぅ~……んもぉ~! なにするの!」
「エイランはこの後予定はあるのか?」
「えーと今リアルだと……六時半か……夕飯食べてきて良い? その後なら付き合えるよ」
「あ、じゃあ私もご飯食べてこようかな。え? 『花の森』にプレイヤー狩りに行くの? 私も行くー!」
「君まだチュートリアルストーリーも終わってないだろ? 大丈夫なのか?」
「だってキャリーたんのお友達をあんな風に殺したんだよ! 許せないよ! ぶっ飛ばす!」
「!」
……エルミーさんとエイラン様はもしかしてわたくしよりも先に学院に来ていて、現場を見たのでしょうか?
話に聞く限りかなり凄惨な現場になっていたようですけれど……。
「プレイヤー同士の戦闘は正式なPD以外だと『カルマ値』二割り増し上昇になるよ」
「いや、今回は王国から貴族の娘を殺した罪で手配が掛かっている。奴らは『賞金首』だ。PDでなくとも『賞金首』相手なら『カルマ値』は上がらない」
「ああ、そうか。エルミーはPSだけは一丁前みたいだし、戦力に数えても問題ないかな?」
「個人的にはすでにチュートリアルストーリーを終えているプレイヤーに狩ってもらいたいものだ。だが今回は正式にこの国の王子としてエイランとエルミーに『依頼』しよう。難易度はA設定。報酬は100,000ゴールド。そして、我が国での『男爵』の爵位だ」
「「!」」
「ハ、ハイル様!?」
えーと、プレイヤーさんが身分『貴族』でスタートした場合『子爵家』の設定。
もしこの依頼が達成されたらエルミーさんはエルミー・ミュリーア男爵になりますのね。
男爵の爵位は家ではなく個人に与えられる場合が多い爵位ですのもの。
エイラン様の場合も、この国の一人の国民と認められますし……。
「え! 待って、ハイル王子! それじゃあこの国に土地や建物をもらえたり……」
「必要なら与えよう」
「えーーー! マジマジ!? いきなりそんな良いのー!? じゃあ私キャリーたんちに住みたい!」
「それは却下だ!」
はい。
それは却下ですわ。
「……し、しかしハイル様、それは少しサービスが過ぎるのでは……。いえ、エイラン様は構わないと思いますが……」
「問題ないさ。殺害された女生徒の身分は侯爵家……君の友人の身分を思えばな」
「そ、そうですが……」
エルミーさんに男爵の爵位を与える。
うーん、まあ、それは、いい、のかしら?
けれど、公爵家のわたくしを殺害するであろうエルミーさんに爵位を与える意味が……。
「じゃあ八時に『花の森』の前で合流しよう。それまでに正式な依頼の作成して、兵を集めておく」
「分かった!」
「おっけー! ……んー、でも貴族の爵位はあるから私はキャリーたんからの罵倒と緊縛とお尻踏みつけの刑とかがいいなぁ……」
「行こうキャリー」
「はい!」
「じゃあまた後で」
「最近みんなのスルースキルがスゲ~」
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