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アスレチックエリアボス戦 2
しおりを挟む「このくらいでしょうか?」
「可能なら頭だけ残して埋めたいところだけど」
「そ、そこまでします?」
「今の六倍以上強くなると思うと、念には念を入れるべきだろう?」
「……っ! そうですね、掘ってみます。遊具を剥がして土が柔らかくなっていますし」
砂場へ拳を叩きつけ、穴を広げていく。
掘っているっつーか、あれは……抉ってない?
まあ、埋めてしまえれば抉ろうがどうしようがどうでもいいが。
「はあ!」
それなりに深く掘り、三つ巴を放り込んで埋める。
頭だけ出た状態で土を戻して固め、さらにその上に瓦礫を載せた。
「ちょっと気の引ける状況ですね……」
「でも放置しても人を襲う。ここで倒すべきだよ」
「は、はい。そうですよね! 被害者を出すわけにはいきませんもの。やります。高際さんは下がっていてくださいね」
「わかった。油断しないようにな」
「はい!」
確かにまあ、絵面は酷すぎる。
ぐるぐる巻きで拘束して、深く掘った穴に埋め、その上に瓦礫まで載せたのだ。
怪物とはいえ無抵抗の人型の三つ巴の頭を、そうして一つずつ潰していく。
絵面がマジで酷い。
でも、あの敵はこのぐらいしないと千代花であっても負けるかもしれないのだ。
このぐらいセーフだろう!
「たあああ!」
『ぎゃぁぁぁあああぁぁぁ』
最後の頭を潰した千代花が、一瞬——おそらく罪悪感で——固まる。
絵面が、酷いもんな……。
でも、あのまま強くなられたらマジでお手上げだから!
これは正当なる討伐だ!
「……とりあえずこの辺りはこれで平和になったよ!」
「そ、そうですよねっ」
千代花の罪悪感を軽くするために声をかけてから、墨野たち探しを再開する。
あいつらマジでどこに行ったんだ?
コテージに帰ったんだろうか?
ビビりたちがそこまで頑張るかな?
「やっぱり二手に分かれなかった方が、よかったんでしょうか……?」
一時間ほど探し回っても見つからない。
千代花がそう漏らすほど、手がかりがないのだ。
それを言うと、あのビルも見つからない。
あのデカブツが明るい時間に探して見つからないなんてこと、あるだろうか?
……もしかして、これ、ストーリーを進めた方が早い?
墨野と真嶋がもし、あのビルだった場所に辿り着いて、ストーリーを進めたのだとしたら……。
「あ」
「どうしたんですか?」
「この薪小屋、俺が逃げ込んだ場所だ」
初日、ゾンビに襲われた俺が入った小屋。
薪が大量に置かれており、近くのキャンプ場まで自力で持っていく用。
一応、値段も書いてあったんだな。
窓ガラスが破られており、扉も壊れている。
つまり、やはりビルは近くにあったはず……。
「確か……あの夜は窓から出て……こっちの方に進んだような……」
夜の闇の中、ゾンビに襲われて混乱していた時の朧げな記憶を頼りに道を進むと——突然更地のような場所が現れた。
ドン、と佇むのはビルの屋上に出る出入り口。
それだけが、土と木の葉の被った場所にある。
足跡が複数そのドアへ向かっており、近くに数体のゾンビがウロウロしていた。
千代花と顔を見合わせる。
間違いない。
墨野と真嶋はゾンビに襲われ、慌ててあのドアに駆け込んだんだろう。
「ゾンビを倒してきます」
「すまない、頼む」
あの馬鹿二人、勝手にストーリーを進めやがったんだ。
あのドアは物語の終盤初期に現れて、千代花と攻略対象は脱出口を求めて入る。
中は冒頭のビルだが、最下層まで降りるとそこはある意味天国のような地獄。
当然ゾンビも出るし、さっき千代花が倒した三つ巴も出る。
他にも食人花のようなクリーチャーや、エイリアンみたいなクリーチャーも。
千代花抜きで入るなんて死ぬぞ。
「高際さん! ゾンビを倒しました! 中に入って見ましょう!」
「そうだな」
あっという間にゾンビを倒して、周辺をクリアにする千代花。
すっかり戦い慣れしてしまって……可哀想だ。
ドアを開けると、下へと続く階段。
「そんなに下ってはいないと思うのだが」
「はい、すごく暗いですし、逃げ込んだだけならそれほど下に行く必要はありませんものね。声かけてみましょうか」
「あのビルの中だと思うと、ビルの中にもゾンビがいたよな? 大声は出さない方がいいんじゃないかな?」
「あ、そうでした」
「……仕方ない。電池もったいないけど、スマホの懐中電灯機能使うか」
できるだけ無駄遣いはしたくないのだが、ゾンビ化した墨野と真嶋を見たいわけじゃない。
千代花には周囲の警戒をしてもらい、俺のスマホでライトを使い、階段を下る。
いや、もう、怖ぇぇぇぇ……。
『ぅぁぁああああっ……!』
「ギャァァァァァア!!」
「高際さん!」
そしてライトをつけていたのでゾンビが角から飛び出してきた。
千代花が一撃で頭を潰してくれたが、もうホントマジ無駄にホラゲー!
心臓バクバクしてきて腹立ってきた。
くそぅ、墨野と真嶋めぇ……!
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