大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!

古森真朝

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第二章:大根令嬢、お隣さんと旧交を温めるの巻


 しゅるるるるるるるる……

 「「「おおおおっ!?!」」」
 「あ、意外とできた! 良かった~」

 公爵邸の料理人達がどよめく中、ひとりマイペースにほっとするカレン。

 その手元では、包丁を当てた大根が削ぎ切りの真っ最中だった。輪切りの幅がまっすぐに、向こう側が透けそうなほど薄く剥かれて、作業台の上にひらひらと積み重なっていく。

 (こっそり特技だったんだよね、大根のかつら剥き! ありがとう、バイト先の皆さん!)

 学生時代に生活費を賄うべく、料亭兼旅館で住み込みバイトをしていた経験のおかげだ。

 地元では有名な老舗だったため、結婚式やら会合やらがかなりの頻度で開かれていた。そういうときはまず確実に、料理の付け合わせとして大量のツマを用意しないといけない。

 どうしても人手が足りないのでヘルプに入り、板さんたちにイチから教えてもらったのだ。猛特訓のかいあってか『あんた筋が良いな!』とほめてもらえるまでになって、とてもうれしかったっけ。

 「あの、ご令嬢、この技は一体……!?」
 「はい、かつら剥きといいまして。こうして薄く長くすると、後の作業がしやすいんです!
 じゃあ皆さん、ここからちょっと手伝っていただけますか? この大根の帯を、このくらいの幅で細切りにしていってください」
 「お任せ下さい!! 皆、位置につけ!!」
 「「「はいッ!!!」」」

 気合十分で作業に入った料理人一同、さすがに手際が良い。あっという間に、大皿の上に大量の刻み大根が出来上がった。ちょっときしめんに似ている。

 「これを天日で干して乾燥させます。湿気に気を付けて冷暗所で保管すれば、一カ月くらい余裕でもちます。
 きれいな水で十五分くらい戻して、麺の代わりにもできますし、戻し汁ごとスープにしてもあっさりで美味しいですよ」
 「なるほど、干物に! これなら水分の多い野菜でも保存が利きますね」
 「淡泊だから、味の濃いソースとも合いそうだな!」
 「あ、じゃあサラダに入れるのはどうだ? 他の素材ともケンカしなさそうだし」

 要は切り干し大根である。日本的な煮物の概念を説明するのが難しいので、あえてざっくりめで伝えたが、興味深そうにしてくれているので大丈夫だろう。

 あとはイモ類をはじめ、他の根菜全般だが……

 「よし、皮剥いてひたすら輪切りで。厚さは二ミリくらいでお願いします。スライサーとかは」
 「あ、ありますよ! お客様がたくさんいらしたときのために、用意してもらいました!」
 「わあ、助かります。それでですね、切ったら出来るだけ平らに並べて、かりかりに焼きたいんですけど……」
 「ならわたくしたちの出番ですわ! テオ、不死鳥を呼んでちょうだいな!」
 「はあい! おいでーっ」
 《くるるるる~》

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