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兄編
兄上
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4年ぶりの再会を果たしたルエリア王子とQは無事に仲直りをしましたとさ。
第二王子の婚約者候補であったはずのQが、第一王子と真実の愛に目覚めるなんて話はなんともまあ貴族好みのラブロマンスで。
更に言うなれば、第二王子が上手いことしたので学園で2人を祝福しない者はいない。
僕、以外は。
「ああ、なんて可愛くない」
なんて可愛くない子になってしまったのか。
あんなに可愛がってあげたのに。あんなにあんなに、可哀想な子を。
僕だけが可愛がってあげていたのに。
可哀想じゃないなら、不幸じゃないなら。
お前なんてちっとも可愛くない。
でも。僕はお前に一等優しいから、チャンスをあげよう。
お前にとって、僕はたった一人の家族なんだから。
家族は何にも替え難い程の尊い存在。血の繋がり。
兄であり親とも言える僕はお前にとって絶対なんだよ。
「ね? Q。分かっているね?」
「……さぁ、」
「アハハ、すっかり可愛くなくなっちゃって」
兄は悲しいよ。
僕に連れ去られたQは当然抵抗することも無く屋敷に連れてこられてくれた。そして、意味もなく椅子に縛り付けてみたけれどやっぱり抵抗もなくて少し笑ってしまう。
どうせ拘束くらい簡単に壊せると思っているんだろうけれど。
生憎、お前の兄は優しいけれど、易しくはないから。
それは力ではどうにもならない拘束。力に狂ったオーデルハインを無力化するためだけに作られたものだから僕らには絶対解けない。
王族が保管している僕らの枷。
王族といったら、苛立ちを思い出してしてしまった。
ガリッと爪を噛む。
なんで簡単に許してしまうのか。
普通なら許さないだろう。だから4年前、許したのに。
絶対に嘘を許さない彼と偽りの存在のQが上手くいくはずが無い。身の程知らずも甚だしい。
4年前はちゃんとQを傷つけて。ここに返してくれたのに。
だからまた分不相応にも学園に通うなんてことを許してあげたのに。
もっと深い傷をつければ、もっと可哀想になってくれたはずなのに。
自分が可哀想な子であると自覚して、身の丈にあった不幸な生き方をしてくれるはずだったのに。
なんで許したんだ。信じられない。
そして、キーンだ。
あいつがQを見つけなければ。外の世界に連れ出さなければ。
学園に通わせるなんて言わなければ。
Qはいつまでもいつまでも可哀想で可愛いまま、僕の箱庭から出ることも出来ずにずっと一緒にいれたのに。
ああ、4年前の避暑の時だって。食べ物を取り上げて、多少飢えたところで迎えに行ってあげるつもりだったのに。あいつが邪魔をした。
「曰く、人のせいにするのは本人の成長を妨げるらしい。だから僕のせいにしようか。うん。
そうだね、ただ閉じ込めるだけではいつか外に勝手に飛び出してしまうかもしれないと怖がったのがいけなかったんだ」
外に出て多少傷つけてしまえば、もう外に出ようなんて思わないだろうなんて。欲に目が眩んだ僕が悪かったね。
「だから、今度は欲を持たないで着実にやろうと思って」
「あにうえ」
「学園中にお前が男で、忌み子だと教えてあげようと思ったけれど。軽く乗り越えてしまうだろう。
だから、まどろっこしいことは全部無しだ」
「なにを」
達観しているような言葉を吐くくせに、頭が良くないから分からないのか。可哀想に。
「昔からQは僕を拒絶しないもんね」
お前にとって僕は可哀想な子なんだから。
あれは何年前だったか。
赤ん坊の癖に泣きもしないお前がくれた魔法を使って。僕はお前の頭の中を見た。
お前は気付いていなかったけれど、僕は直ぐに『僕』が分かったよ。
ジュタドール・セルーネ・オーデルハインという名前の作られたキャラクターが僕なのだと。
お前より優位だと思っていた、お前の救世主だと思っていた僕が。
実はお前が生まれた時からお前に救われていただなんて。
とても、受け入れ難い現実を。
でもお互い可哀想なら。
可哀想のまま、2人でずっと一緒に居ればいい。ずっと不幸で可哀想であればよかったのに。
「僕がQを裏切るんじゃない。Qが僕を裏切ったんだ」
ねえ、Q。
たった1人の兄に、名付け親に、逆らうなんてことしないよね。
「一生ここで2人でいようね」
ガチャリと拘束具が音を立てたのを聞かなかったことにして僕はうっそり微笑んだ。
第二王子の婚約者候補であったはずのQが、第一王子と真実の愛に目覚めるなんて話はなんともまあ貴族好みのラブロマンスで。
更に言うなれば、第二王子が上手いことしたので学園で2人を祝福しない者はいない。
僕、以外は。
「ああ、なんて可愛くない」
なんて可愛くない子になってしまったのか。
あんなに可愛がってあげたのに。あんなにあんなに、可哀想な子を。
僕だけが可愛がってあげていたのに。
可哀想じゃないなら、不幸じゃないなら。
お前なんてちっとも可愛くない。
でも。僕はお前に一等優しいから、チャンスをあげよう。
お前にとって、僕はたった一人の家族なんだから。
家族は何にも替え難い程の尊い存在。血の繋がり。
兄であり親とも言える僕はお前にとって絶対なんだよ。
「ね? Q。分かっているね?」
「……さぁ、」
「アハハ、すっかり可愛くなくなっちゃって」
兄は悲しいよ。
僕に連れ去られたQは当然抵抗することも無く屋敷に連れてこられてくれた。そして、意味もなく椅子に縛り付けてみたけれどやっぱり抵抗もなくて少し笑ってしまう。
どうせ拘束くらい簡単に壊せると思っているんだろうけれど。
生憎、お前の兄は優しいけれど、易しくはないから。
それは力ではどうにもならない拘束。力に狂ったオーデルハインを無力化するためだけに作られたものだから僕らには絶対解けない。
王族が保管している僕らの枷。
王族といったら、苛立ちを思い出してしてしまった。
ガリッと爪を噛む。
なんで簡単に許してしまうのか。
普通なら許さないだろう。だから4年前、許したのに。
絶対に嘘を許さない彼と偽りの存在のQが上手くいくはずが無い。身の程知らずも甚だしい。
4年前はちゃんとQを傷つけて。ここに返してくれたのに。
だからまた分不相応にも学園に通うなんてことを許してあげたのに。
もっと深い傷をつければ、もっと可哀想になってくれたはずなのに。
自分が可哀想な子であると自覚して、身の丈にあった不幸な生き方をしてくれるはずだったのに。
なんで許したんだ。信じられない。
そして、キーンだ。
あいつがQを見つけなければ。外の世界に連れ出さなければ。
学園に通わせるなんて言わなければ。
Qはいつまでもいつまでも可哀想で可愛いまま、僕の箱庭から出ることも出来ずにずっと一緒にいれたのに。
ああ、4年前の避暑の時だって。食べ物を取り上げて、多少飢えたところで迎えに行ってあげるつもりだったのに。あいつが邪魔をした。
「曰く、人のせいにするのは本人の成長を妨げるらしい。だから僕のせいにしようか。うん。
そうだね、ただ閉じ込めるだけではいつか外に勝手に飛び出してしまうかもしれないと怖がったのがいけなかったんだ」
外に出て多少傷つけてしまえば、もう外に出ようなんて思わないだろうなんて。欲に目が眩んだ僕が悪かったね。
「だから、今度は欲を持たないで着実にやろうと思って」
「あにうえ」
「学園中にお前が男で、忌み子だと教えてあげようと思ったけれど。軽く乗り越えてしまうだろう。
だから、まどろっこしいことは全部無しだ」
「なにを」
達観しているような言葉を吐くくせに、頭が良くないから分からないのか。可哀想に。
「昔からQは僕を拒絶しないもんね」
お前にとって僕は可哀想な子なんだから。
あれは何年前だったか。
赤ん坊の癖に泣きもしないお前がくれた魔法を使って。僕はお前の頭の中を見た。
お前は気付いていなかったけれど、僕は直ぐに『僕』が分かったよ。
ジュタドール・セルーネ・オーデルハインという名前の作られたキャラクターが僕なのだと。
お前より優位だと思っていた、お前の救世主だと思っていた僕が。
実はお前が生まれた時からお前に救われていただなんて。
とても、受け入れ難い現実を。
でもお互い可哀想なら。
可哀想のまま、2人でずっと一緒に居ればいい。ずっと不幸で可哀想であればよかったのに。
「僕がQを裏切るんじゃない。Qが僕を裏切ったんだ」
ねえ、Q。
たった1人の兄に、名付け親に、逆らうなんてことしないよね。
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ガチャリと拘束具が音を立てたのを聞かなかったことにして僕はうっそり微笑んだ。
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