29 / 34
兄編
箱庭
しおりを挟む
ジュタドールはニタリと笑ったQを見て狼狽えた。
Qはニタリと笑わない。
あの子はそんな笑い方をしない、と思った時にはもう遅い。
「ーーっ!」
カチリと長針と短針が重なり合う。
音のならないハズの時計がゴーンゴーンと鳴っている。
往々にして12時は魔法が溶ける時間。
黒から白へ。白からピンクへ。
頭のてっぺんからピンクが白を侵食する。じわりじわりと絵の具を垂らされた様に白が色を変えていく。
否、白が剥がれただけだ。
元の色に戻るだけ。タイムオーバーを告げる色に。
「ホントに頭の色から戻っちゃうのか」
知らなかったな。
なんて。目にかかった前髪の色を眺めながらフリィシュ・スタージェは呟く。
そして、ニカッと快活に微笑んで場の雰囲気を吹き飛ばしかねないほど元気よく挨拶した。
「よっ! 壁ドガンぶりだな、お嬢の兄! オレはフリィシュ・スタージェだよろしくな」
あまりの空気の読めなさに、ジュタドールは目の前が真っ暗になった。
最悪だ。
こんな真面目でどうしようもなく暗いシリアスを一体どんな神経を持ち合わせていればぶち壊せるのだろうか。
そんなジュタドールの頭の冷静な部分の嘆きは当然フリィシュという人間に伝わる訳もなく。
もっと言えば、オーデルハインではない彼に拘束具など意味をなさず。軽く外してしまって凝り固まった体を解さんとばかりに伸びをしている。
シリアスも緊張感も吹き飛ばされてしまった。
しかし、ジュタドールの病みは何も変わらない。それどころか悪化した。
ギリ、と奥歯を鳴らす。
変身術なんて反則技、絶対に見破れるわけが無い。だから平民だろうと貴族の学校に迎え入れられる。謀反を企てないように教育するためだ。
だから、本物と偽物の区別がつかないのは仕方がない。
なのでジュタドールにとって問題はそこでは無い。
問題は、偽物がQにプレゼントしたチョーカーをつけているということ。
これはどうしようもなくQによる裏切りでしかなかった。
「あいつ、あいつあいつあいつ!! 僕が育てた! 誰もいらないから僕が貰ってやったのに! 何も無かったから線を引いてやったのに! あぁぁあああ! どうしてだ、どうして兄の、親の言うことが聞けないんだ!
外に出したのがダメだった。やっぱり出すんじゃなかった。外にトラウマを与えるより、僕が適度に壊せば良かったんだ!」
ガンッと衝動のままにジュタドールがテーブルを殴ると、穴があいた。
それでも気持ちは晴れない。
怒りと憎しみと、哀しみは力へと変わるのに消えていってはくれない。
「ルエリアにさえ会わなければ、キーンさえここに来なければ、あぁぁどうして。なんで僕だけこんな目に合わないといけない。ずっと2人でここで不幸せに生きていけば、そうすればいいんだって。Qだって、受け入れてくれてたろ? 街に行きたいなんて悪いこと言ったのはあの時だけだった! 一回だけなら許したさ、傷ついて帰ってくるのを待ってあげただろ。その傷を癒したのは誰だと思ってる!
どうして今になって、なんで、なんで僕の方が捨てられなくちゃならないんだよ!」
床を掻きむしりながら咆哮するジュタドールを、フリィシュは先程までの笑顔を消して眺めていた。
そしてやっぱり思うのだ。
ああ、オレの前世の母親にそっくりだな。と。
けれど、だ。
いくらジュタドールの中で毒親精神が肥えていようが、彼は16歳なのである。
兄は親ではないのだ。
それが、狂ってしまったのは間違いなく親と、あるがままを受け入れてしまったQのせいと言える。
(うん。やっぱり、オレが来て正解だったな)
兄弟なんてデリケートな問題。それも兄が親代わりとも来れば一筋縄ではいかないし、当人たちの問題。
生半可にシリアスクラッシャーが踏み込んでいい話ではないということは作戦立案者がよく分かっているが、それはQが普通の精神をもちあわせていたらの問題である。
「お前だけが不幸せでも良かったんだ。でも僕がわざわざ不幸せなお前に付き合ってやっていたのに! どうして僕だけを置いていく!」
「あのさぁ」
喉から血を吐き出しそうな叫びをするジュタドールに反して、フリィシュは弾むような声をだす。
そして、全ての確信を突くのだ。
なんたって主人公なのだから。
この物語の主人公はQ・セルーネ・オーデルハインだが、この舞台の主人公はフリィシュ・スタージェなのだから。
「オレ、一度もQのこと不幸だとか可哀想だとか思ったことないんだけど?」
「……は、あ?」
ジュタドールが頭を上げて翡翠の瞳を睨みつける。
何も知らないのか。知らない上で、土足で僕達を踏みにじるのか。と睨みつける。
「Qなんて変な名前だろう、僕がつけてやらなかったら0だ! 0! 何も無い、要らない、どうでもいい子だ、あの子は! そんな可哀想な子をだから僕はっ」
「知ってるけど」
あっけらかんとされた返答にジュタドールは狼狽する。
知ってる?知っているのに、どうして同情しない?どうして欠片も同情しないんだこいつは。
「分かっていないのか、それほど馬鹿なのか? お前がどれ程Qのことを知っているのかは知らないが、あの子は誕生日すらなくて。14年間可哀想で不幸な子で」
「全部知ってるけど」
「……まさか、ルエリアなんかとハッピーエンドで終わろうとしているからか? 終わりよければ全てよしってことか? ああくそ、そんなの許されてたまるか。何もかもなし崩しのハッピーエンド? 笑わせるなよ」
ギリっとまた奥歯を鳴らすジュタドールの歯を頬越しに触ってフリィシュは言った。
「それがなくても、オレはQを可哀想な子だと思ったことも無ければ不幸な奴だと思ったことないんだよな。
むしろ、そんなに歯軋りされる兄……ジュタの歯の方が可哀想だと思う」
は?
と、ジュタドールの喉から声が出なかった。
「アイツの精神って悲劇のヒロインタイプじゃないからさ。確かに辛いことがあって凹んだり、自分のせいだと傷ついててもさ。
楽しいことをみつけたり、なんでもない日常で笑ってたり。4年前にあったことでずっと思い悩んでいたみたいだけど、オレらの前ではずっと明るくて元気だった。容赦なくツッコミするし、スルーもする。
知ってたか? Qって、かなり前向きな言葉が好きなんだよ。
そんなやつのどこが可哀想で不幸だって?」
ジュタドールは、声が出なかった。
思い当たる節があるから、何も言えなかった。
この屋敷に戒めのように置かれた、本来女児であったはずの子が着るためのドレスに負い目を感じるどころか袖を通してしまうような子。
愛しい人を傷付けて哀しんでも、この4年間愛しい人から与えられたもの一つ一つを愛おしんで痛みながらも花を咲かせた子。
この物語全てが、Qが可哀想でも不幸でもないことを物語っているのだから。
ジュタドールの目からぼたり、と零れた。ぼたりぼたりと零れるそれが何なのか、ジュタドールには分からない。
最初から、違っていた。
それくらい分かっていたから、適度に傷付けて首輪で繋げていたのに。
分からない振りをしていた。
悪役令嬢とその兄だとわかった時、不幸が兄弟の中で反転したのだと悟った。
どちらかが不幸にならなければならない兄弟。
妹なら、兄が不幸に。
弟なら、弟が不幸に。
この世界がゲームならきっとそういうシナリオになるんだろうと、ジュタドールは信じていたのに。
Qが不幸でないなら、可哀想でいてくれないなら、ジュタドールがその役目を追うのか。シナリオ通りに。
憤りすら湧かない。ただただ、濃い紫の目からぼたぼた水を流すだけ。そして、水分を上に取られてしまったらしく動かしにくい唇から言葉を出す。
「いや、だ、僕はキャラじゃない、不幸にはならない、可哀想なんかじゃっ」
「うん」
「ゲームの、世界だって、ここ。でも、僕は、俺は」
「知ってたのか。でも、そんなの気にしなくていいじゃん」
「……いいの?」
恐る恐る出された声にフリィシュは少し笑いかける。
「良いに決まってんじゃん! オレとレンアイするゲームだし」
「……なんて?」
「好きにしたらいいってキーンも言ってたし、みんな好きにしてる。だから、ジュタだけ好きにしちゃダメなんて誰も言わない。もし言われても無視すればいい」
やっていい事と悪いことはあるし、今回悪いことを好きにされたけれど一先ず棚においてフリィシュは自分より年上の、精神的には自分よりはるかに幼い頭をガシガシと撫でる。
白と黒が混ざる。
このまま灰色になってしまえば、きっとジュタもここまで追い詰められなかったんじゃないかな、なんて。
「もう、親じゃなくていい。兄らしくなくてもいいんじゃない? 弟が好きでも嫌いでもいいし、生意気だと思っててもいいと思うけどねオレは」
「っなんだ、それ」
「不幸だの幸福だの考えると気持ちが滅入るから、考えなくてもいいだろうし。一先ず楽しいことから始めようぜ」
「……」
ジュタドールの趣味はテラリウム。自分だけの小さな小さな世界を作ること。それがピンク色に塗りつぶされてしまった今、何が楽しいことなのか分からない。
黙り込むジュタドールに痺れを切らしたフリィシュが「よし!」と立ち上がってジュタドールも立ち上がらせた。
「じゃあ試しに広い世界でも、見てこようぜ!」
主人公は、何も解決しなかった。
ジュタドールの環境は変わらない。
けれど、確かにジュタドールはこの小さな箱庭から連れ出された。
言葉の通り、寄せ集めのような2人でゲームの中では出てこなかったところを見て回った。
1ヶ月後、ジュタドールは「良かった、帰ってきた……まさか在学中に1ヶ月も旅に出るとは思わないじゃないですか」と半泣きな弟にデコピンをして「生意気」と一言、言ったとか言わなかったとか。
世界は広い。当たり前のことを前世でわかることが出来たらどれほど良かっただろうか少し感情的になったフリィシュがアルルからお叱り手刀を受けたのは確かだった。
Qはニタリと笑わない。
あの子はそんな笑い方をしない、と思った時にはもう遅い。
「ーーっ!」
カチリと長針と短針が重なり合う。
音のならないハズの時計がゴーンゴーンと鳴っている。
往々にして12時は魔法が溶ける時間。
黒から白へ。白からピンクへ。
頭のてっぺんからピンクが白を侵食する。じわりじわりと絵の具を垂らされた様に白が色を変えていく。
否、白が剥がれただけだ。
元の色に戻るだけ。タイムオーバーを告げる色に。
「ホントに頭の色から戻っちゃうのか」
知らなかったな。
なんて。目にかかった前髪の色を眺めながらフリィシュ・スタージェは呟く。
そして、ニカッと快活に微笑んで場の雰囲気を吹き飛ばしかねないほど元気よく挨拶した。
「よっ! 壁ドガンぶりだな、お嬢の兄! オレはフリィシュ・スタージェだよろしくな」
あまりの空気の読めなさに、ジュタドールは目の前が真っ暗になった。
最悪だ。
こんな真面目でどうしようもなく暗いシリアスを一体どんな神経を持ち合わせていればぶち壊せるのだろうか。
そんなジュタドールの頭の冷静な部分の嘆きは当然フリィシュという人間に伝わる訳もなく。
もっと言えば、オーデルハインではない彼に拘束具など意味をなさず。軽く外してしまって凝り固まった体を解さんとばかりに伸びをしている。
シリアスも緊張感も吹き飛ばされてしまった。
しかし、ジュタドールの病みは何も変わらない。それどころか悪化した。
ギリ、と奥歯を鳴らす。
変身術なんて反則技、絶対に見破れるわけが無い。だから平民だろうと貴族の学校に迎え入れられる。謀反を企てないように教育するためだ。
だから、本物と偽物の区別がつかないのは仕方がない。
なのでジュタドールにとって問題はそこでは無い。
問題は、偽物がQにプレゼントしたチョーカーをつけているということ。
これはどうしようもなくQによる裏切りでしかなかった。
「あいつ、あいつあいつあいつ!! 僕が育てた! 誰もいらないから僕が貰ってやったのに! 何も無かったから線を引いてやったのに! あぁぁあああ! どうしてだ、どうして兄の、親の言うことが聞けないんだ!
外に出したのがダメだった。やっぱり出すんじゃなかった。外にトラウマを与えるより、僕が適度に壊せば良かったんだ!」
ガンッと衝動のままにジュタドールがテーブルを殴ると、穴があいた。
それでも気持ちは晴れない。
怒りと憎しみと、哀しみは力へと変わるのに消えていってはくれない。
「ルエリアにさえ会わなければ、キーンさえここに来なければ、あぁぁどうして。なんで僕だけこんな目に合わないといけない。ずっと2人でここで不幸せに生きていけば、そうすればいいんだって。Qだって、受け入れてくれてたろ? 街に行きたいなんて悪いこと言ったのはあの時だけだった! 一回だけなら許したさ、傷ついて帰ってくるのを待ってあげただろ。その傷を癒したのは誰だと思ってる!
どうして今になって、なんで、なんで僕の方が捨てられなくちゃならないんだよ!」
床を掻きむしりながら咆哮するジュタドールを、フリィシュは先程までの笑顔を消して眺めていた。
そしてやっぱり思うのだ。
ああ、オレの前世の母親にそっくりだな。と。
けれど、だ。
いくらジュタドールの中で毒親精神が肥えていようが、彼は16歳なのである。
兄は親ではないのだ。
それが、狂ってしまったのは間違いなく親と、あるがままを受け入れてしまったQのせいと言える。
(うん。やっぱり、オレが来て正解だったな)
兄弟なんてデリケートな問題。それも兄が親代わりとも来れば一筋縄ではいかないし、当人たちの問題。
生半可にシリアスクラッシャーが踏み込んでいい話ではないということは作戦立案者がよく分かっているが、それはQが普通の精神をもちあわせていたらの問題である。
「お前だけが不幸せでも良かったんだ。でも僕がわざわざ不幸せなお前に付き合ってやっていたのに! どうして僕だけを置いていく!」
「あのさぁ」
喉から血を吐き出しそうな叫びをするジュタドールに反して、フリィシュは弾むような声をだす。
そして、全ての確信を突くのだ。
なんたって主人公なのだから。
この物語の主人公はQ・セルーネ・オーデルハインだが、この舞台の主人公はフリィシュ・スタージェなのだから。
「オレ、一度もQのこと不幸だとか可哀想だとか思ったことないんだけど?」
「……は、あ?」
ジュタドールが頭を上げて翡翠の瞳を睨みつける。
何も知らないのか。知らない上で、土足で僕達を踏みにじるのか。と睨みつける。
「Qなんて変な名前だろう、僕がつけてやらなかったら0だ! 0! 何も無い、要らない、どうでもいい子だ、あの子は! そんな可哀想な子をだから僕はっ」
「知ってるけど」
あっけらかんとされた返答にジュタドールは狼狽する。
知ってる?知っているのに、どうして同情しない?どうして欠片も同情しないんだこいつは。
「分かっていないのか、それほど馬鹿なのか? お前がどれ程Qのことを知っているのかは知らないが、あの子は誕生日すらなくて。14年間可哀想で不幸な子で」
「全部知ってるけど」
「……まさか、ルエリアなんかとハッピーエンドで終わろうとしているからか? 終わりよければ全てよしってことか? ああくそ、そんなの許されてたまるか。何もかもなし崩しのハッピーエンド? 笑わせるなよ」
ギリっとまた奥歯を鳴らすジュタドールの歯を頬越しに触ってフリィシュは言った。
「それがなくても、オレはQを可哀想な子だと思ったことも無ければ不幸な奴だと思ったことないんだよな。
むしろ、そんなに歯軋りされる兄……ジュタの歯の方が可哀想だと思う」
は?
と、ジュタドールの喉から声が出なかった。
「アイツの精神って悲劇のヒロインタイプじゃないからさ。確かに辛いことがあって凹んだり、自分のせいだと傷ついててもさ。
楽しいことをみつけたり、なんでもない日常で笑ってたり。4年前にあったことでずっと思い悩んでいたみたいだけど、オレらの前ではずっと明るくて元気だった。容赦なくツッコミするし、スルーもする。
知ってたか? Qって、かなり前向きな言葉が好きなんだよ。
そんなやつのどこが可哀想で不幸だって?」
ジュタドールは、声が出なかった。
思い当たる節があるから、何も言えなかった。
この屋敷に戒めのように置かれた、本来女児であったはずの子が着るためのドレスに負い目を感じるどころか袖を通してしまうような子。
愛しい人を傷付けて哀しんでも、この4年間愛しい人から与えられたもの一つ一つを愛おしんで痛みながらも花を咲かせた子。
この物語全てが、Qが可哀想でも不幸でもないことを物語っているのだから。
ジュタドールの目からぼたり、と零れた。ぼたりぼたりと零れるそれが何なのか、ジュタドールには分からない。
最初から、違っていた。
それくらい分かっていたから、適度に傷付けて首輪で繋げていたのに。
分からない振りをしていた。
悪役令嬢とその兄だとわかった時、不幸が兄弟の中で反転したのだと悟った。
どちらかが不幸にならなければならない兄弟。
妹なら、兄が不幸に。
弟なら、弟が不幸に。
この世界がゲームならきっとそういうシナリオになるんだろうと、ジュタドールは信じていたのに。
Qが不幸でないなら、可哀想でいてくれないなら、ジュタドールがその役目を追うのか。シナリオ通りに。
憤りすら湧かない。ただただ、濃い紫の目からぼたぼた水を流すだけ。そして、水分を上に取られてしまったらしく動かしにくい唇から言葉を出す。
「いや、だ、僕はキャラじゃない、不幸にはならない、可哀想なんかじゃっ」
「うん」
「ゲームの、世界だって、ここ。でも、僕は、俺は」
「知ってたのか。でも、そんなの気にしなくていいじゃん」
「……いいの?」
恐る恐る出された声にフリィシュは少し笑いかける。
「良いに決まってんじゃん! オレとレンアイするゲームだし」
「……なんて?」
「好きにしたらいいってキーンも言ってたし、みんな好きにしてる。だから、ジュタだけ好きにしちゃダメなんて誰も言わない。もし言われても無視すればいい」
やっていい事と悪いことはあるし、今回悪いことを好きにされたけれど一先ず棚においてフリィシュは自分より年上の、精神的には自分よりはるかに幼い頭をガシガシと撫でる。
白と黒が混ざる。
このまま灰色になってしまえば、きっとジュタもここまで追い詰められなかったんじゃないかな、なんて。
「もう、親じゃなくていい。兄らしくなくてもいいんじゃない? 弟が好きでも嫌いでもいいし、生意気だと思っててもいいと思うけどねオレは」
「っなんだ、それ」
「不幸だの幸福だの考えると気持ちが滅入るから、考えなくてもいいだろうし。一先ず楽しいことから始めようぜ」
「……」
ジュタドールの趣味はテラリウム。自分だけの小さな小さな世界を作ること。それがピンク色に塗りつぶされてしまった今、何が楽しいことなのか分からない。
黙り込むジュタドールに痺れを切らしたフリィシュが「よし!」と立ち上がってジュタドールも立ち上がらせた。
「じゃあ試しに広い世界でも、見てこようぜ!」
主人公は、何も解決しなかった。
ジュタドールの環境は変わらない。
けれど、確かにジュタドールはこの小さな箱庭から連れ出された。
言葉の通り、寄せ集めのような2人でゲームの中では出てこなかったところを見て回った。
1ヶ月後、ジュタドールは「良かった、帰ってきた……まさか在学中に1ヶ月も旅に出るとは思わないじゃないですか」と半泣きな弟にデコピンをして「生意気」と一言、言ったとか言わなかったとか。
世界は広い。当たり前のことを前世でわかることが出来たらどれほど良かっただろうか少し感情的になったフリィシュがアルルからお叱り手刀を受けたのは確かだった。
194
あなたにおすすめの小説
処刑前夜に逃亡した悪役令嬢、五年後に氷の公爵様に捕まる〜冷徹旦那様が溺愛パパに豹変しましたが私の抱いている赤ちゃん実は人生2周目です〜
放浪人
恋愛
「処刑されるなんて真っ平ごめんです!」 無実の罪で投獄された悪役令嬢レティシア(中身は元社畜のアラサー日本人)は、処刑前夜、お腹の子供と共に脱獄し、辺境の田舎村へ逃亡した。 それから五年。薬師として穏やかに暮らしていた彼女のもとに、かつて自分を冷遇し、処刑を命じた夫――「氷の公爵」アレクセイが現れる。 殺される!と震えるレティシアだったが、再会した彼は地面に頭を擦り付け、まさかの溺愛キャラに豹変していて!?
「愛しているレティシア! 二度と離さない!」 「(顔が怖いです公爵様……!)」
不器用すぎて顔が怖い旦那様の暴走する溺愛。 そして、二人の息子であるシオン(1歳)は、実は前世で魔王を倒した「英雄」の生まれ変わりだった! 「パパとママは僕が守る(物理)」 最強の赤ちゃんが裏で暗躍し、聖女(自称)の陰謀も、帝国の侵略も、古代兵器も、ガラガラ一振りで粉砕していく。
転生したら、主人公の宿敵(でも俺の推し)の側近でした
リリーブルー
BL
「しごとより、いのち」厚労省の過労死等防止対策のスローガンです。過労死をゼロにし、健康で充実して働き続けることのできる社会へ。この小説の主人公は、仕事依存で過労死し異世界転生します。
仕事依存だった主人公(20代社畜)は、過労で倒れた拍子に異世界へ転生。目を覚ますと、そこは剣と魔法の世界——。愛読していた小説のラスボス貴族、すなわち原作主人公の宿敵(ライバル)レオナルト公爵に仕える側近の美青年貴族・シリル(20代)になっていた!
原作小説では悪役のレオナルト公爵。でも主人公はレオナルトに感情移入して読んでおり彼が推しだった! なので嬉しい!
だが問題は、そのラスボス貴族・レオナルト公爵(30代)が、物語の中では原作主人公にとっての宿敵ゆえに、原作小説では彼の冷酷な策略によって国家間の戦争へと突き進み、最終的にレオナルトと側近のシリルは処刑される運命だったことだ。
「俺、このままだと死ぬやつじゃん……」
死を回避するために、主人公、すなわち転生先の新しいシリルは、レオナルト公爵の信頼を得て歴史を変えようと決意。しかし、レオナルトは原作とは違い、どこか寂しげで孤独を抱えている様子。さらに、主人公が意外な才覚を発揮するたびに、公爵の態度が甘くなり、なぜか距離が近くなっていく。主人公は気づく。レオナルト公爵が悪に染まる原因は、彼の孤独と裏切られ続けた過去にあるのではないかと。そして彼を救おうと奔走するが、それは同時に、公爵からの執着を招くことになり——!?
原作主人公ラセル王太子も出てきて話は複雑に!
見どころ
・転生
・主従
・推しである原作悪役に溺愛される
・前世の経験と知識を活かす
・政治的な駆け引きとバトル要素(少し)
・ダークヒーロー(攻め)の変化(冷酷な公爵が愛を知り、主人公に執着・溺愛する過程)
・黒猫もふもふ
番外編では。
・もふもふ獣人化
・切ない裏側
・少年時代
などなど
最初は、推しの信頼を得るために、ほのぼの日常スローライフ、かわいい黒猫が出てきます。中盤にバトルがあって、解決、という流れ。後日譚は、ほのぼのに戻るかも。本編は完結しましたが、後日譚や番外編、ifルートなど、続々更新中。
真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~
水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。
アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。
氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。
「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」
辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。
これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!
【WEB版】監視が厳しすぎた嫁入り生活から解放されました~冷徹無慈悲と呼ばれた隻眼の伯爵様と呪いの首輪~【BL・オメガバース】
古森きり
BL
【書籍化決定しました!】
詳細が決まりましたら改めてお知らせにあがります!
たくさんの閲覧、お気に入り、しおり、感想ありがとうございました!
アルファポリス様の規約に従い発売日にURL登録に変更、こちらは引き下げ削除させていただきます。
政略結婚で嫁いだ先は、女狂いの伯爵家。
男のΩである僕には一切興味を示さず、しかし不貞をさせまいと常に監視される生活。
自分ではどうすることもできない生活に疲れ果てて諦めた時、夫の不正が暴かれて失脚した。
行く当てがなくなった僕を保護してくれたのは、元夫が口を開けば罵っていた政敵ヘルムート・カウフマン。
冷徹無慈悲と呼び声高い彼だが、共に食事を摂ってくれたりやりたいことを応援してくれたり、決して冷たいだけの人ではなさそうで――。
カクヨムに書き溜め。
小説家になろう、アルファポリス、BLoveにそのうち掲載します。
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!一肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
【完結】最強公爵様に拾われた孤児、俺
福の島
BL
ゴリゴリに前世の記憶がある少年シオンは戸惑う。
目の前にいる男が、この世界最強の公爵様であり、ましてやシオンを養子にしたいとまで言ったのだから。
でも…まぁ…いっか…ご飯美味しいし、風呂は暖かい…
……あれ…?
…やばい…俺めちゃくちゃ公爵様が好きだ…
前置きが長いですがすぐくっつくのでシリアスのシの字もありません。
1万2000字前後です。
攻めのキャラがブレるし若干変態です。
無表情系クール最強公爵様×のんき転生主人公(無自覚美形)
おまけ完結済み
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
【完結】悪役令息の伴侶(予定)に転生しました
* ゆるゆ
BL
攻略対象しか見えてない悪役令息の伴侶(予定)なんか、こっちからお断りだ! って思ったのに……! 前世の記憶がよみがえり、反省しました。
BLゲームの世界で、推しに逢うために頑張りはじめた、名前も顔も身長もないモブの快進撃が始まる──! といいな!(笑)
本編完結しました!
おまけのお話を時々更新しています。
きーちゃんと皆の動画をつくりました!
もしよかったら、お話と一緒に楽しんでくださったら、とてもうれしいです。
インスタ @yuruyu0 絵もあがります
Youtube @BL小説動画
プロフのwebサイトから両方に飛べるので、もしよかったら!
本編以降のお話、恋愛ルートも、おまけのお話の更新も、アルファポリスさまだけですー!
名前が * ゆるゆ になりましたー!
中身はいっしょなので(笑)これからもどうぞよろしくお願い致しますー!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる