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時の交差
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トントントン
ものが少ない部屋に、工具の音が軽やかに響いている。
「……よし、あとはこれをはめ込んで……」
ガチャガチャ
「湊斗さん、そっち持ってくれます?」
「はい」
せーの、と声を合わせてテーブルを返した。
「よし、オッケー!」
「テーブルがあるとだいぶ部屋らしくなりましたね」
「…………………………」
おぉ…と少年のように目を輝かせている湊斗さんの横で、私は苦笑いしながら頭をかいた。
時は遡ること1週間前 ーー
いつぞやの約束どおり湊斗さんと家具屋に出向いてきたのだが。
『観葉植物とかのコーナーは向こうですね。湊斗さん?』
物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回している湊斗さんに声をかける。
『あぁ、すみません。いつも外から見るばかりで入ったことがなかったので……。色々あるのですね』
『そうですね。ここでおうちのことはほぼ全て揃えられるみたいですよ』
『それはよかったです。まず何から買うものなのでしょうか』
うん?
言葉尻を捉えるようだが、なんだかお互い考えていることが食い違っているような違和感を抱いて湊斗さんを見た。
ーーそういえば湊斗さんは『インテリアのお店』ではなく『家具屋』と言ったっけ。
当の本人は機嫌よさそうににこにことしている。
『あの、湊斗さん?』
『はい』
『ちなみに、なのですけど、今お部屋はどんな感じなのですか?』
『?ベッドがあるだけです』
『え??』
大げさに言っているわけでもなく比喩でもない、と言うので確認のためにいったんお部屋にお邪魔してみれば。
がらんとした広いリビングに、本当に本人の申告どおりベッドが一つ置いてあるだけだったのだ。
衝撃だった。
『カーテンも……これ、なんか、とりあえずもらえる紙カーテンじゃないですか!!』
『あぁ、確か不動産屋の方がくださって……』
『ひぇ~!病室のほうがよっぽど華やかですよ……!』
ムンクの名画『叫び』のような顔になっている私にムッとしたのか、湊斗さんが
『だから少し装飾をしようと思ったんです』
と口をとがらせて言った。
『いや、装飾というか……あ、食事とかはどうされてるんですか?ていうか水出ます?』
『ゴミが出ないよう外食です。水は出ます。電気もちゃんと通っていますよ。あ、布団もちゃんと干していますからご心配なく』
ーーーー
ーー
その後家具屋に引き返し、とりあえずカーテンとテーブルと絨毯とソファを購入したのだった。
ソファは後日配達だったので、今日まとめて受け取ったのだ。
丸めて畳んでおいた絨毯を床に広げ、その上にテーブルを乗せた。
毛が潰れないよう配置を工夫してソファも置いた。
「うん、いい感じ。ちょっと休憩しましょうか……ってあぁ、お皿もコップもないんでしたね……」
「出前を頼んでいます。もうすぐ来ますよ」
「!湊斗さんもそういうのをご利用になるんですね!」
わざとらしく驚いてみせると、湊斗さんが苦笑いした。
「……あの、何か誤解があるかもしれませんが、私だって普通にラーメンやカレーなども食べますからね?」
「失礼しました、そうでした」
くすくす笑いながら言うと、湊斗さんも柔らかく微笑んでくれた。
先ほど取り付けたばかりのレースカーテンから日差しが差し込み、壁に美しい影を作っていた。
その影がゆらりゆらりと風に揺れる。
どちらともなくそっと寄り添い抱きしめ合い、ぬくもりの中、目を閉じた。
湊斗さんの腕の中は包まれているような安心感があり、いつもこのままその安らぎに身を委ねてしまいたくなる。
やがてゆっくりと溶け合っていくような錯覚に陥り、本当にそうなれたらどんなにいいかと思った。湊斗さんも同じ気持ちでいてくれたらいいのに。
しばらく抱きしめ合っていると、湊斗さんの声が聞こえた。
「芹香さん」
「……はい?」
「好きですよ」
「……うん、私も」
柄にもなく甘えるように湊斗さんに顔をうずめてみれば、私を抱きしめてくれている腕にもぎゅっと力が入った。
風でカーテンが揺れ、オートバイが遠くに走っていく音が聞こえる。
2人顔をあげて見つめ合い、湊斗さんの手が優しく私の頬に触れた。そのままゆっくり唇が重なろうとしたときに ーーーー
ピンポーーーーン
…………なんてお約束なんだ。
「……………。俺が出ます」
湊斗さんも心なしか不満顔だ。
「あはは、お願いします」
あぁぁあちくしょーーいいとこだったのにーー!!
そう思う気持ちはあれど、食料を運んできてくれた方に罪があるはずはない。
湊斗さんから離れ、テーブルでも拭こうと布巾を探した。
……これもないことに気付き、2回目の買い出しリストに加えた。
・・・
「ごちそうさまでした」
「引っ越しそばみたいでしたね」
湊斗さんの遊び心に笑いながら、器を片付ける。買ったばかりの絨毯にこぼしたりしないよう気を使った。
食後のお茶を飲み、湊斗さんはソファでごろごろ、私はテーブルで2回目の買い出しのためのリストをスマホに打ち込んでいた。
「芹香さん」
「うん?なに?」
何を買おうか考えることに集中していて、湊斗さんがいつのまにか目の前に座っていたことに気付かなかった。
少し焦った私に構わず、と湊斗さんが何やらごそごそとポケットを探り、テーブルの上に鍵を置いた。
コトン、という音が響いた。
「芹香さん、これ持っててください」
「……えっと、これは……」
「この部屋の合鍵です。どうぞ自由に出入りしてください」
大盤振る舞いに目を丸くして湊斗さんを見ると、照れくさそうにはにかんでいた。
「むしろ、ずっといてくれたら嬉しいのですが」
「あはは!えーと、もしかしてカクレクマノミの世話をさせようって魂胆ですか?」
真剣なときに限って大して面白くない冗談を言う私の悪い癖、発動。湊斗さんごめん。
けれど特に気にした様子はなく「あ、水槽だけでも買っていいですか?」と無邪気に言った。
「お許しが出ました。嬉しいです」
「え、ちょっとちょっと。何も許してないんですけど」
「ははは」
「もう……」
楽しそうに笑う湊斗さん。
愛しい気持ちが込み上げてきて、彼のそばにいって抱きしめた。
湊斗さんも私の背に手を回し、猫が大好きな飼い主にそうするように顔をすりすりとしてきた。
顔を上げたタイミングで丁度目があったので、自然と唇が重なった。
「……湊斗さんの唇、柔らかいですね」
「そうでしょうか、自分ではわかりませんが……」
「ふふふ」
もう一度口付けを交わし、愛情を表現するようにぎゅっと抱きしめあった。
ゆっくり髪をなでてくれながら、湊斗さんが優しい声で言った。
「芹香さんも、ご自宅にある大量の本をこちらに持ってきてはいかがですか。お父様に焼却される前に」
あちらの部屋使っていいですので、とこれまた大盤振る舞いに私のテンションは一気に上がった。
「え!?いいの??ありがたい……!」
「ここで勉強したらいいですよ。教員の公募、いつか通るといいですね」
思わぬところで出てきた単語に、赤面する。
「お、覚えてたんですか……」
「?はい」
お見合いのときに交わした短い会話。
『芹香さんはお仕事されているのですか?』
『仕事をしていると胸を張れるほどではないのですが、父の会社の雑用をしております。あぁ、あと出身校の教授の手伝いをたまに。雑用係から非常勤講師にしてやるってニンジンをもう何年もぶら下げられて』
『あはは』
気恥ずかしい気持ちと、あんな些細な会話を覚えていてくれたことが、とても嬉しかった。
けれど同時に。
本当に、本当に不思議なのだけれど、
突如遠い記憶がフラッシュバックして一瞬呼吸が止まった。
『頭ばかりよくてもねぇ……』
『あはは、芹香には女性らしい柔らかな魅力がないから』
あれは、誰の声?
あの人達は、誰だった?
「えと……」
「?芹香さん?」
突然静止した私に湊斗さんが訝しげに問うた。
「どうしました?」
「あ、ううん。なんでもない。してもらうだけじゃ申し訳ないので、私も何か湊斗さんのお役に立てればいいのですが」
『いつも小難しいことばかり言って。愛想笑いするのも疲れてきたわ』
『母さん、ごめんて。夏目家の資産のために我慢してよ』
どうしてだろう。
蓋をして心の奥底に封印したはずの呪いが、次から次へと墓の下から這い上がってくる。
「そんなことは考えなくていいですよ。芹香さんが居てくれるだけで嬉しいですから」
『あいつはいるだけで役に立ってるんだから』
「ーーーーーーーーーー」
今現実だと思っていることこそが夢なのかもしれないという恐れに駆られ、湊斗さんの胸に頬を寄せた。
「芹香さん」
「……ありがとうございます。ちゃんとお部屋の管理しますね」
「それはありがたいです。あ、お腹空いたらキッチンも使っていいですからね。あぁ、それと……」
楽しそうに欲しいもののことや今後の予定を話している湊斗さんの声が、妙に遠くに感じる。
幸せに気づいてしまったら、
それがいつ失われるか、とても怖くなった。
『ーー俺も我慢してるんだよ?あははっ』
……どうして今日は、昔のことばかり思い出すんだろ。
ものが少ない部屋に、工具の音が軽やかに響いている。
「……よし、あとはこれをはめ込んで……」
ガチャガチャ
「湊斗さん、そっち持ってくれます?」
「はい」
せーの、と声を合わせてテーブルを返した。
「よし、オッケー!」
「テーブルがあるとだいぶ部屋らしくなりましたね」
「…………………………」
おぉ…と少年のように目を輝かせている湊斗さんの横で、私は苦笑いしながら頭をかいた。
時は遡ること1週間前 ーー
いつぞやの約束どおり湊斗さんと家具屋に出向いてきたのだが。
『観葉植物とかのコーナーは向こうですね。湊斗さん?』
物珍しそうにきょろきょろと辺りを見回している湊斗さんに声をかける。
『あぁ、すみません。いつも外から見るばかりで入ったことがなかったので……。色々あるのですね』
『そうですね。ここでおうちのことはほぼ全て揃えられるみたいですよ』
『それはよかったです。まず何から買うものなのでしょうか』
うん?
言葉尻を捉えるようだが、なんだかお互い考えていることが食い違っているような違和感を抱いて湊斗さんを見た。
ーーそういえば湊斗さんは『インテリアのお店』ではなく『家具屋』と言ったっけ。
当の本人は機嫌よさそうににこにことしている。
『あの、湊斗さん?』
『はい』
『ちなみに、なのですけど、今お部屋はどんな感じなのですか?』
『?ベッドがあるだけです』
『え??』
大げさに言っているわけでもなく比喩でもない、と言うので確認のためにいったんお部屋にお邪魔してみれば。
がらんとした広いリビングに、本当に本人の申告どおりベッドが一つ置いてあるだけだったのだ。
衝撃だった。
『カーテンも……これ、なんか、とりあえずもらえる紙カーテンじゃないですか!!』
『あぁ、確か不動産屋の方がくださって……』
『ひぇ~!病室のほうがよっぽど華やかですよ……!』
ムンクの名画『叫び』のような顔になっている私にムッとしたのか、湊斗さんが
『だから少し装飾をしようと思ったんです』
と口をとがらせて言った。
『いや、装飾というか……あ、食事とかはどうされてるんですか?ていうか水出ます?』
『ゴミが出ないよう外食です。水は出ます。電気もちゃんと通っていますよ。あ、布団もちゃんと干していますからご心配なく』
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その後家具屋に引き返し、とりあえずカーテンとテーブルと絨毯とソファを購入したのだった。
ソファは後日配達だったので、今日まとめて受け取ったのだ。
丸めて畳んでおいた絨毯を床に広げ、その上にテーブルを乗せた。
毛が潰れないよう配置を工夫してソファも置いた。
「うん、いい感じ。ちょっと休憩しましょうか……ってあぁ、お皿もコップもないんでしたね……」
「出前を頼んでいます。もうすぐ来ますよ」
「!湊斗さんもそういうのをご利用になるんですね!」
わざとらしく驚いてみせると、湊斗さんが苦笑いした。
「……あの、何か誤解があるかもしれませんが、私だって普通にラーメンやカレーなども食べますからね?」
「失礼しました、そうでした」
くすくす笑いながら言うと、湊斗さんも柔らかく微笑んでくれた。
先ほど取り付けたばかりのレースカーテンから日差しが差し込み、壁に美しい影を作っていた。
その影がゆらりゆらりと風に揺れる。
どちらともなくそっと寄り添い抱きしめ合い、ぬくもりの中、目を閉じた。
湊斗さんの腕の中は包まれているような安心感があり、いつもこのままその安らぎに身を委ねてしまいたくなる。
やがてゆっくりと溶け合っていくような錯覚に陥り、本当にそうなれたらどんなにいいかと思った。湊斗さんも同じ気持ちでいてくれたらいいのに。
しばらく抱きしめ合っていると、湊斗さんの声が聞こえた。
「芹香さん」
「……はい?」
「好きですよ」
「……うん、私も」
柄にもなく甘えるように湊斗さんに顔をうずめてみれば、私を抱きしめてくれている腕にもぎゅっと力が入った。
風でカーテンが揺れ、オートバイが遠くに走っていく音が聞こえる。
2人顔をあげて見つめ合い、湊斗さんの手が優しく私の頬に触れた。そのままゆっくり唇が重なろうとしたときに ーーーー
ピンポーーーーン
…………なんてお約束なんだ。
「……………。俺が出ます」
湊斗さんも心なしか不満顔だ。
「あはは、お願いします」
あぁぁあちくしょーーいいとこだったのにーー!!
そう思う気持ちはあれど、食料を運んできてくれた方に罪があるはずはない。
湊斗さんから離れ、テーブルでも拭こうと布巾を探した。
……これもないことに気付き、2回目の買い出しリストに加えた。
・・・
「ごちそうさまでした」
「引っ越しそばみたいでしたね」
湊斗さんの遊び心に笑いながら、器を片付ける。買ったばかりの絨毯にこぼしたりしないよう気を使った。
食後のお茶を飲み、湊斗さんはソファでごろごろ、私はテーブルで2回目の買い出しのためのリストをスマホに打ち込んでいた。
「芹香さん」
「うん?なに?」
何を買おうか考えることに集中していて、湊斗さんがいつのまにか目の前に座っていたことに気付かなかった。
少し焦った私に構わず、と湊斗さんが何やらごそごそとポケットを探り、テーブルの上に鍵を置いた。
コトン、という音が響いた。
「芹香さん、これ持っててください」
「……えっと、これは……」
「この部屋の合鍵です。どうぞ自由に出入りしてください」
大盤振る舞いに目を丸くして湊斗さんを見ると、照れくさそうにはにかんでいた。
「むしろ、ずっといてくれたら嬉しいのですが」
「あはは!えーと、もしかしてカクレクマノミの世話をさせようって魂胆ですか?」
真剣なときに限って大して面白くない冗談を言う私の悪い癖、発動。湊斗さんごめん。
けれど特に気にした様子はなく「あ、水槽だけでも買っていいですか?」と無邪気に言った。
「お許しが出ました。嬉しいです」
「え、ちょっとちょっと。何も許してないんですけど」
「ははは」
「もう……」
楽しそうに笑う湊斗さん。
愛しい気持ちが込み上げてきて、彼のそばにいって抱きしめた。
湊斗さんも私の背に手を回し、猫が大好きな飼い主にそうするように顔をすりすりとしてきた。
顔を上げたタイミングで丁度目があったので、自然と唇が重なった。
「……湊斗さんの唇、柔らかいですね」
「そうでしょうか、自分ではわかりませんが……」
「ふふふ」
もう一度口付けを交わし、愛情を表現するようにぎゅっと抱きしめあった。
ゆっくり髪をなでてくれながら、湊斗さんが優しい声で言った。
「芹香さんも、ご自宅にある大量の本をこちらに持ってきてはいかがですか。お父様に焼却される前に」
あちらの部屋使っていいですので、とこれまた大盤振る舞いに私のテンションは一気に上がった。
「え!?いいの??ありがたい……!」
「ここで勉強したらいいですよ。教員の公募、いつか通るといいですね」
思わぬところで出てきた単語に、赤面する。
「お、覚えてたんですか……」
「?はい」
お見合いのときに交わした短い会話。
『芹香さんはお仕事されているのですか?』
『仕事をしていると胸を張れるほどではないのですが、父の会社の雑用をしております。あぁ、あと出身校の教授の手伝いをたまに。雑用係から非常勤講師にしてやるってニンジンをもう何年もぶら下げられて』
『あはは』
気恥ずかしい気持ちと、あんな些細な会話を覚えていてくれたことが、とても嬉しかった。
けれど同時に。
本当に、本当に不思議なのだけれど、
突如遠い記憶がフラッシュバックして一瞬呼吸が止まった。
『頭ばかりよくてもねぇ……』
『あはは、芹香には女性らしい柔らかな魅力がないから』
あれは、誰の声?
あの人達は、誰だった?
「えと……」
「?芹香さん?」
突然静止した私に湊斗さんが訝しげに問うた。
「どうしました?」
「あ、ううん。なんでもない。してもらうだけじゃ申し訳ないので、私も何か湊斗さんのお役に立てればいいのですが」
『いつも小難しいことばかり言って。愛想笑いするのも疲れてきたわ』
『母さん、ごめんて。夏目家の資産のために我慢してよ』
どうしてだろう。
蓋をして心の奥底に封印したはずの呪いが、次から次へと墓の下から這い上がってくる。
「そんなことは考えなくていいですよ。芹香さんが居てくれるだけで嬉しいですから」
『あいつはいるだけで役に立ってるんだから』
「ーーーーーーーーーー」
今現実だと思っていることこそが夢なのかもしれないという恐れに駆られ、湊斗さんの胸に頬を寄せた。
「芹香さん」
「……ありがとうございます。ちゃんとお部屋の管理しますね」
「それはありがたいです。あ、お腹空いたらキッチンも使っていいですからね。あぁ、それと……」
楽しそうに欲しいもののことや今後の予定を話している湊斗さんの声が、妙に遠くに感じる。
幸せに気づいてしまったら、
それがいつ失われるか、とても怖くなった。
『ーー俺も我慢してるんだよ?あははっ』
……どうして今日は、昔のことばかり思い出すんだろ。
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