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6話
しおりを挟む夢中で腰を突き上げ、快楽に飲まれていく男。
スクリーンに映し出されているのは、父に間違いなかった。
「……僕の、お父さん」
僕を一番だと抱きしめ、笑顔で送り出してくれた人。
なのにスクリーンの中では、ただの汚らしい、嘘つきの大人に映って見えた。
「陽一」
耳元で囁かれると、ドキリと心臓が跳ねた。
男は優しく首すじを撫でながら、
「あのケダモノが、本当に“お父さん”ならね。こんなふうに子どもの首に、跡を残したりしないんだよ」
「……?」
そういうと舌先でペロペロと首を舐めてきた。
驚いたけど、後ろから抱きすくめられて逃げられない。
「あン、んん、くすぐったぁい」
「いつもそんな声出して、地下室で悪いことしているの」
「し、してない。僕、悪いことなんて、してないよ」
「嘘はダメだよ、ちゃんと見てたからね」
すると体を這い回っていた手が、パンツの中へと入ってくる。
「あ……っ」
「こうやって、毎日、触られてたでしょ? 悪いおじさんと、悪いことして……みてごらん。あんなふうに」
スクリーンには僕とよく似た年頃の子が、父の腹の上であえいでいる。
「陽くんは気持ちいいと、ああやって背中を反らせるんだよ。だんだん顎もあがって、鼻もヒクヒクするから」
「ぼく、が」
「あの子、髪型に仕草に喋り方も、よく似てるでしょ。陽くんみたいになれるようにって、毎日いっぱい練習してるんだよ」
「え……」
下穿きのボタンが外され、ついに隠れていたおちんちんが引っ張り出される。
スクリーンの中の子のものもまた、父の手で弄ばれているのだ。
僕は思わず、動画から顔をそむけ、
「うぅ、僕は、ちがうよぉ。どうしてあの子、僕のまねするの? きらい、もう見たくないよお」
「いい子だよ? あの子はねぇ、陽くんの代わりにって、僕が選んだ子なんだ。とても聡明な子でさ……アハ、本物の陽くんより、みんなあの子を好きになっちゃうかも。 弟も、お友達も、みーんなさ」
「え……っ」
「あのペド野郎も、あんなに気持ち良さそうだし。見なよ、あのヤったゴムの数。狂ってるな……アハ、またイきそうだ。もうゴム着けてもねーし、クズが、死ねよ」
急に人が変わったように、口調を荒げる男。
子を持つ親にしては若すぎて、乱暴な物言いのほうがしっくりくる気もした。
そんな男だけど、僕の口にはイチゴを運び、
「美味しい?」
と天使の笑みを向けるのだった。
「見て。陽くんなら、あんなに激しくされたら泣いちゃうよね? あの悪いおじさんはさぁ、可愛い子なら誰でもいいドクズだよ。まぁ、あの子はしたたかだから、うまくやるだろうけど」
『あぁん、気持ちいいよおぉ。ぼくのえっちな穴に、いっぱいちょうだぁい』
したたかだという子の甘えた声が響き渡る。
すると父は猛烈な勢いで突き上げ、最後にはねじ込むよう腰を回し入れた。
とたんに小さな体がビクビクと震え、二人が同時に“イク”をしてるのが見てわかった。
(いま、あの子のおなかに、お父さんのがビュッビュッてされてるんだ……僕の、お父さんなのに)
頭の中がぼぅっとして、真っ暗な沼底に沈んでいくみたいだ。
あの家で父に見捨てられては、僕に居場所などない。
母は、弟が生まれてから、僕に全くといっていいほど興味を示さなくなっていた。
父が居るときは、それなりに母親として振る舞うものの。
学校のおたよりも成績表も、小さくなった洋服や靴さえも。
『お父さんに聞いて』『お父さんに見せたら?』『お父さんに言わないと』
それで全部済まされてしまう。
それが長男の宿命かと思い込もうともしたけれど。
最近では母とも本当の親子でない疑念が、つい浮かんでしまうのだった。
(僕、本当にいらない子になったらどうしよう……帰るおうち、なくなっちゃうよ)
そんな僕の揺れる心情など知るはずもなく。
男はスクリーンをながめて上機嫌だった。
「ねえ、あの子が向こうの家で気に入られたらさぁ。陽くんはうちの子になるよね? ふふ……俺はドクズだけどペドフィリアの変態野郎じゃない。でも君じゃなきゃダメなんだ。他はもう、誰も愛せないから。君は俺の」
「な、ならない!」
僕は顔を左右に揺らし、必死に泣くのをこらえていた。
「ならないよお、僕のおうちは、あそこだもの。なんで意地悪いうのぉぉ」
おなかをギュッとおさえた両手に、ついにあふれた涙が弾ける。
「僕、ちゃんとできるもん。いっぱい練習したもん……! だから僕も、あの子みたいにできるよっ。上手だねって、褒められたもの。奥の、“イク”もできるようになったもんっ。うわあああん」
泣きじゃくり嗚咽する僕。
そんな情けない自分が、目の前のあの子にどう足掻いても敵うわけがなかった。
それでも僕にはあの家にすがるしかない。
居場所を得るために、身も心も、すべてを捧げてきたのだから。
「わあん、捨てないでぇぇ。おとぅさああん、こっち見てよう、ヒック、うう」
一番だという僕が、泣いて必死にお願いしても。
父は知らない子の上に覆い被さり、再び、激しく腰を振り続けていた。
背を向けたままの父のすがたが、涙でかすんで見えなくなっていった。
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