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にじゅうご
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「もう一度、言ってみなさい。何が出るって?」
「え? ——アアッ、いたあああい」
おちんちんを強くにぎられ、僕はのたうち、悲鳴をあげた。
「まさか、精通したのか? たった43時間、あの家に預けただけだぞ……ありえない。嘘だろ? してないよな?!」
「やあああっ」
恐怖で縮こまっているものを口にふくまれる。
チュプちゅこ、と舐られ、お尻の穴にも指が入ってくる。
中からおちんちんをいじめるように指で押し上げられると、たまらず腰が跳ねてしまう。
「アッ、アアッ」
頭を横に振りながら、喉が反る。
鼻がピクピクしはじめ、お尻のおくが熱くなっていく。
「あっ、だめ、でちゃう、でちゃうよおお!——あうぅッ」
びゅっ、びゅるる~ッ
必死に父の頭を押し退けたけど、そのまま口に発射してしまう。
さらに敏感な先っぽに吸い付かれ、尿道に舌先をねじ込むように最後の一滴まで奪われる。
そうして僕のトロトロを口にふくんだ父は。
能面のような顔で味わったのちに、ゴクリと飲み干していた。
「……信じられない、本当に……精通してる……。俺の、黄金のガチョウが」
「がちょう……? お、おとぅさん……ぼく」
「この、ジャンクが、恩知らずめがッ」
父は目をむき、鬼の形相でふたたび僕の頬を叩いた。
(じゃん、く……?)
僕はびっくりしすぎて、ぶたれた痛みもわからなかった。
すぐにスマホを取り出し、慌ててどこかに電話をかける父。
僕に背を向けたまま、ひたすら誰かに謝りつづけていた。
「はい、うちの、一体が、ハイ……588の、そうです。はい……とりあえずクルーズの件は、キャンセルで…….申し訳ございません……はい、もちろん、然るべき、ええ、はぃ……」
情けない声とは裏腹に、父の手は怒りに震えていた。
その後もあちこち電話をかけては、謝罪と怒号を繰り返し、最後にはスマホを投げつけていた。
——『あれは人の皮を着た悪魔だよ』——
僕はようやくジンジンと痛みだした頬をおさえながら、パパの言葉を思い出していた。
「あくま……」
頭を抱えてうずくまる男の背中には、蝙蝠のような不気味な翼が。
さらに頭の左右には、黒光りした二つの角が見えてくる。
そしてその、おぞましい悪魔の体液が。
僕のなかでうずまき、垂れ落ちる感触に寒気がした。
結果、僕はその場で——
めちゃくちゃゲロを吐いてしまっていた。
◇
胸やけするような四人分のバーガーセットを抱え、僕は玄関に立っていた。
「ただいまぁ……」
ガレージに車をしまいに行った父は、僕のゲロ処理があるから、しばらく戻らないだろう。
のそのそと靴を脱いでいると、ダダダッと廊下を駆けてくる足音がする。
「………!」
しゃべらない代わりに満面の笑顔で「おかえり!」を伝えてくれる、僕のかわいい弟。
「しずくん、ただいまあ。ん、あれぇ、その頭、どうしたの?!」
二日ぶりに会った弟の頭には、大事故にでもあったみたいに包帯がグルグル巻きにされていた。
「コラぁ、走っちゃダメって先生に言われたでしょー」
重傷患者を追いかけ、看護師の母も玄関に顔を出す。
母はマックのついでかのように、僕の手元を確認してから、
「おかえりなさい。お友達の家にお泊まりだったんだって? 楽しかった?」
「うん、たのしかったぁ」
泣いた顔を見られたくなくて、慌てて顔を伏せた。
なのに弟は下からその顔を見上げ、指差しまでして大騒ぎしていた。
「……しずくん、シィ……だまってて」
「セットのおもちゃって、まだあった? お母さんたちが帰りに寄ったお店で品切れだったの。惺がむくれちゃって」
「おもちゃはあったけど。それより、どうしちゃったの? エッ、しずくん、髪の毛まで剃られちゃったのお?!」
「そうなの。さっぱりして丁度良かったわ、モサモサだったでしょ? それに、もう通院もしなくていいみたい。お母さんもやっと肩の荷が降りたわー」
「え、えええ。行ったのって美容院じゃなくて病院なんだよねぇぇ」
弟の髪の毛同様に、スッキリしたような母。
チラリと僕の泣き腫らした目を見ても、不自然に赤くなった頬を確認しても。
母は何も言わなかった。
その無関心さに、さびしい気持ちより、今は救われていた。
「マック、あったかいうちに食べましょう。あら、あの人のぶんも買ったの?」
「え? うん、お父さんも食べるって」
「そうなの。じゃあ、お父さんのぶんは仕事部屋に持っていってあげたら? 冷めちゃうし」
「え……っ、ぼ、ぼく、が」
「——!!」
弟はなぜか急に母をポカスカ殴って暴れ出す。
そんな弟を母はあやし、僕はというといつも父にべったりなのだから、当然の役回りなのである。
(でも、やだなぁ……お父さんが怒ってるの、僕のせいだもん。地下室、やだなぁ……)
落ち込みつつも、母から父のバーガーセットを受け取っていると、
「なら、陽くんもお父さんの仕事部屋で一緒に食べよう」
「あ……」
ガレージから戻ってきた父が、廊下の先から僕を手招く。
その父の背後には、あの恐ろしい黒いモヤモヤが広がってみえた。
これから始まる悪魔の儀式に。
いけにえはただ、従うしかないのだった。
こうして僕の長い三日間が、終わりを迎える。
思えばこれが、四人が顔をそろえた、最後の家族団らんだった気がした。
「え? ——アアッ、いたあああい」
おちんちんを強くにぎられ、僕はのたうち、悲鳴をあげた。
「まさか、精通したのか? たった43時間、あの家に預けただけだぞ……ありえない。嘘だろ? してないよな?!」
「やあああっ」
恐怖で縮こまっているものを口にふくまれる。
チュプちゅこ、と舐られ、お尻の穴にも指が入ってくる。
中からおちんちんをいじめるように指で押し上げられると、たまらず腰が跳ねてしまう。
「アッ、アアッ」
頭を横に振りながら、喉が反る。
鼻がピクピクしはじめ、お尻のおくが熱くなっていく。
「あっ、だめ、でちゃう、でちゃうよおお!——あうぅッ」
びゅっ、びゅるる~ッ
必死に父の頭を押し退けたけど、そのまま口に発射してしまう。
さらに敏感な先っぽに吸い付かれ、尿道に舌先をねじ込むように最後の一滴まで奪われる。
そうして僕のトロトロを口にふくんだ父は。
能面のような顔で味わったのちに、ゴクリと飲み干していた。
「……信じられない、本当に……精通してる……。俺の、黄金のガチョウが」
「がちょう……? お、おとぅさん……ぼく」
「この、ジャンクが、恩知らずめがッ」
父は目をむき、鬼の形相でふたたび僕の頬を叩いた。
(じゃん、く……?)
僕はびっくりしすぎて、ぶたれた痛みもわからなかった。
すぐにスマホを取り出し、慌ててどこかに電話をかける父。
僕に背を向けたまま、ひたすら誰かに謝りつづけていた。
「はい、うちの、一体が、ハイ……588の、そうです。はい……とりあえずクルーズの件は、キャンセルで…….申し訳ございません……はい、もちろん、然るべき、ええ、はぃ……」
情けない声とは裏腹に、父の手は怒りに震えていた。
その後もあちこち電話をかけては、謝罪と怒号を繰り返し、最後にはスマホを投げつけていた。
——『あれは人の皮を着た悪魔だよ』——
僕はようやくジンジンと痛みだした頬をおさえながら、パパの言葉を思い出していた。
「あくま……」
頭を抱えてうずくまる男の背中には、蝙蝠のような不気味な翼が。
さらに頭の左右には、黒光りした二つの角が見えてくる。
そしてその、おぞましい悪魔の体液が。
僕のなかでうずまき、垂れ落ちる感触に寒気がした。
結果、僕はその場で——
めちゃくちゃゲロを吐いてしまっていた。
◇
胸やけするような四人分のバーガーセットを抱え、僕は玄関に立っていた。
「ただいまぁ……」
ガレージに車をしまいに行った父は、僕のゲロ処理があるから、しばらく戻らないだろう。
のそのそと靴を脱いでいると、ダダダッと廊下を駆けてくる足音がする。
「………!」
しゃべらない代わりに満面の笑顔で「おかえり!」を伝えてくれる、僕のかわいい弟。
「しずくん、ただいまあ。ん、あれぇ、その頭、どうしたの?!」
二日ぶりに会った弟の頭には、大事故にでもあったみたいに包帯がグルグル巻きにされていた。
「コラぁ、走っちゃダメって先生に言われたでしょー」
重傷患者を追いかけ、看護師の母も玄関に顔を出す。
母はマックのついでかのように、僕の手元を確認してから、
「おかえりなさい。お友達の家にお泊まりだったんだって? 楽しかった?」
「うん、たのしかったぁ」
泣いた顔を見られたくなくて、慌てて顔を伏せた。
なのに弟は下からその顔を見上げ、指差しまでして大騒ぎしていた。
「……しずくん、シィ……だまってて」
「セットのおもちゃって、まだあった? お母さんたちが帰りに寄ったお店で品切れだったの。惺がむくれちゃって」
「おもちゃはあったけど。それより、どうしちゃったの? エッ、しずくん、髪の毛まで剃られちゃったのお?!」
「そうなの。さっぱりして丁度良かったわ、モサモサだったでしょ? それに、もう通院もしなくていいみたい。お母さんもやっと肩の荷が降りたわー」
「え、えええ。行ったのって美容院じゃなくて病院なんだよねぇぇ」
弟の髪の毛同様に、スッキリしたような母。
チラリと僕の泣き腫らした目を見ても、不自然に赤くなった頬を確認しても。
母は何も言わなかった。
その無関心さに、さびしい気持ちより、今は救われていた。
「マック、あったかいうちに食べましょう。あら、あの人のぶんも買ったの?」
「え? うん、お父さんも食べるって」
「そうなの。じゃあ、お父さんのぶんは仕事部屋に持っていってあげたら? 冷めちゃうし」
「え……っ、ぼ、ぼく、が」
「——!!」
弟はなぜか急に母をポカスカ殴って暴れ出す。
そんな弟を母はあやし、僕はというといつも父にべったりなのだから、当然の役回りなのである。
(でも、やだなぁ……お父さんが怒ってるの、僕のせいだもん。地下室、やだなぁ……)
落ち込みつつも、母から父のバーガーセットを受け取っていると、
「なら、陽くんもお父さんの仕事部屋で一緒に食べよう」
「あ……」
ガレージから戻ってきた父が、廊下の先から僕を手招く。
その父の背後には、あの恐ろしい黒いモヤモヤが広がってみえた。
これから始まる悪魔の儀式に。
いけにえはただ、従うしかないのだった。
こうして僕の長い三日間が、終わりを迎える。
思えばこれが、四人が顔をそろえた、最後の家族団らんだった気がした。
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