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にじゅうよん
しおりを挟む地上に降りるまで、僕はエレベーターの中で膝を抱えていた。
「ハルカ……」
頭の中では、いろんなことが渦巻いて。
もう何が真実で、自分が何者なのかもわからなかった。
「陽くん」
肩をつかまれるまで、僕は名前を呼ばれていたことにも。
いつの間にか、外に出ていたことにも気付かずにいた。
「どうした? もうお父さんの顔、忘れちゃったか?」
よく日に焼けた顔で、白い歯をむいて笑う。
僕とは似てもにつかぬ男を見上げて、ようやく自分が“篠崎陽一”で。
この人の義理の息子だと思い出していた。
「——おっ、お父さん、たいへんなのっ」
父の腕を引っぱり、僕は出てきたばかりのマンションを見上げ、最上階を指差した。
「中で、ハルカくんが! おうちの人が、倒れて、血が、鼻血もっ」
「ああ、それ使ったのか」
僕のカバンに下がる防犯ブザーを見て、ウンウンと満足そうにうなずく。
「陽くんが無事で良かった。さ、おうちに帰ろう、車に乗って」
「えっ、人が倒れてるんだよ?!きゅ、きゅうきゅうしゃ!」
「ハハハ。心配しなくてもいい。その防犯ブザーは向こうから用意してきたものだから。なあに、害虫対策の超音波でも出るんだろう」
「え……」
「陽くんの身の安全のためのアイテムだ。 後始末も彼らでするだろう。あの家の子も今さっき戻ったから、問題ないよ」
「——!」
ハッとしてマンションの入り口を振り返る。
城門のような自動ドアは、すでに閉まったあとだった。
(ぼく、あの子と、すれ違ったかもしれないんだ……ボーッとしてたから全然気が付かなかった)
父は僕の肩を抱いて路肩に停めた車に向かう。
助手席に僕を押し込むと、運転席で鼻歌まじりにスマホをいじり始めた。
(本当にハルカくん、大丈夫かな……。あの子がすぐに病院に連絡してくれるよね。どうしよう、僕のせいだ)
鞄にぶら下がる防犯ブザーを見つめて、うなだれる。
それはお泊まりする日の朝に、父が御守り代わりにつけてくれたものだった。
でも本当は、父からのプレゼントなんかではなく——
“時岡ハルカ”が自ら準備したものだったのだ。
「じゃあ、帰ろうか。二人もいま帰ってきたらしい。久しぶりにマックでも買って帰ろうか」
「……うん」
車の窓から、はるか天空のガラスの塔を見上げた。
僕はもう、必死に無事を神様に祈ることしか出来なかった。
「それで? 家を出る時、その人に乱暴なことされたの?」
「え……」
長いトンネルのライトが、父の横顔に光と影を落としていた。
三日前までの僕なら、素直にあったことを全部話してしまっただろう。
でも、
「……ぅうん、違うよぉ。せっかく、お父さんにもらったのに、使わなかったなあって……ちょっといじってたら、そのぉ……ごめんなさぃ」
「いいんだよ。とにかく陽くんが無事で安心したよ」
父の腕が伸びてきて、分厚い手のひらが僕のひざをなでた。
なぜか身がこわばり、僕は防犯ブザーをギュッとにぎりしめていた。
「し、しずくん……病院おわって良かったね。あ、マックのハッピーセット、なにかなあ。しずの好きな恐竜シリーズ、まだやってるかも」
「ああ、そうだね」
弟の検査のことや、もうすぐやってくる母の誕生日の話をしたけど、やめてもらえない。
それどころか手は股間まで伸びていた。
「……少し寄り道していこうか」
「え……でも」
「二人が帰ってきてるから、家じゃ落ち着かないだろう。……ほら、陽くんもお父さんの、触っていいよ」
僕は息を飲み、父の股間をそろりと見た。
ゆるめのボトムスの股座が、不自然に盛り上がっている。
「でも、早く帰らなきゃ。お母さんも、惺も待ってるし……それに、ぼく、ぼくね」
「ほら、いいから早く」
手首をつかまれ、父の股へと引き寄せられる。
胃がチクチク痛みだすのをこらえて、浮き出たかたちをなぞるように父のものに触れていく。
(そういえばお迎えの車、ワンボックスなんだ……一番速い車で迎えにきてくれるって、約束したのに)
ガレージには父の車がたくさんあり、その中にはもちろん速そうなスポーツカーが何台もあるのだ。
チラリと後部座席を見ると、席は全て倒されフラットになっていた。
窓はスモークフィルムが貼られ、暗がりに乱れた敷物が見えていた。
(もしかして、僕を待ってる間も、あの子と——)
いつも自分が父としていたことなのに。
父が子どもに乱暴するすがたを思い出すと、吐き気が込み上げてきた。
それでも車は家路を外れ、知らないビルの地下駐車場へと入っていくのだった。
◇
「あンッ、あんっ、だめえ! おとぉさぁん……ッ」
ワンボックスの後部座席に連れていかれた僕は、当たり前のように父に犯されていた。
「ん、ウッ、ハァッ、んっ……もぅ、やめてぇ……おなか、くるしぃ……よお」
「なんだ、随分、中がほぐれているじゃないか。違う大人の男の味を覚えて……本当に悪い子だな。お仕置きだ」
つかんだ足首を大きく広げ、杭を打つように激しく体を貫いた。
車体がユサユサ揺れようと、僕がどんなに悲鳴をあげようと気にも留めない。
きっとここは人気のない、そういう場所なのだろう。
「ほら、もっと足広げてッ。陽くんの中に、お父さんの、えっちなお汁をビューって、いっぱい出すからね」
「ああんっ、やだあ、なか、やだあぁっ」
「あ——……やっぱり、いいな。陽くんが一番だよ。お父さんのおちんちんに、熱いヒダヒダが絡みついて……悪い子だ……!——なかに、出すぞッ、イク、イく、——ンッ」
グッと固いものが突き刺さり、おなかの中に熱い飛沫が広がる。
その後も叩きつけるように腰を穿ち、最後の一滴まで、僕の中に絞り出していた。
「ふぅ……。お父さんの白いトロトロ、陽くんに全部吸い取られちゃったな。ハァ、ハァ……腰が抜けそうだよ」
「う……うぅ……」
「ほら、陽くんを気持ちよくしたおちんちんだよ。お口で綺麗にお掃除して」
ぐったりと横たわる僕の鼻をつまみ、無理矢理に口に股間を押し付けてくる。
「ん……ウッ、はぅッ…ン、あむ、あむ、むッ」
必死に肉塊を咥え込み、舌をからめてなめあげる。
父は気持ち良さそうに腰を動かしながら、僕の喉をこちょこちょと指でくすぐった。
「まさか、本当にあの怪物の御手つきになるとは。お陰で値が青天井で跳ねそうだ。えらいぞ、さすがお父さんの自慢の息子だ」
「……?」
「あとは陽くんが、立派な大人になる儀式をするだけだ。もっとたくさんのパパに可愛がってもらおうな。みんな陽くんに会えるのを、心待ちにしてるから」
そういうと、じゅぽん、と。
ふたたび堅くなったものを、僕の口から引き抜いた。
「もう一回だ。ほら、後ろ向いて。大勢のまえで、上手にお披露目できるように、お父さんといっぱい“イク”の練習しようね」
「おとぅ……さん、やだよぉ……もう帰らなきゃあ」
「いいから。ほら、お父さんが陽くんのおちんちん、もみもみも、チュパチュパしてあげるから」
父の大きな手が、僕の縮こまったおちんちんを握った。
僕は「アッ」と背をそらせ、身をよじった。
「だ、だめぇ……でちゃうよぉ」
「なんだ、おしっこ我慢してたのか。じゃあ、一旦お外でしようか。大きいのも、するか」
「ちがうのぉ……白いの、ビュッてでちゃうから、くるま、汚しちゃうよぉ。もぉ、帰りたい……」
その瞬間、ご機嫌だった父から表情が消えた。
そしてお注射もしていない父に。僕は、はじめて頬をぶたれていた。
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