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早めの登校とはいえ、すでに校内には生徒がまばらに存在した。
待ち合わせの図書室に向かいながら、僕は弟のことを考えていた。
(この前から元気ないんだよなあ……やっぱり習い事のせいかな)
才知にあふれた弟は、ピアノやバイオリンの他にも。
絵画教室やスイミング、ゴルフ、体操クラブなんかも順繰りに通っていて。
合間に家庭教師の授業もあるのだが、これは母の地縛霊が先生だった。
さらに先月からムエタイとボクシングまでスケジュールにぶち込まれているのを知った時は、流石のお兄ちゃんも目を剥いた。
それでも異常にタフな弟はアザ一つ作らず、ずっと笑顔で元気だったのだ。
つい先日までは——
(うーん、お母さんも惺が喋らないのが気掛かりなんだろうけど。ちょっと無口なだけなのにな。ていうか格闘技だなんて、ピアノの先生が知ったらレクイエムが流れてしまうのでは……とりあえず帰ったら連絡してみよう)
図書室はメールの記載通りに、鍵が開いていた。
ここは10年そこそこに新設された棟にあり、古書特有の重たい匂いもなく。
学習スペースも吹き抜けの、教育理念の行き届いた開放的な造りだった。
とはいえ、いつも以上に静まり返った図書室は、異世界のようで。
僕は謎めいた書架の森を、逢引き相手を探して彷徨っていた。
「……ウサギさん」
「わっ」
急に腕を掴まれ、書架の間に引きずり込まれた。
訳のわからない事を言って僕の顎を掴むのは、勿論、淫行教師である。
「待ちくたびれました……。すぐに会いたかったのは先生だけですか」
そういって冷笑し、僕の唇に口付けを落とした。
唇を重ねるだけの優しい口付けは、次第に深くなり、互いに開いた口から舌を絡めた。
「はぁ……せん……せぇ……」
僕は少し背伸びして先生の首に手を回す。
先生も僕の腰を抱き、数日ぶりの感触を味わった。
「週末、会えなくて寂しかったですか」
「……金曜に、来てくれたじゃないですか。急に、うちに」
「でも、ちゃんと出来なかったでしょう……こういうことは」
書架ドンされながら、再び口付けを交わす。
深い、大人のキスをされながら、制服の股座を揉まれる。
「ン……っ」
そして窮屈そうに持ち上がったものの先端を、指でカリカリと弄られると。
溢れた先走りが制服まで染み出してしまいそうだった。
「ぁ……だめ……」
「溜まってるの? おうちでちゃんと処理しないと駄目ですよ、お兄ちゃん」
ベルトを外され、手が下着の中に入ってくる。
堅くなったものを握られただけで、ビクビクと腰が浮く。
下着がずり下ろれ、先生も腰を擦り付けてくる。
スーツの布地が直に当たって、思わず悶えて喘ぎ声を漏らす。
先生はそんな僕の口をキスで塞ぎながら、いつもより乱暴に僕のお尻を揉み上げた。
そしてついに、割れ目へと指を滑らせてくる。
クチュ……
さっき学校のトイレで入れたジェルの粘ついた音がする。
恥ずかしかったけど、先生はわざと指を出し入れしてグチュグチュ音を立てながら、ご機嫌に僕の舌に吸い付いてきた。
「ぷは……もう……先生、早く、誰か来ちゃうよ……」
「後ろ向いて」
耳を舐められながら囁かれる。
僕を書棚に押し付け、自身のベルトを外していく音がする。
(先生、なんかいつもより、えっちだな……僕、大丈夫かな。一時間目、なんだっけ)
ぼんやりと視界に見えてくるのは、棚に陳列された本の背表紙。
やたらと宇宙や星関連ばかりなのは、ここが天文学の書架だからだろう。
その時ふと、愛しい人に包まれて見上げた夜空を思い出していた。
——『本物の星は見えないのにな。全部、偽物の光ばかりだ』
ふいに、そんな懐かしい声を思い出して切なくなる。
(……忘れられないくらい好きな人がいるのに、僕は、何をやってるんだろう。こんなこと、やめなきゃいけないのに)
けど今更、後悔しても遅いのである。
先生はコンドームのパケを口で破り、いつもより堅く張り詰めたものをお尻にグリグリと擦り付けていた。
(ハルカくん、いつまでも忘れられなくて、ごめんね……。ぼく、もう、どうしたらいいんだろ)
涙が溢れそうになった瞬間に、堅いものが体を埋めていく。
「う、アァ……ッ」
足が浮くほど深く突き入れられ、書棚を強く握る。
両腰を掴まれ、いつもより激しく抽送された。
ぐぷ、グポッ、グチュ、ぐっ、グッ
奥に捩じ込まれ、腰を揺らされると、堪らず吐息を漏らす。
書棚の背表紙に手を触れながら、二人で眺めた大都会の夜空を思い浮かべていた。
ハルカくんの手で弄られて、初めて精通した日の夜。
思い返せば、あの夜がなければ、多分——
僕は義父によって、どこか異国にでも売り飛ばされていたかもしれなかった。
(ハルカくん、大好きです……今でも大好きなんだよ……)
はだけたローブから伝わる胸の体温や、手の感触を思い出すと——めちゃくちゃあっという間に射精しそうである。
「あ、はぁ……せん、せぇ……イきそう……! さ、さわって、おねがぃ」
先生はいつものように何も言わない。
普段はおしゃべりなのに、セックス中の先生は無口だった。
お互い、欲望のままに体を貪りあうだけの関係だから、気が楽だった。
でもいつだって何も言わず、何も聞かず、僕の望むようにしてくれるのだった。
「あぁ……ッ、はぁ、きもち、ぃぃ」
今日も僕の願うままに、反り勃ったものに触れてくれる。
そして僕の目尻にキスして、滲んだ涙を舐めてくれるのだった。
「ハ、アッ、ぁ、あ、はぁ、ンッ、せん、せぇ……」
先端を握り込むように扱かると、お尻の奥がグツグツと熱くなっていく。
「アアッ、もぉ、だめぇ……っ、イく、ん——ッ」
ビュッ、ビュッ、と尿道から放たれたものが床に迸る。
ぐったりと脱力する僕の顎を掴み、先生はまたキスして舌を絡めてくる。
そして今度は前から——
もう何も考えられなくなるほど、激しく中を穿たれ。
最終的には床に崩れながら、学校の図書室だとも忘れて体を重ねていた。
「あ……だめだよ、もう……教室、行かなきゃ」
果てた後も、先生はしつこく僕にキスしていた。
隙あらば腰を抱き寄せようとする腕から、身をよじりようやく逃れた。
「先生!もう仕事の時間だよ」
「一時間くらいサボってよくない……? 5組の一時限目、国語ですよ。あの先生やる気ないから授業なんか受けなくていいですよ」
「いや、それ先生の授業じゃないですか。……ンッ、やだ、もう本当にやめてよお」
制服のポロシャツの襟を開き、レロレロと鎖骨を舐めていた先生は、
「……あ、金曜日に教え子の家を特定して、無理やり夜中に呼び出してつけたキスマ、消えそう……また、ここに付けてもいい?」
「エッ、ダメ! それ、弟が気にするから」
「弟?」
「お風呂で見られて。あれ、そういえば」
ふと、先週末のことを思い出しながら、胸元に薄っすらと残るキスマークを見つめた。
「んー、健気に兄弟でお風呂か。合法的な美少年らの肉体の接触、羨ましい限りですね……。じゃあ今週末は先生と一緒にお風呂入ってくれますか、お兄ちゃんは。篠崎邸と違って、安月給サラリーマンのユニットバスですけど」
「……今週は、行っていいの?」
「もちろんですよ。焼きそばパーティしましょうか。ホットプレート買ったんです」
「……うん、やったあ」
頭を撫でられ、僕はご機嫌になっていた。
先週末は、遠距離中の彼女が先生のおうちに来るので、久しぶりに一人で過ごしていた。
日曜日の夜には地縛霊の置き土産で、弟と二人で夕食をとり。
食後に弾いてくれた弟のピアノがますます上達していて、感動して拍手喝采を送った。
そして終始ご機嫌で大はしゃぎの弟と一緒に、いつものようにお風呂に入ったのだけど——
思えばあの瞬間から、弟の様子がおかしいような気がした。
早めの登校とはいえ、すでに校内には生徒がまばらに存在した。
待ち合わせの図書室に向かいながら、僕は弟のことを考えていた。
(この前から元気ないんだよなあ……やっぱり習い事のせいかな)
才知にあふれた弟は、ピアノやバイオリンの他にも。
絵画教室やスイミング、ゴルフ、体操クラブなんかも順繰りに通っていて。
合間に家庭教師の授業もあるのだが、これは母の地縛霊が先生だった。
さらに先月からムエタイとボクシングまでスケジュールにぶち込まれているのを知った時は、流石のお兄ちゃんも目を剥いた。
それでも異常にタフな弟はアザ一つ作らず、ずっと笑顔で元気だったのだ。
つい先日までは——
(うーん、お母さんも惺が喋らないのが気掛かりなんだろうけど。ちょっと無口なだけなのにな。ていうか格闘技だなんて、ピアノの先生が知ったらレクイエムが流れてしまうのでは……とりあえず帰ったら連絡してみよう)
図書室はメールの記載通りに、鍵が開いていた。
ここは10年そこそこに新設された棟にあり、古書特有の重たい匂いもなく。
学習スペースも吹き抜けの、教育理念の行き届いた開放的な造りだった。
とはいえ、いつも以上に静まり返った図書室は、異世界のようで。
僕は謎めいた書架の森を、逢引き相手を探して彷徨っていた。
「……ウサギさん」
「わっ」
急に腕を掴まれ、書架の間に引きずり込まれた。
訳のわからない事を言って僕の顎を掴むのは、勿論、淫行教師である。
「待ちくたびれました……。すぐに会いたかったのは先生だけですか」
そういって冷笑し、僕の唇に口付けを落とした。
唇を重ねるだけの優しい口付けは、次第に深くなり、互いに開いた口から舌を絡めた。
「はぁ……せん……せぇ……」
僕は少し背伸びして先生の首に手を回す。
先生も僕の腰を抱き、数日ぶりの感触を味わった。
「週末、会えなくて寂しかったですか」
「……金曜に、来てくれたじゃないですか。急に、うちに」
「でも、ちゃんと出来なかったでしょう……こういうことは」
書架ドンされながら、再び口付けを交わす。
深い、大人のキスをされながら、制服の股座を揉まれる。
「ン……っ」
そして窮屈そうに持ち上がったものの先端を、指でカリカリと弄られると。
溢れた先走りが制服まで染み出してしまいそうだった。
「ぁ……だめ……」
「溜まってるの? おうちでちゃんと処理しないと駄目ですよ、お兄ちゃん」
ベルトを外され、手が下着の中に入ってくる。
堅くなったものを握られただけで、ビクビクと腰が浮く。
下着がずり下ろれ、先生も腰を擦り付けてくる。
スーツの布地が直に当たって、思わず悶えて喘ぎ声を漏らす。
先生はそんな僕の口をキスで塞ぎながら、いつもより乱暴に僕のお尻を揉み上げた。
そしてついに、割れ目へと指を滑らせてくる。
クチュ……
さっき学校のトイレで入れたジェルの粘ついた音がする。
恥ずかしかったけど、先生はわざと指を出し入れしてグチュグチュ音を立てながら、ご機嫌に僕の舌に吸い付いてきた。
「ぷは……もう……先生、早く、誰か来ちゃうよ……」
「後ろ向いて」
耳を舐められながら囁かれる。
僕を書棚に押し付け、自身のベルトを外していく音がする。
(先生、なんかいつもより、えっちだな……僕、大丈夫かな。一時間目、なんだっけ)
ぼんやりと視界に見えてくるのは、棚に陳列された本の背表紙。
やたらと宇宙や星関連ばかりなのは、ここが天文学の書架だからだろう。
その時ふと、愛しい人に包まれて見上げた夜空を思い出していた。
——『本物の星は見えないのにな。全部、偽物の光ばかりだ』
ふいに、そんな懐かしい声を思い出して切なくなる。
(……忘れられないくらい好きな人がいるのに、僕は、何をやってるんだろう。こんなこと、やめなきゃいけないのに)
けど今更、後悔しても遅いのである。
先生はコンドームのパケを口で破り、いつもより堅く張り詰めたものをお尻にグリグリと擦り付けていた。
(ハルカくん、いつまでも忘れられなくて、ごめんね……。ぼく、もう、どうしたらいいんだろ)
涙が溢れそうになった瞬間に、堅いものが体を埋めていく。
「う、アァ……ッ」
足が浮くほど深く突き入れられ、書棚を強く握る。
両腰を掴まれ、いつもより激しく抽送された。
ぐぷ、グポッ、グチュ、ぐっ、グッ
奥に捩じ込まれ、腰を揺らされると、堪らず吐息を漏らす。
書棚の背表紙に手を触れながら、二人で眺めた大都会の夜空を思い浮かべていた。
ハルカくんの手で弄られて、初めて精通した日の夜。
思い返せば、あの夜がなければ、多分——
僕は義父によって、どこか異国にでも売り飛ばされていたかもしれなかった。
(ハルカくん、大好きです……今でも大好きなんだよ……)
はだけたローブから伝わる胸の体温や、手の感触を思い出すと——めちゃくちゃあっという間に射精しそうである。
「あ、はぁ……せん、せぇ……イきそう……! さ、さわって、おねがぃ」
先生はいつものように何も言わない。
普段はおしゃべりなのに、セックス中の先生は無口だった。
お互い、欲望のままに体を貪りあうだけの関係だから、気が楽だった。
でもいつだって何も言わず、何も聞かず、僕の望むようにしてくれるのだった。
「あぁ……ッ、はぁ、きもち、ぃぃ」
今日も僕の願うままに、反り勃ったものに触れてくれる。
そして僕の目尻にキスして、滲んだ涙を舐めてくれるのだった。
「ハ、アッ、ぁ、あ、はぁ、ンッ、せん、せぇ……」
先端を握り込むように扱かると、お尻の奥がグツグツと熱くなっていく。
「アアッ、もぉ、だめぇ……っ、イく、ん——ッ」
ビュッ、ビュッ、と尿道から放たれたものが床に迸る。
ぐったりと脱力する僕の顎を掴み、先生はまたキスして舌を絡めてくる。
そして今度は前から——
もう何も考えられなくなるほど、激しく中を穿たれ。
最終的には床に崩れながら、学校の図書室だとも忘れて体を重ねていた。
「あ……だめだよ、もう……教室、行かなきゃ」
果てた後も、先生はしつこく僕にキスしていた。
隙あらば腰を抱き寄せようとする腕から、身をよじりようやく逃れた。
「先生!もう仕事の時間だよ」
「一時間くらいサボってよくない……? 5組の一時限目、国語ですよ。あの先生やる気ないから授業なんか受けなくていいですよ」
「いや、それ先生の授業じゃないですか。……ンッ、やだ、もう本当にやめてよお」
制服のポロシャツの襟を開き、レロレロと鎖骨を舐めていた先生は、
「……あ、金曜日に教え子の家を特定して、無理やり夜中に呼び出してつけたキスマ、消えそう……また、ここに付けてもいい?」
「エッ、ダメ! それ、弟が気にするから」
「弟?」
「お風呂で見られて。あれ、そういえば」
ふと、先週末のことを思い出しながら、胸元に薄っすらと残るキスマークを見つめた。
「んー、健気に兄弟でお風呂か。合法的な美少年らの肉体の接触、羨ましい限りですね……。じゃあ今週末は先生と一緒にお風呂入ってくれますか、お兄ちゃんは。篠崎邸と違って、安月給サラリーマンのユニットバスですけど」
「……今週は、行っていいの?」
「もちろんですよ。焼きそばパーティしましょうか。ホットプレート買ったんです」
「……うん、やったあ」
頭を撫でられ、僕はご機嫌になっていた。
先週末は、遠距離中の彼女が先生のおうちに来るので、久しぶりに一人で過ごしていた。
日曜日の夜には地縛霊の置き土産で、弟と二人で夕食をとり。
食後に弾いてくれた弟のピアノがますます上達していて、感動して拍手喝采を送った。
そして終始ご機嫌で大はしゃぎの弟と一緒に、いつものようにお風呂に入ったのだけど——
思えばあの瞬間から、弟の様子がおかしいような気がした。
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