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先週末の日曜日のこと——
『そろそろお風呂も一人で入らないとねぇ。しず君、もう何歳になりましたか?』
『~っ』
満面の笑みで振り返り、ハンドサインで答える弟。
大人同士でも充分に広い浴槽で、僕らはいつもくっついて入浴していた。
甘えっ子な弟の自立を願うものの、つい理由をつけては兄は構い過ぎていた。
(このお風呂場も無駄に広いもんなぁ。今更一人で入るのは僕も寂しいし。まだ小さい弟と二人で暮らすには、家が広すぎるのかも)
久しぶりに一人で過ごした週末。
最近は先生の単身マンションに行くことも多かったから、余計に家が広く感じていた。
浴室でウォーターガンを連射しまくっている弟の頭を撫でながら、ふと、先生のことを考えていた。
◇
——“裏口、出てこれる?”
そんなメールがきたのは、ようやく弟を寝かしつけた金曜日のこと。
未登録の番号から届いたショートメールは、すぐに先生だと判った。
生徒の個人情報がダダ漏れなことは問題だが、“うん”と手短に返信し、ガレージの方に向かう。
父のコレクションでいっぱいだった車庫も、今では実用的な車を残すだけであった。
(裏口の存在なんて忘れてたな。セキュリティとか大丈夫なのかな、この家)
ガレージ横の勝手口を開けると、夜の帳の中に不審者——ではなく先生がいた。
電子じゃない煙草の吸い殻を、迷惑にもその場で踏み消し、中に押し入ってくる男。
そしてそのまま僕らは扉の内側でキスをした。
『ンッ……ぁ……ッ』
煙草臭いし、長い舌がいきなり入ってくるし。
“何しに来たんだろう”とか“彼女はどうしたの”とか。
いろんな思考を片隅に追いやって、僕も夢中で舌を絡めた。
(大切な弟が眠る家で、退廃的な男と密会する背徳感か。……最低な兄だな)
不誠実な関係を続ける両親に辟易しているはずのに。
自分も同じような人種である事に、僕は酔いしれていた。
『ハァ……ぁ、せん、せぇ』
部屋着のスウェットの中に入ってくる冷えた手が。
肌を撫でさすりながら、胸の突起にカリカリと爪を立てた。
そしてもう片手で僕の股間を揉みあげながら、耳元で湿った吐息を漏らす。
『挿れてぇな……ここで犯したい』
とても国語教師とは思えぬ猥言を囁いてくる。
さらには、すでに堅くもたげた自身の股のものを生徒の股間に押し付け、セックスのように腰を振っていた。
『だ、だめ、準備してないよ』
『フ……ここのうちの子は、事前予約したらアナルを準備してくれるんですか? 先生、心配になりますね……どういう性教育してるのか、家庭訪問しないと』
冷ややかな笑みを浮かべ、僕の胸にしゃぶりつく。
そしてそのまま、しゃがみ込み、下へ——
スウェットのパンツをずり下げられると、股のものが勢い余ってペチンと下腹部に跳ねた。
『——……っ』
変態男と同様に完勃ちしたものが恥ずかしくて、僕は手の甲を喰む。
そんな僕を見上げながら、先生はレロォと陰茎を舐め上げてくる。
『あ、や……ッ』
指の輪っかでカリの部分を擦られながら、先っぽに柔らかな唇が吸い付いてくる。
ちゅこ、ちゅこ、チュプ、ジュブ……
熱い口の中に含まれ、しゃぶられると、腰がゾクゾクと震えた。
敏感な裏筋を舌で嬲られると、僕は堪らず喉を反らせ、腰を前後に揺らしていた。
『ぁ、はぁ……ッ、せんせぇ……!イきそ……!』
『いいよ、お口にちょうだい』
まるで男娼のように挑発的に口を開けてみせる。
僕もなんだか興奮して、先生の髪を鷲掴み、喉奥まで突き入れていた。
『ぐ、やばぃ、生徒に、喉ちんこ犯されてんの』
『ハァ、はぁ、ァ……ッ、イく、奥に、出すよ……っ』
『ゥ……ッ』
ビュルルルッと、勢いよく先生の口内に精を放つ。
下腹部も痙攣し、腰が止まらず、最後の一滴まで流し込んでいた。
『はぁ、はぁ……気持ち、よかったあ……。ごめんなさぃ、先生、ぼく……』
乱れた先生の髪を撫でつけ、おずおずと腰を引き抜く。
けど、
『ッ?!』
なんと、先生は僕の萎えたものを咥えて離さず。
さらに、ぢゅぽ、じゅぶっと吸い立て、陰嚢を手で転がしていく。
僕は弄ばれるがままに再び精巣を沸き立たせ、快楽に堕ちていくのであった。
『あ、うぅ……もぉ、でないよぉ……はぁ、はぁ……、ぅン……ッ』
淫行教師の口内に、呆気なく二度も注いでしまった。
ちゅぽん、と、先生の口からようやく解放されたペニスはくたりと萎えて、持ち主同様に項垂れていた。
『ん、ごちそうさまでした』
先生は満足したように、僕の乱れたスウェットを元通りに整える。
そして立ち上がると、僕の額にチュッとキスを落とし、
『……また来週な。浮気しないでね』
股間を軽く叩いて微笑むと、通り魔のように、再び夜闇へと消えていくのであった——
◇
浴室を漂う湯気の中に、つい二日前の情事を思い浮かべていた。
(先生って意外とマメなのかも。 セフレの性処理をしてから、あのあと、駅に彼女を迎えに行ったんだろうな)
そして自身の溜まった性欲は、本命の彼女で発散したのだろう。
勿論、セフレ以上の関係など望んではないが。
それでも気にかけて貰えるのは、特別な気がして嬉しかった。
(先生の家でピルを見掛けたし、やっぱり生でするのかなあ。あんな綺麗な彼女とセックス出来るのに、男の僕にも構ってくれて。先生って、いい人なんだな)
誰に似たのか、弟のくせっ毛の髪で遊びながら、つい口元が綻んでいた。
しかし浮かれた僕とは反対に、弟はいつの間にか随分大人しくなっていた。
『ん? どうしたの?』
大きな目をまんまるにして、僕の胸元を凝視する弟。
湯船に浮かべたアヒルのおもちゃそっくりな虚無顔に、つい爆笑していた。
『あはは。なにそれ、変な顔してる~。アヒルちゃんそっくりなんだけどぉ、かわいい~』
『——ッ』
抱きしめようとした手を払われ、心底驚いた。
しかも弟の目はみるみるうちに潤んで、珍しく兄に対して情動的になっている。
『え、なに、どうしちゃったの』
その視線の先を辿ると、やはり僕の裸なわけである。
よからぬ毛でも生えていて、弟に嫌悪されたのかと思いきや。
『——?!』
目に飛び込んできたのは、胸元に赤々と残された口吸いの跡。
二日前のセフレとの情事を思い出し、のぼせたようにクラリと目眩がしていた。
『え、え、えー? これは、なんだろね。——ちがうよ?! お兄ちゃん、アレぇ、コレなんだろぉなあ?』
『…………』
『あー、ぶつけたかな? えー、虫かもお……でも、痛くないよ?! 全然大丈夫だから。あはは、しず、びっくりしちゃった?』
当然、まだ幼い弟にキスマークだとか解るはずもない。
けれど、世界の終末と決戦前夜が同時にやってきたような顔をされ、僕は焦っていた。
そして終いには、ブクブクと浴槽に沈んでいく弟が。
まさか涙にくれ、情緒がぶっ壊れるほど衝撃を受けているとは、お兄ちゃんは考えもしないのであった。
◆
先週末の日曜日のこと——
『そろそろお風呂も一人で入らないとねぇ。しず君、もう何歳になりましたか?』
『~っ』
満面の笑みで振り返り、ハンドサインで答える弟。
大人同士でも充分に広い浴槽で、僕らはいつもくっついて入浴していた。
甘えっ子な弟の自立を願うものの、つい理由をつけては兄は構い過ぎていた。
(このお風呂場も無駄に広いもんなぁ。今更一人で入るのは僕も寂しいし。まだ小さい弟と二人で暮らすには、家が広すぎるのかも)
久しぶりに一人で過ごした週末。
最近は先生の単身マンションに行くことも多かったから、余計に家が広く感じていた。
浴室でウォーターガンを連射しまくっている弟の頭を撫でながら、ふと、先生のことを考えていた。
◇
——“裏口、出てこれる?”
そんなメールがきたのは、ようやく弟を寝かしつけた金曜日のこと。
未登録の番号から届いたショートメールは、すぐに先生だと判った。
生徒の個人情報がダダ漏れなことは問題だが、“うん”と手短に返信し、ガレージの方に向かう。
父のコレクションでいっぱいだった車庫も、今では実用的な車を残すだけであった。
(裏口の存在なんて忘れてたな。セキュリティとか大丈夫なのかな、この家)
ガレージ横の勝手口を開けると、夜の帳の中に不審者——ではなく先生がいた。
電子じゃない煙草の吸い殻を、迷惑にもその場で踏み消し、中に押し入ってくる男。
そしてそのまま僕らは扉の内側でキスをした。
『ンッ……ぁ……ッ』
煙草臭いし、長い舌がいきなり入ってくるし。
“何しに来たんだろう”とか“彼女はどうしたの”とか。
いろんな思考を片隅に追いやって、僕も夢中で舌を絡めた。
(大切な弟が眠る家で、退廃的な男と密会する背徳感か。……最低な兄だな)
不誠実な関係を続ける両親に辟易しているはずのに。
自分も同じような人種である事に、僕は酔いしれていた。
『ハァ……ぁ、せん、せぇ』
部屋着のスウェットの中に入ってくる冷えた手が。
肌を撫でさすりながら、胸の突起にカリカリと爪を立てた。
そしてもう片手で僕の股間を揉みあげながら、耳元で湿った吐息を漏らす。
『挿れてぇな……ここで犯したい』
とても国語教師とは思えぬ猥言を囁いてくる。
さらには、すでに堅くもたげた自身の股のものを生徒の股間に押し付け、セックスのように腰を振っていた。
『だ、だめ、準備してないよ』
『フ……ここのうちの子は、事前予約したらアナルを準備してくれるんですか? 先生、心配になりますね……どういう性教育してるのか、家庭訪問しないと』
冷ややかな笑みを浮かべ、僕の胸にしゃぶりつく。
そしてそのまま、しゃがみ込み、下へ——
スウェットのパンツをずり下げられると、股のものが勢い余ってペチンと下腹部に跳ねた。
『——……っ』
変態男と同様に完勃ちしたものが恥ずかしくて、僕は手の甲を喰む。
そんな僕を見上げながら、先生はレロォと陰茎を舐め上げてくる。
『あ、や……ッ』
指の輪っかでカリの部分を擦られながら、先っぽに柔らかな唇が吸い付いてくる。
ちゅこ、ちゅこ、チュプ、ジュブ……
熱い口の中に含まれ、しゃぶられると、腰がゾクゾクと震えた。
敏感な裏筋を舌で嬲られると、僕は堪らず喉を反らせ、腰を前後に揺らしていた。
『ぁ、はぁ……ッ、せんせぇ……!イきそ……!』
『いいよ、お口にちょうだい』
まるで男娼のように挑発的に口を開けてみせる。
僕もなんだか興奮して、先生の髪を鷲掴み、喉奥まで突き入れていた。
『ぐ、やばぃ、生徒に、喉ちんこ犯されてんの』
『ハァ、はぁ、ァ……ッ、イく、奥に、出すよ……っ』
『ゥ……ッ』
ビュルルルッと、勢いよく先生の口内に精を放つ。
下腹部も痙攣し、腰が止まらず、最後の一滴まで流し込んでいた。
『はぁ、はぁ……気持ち、よかったあ……。ごめんなさぃ、先生、ぼく……』
乱れた先生の髪を撫でつけ、おずおずと腰を引き抜く。
けど、
『ッ?!』
なんと、先生は僕の萎えたものを咥えて離さず。
さらに、ぢゅぽ、じゅぶっと吸い立て、陰嚢を手で転がしていく。
僕は弄ばれるがままに再び精巣を沸き立たせ、快楽に堕ちていくのであった。
『あ、うぅ……もぉ、でないよぉ……はぁ、はぁ……、ぅン……ッ』
淫行教師の口内に、呆気なく二度も注いでしまった。
ちゅぽん、と、先生の口からようやく解放されたペニスはくたりと萎えて、持ち主同様に項垂れていた。
『ん、ごちそうさまでした』
先生は満足したように、僕の乱れたスウェットを元通りに整える。
そして立ち上がると、僕の額にチュッとキスを落とし、
『……また来週な。浮気しないでね』
股間を軽く叩いて微笑むと、通り魔のように、再び夜闇へと消えていくのであった——
◇
浴室を漂う湯気の中に、つい二日前の情事を思い浮かべていた。
(先生って意外とマメなのかも。 セフレの性処理をしてから、あのあと、駅に彼女を迎えに行ったんだろうな)
そして自身の溜まった性欲は、本命の彼女で発散したのだろう。
勿論、セフレ以上の関係など望んではないが。
それでも気にかけて貰えるのは、特別な気がして嬉しかった。
(先生の家でピルを見掛けたし、やっぱり生でするのかなあ。あんな綺麗な彼女とセックス出来るのに、男の僕にも構ってくれて。先生って、いい人なんだな)
誰に似たのか、弟のくせっ毛の髪で遊びながら、つい口元が綻んでいた。
しかし浮かれた僕とは反対に、弟はいつの間にか随分大人しくなっていた。
『ん? どうしたの?』
大きな目をまんまるにして、僕の胸元を凝視する弟。
湯船に浮かべたアヒルのおもちゃそっくりな虚無顔に、つい爆笑していた。
『あはは。なにそれ、変な顔してる~。アヒルちゃんそっくりなんだけどぉ、かわいい~』
『——ッ』
抱きしめようとした手を払われ、心底驚いた。
しかも弟の目はみるみるうちに潤んで、珍しく兄に対して情動的になっている。
『え、なに、どうしちゃったの』
その視線の先を辿ると、やはり僕の裸なわけである。
よからぬ毛でも生えていて、弟に嫌悪されたのかと思いきや。
『——?!』
目に飛び込んできたのは、胸元に赤々と残された口吸いの跡。
二日前のセフレとの情事を思い出し、のぼせたようにクラリと目眩がしていた。
『え、え、えー? これは、なんだろね。——ちがうよ?! お兄ちゃん、アレぇ、コレなんだろぉなあ?』
『…………』
『あー、ぶつけたかな? えー、虫かもお……でも、痛くないよ?! 全然大丈夫だから。あはは、しず、びっくりしちゃった?』
当然、まだ幼い弟にキスマークだとか解るはずもない。
けれど、世界の終末と決戦前夜が同時にやってきたような顔をされ、僕は焦っていた。
そして終いには、ブクブクと浴槽に沈んでいく弟が。
まさか涙にくれ、情緒がぶっ壊れるほど衝撃を受けているとは、お兄ちゃんは考えもしないのであった。
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