【R18】お父さんと僕、ときどき弟(仮)

鯨井兀

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 先週末の日曜日のこと——

『そろそろお風呂も一人で入らないとねぇ。しず君、もう何歳になりましたか?』
『~っ』

 満面の笑みで振り返り、ハンドサインで答える弟。
 大人同士でも充分に広い浴槽で、僕らはいつもくっついて入浴していた。
 甘えっ子な弟の自立を願うものの、つい理由をつけては兄は構い過ぎていた。

(このお風呂場も無駄に広いもんなぁ。今更一人で入るのは僕も寂しいし。まだ小さい弟と二人で暮らすには、家が広すぎるのかも)

 久しぶりに一人で過ごした週末。
 最近は先生の単身マンションに行くことも多かったから、余計に家が広く感じていた。
 浴室でウォーターガンを連射しまくっている弟の頭を撫でながら、ふと、先生のことを考えていた。

 ◇

 ——“裏口、出てこれる?”

 そんなメールがきたのは、ようやく弟を寝かしつけた金曜日のこと。
 未登録の番号から届いたショートメールは、すぐに先生だと判った。
 生徒の個人情報がダダ漏れなことは問題だが、“うん”と手短に返信し、ガレージの方に向かう。
 父のコレクションでいっぱいだった車庫も、今では実用的な車を残すだけであった。

(裏口の存在なんて忘れてたな。セキュリティとか大丈夫なのかな、この家)

 ガレージ横の勝手口を開けると、夜の帳の中に不審者——ではなく先生がいた。
 電子じゃない煙草の吸い殻を、迷惑にもその場で踏み消し、中に押し入ってくる男。
 そしてそのまま僕らは扉の内側でキスをした。

『ンッ……ぁ……ッ』

 煙草臭いし、長い舌がいきなり入ってくるし。
 “何しに来たんだろう”とか“彼女はどうしたの”とか。
 いろんな思考を片隅に追いやって、僕も夢中で舌を絡めた。

(大切な弟が眠る家で、退廃的な男と密会する背徳感か。……最低な兄だな)

 不誠実な関係を続ける両親に辟易しているはずのに。
 自分も同じような人種である事に、僕は酔いしれていた。

『ハァ……ぁ、せん、せぇ』

 部屋着のスウェットの中に入ってくる冷えた手が。
 肌を撫でさすりながら、胸の突起にカリカリと爪を立てた。
 そしてもう片手で僕の股間を揉みあげながら、耳元で湿った吐息を漏らす。

『挿れてぇな……ここで犯したい』

 とても国語教師とは思えぬ猥言を囁いてくる。
 さらには、すでに堅くもたげた自身の股のものを生徒の股間に押し付け、セックスのように腰を振っていた。

『だ、だめ、準備してないよ』
『フ……ここのうちの子は、事前予約したらアナルを準備してくれるんですか? 先生、心配になりますね……どういう性教育してるのか、家庭訪問しないと』

 冷ややかな笑みを浮かべ、僕の胸にしゃぶりつく。
 そしてそのまま、しゃがみ込み、下へ——
 スウェットのパンツをずり下げられると、股のものが勢い余ってペチンと下腹部に跳ねた。

『——……っ』

 変態男と同様に完勃ちしたものが恥ずかしくて、僕は手の甲を喰む。
 そんな僕を見上げながら、先生はレロォと陰茎を舐め上げてくる。

『あ、や……ッ』

 指の輪っかでカリの部分を擦られながら、先っぽに柔らかな唇が吸い付いてくる。

 ちゅこ、ちゅこ、チュプ、ジュブ……

 熱い口の中に含まれ、しゃぶられると、腰がゾクゾクと震えた。
 敏感な裏筋を舌で嬲られると、僕は堪らず喉を反らせ、腰を前後に揺らしていた。

『ぁ、はぁ……ッ、せんせぇ……!イきそ……!』
『いいよ、お口にちょうだい』

 まるで男娼のように挑発的に口を開けてみせる。
 僕もなんだか興奮して、先生の髪を鷲掴み、喉奥まで突き入れていた。

『ぐ、やばぃ、生徒に、喉ちんこ犯されてんの』
『ハァ、はぁ、ァ……ッ、イく、奥に、出すよ……っ』
『ゥ……ッ』

 ビュルルルッと、勢いよく先生の口内に精を放つ。
 下腹部も痙攣し、腰が止まらず、最後の一滴まで流し込んでいた。

『はぁ、はぁ……気持ち、よかったあ……。ごめんなさぃ、先生、ぼく……』

 乱れた先生の髪を撫でつけ、おずおずと腰を引き抜く。
 けど、

『ッ?!』

 なんと、先生は僕の萎えたものを咥えて離さず。
 さらに、ぢゅぽ、じゅぶっと吸い立て、陰嚢を手で転がしていく。
 僕は弄ばれるがままに再び精巣を沸き立たせ、快楽に堕ちていくのであった。
  
『あ、うぅ……もぉ、でないよぉ……はぁ、はぁ……、ぅン……ッ』

 淫行教師の口内に、呆気なく二度も注いでしまった。
 ちゅぽん、と、先生の口からようやく解放されたペニスはくたりと萎えて、持ち主同様に項垂れていた。

『ん、ごちそうさまでした』

 先生は満足したように、僕の乱れたスウェットを元通りに整える。
 そして立ち上がると、僕の額にチュッとキスを落とし、

『……また来週な。浮気しないでね』

 股間を軽く叩いて微笑むと、通り魔のように、再び夜闇へと消えていくのであった——

 ◇

 浴室を漂う湯気の中に、つい二日前の情事を思い浮かべていた。

(先生って意外とマメなのかも。 セフレの性処理をしてから、あのあと、駅に彼女を迎えに行ったんだろうな)

 そして自身の溜まった性欲は、本命の彼女で発散したのだろう。
 勿論、セフレ以上の関係など望んではないが。
 それでも気にかけて貰えるのは、特別な気がして嬉しかった。

(先生の家でピルを見掛けたし、やっぱり生でするのかなあ。あんな綺麗な彼女とセックス出来るのに、男の僕にも構ってくれて。先生って、いい人なんだな)

 誰に似たのか、弟のくせっ毛の髪で遊びながら、つい口元が綻んでいた。
 しかし浮かれた僕とは反対に、弟はいつの間にか随分大人しくなっていた。

『ん? どうしたの?』

 大きな目をまんまるにして、僕の胸元を凝視する弟。
 湯船に浮かべたアヒルのおもちゃそっくりな虚無顔に、つい爆笑していた。

『あはは。なにそれ、変な顔してる~。アヒルちゃんそっくりなんだけどぉ、かわいい~』
『——ッ』

 抱きしめようとした手を払われ、心底驚いた。
 しかも弟の目はみるみるうちに潤んで、珍しく兄に対して情動的になっている。

『え、なに、どうしちゃったの』

 その視線の先を辿ると、やはり僕の裸なわけである。
 よからぬ毛でも生えていて、弟に嫌悪されたのかと思いきや。

『——?!』

 目に飛び込んできたのは、胸元に赤々と残された口吸いの跡。
 二日前のセフレとの情事を思い出し、のぼせたようにクラリと目眩がしていた。

『え、え、えー? これは、なんだろね。——ちがうよ?! お兄ちゃん、アレぇ、コレなんだろぉなあ?』
『…………』
『あー、ぶつけたかな? えー、虫かもお……でも、痛くないよ?! 全然大丈夫だから。あはは、しず、びっくりしちゃった?』

 当然、まだ幼い弟にキスマークだとか解るはずもない。
 けれど、世界の終末と決戦前夜が同時にやってきたような顔をされ、僕は焦っていた。
 そして終いには、ブクブクと浴槽に沈んでいく弟が。
 まさか涙にくれ、情緒がぶっ壊れるほど衝撃を受けているとは、お兄ちゃんは考えもしないのであった。

 ◆
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