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プロローグは突然に
勇者召喚ともう一つの召喚
しおりを挟む身体が再構築と言うより魂が浮遊し器に収まる感覚‥
解放感からの突如魂が定着する瞬間は鎖で縛られているような感じがした。
リアルという柵に生きる人の性なのだろうか?
目の前の眩い光が薄れていくにつれ、いくつもの声が聞こえる。最初は意味のわからない言葉が私の耳に届いていたが、すぐに日本語に切り替わった。これが異世界転生のあるあると言えばあるあるだ。
「召喚に成功です!」
「うむ。よくやった」
まぁ、なんともテンプレ的なセリフですね。
「しかしどういうことだ?なぜ勇者が3人も?」
あーなんかとても嫌な予感がした‥
王様であろう人は偉そうな顎髭を触りながら首を傾げ、横に使える宰相らしき人は困惑している。
私の隣りには男の子が二人、周りを見てキョロキョロしてる。1人は黒髪のメガネ男子でいかにも勉強が出来そうな秀才って感じの人。
もう1人は金髪の高身長でモデルのようなスタイルと整った顔立ち。
金髪さんと目があった瞬間に背筋に寒気が走った。
わかる‥この人は関わっちゃいけない相手だ‥生理的に受け付けない‥
「さて、僕達が呼ばれた理由を説明してもらいましょうか?」
メガネくんが宰相さんに話しかけた。
宰相さんは大きな杖をつきながら左右に騎士を引き連れ私たちに近づき説明を始めた。
「説明いたしましょう。この世界アイシアは魔族との戦争を長く続けております。その戦いは常に均衡を保っていました。しかし年々魔族やモンスター達の力増してきているのです。それはーー」
「魔王の復活が間近ってことですね。そしてその魔王の復活阻止。または魔王討伐の為に僕達を異世界より召喚した。しかし不思議なことに勇者召喚をした事は良いが3人も召喚されてしまう事態が起きてしまった‥まぁそんなとこでしょう」
周りから動揺の声が聞こえる。
『なんて洞察力だ』『あの方が勇者に違いない』と様々な声。
大した事は言ってないし大体予想がつくような話を如何にも自分は全て理解しているぞアピールしてるだけなのにこの過大評価‥‥
「い、如何にもその通りです。ですので是非皆様のステータスを確認させて頂きたいと思います」
「もちろん構いませんよ。そこの2人もいいよね?」
なにこの人‥適応能力ありすぎ‥
「えっと‥はい‥」
「俺もいいぜ。なんかゲームみたいで楽しそうだな」
金髪さんは私を見て再び言葉を繋ぐ。
「いや、マジで楽しそうだな、いろいろと」
無理だ‥この人と居たくない‥身の危険を本能的に感じた。絶対ろくな事にならない。このメガネの人も金髪の人もまともじゃないと本能が感じる。
「では、この水晶に手を触れてもらってもよろしいでしょうか?」
宰相さんはメガネさんに杖を向けた。
宰相さんの持つ大きな杖の上には水晶が付いている。
多分だけどこの人は魔法使いとかそんなところだろう。
メガネさんが水晶に触れるとメガネさんのステータスが表示された。
【ステータス】
【表裏 切】
レベル:1
攻撃力800
防御力500
俊敏力200
知力1500
魔力2000
運100
【称号】〔賢者〕
【全魔法】【鑑定】【言語理解】【話術】
「賢者様ですと!?それにレベル1でこの強さ!?」
王様も身を乗り出し、声を上げていた。
「では、そちらの方もよろしいでしょうか?」
「あー俺か? これでいいか?」
金髪さんは水晶に触れる。
【ステータス】
【我妻 正義】
レベル:1
攻撃力1500
防御力2000
俊敏力300
知力700
魔力600
運100
【称号】〔勇者〕
【言語理解】【能力向上】【技能取得】
【魔法四大元素】(火、水、風、地)
宰相さんが震えていた。
「いや~我妻は、なかなかにチートだね」
「そうか?まぁ称号に勇者って出てるし、こんなもんだろ?」
「さ、流石です‥この世界の1レベルの最高記録は60程度‥しかしそれも稀なことです‥大体がその半分です‥それを1500‥」
なんか2人ともチートさんだ‥
「では!貴女様は!!」
ざわざわ‥ざわざわ‥ざわざわ‥ざわざわ‥
このざわつきやめてほしい‥嫌な予感しかしない‥私に期待しないで‥
私は恐る恐る水晶に触れる。
私が水晶に触れるとさらに騒がしくなった。
王様が怒り、宰相さんが指示を出し、兵士は私を囲む‥‥
【ステータス】
【白木 雪菜】
レベル:1
攻撃力9
防御力7
俊敏力15
知力50
魔力5
運10
【称号】〔呪われし運命〕
【スキル】
〔召喚〕〔言語理解〕〔アイテムBOX〕
「なんだこの役に立たない能力値は!!平民の子供以下ではないか! それに呪われてるだと、すぐに処刑しろ!!!」
王は怒り狂う。
「まってください!! 私を元の世界に‥‥」
「黙れ!!! 貴様のようなものが王に話しかけるでない!!」
宰相さん杖を振り上げ、私の頭目掛け振り下ろす。
私は怖くて腕で頭を隠した。
「まぁ、その辺にしとけ」
「勇者様!何故こんな娘を庇うのですか?」
助けられた? この人に‥もしかして‥
「どうせ殺すなら俺が貰う。どうせこの世界は奴隷がいんだろ? じゃあこいつを奴隷にして俺の好きなように使わせてもらう。こいつはアイテムBOXを持ってるからな充分に使い道があるからな。それに容姿だけなら最高に俺好みだ。夜の相手には丁度いい」
言葉を失った‥
最悪だった‥何でこんな人が勇者なんだろ‥
なんで誰も疑問に思わないの‥
こんな国に呼ばれなければ‥
なんで私が‥
もう全てを諦めるしか‥
死にたい‥‥
こんな人を道具のように思ってる人達なんかと居たくない‥
いいように弄ばれるくらいなら‥
「では、さっそく奴隷紋を刻み勇者様の所有物に‥」
話がどんどん進んで行く‥
もうダメだ‥‥
ごめんね‥お母さん‥お父さん‥
涙が溢れ、私の頬を伝い、一滴の雫が落ちた。
すると突然、私の周りに魔法陣が描かれて行き光が満ち溢れる。
これは‥
「貴様!!ここで召喚魔法を使うつもりか!!!」
宰相さんと周りの人達がいっせいに私から距離を取る。
「へー俺の物になんのが嫌なのかよ?抵抗しようが大した奴なんて呼べやしねぇよ」
「まぁ、普通に考えれば召喚した者が言うことを聞くと思えないね。物語なら面白展開になるんだろうけどね」
そんなわかってる‥
でも、これが私が私として生きる最後のチャンスかもしれない‥
もし生き残れるなら‥私は強くなってやる!
この世界の間違いを全部正してやる!
私はこの国が嫌いだ!
自分の都合しか考えない王
人を人とも思わず物扱い‥
奴隷? ふざけないで!
私たちは生きてるんだ!人が人を自由にしていい道理はない!!
私は立ち上がる。
これが召喚魔法だって言うなら私の全てをかけて!
「私の召喚に答えし者よ!お願い!!私に力を貸して!!」
魔法陣と光が粉砕され、1匹の動物がそこに横たわっていた。
それはあまりに小さい‥とてもこの状況を打破できるようには思えない‥
笑い声がこだまする。
「これは酷い」「本当に無能だ」
「まさか、召喚魔法でただのネズミを召喚するとは」
様々な声の罵倒‥
王は腹を抱えて笑い。兵士も指を指し嘲笑う。
同じ日本生まれの2人はもっと別のものを見たかったのだろう。日本人には大して珍しくもない者を呼び出した私に呆れていた。
私が呼び出したネズミ‥それはただのハリネズミだった。
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