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魔王なんていたの?
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「わ、悪かったな!」
私達の素頓狂な声に憮然としたような体のちんこいカタツムリ。でっかいピンクのリュックの上から逃げようとするところをサイラがひょいと摘まみあげる。
「いったいなんで、こんな悪さしたわけ?!」
サイラが細い目をなお細くしてマジマジとジタバタるカタツムリを睨みつける。そっぽ向いて目を反らすカタツムリ。サイラ冷たいねちっこい声で一言。
「白状しないと、このネコの餌食よ~」
ひょいとこっちにカタツムリの顔を向けた。当然、乗りますわな。
「シャーッ!(はよ言わんかい!)」
私の牙剥き出しにビビッたカタツムリ、殻の中にすっ込みながら、半泣きエグエグしながら自白。
「僕...ちょっと外の世界見たかったから、お家から出たら帰り道分からなくなっちゃって.....迷ってたら、人間の魂を百個集めれば帰れるって言われて....」
「「「はあぁ?」」」
口をあんぐり開く奇天烈パーティーご一行。
「どの魔法書にもそんなことは書いてないですよ?」
ボーゲさん、魔物退治と聞いて魔法書を読み倒してきたんだって。偉いわぁ~。
「だってあの人が......」
ーえ、人?ー
背後の気配に振り向いた私達の目の前にいたのは......。
ー人......じゃないよねー
そう、あの放り投げた髪留めから黒い霧が涌き出て、その上に赤い鬼灯のような目が爛々と......。よく見れば頭の上に角のようなものも確認できた。
『我れは魔王グランツハルト』
ありがちな地の底に響くような声でのたまう。が...
「誰?」
一同、顔を見合せる。
「あ、魔王って、やっぱりいるんですね~」
を、さすがはラノベ好きのボーゲさん。異世界と言えば、魔王でしたね。お約束でしたね。でも、この作者、ラノベ知らんのだけど?
「おっかしいわね~。聞いたこと無いわよ?」
サイラが首を傾げる。
「この世界の情報は大概私んとこに入ってくるんだけど、聞いたこと無いわ」
ーえ、サイラ?あんたそんなに情報通だったの?ー
「マンガのネタになる話を私が知らないわけないじゃない?妖精にも精霊にもドワーフにも聞いたこと無いわよ?」
ーちょっ......どこまでファン持ってるの?スゴいわ...ー
恐るべし同人作家...。
ルノアもしばし首を捻る。
「歴史書にも魔王の記録は無いな......」
とそこでみんなハタと気がついた。まさかねぇ...
「もしかしたら、あんたも迷子?」
サイラの言葉に一瞬たじろぐ魔王サマ。図星ですかね、これは。
「どこぞの勇者にこの世界に吹っ飛ばされてきたとか?」
『う、煩いっ!』
あら、核心突いちゃったみたい。ちょっと現象化したお顔が赤くなってぷるぷる震えているような......わりと純情?
「まぁ、迷子とはいえ倒さなきゃいけねぇな。魔王なんてもんは、この世界にはいらねぇ」
そう、そうよね。私も気合いを入れて身構える。と、ルノアにひょいと首根っこを掴まれた。
「危ねぇから、退いてろ、ネコ!」
でそのまま後ろにポイって.....ちょっとヒドくない?!そりゃ猫だけど、大山猫じゃなくて、山猫だけど。
ミギャミギャ抗議する私を無視して剣を構えるルノア。顔が真剣、あれなんか格好良く見える。頭打ってないんだけど......?
力を込めて斬りかかるルノア...でも、真っ黒な風に吹き飛ばされる。地面に叩きつけられるルノア、うわメッチャ痛そう。
『お前らごとき、小わっぱに退治されるような儂ではないわ!』
ーこんのクソジジィ!ー
改めて身構える。けどなんとか立ち上がったルノアに怒鳴りつけられた。
「大人しくしとけ!イツキ!」
なんで、なんでよ!どうしてよ!サイラは真っ青になっちゃってるし、ボーゲさんは腰抜かしてるし、私しかいないじゃん!
私達の素頓狂な声に憮然としたような体のちんこいカタツムリ。でっかいピンクのリュックの上から逃げようとするところをサイラがひょいと摘まみあげる。
「いったいなんで、こんな悪さしたわけ?!」
サイラが細い目をなお細くしてマジマジとジタバタるカタツムリを睨みつける。そっぽ向いて目を反らすカタツムリ。サイラ冷たいねちっこい声で一言。
「白状しないと、このネコの餌食よ~」
ひょいとこっちにカタツムリの顔を向けた。当然、乗りますわな。
「シャーッ!(はよ言わんかい!)」
私の牙剥き出しにビビッたカタツムリ、殻の中にすっ込みながら、半泣きエグエグしながら自白。
「僕...ちょっと外の世界見たかったから、お家から出たら帰り道分からなくなっちゃって.....迷ってたら、人間の魂を百個集めれば帰れるって言われて....」
「「「はあぁ?」」」
口をあんぐり開く奇天烈パーティーご一行。
「どの魔法書にもそんなことは書いてないですよ?」
ボーゲさん、魔物退治と聞いて魔法書を読み倒してきたんだって。偉いわぁ~。
「だってあの人が......」
ーえ、人?ー
背後の気配に振り向いた私達の目の前にいたのは......。
ー人......じゃないよねー
そう、あの放り投げた髪留めから黒い霧が涌き出て、その上に赤い鬼灯のような目が爛々と......。よく見れば頭の上に角のようなものも確認できた。
『我れは魔王グランツハルト』
ありがちな地の底に響くような声でのたまう。が...
「誰?」
一同、顔を見合せる。
「あ、魔王って、やっぱりいるんですね~」
を、さすがはラノベ好きのボーゲさん。異世界と言えば、魔王でしたね。お約束でしたね。でも、この作者、ラノベ知らんのだけど?
「おっかしいわね~。聞いたこと無いわよ?」
サイラが首を傾げる。
「この世界の情報は大概私んとこに入ってくるんだけど、聞いたこと無いわ」
ーえ、サイラ?あんたそんなに情報通だったの?ー
「マンガのネタになる話を私が知らないわけないじゃない?妖精にも精霊にもドワーフにも聞いたこと無いわよ?」
ーちょっ......どこまでファン持ってるの?スゴいわ...ー
恐るべし同人作家...。
ルノアもしばし首を捻る。
「歴史書にも魔王の記録は無いな......」
とそこでみんなハタと気がついた。まさかねぇ...
「もしかしたら、あんたも迷子?」
サイラの言葉に一瞬たじろぐ魔王サマ。図星ですかね、これは。
「どこぞの勇者にこの世界に吹っ飛ばされてきたとか?」
『う、煩いっ!』
あら、核心突いちゃったみたい。ちょっと現象化したお顔が赤くなってぷるぷる震えているような......わりと純情?
「まぁ、迷子とはいえ倒さなきゃいけねぇな。魔王なんてもんは、この世界にはいらねぇ」
そう、そうよね。私も気合いを入れて身構える。と、ルノアにひょいと首根っこを掴まれた。
「危ねぇから、退いてろ、ネコ!」
でそのまま後ろにポイって.....ちょっとヒドくない?!そりゃ猫だけど、大山猫じゃなくて、山猫だけど。
ミギャミギャ抗議する私を無視して剣を構えるルノア。顔が真剣、あれなんか格好良く見える。頭打ってないんだけど......?
力を込めて斬りかかるルノア...でも、真っ黒な風に吹き飛ばされる。地面に叩きつけられるルノア、うわメッチャ痛そう。
『お前らごとき、小わっぱに退治されるような儂ではないわ!』
ーこんのクソジジィ!ー
改めて身構える。けどなんとか立ち上がったルノアに怒鳴りつけられた。
「大人しくしとけ!イツキ!」
なんで、なんでよ!どうしてよ!サイラは真っ青になっちゃってるし、ボーゲさんは腰抜かしてるし、私しかいないじゃん!
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