戦国魔法奇譚

結城健三

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八岐大蛇の憂鬱

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アランを取り囲むように、全員が集まってくる
「アラン先生!おかえりなさい!!みんなも無事に戻ってきたのですね!?」
みんなの顔を見渡し、うんうんと頷く アラン
その顔には、アラン達が戻ってきた喜びと、あまりにも過酷だった戦いの疲労が色濃く
表れていた
「アラン殿、よく戻ってきてくれました ドームを守り切れずに申し訳ありません
しかし沢山の死者を出しましたが、一人も死んでおりません」
羽柴秀吉の言葉に、眉をしかめる アラン

「アラン先生、茶々ちゃんの即死回避の魔法で1度だけですが死んでも蘇る事が出来るのです 
実は僕も含め天武の男子は、死んで蘇ったのです 風魔党や射手のみなさんもです
そうだ!茶々ちゃん!!上で戦っているみんなにも即死回避を掛けれないだろうか?」

「ベラとフローに聞いてみたんだけど。。。あれは、色々な条件が重なって初めて行使が出来る 奇跡のような魔法なんだって。。。茶々の魔力も無いし、ごめんなさい」
私欲では無く、他者の為、己の理想の為に、死地に赴き戦うという覚悟を持った者たちが
集い、その気持ちが1つになった時に初めて行使出来るのが“即死回避”の魔法であり
大量の魔力を消費する事はもちろん、1人でも覚悟の無いものが居ると発動しない
まさに奇跡のような魔法なのであった

「アラン様 茶々ちゃん本当に頑張ったんですよ “即死回避”もそうですし、黒い竜の
腐食魔法にも耐える“生命の象徴”という魔法も。。。
ここまで耐えられたのは、茶々ちゃんのおかげです」
アランの耳元に顔を近づけ囁く 千代

「アラン殿おかえりなさい では治療をしましょう、私も通力が残っていませんので
たいした事は出来ませんが。。。」
青白い顔をした おりんがふらふらと近づいてくる
「みんな。。。本当に頑張ったんだな。。。ありがとう。。。」
自分たちの戦いに、本来関係の無いはずの、ここに居るみんなを巻き込んでしまい
しかし、それ以外の言葉が思い浮かばず 涙を溜めながら頭を下げる アラン



そして地上では、無数の結界を足場に空中を地上を縦横無尽に飛び駆け回る 人間達と
大きな翼を持ち、その人間達の5倍近い体躯と圧倒的な魔力を誇る 2頭の竜種が
天上の神々の戦いにも等しい攻防を繰り広げていた
数百本もの黒い太刀が飛び交い 岩でできた巨人が竜を叩き伏せる
上空に目を向けると、まるで羽毛のように質量を感じさせない動きで竜を翻弄し
傷ついた仲間を回復させ
竜を絡め取ろうと、空を埋め尽くすような、黒い蜘蛛の巣を張る
この戦いも数時間を越え、人間側も決定打が出せないまま 
冬が近づき、日の短くなった山間部に闇が迫りつつあった

そして竜達も、ここに居る、すべての者達が理解していた 魔力が切れた時に
この戦いが終わるという事を。。。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

八岐大蛇 『酒呑童子よ!お前は、本気で戦っているのか!?』
酒呑童子 『旦那! 今忙しいんでさっ 話しかけないで下さい』
八岐大蛇 『どうにも、もどかしくてなぁ ずっとジリ貧ではないか!』
酒呑童子 『この赤い竜も、どれだけ傷付けても、竜の覇気やらで完治するんですぜ』
八岐大蛇 『おい! 俺を使うように言え!! 再生出来ないように挽き肉にしてやる』
酒呑童子 『えっと? 誰に言うんですかい?』
八岐大蛇 『ルイの亜空間に居るのだから ルイにだろう お前は馬鹿か!?』
酒呑童子 『天女が贄とわかっているのに使う訳がありませんや 妖狐の姉さんの遺言でも有りますからね~』
八岐大蛇 『魔力が先に無くなって、全員が死ぬんだぞ!? こいつ等は、戦っているのではなく、魔力が切れるのを待っているのだぞ!!』

八岐大蛇 《そもそもルイが死んだら 奴の亜空間に居る我等は、どうなるのだ??》
酒呑童子 《どうなるんでしょうね? 永遠に閉じ込められるとか?》
八岐大蛇 《冗談じゃないぞ!?酒樽を誰が持ってくるのだ!!》
酒呑童子 《永遠に禁酒でしょうな。。。》
八岐大蛇 《さっさと行って、片付けて来い!!》
酒呑童子 《心配するところが、酒ですかい? 旦那もわしも酒で失敗してるってのに》

《ルイ!古龍様が煩くてかなわん そろそろわしに身体を寄こせ!!》
「お前、あのゴーレムと連携とか出来ないだろう?」
《お前まで、わしを馬鹿にするのか!?連携くらいできるわ!! こう見えても昔は
沢山の子分共を連れて暴れまわっていたのだ!!あのゴーレムを守りながら戦えば良いのじゃろう?任せておけ!!》
「俺も魔力が、心細くなってきたからな。。。休ませてもらえるのは助かるが。。。」
《ああ!寝ておれば良いぞ 起きた頃には、終わっているかもしれんがな!!》

酒呑童子 《じゃあ ちょっと行ってきます》
八岐大蛇 《今夜の酒樽も忘れないように言っておけ》
酒呑童子 《それどころでは、ないと思いやすぜ》
八岐大蛇 《これを持って行け お前の望む物になるぞ》
八頭八尾の八岐大蛇の七つの頭が、右端の首に噛みつくと、根元から噛みちぎり
酒呑童子に放り投げる
それを拾い上げた酒呑童子が、槍を思い浮かべると、穂先から柄、石突きまで龍鱗が隙間なくびっしりと張り付けられた 禍々しくも神々しい見事な一本槍へと化ける
酒呑童子 《これは、見事なものですな!しかし今、必要なのは。。。》

全身を鬼化していたルイの身体が、筋肉が盛り上がり厚みを増していく 
骨格までが音を立てて作り変えられ 小柄なルイの身体が、身長で2mを超え
鬼化ではなく、2本の角までが生え、鬼神そのものの様相に変わり赤く変色した皮膚から蒸気が上がる 
右手には刀身が、黒く染まった“童子切安綱”を握り
左手には八岐大蛇の首を変化させた 全身が隠れるほどに巨大な、龍鱗が張り付けられた
大盾を構える
「ルイ先生!それは!?」
「ああ信忠 これが伝説の酒呑童子だ 連携なんか出来ないからな ちょっと下がって
休んでいてくれるか? 少しでも魔力を回復させるんだ」

《連携くらい出来ると言っておるのに!しかしちょっと邪魔だから下がっておれ》

まるで全身の凝り固まった筋肉を解すかのように、大袈裟な伸びをすると
鬼神の覇気を赤いバハムート·フォゴへと放ち、縮地術で一気に間合いを詰め
大盾に体を預け、さらに踏み込むとフォゴの鳩尾へと捻りを加えながら、大盾を叩き込む
フォゴの体が浮き上がり、受け身も取れずに地面を転がりながら吹き飛ぶ 
その勢いのまま、高く飛び上がると地上のフォゴに数百本もの黒い太刀の雨を降らせる
両手を交差させ、頭部を守るフォゴの全身が翼が傷つき 鮮血が吹き出す
態勢を立て直そうと、上空より迫りくる鬼神化したルイに炎球を連射するが
その尽《ことごと》くを大盾に弾かれ、容易く間合いを許すと、さらに強烈な大盾の
一撃をまともにくらい、その体を地面へとめり込ませる

《古龍の旦那も、こんな良いものがあるなら、もっと早くに出せば良いのにな
まぁ自分の首を喰いちぎるんだから そう簡単には出せんか?酒樽を山積みにすれば
もう一本くらい差し出しそうだがな!! ガッハッハッハッハ》

大盾を一本槍へと変化させると、童子切安綱を空間収納へと入れ
両手で上段に構え、立ち上がり上空へと逃れようと羽ばたこうとするフォゴに
柄を長く持ち、思いっきり叩きつける “ぐっしゃっ”と左の翼がひしゃげ
この戦いで初めて、フォゴの顔が歪むのを見る
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