【完結】夜遊び大好きショタ皇子は転生者。乙女ゲームでの出番はまだまだ先なのでレベル上げに精を出します

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二十章 最後まで夜遊び!!

502 戦勝ムード

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 イデオン元騎士団長の手紙を読んだフィリップは、ダンジョンで怒りを吐き出してから帰宅。グウスカ寝ていたら夕方に、興奮するカイサとオーセに起こされた。

「陛下、大活躍だったんだって!」
「城ではもう、大盛り上がりだったんだよ!」
「知ってる知ってる。だろうね。ムニャムニャ」
「「寝てるヤツが知るわけねぇだろ!!」」

 でも、二度寝。どうやらこのネタは昨日の夕方頃に城の上層部は知って、朝方に発表したらしいけど、フィリップは全部知ってるんだもん。カイサたちは口が悪くなって来たな。

「ふぁ~。さすがお兄様だね~。てか、何があったの?」
「ちゃんと聞いてから褒めなさい」
「これだからプーくんは……」

 目が覚めてからは、真面目なフリして聞くフィリップ。カイサたちはフレドリクの活躍を見て来たみたいに語っていた。

「たぶんだけど、お兄様が千人斬ったって話は嘘じゃないかな~?」
「えぇ~。あの伯爵令嬢、確実な情報って言ってたよ?」
「貴族令嬢の話って、基本的に嘘が多いよ~?」
「そうだけど……じゃあ、百人の兵で万の敵軍を蹴散らしたってのは?」
「ウソ。誇張されまくってる。逆に聞くけど、なんで信じた??」
「「本当だと思ったんだも~~~ん」」

 どうやらカイサたち、戦争の常識を知らなかったから、貴族令嬢にからかわれた模様。フィリップが戦争とはなんたるかを教えてあげたら、フィリップも疑われていた。
 2人の中では、嘘つきナンバー1に君臨している人なんだもの。

 この件はボエルに聞けば真実がわかると締めて、フィリップは他にも話はないかと聞いてみたが、フレドリク伝説しか2人は知らないそうだ。

「聖女ちゃんは?」
「誰も噂してなかったわ」
「今回はちゃんとできてるんじゃない?」
「あの聖女ちゃんがね~……」
「「うっ……なんか心配になって来た」」

 ルイーゼのマナーの悪さは2人も承知していること。ただ、この戦勝ムードを悪くしたくないフィリップは、ルイーゼの話題を避けるように2人に言い聞かせるのであった。


 それからの帝国は、まずはお城で戦勝ムードが活気付き、貴族街や貴族が通う店で働く人の口から戦勝ムードが帝都中に広がる。
 その戦勝ムードは国境付近からゆっくりと帝都に向かって広がり、3日遅れぐらいで旅商人が「こんなことあったんでっせ~?」と帝都のお得意さんに喋ったが「おっそ」と笑われたんだとか。

 帝国中が戦勝ムードに喜ぶなか、フレドリクが帰国。どこの町に寄っても万歳する民に出迎えられる。
 帝都に着いた時も、民が自然と駆け付けて、フレドリクを万歳で褒め称える。その声は大きく、根城にまでうっすらと聞こえていたから、フィリップはお腹を押さえていた。

「また仮病?」
「まだ何も言ってないんだけど……」
「昨日、陛下の出迎え、行きたくないってゴネてたじゃな~い」
「お腹痛い気がする……」
「「ゴネるなと言っている……」」

 フィリップは本当に胃がキリキリしてるのに、カイサとオーセは仮病認定。フィリップを馬車に積み込み、家臣が勢揃いする正面玄関前に放り出した。
 フィリップがブーブー言うなか……いや、家臣が一言も喋らないなか、正門が開いただけではち切れんばかりの大歓声。その中を先頭の騎士が入場したら下を向いた。

「そりゃ恥ずかしいよね~?」
「「話し掛けないでください」」
「こんだけうるさかったら許されるって~」

 理由はフィリップが言った通り。家臣の皇帝コールが凄いから、騎士は場違い感が凄いのだ。
 カイサたちも、フィリップが場違いだと感じてる。ここは静粛にしないといけない場なんだもん。

 ついにフレドリクが乗る馬車が入場すると、もう一段声援は大きくなったけどピタリと止まった。

「息切れかな?」
「「黙れ。てか、早く立ち位置に戻れ」」
「えぇ~……どこだったかな?」

 もう一度言おう。ここは静粛にしないといけない場。だから家臣一同はフレドリクの馬車が入って来たら、そのことを思い出してピタリと止まったのだ。
 それなのにフィリップと来たら持ち場を離れてカイサたちに話し掛けていたから怒られているのだ。

 結局どこかわからなくなったので、フィリップがウロウロしていたら、ヨーセフに首根っこを掴まれてなんとか元の位置に戻れた。
 家臣一同に「またあの馬鹿は」と見られていたが、フィリップは何もなかったかのようにフレドリクを出迎えた。

「皇帝陛下、長旅お疲れ様です。遠い地でのご活や……」
「フィリップ君。ただいま~。体は大丈夫?」

 でも、完璧な挨拶はルイーゼに邪魔されて失敗。フィリップも口をパクパクしてフレドリクを見てる。

「うん。出迎えご苦労。今回の旅は、とても有意義な旅だったぞ」
「そのまま続けるんだね……あ、もう行くんだね……」

 でも、フレドリクはルイーゼファースト。何もなかったかのように、入口に向かって歩き出す。それと同時に家臣一同は、大声でフレドリクの活躍を褒め称え続けるのであった……


 その夜……

「僕、ちゃんとやってたのに~~~!!」
「「まぁまぁ……プププ」」

 根城の中に、フィリップの嘆き声が響き渡るのであったとさ。
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