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二十章 最後まで夜遊び!!
503 豪華な誕生日パーティー
しおりを挟む帝都中に戦勝ムードが漂うなか、フレドリクが帰還するとますますその声が大きくなる。
フィリップは「1個大隊程度じゃ戦勝とは言えないよね~?」とか言っていたけど、ボエルに「水差すなよ!」とか怒られていた。
「てか、今日はなんの用なの?」
別にフィリップが呼んだワケじゃない。ボエルが勝手に来て勝手に入って来て勝手に怒っているからフィリップは疑問を口にした。
「陛下について行くって言っただろ。その報告だ」
「なんで僕に? 聞きたくないんだけど~??」
「こんな話できるの、殿下だけだろ~」
「帰って!」
「聞け!」
フィリップとボエルは手四つの押し合いに発展したが、フィリップは手加減をしなくてはいけないのでボロ負けで押し込まれる。
「皇后様がな~……」
「カイサ! オーセ! 僕の耳塞いで!!」
「「自分のでいっぱいいっぱいですぅぅ」」
「裏切り者~~~!!」
そんな状態では耳も塞げない。カイサたちに助けを求めたけど、2人もルイーゼ関連の話は聞きたくないのか耳を塞いでいる。でも、本当は聞きたいから蓋はユルユルだ。
ボエルの報告とは、もちろんルイーゼのやらかし談。そのことを笑っていた騎士がフレドリクに左遷されたので、ボエルは話し相手を探していたら「バカがいるじゃん!」となったっぽい。
「全部、聞いちゃったよ……」
フィリップはとうの昔に知っていたけど、ボエルの話のほうが情報量が多かったので、また頭が痛そうだ。
「どう思う? 他国の王様、怒って攻め込んで来ないかな??」
「バカに何を聞いてるの? わかるワケないじゃん」
「だよな~……」
「「プッ……」」
「そこの2人! 聞いてないフリしてたね! 逮捕しちゃうぞ~??」
「「キャーッ」」
こんなこと相談されても困るので、フィリップはボケに吹き出した2人と鬼ごっこ。イチャイチャしてるようにしか見えないので、3人はボエルに逮捕されてソファーに投獄されるのであった。
相談の件はフィリップが適当に相手をしても、ボエルは聞いてもらえただけでいいみたい。スッキリして帰って行った。
フィリップはストレス発散に、ダンジョンにてモンスターに八つ当たり。大声出してルイーゼたちの悪口を言いまくる。
もうすぐ年末なので、フィリップはこのまま仮病に突入。今年の式典は出席して各種情報を手に入れたいところだが、夜の街のほうが楽しいから泣く泣く我慢だ。ただ、今年も身長が1ミリも伸びてなかったからホントに泣いてた。
フィリップが派手にお金をバラ蒔いて遊んでいたら、式典の開幕。カイサたちは「今年もパーティーはお預けか~」とか言っていたので、皇族の仕事が終わったら派手に開くから我慢するようにフィリップは宥めていた。
「「そういうことじゃないんだな~……」」
「どゆこと??」
「「働け」」
「ゴホンゴホン」
どうやら各貴族が競うように開くパーティーが見たかったらしい。フィリップはわざとらしく咳をして病弱アピールしたけど、さっきまでしていなかったから仮病はバレバレだ。
せめてもの謝罪に、この期間は全て超高級品の料理を手配するフィリップ。花より団子。カイサとオーセはこれで満足したのか、フィリップの仮病には何も言わなくなった。
そうこうしていたら、皇族がやらなければいけない仕事は終了。貴族が領地に帰って行くなか、根城の豪華に飾られた3階の部屋に、続々と若手貴族夫婦や中堅貴族夫婦が集まって来た。
「んじゃ、僕の二十歳の誕生日と快気祝いに……かんぱ~~~い!!」
「「「「「……かんぱい」」」」」
主催者のフィリップの言葉から始まる超豪華な宴。出席者は、誕生日だけなら普通に祝えたのにと辺りを見回してからグラスを掲げた。こんなに都合よく病気が治ったんだもの……
「「殿下、おめでとうございます」」
「リネーア嬢、ありがと~。そっちのモブ……コニー? だっけ??」
「そうです! コニーです!!」
「おお~。当たった。コニーもありがとね~」
まずはリネーア&コニーのモルダース家。フィリップは当てずっぽうだったけど、コニーは名前を一発で呼ばれたから感無量だ。リネーアは呆れてるけどね。
「お、おめでとうございます……」
「おお~。ボエルの奧さん、久し振りに見た~」
「お、お久し振りです……」
「変な目で見るなよ。引いてるだろ」
「それ、たぶん緊張してるだけだよ? ありがとね~」
2番目にやって来たのはボエル&カロラの同性婚夫婦。平民が第二皇子が開く超豪華なパーティーにやって来たのだから、緊張で死にそうだ。ボエルには冤罪掛けられていました。
「「おめでとうございます」」
「うん。ありがとう。2人とも、旦那さん初めてだね~」
「「いえ、他のパーティーで会ってますよ?」」
「そだっけ? ま、みんなありがとね~」
3番目にやって来たのはエイラ&ダグマーの元専属メイド夫婦。どちらの夫もフィリップが忘れていたから、コニーがガッツポーズしたんだとか。
「「おめでとうございます」」
「うん。そのドレス、綺麗で似合ってるよ~」
「誕生日の人に貰うの気が引けるよ~」
「それにメイドが仕事しないなんて~」
「いいのいいの。元メイドって人だらけだから、自分でやっちゃうもん」
4番目はドレスアップしたカイサとオーセ。フィリップから「仕事は適当でいいよ」と言われているのに、気付いたら体が動いている。他の元メイドも……
「「「「「誕生日おめでとうございます!」」」」」
「うん。あんがと……お前らって、彼女とかいないの?」
「「「「「うっ……出会いが無くて……」」」」」
「だいぶお金は貯まってるだろうし、今年は休みを増やして婚活でもしよっか?」
「「「「「ありがとうございます!!」」」」」
5番目は礼服を着た護衛騎士全員。この礼服もフィリップが支給した物で、もしもの時のために剣は携帯している。門番は他所から借りたよ。
その護衛騎士は、女性を紹介してくれると嬉しそうにボエルのところに走って行った。「よかったな~」と殴られてたけど……
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