【完結】悪役令嬢と手を組みます! by引きこもり皇子

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二章 引きこもり皇子、外に出る

045 尋問の続き……

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 尋問を乗り越えたフィリップはお風呂に入るとか言って部屋から出て行くと、ベルンハルドとエステルが喋っている姿があった。

「アレが第二皇子……聞いていたのと、まったく違う人物なのだな」
「ええ。知能、武芸、共に皇帝陛下の上を行っていますわ」
「じゃあ、なんで今ごろ表に出て来たのだ?」
「本人は、セレブで怠惰な生活を捨てたくないとか言ってましてよ」
「それだけか??」
「ええ。作戦に参加してない時は、怠惰の極みですわ。それに女癖が悪くて……」
「わはは。それは厄介な男を結婚相手に選んだな。手綱をしっかりと握るんだぞ」
「悪知恵も凄いのですから無理ですわよ」

 しばしエステルはグチグチ。その愚痴を言う顔が怖くなったベルンハルドは、まだ仕事が残っていたとか言って逃げ出したのであった。


 その後……

 フィリップはお風呂から上がったら、ベッドに飛び込み今日の疲れが出たのかすぐに眠りに落ちた。
 それから1時間ほどが経ち、ベッドが数度揺れたので目を開けた。

「えっちゃん……ん~~~」

 目の前には、エステルの顔。フィリップは咄嗟とっさに口を尖らしてその時を待つ。

「何を寝惚けてらっしゃるの?」
「ゴホッ!」

 しかし、エステルに口を摘ままれて息が止まった。

「何すんだよ。殺す気??」
「殺すなら、とっくに殺していますわよ。何度呼んでも起きなかったから、口を塞いだのですわ」
「……それなら、なんで僕に乗ってるの?」

 エステルの体勢は、フィリップの顔の横に両手をついた体勢。こんな体勢ではお互いの顔が近いから、フィリップは夢だと思ってキスを待ったのだ。

「こ、これは……逃がさないためですわ!」
「なんか焦ってない? 顔も赤いよ??」
「本当ですわ!!」

 エステルは逆ギレ。事実は、フィリップが起きる素振りを見せなかったから、唇を奪ってしまおうかと乙女心が出たのだ。でも、顔が近付いたらそれ以上進めなくなっていたのだ。

「そう怒らないで。逃げもしないよ。チューしたかったら早くしてね」
「ですから、違うのですわ!」

 目の前で「チュッチュッチュッチュッ」言うフィリップに、さすがにムカついて来たエステルはいいことを思い出した。

「わたくし、殿下がボローズ王国に行って帰って来たには、帰りが早すぎると思うのですわ」
「あ~……わりと近かったよ?」
「馬はどうしましたの?」
「それは将軍に借りたよ」
「嘘つきましたわね!!」
「ええぇぇ~……」

 早くも嘘がバレたので、フィリップも嫌そうな顔。

「お兄様は、近くの町まで馬を飛ばしても一日かかるとおっしゃっていましたわ。なのに馬で行ったのですの? ありえませんわ!」
「じゃあ、どうやって行って来いしたんだよ~。それしか速い移動手段なんてないでしょ~」

 フィリップの反論にエステルもそう考えたが、その時、急な閃きがやって来た。

「そうですわ……もうひとつ謎が残っていたのですわ」
「なぞ??」
「殿下が現れた日のことですわ。行方不明の殿下を捜す書状が届いていたその時は何も気付きませんでしたが、よくよく思い返してみたら、殿下は行方不明になったその日付にうちにやって来ていた……殿下の足は速い……雨も前日の夜……だからドロドロだった……」

 エステルは点と点が繋がった瞬間、指を差しながらズバッと言い放つ!

「殿下はあの日、帝都から夜通し走り続けて、朝にはうちの屋敷に着いたのですわ! ……え? 早馬で一週間もかかる道程を半日で走りきったのですの??」

 ただし、自分で自信満々に言ったのに信じられなくなって、質問に変わるのであったとさ。


「アハハハ。混乱してるね~」

 フィリップの上でエステルが目を回しているので、フィリップは笑っている。

「正解を言い当てたえっちゃんには、チューのプレゼントだ」
「え? 当たっているのですの??」
「チューはいらない??」
「そ、それはいいのですわ! それよりも……」
「正解って言ってるでしょ~」

 そう。フィリップは正解と言っているのに、当てた本人が信じていない。

「いや~。急ぎだったから本気で走ってみたら、まさか一晩で着くなんて僕も思っていなかったよ」
「え……殿下って、馬より速いのですの??」
「うん。距離的に、10馬力ってとこかな?」
「馬力??」
「あ、こっちにない単位だし速度じゃなかった。ま、10倍は速いみたいだね」
「はあ……」

 しっかりと速度を教えても、エステルはついて来れない。

「えっちゃんはチューは欲しくなさそうだから、かわりに僕の秘密を教えてあげるよ」
「別に……いえ、秘密とは?」

 一瞬、残念そうな顔をしたエステルだが、フィリップの秘密のほうが気になって食い付いた。

「僕のレベルは~……」
「殿下のレベルは……」
「99だよ」
「えっ!!?? キャッ……」

 エステルがとんでもなく驚いてのけ反ろうとしたので、フィリップは手を掴んで引き寄せ、エステルを抱き締めて頭を肩口に乗せる。

「シーーー……ビックリした?」
「はい……でも、そんなレベル、ありえますの?」
「僕もどれだけ上がるのかと試したら、こんなレベルになったんだ。カールスタード学院なら深いダンジョンがあるし、ほとんど使われていなかったから、上げ放題だったよ」
「どうりで殿下が、ボローズ軍におくせず飛び込んで行けたわけですわ。あの時、わたくし気が気でなかったのですわよ」
「そっか。心配してくれたんだ。ありがとう」

 フィリップに頭を撫でられたエステルの力が抜ける。

「他に聞きたいことある?」
「いっぱいありますわ。例えば、どうして今回に限って、自分から目立つようなことをしたとか」
「予定よりちょっと早いけど、第二皇子の名前を出していたほうが、人を集めやすいでしょ? いざ集めようとする段階が来ても、今までの僕の評価じゃ集まらないもん」
「なるほどですわ……お父様もそのことは心配していましたわ」
「んじゃ、答えたからキスするね」
「え?」

 エステルは聞き取れなかったのか、上目遣いでフィリップを見た。

「タダなのは、レベルまでだよ」
「そんなこと言っていなかったじゃないですか……」
「僕とはしたくない?」
「そんなわけでは……あっ……」

 この日、フィリップとエステルは結ばれたのであった……
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