【完結】悪役令嬢と手を組みます! by引きこもり皇子

ma-no

文字の大きさ
59 / 142
三章 引きこもり皇子、働く

059 イーダとの別れ1

しおりを挟む

 エステルがフィリップの部屋に籠城して機嫌を直した翌日。エステルはフィリップの腕の中で目覚め、清々しい朝を迎えた。

「何してますの?」
「う~ん……スライム揉み揉み……」

 でも、フィリップが眠りながら胸を揉んでいたので、エステルは清々しくなくなった。
 それからエステルは、一向に起きる気配と胸を揉むことをやめないフィリップをビンタして起こす。

「いったいな~。もっと優しく起こしてよ~」
「その手はなんですの? ゆっくりと愛を育むとか言ってませんでしたか??」
「いや、これは……男のさが??」
「ふ~ん……」

 目が覚めてもフィリップは揉み続けるので、エステルも怒りの表情。さすがにフィリップも死を覚悟した。

「え……」
「い、いまは、ここまでですわよ」

 しかし、エステルはフィリップの顔を自身の大きな胸に埋めた。恥ずかしいけど、昨日のフィリップの優しさに応えたのだろう。

「じ、じぬ……」
「殿下? 殿下~~~!!」

 でも、その行為は一撃必殺。フィリップは息ができずに落ちたけど、エステルは何が起こっているかわからずに、しばらくフィリップの顔を胸に挟んでいたのであったとさ。


 フィリップが再び起きると「2匹のスライムに負ける夢を見た」とか言っていたので、エステルはそのことに触れず。食堂に行こうと提案する。
 フィリップもお腹が空いていたので深くは追及せずに、エステルの手を取って食堂に顔を出すと、ホーコンたちに一斉に見られた。フィリップが誰も近付くなと命令していたから朝食に出遅れたみたいだ。

 そこでフィリップがエステルを優雅にエスコートして食事を始めるが、ホーコンたちはフィリップたちに視線すら送らずに世間話している。
 たぶん、初夜があったと思っているから触れないようにしているのだろう。でも、フィリップの頬には手形が付いているからウズウズしてる。
 フィリップもそのことに気付いていたが、エステルとだけ喋って食事をしている。

 何か変な雰囲気の朝食を終えると、辺境伯一家は全員仕事。暇なのはフィリップとイーダだけなので、フィリップは自室へ。イーダは自分の従者と共に町の見学に向かった。


 その夜は、夕食の席にフィリップは現れず。さすがに呼びに行かないのは悪いと思い、ウッラを走らせてしばらくしたらフィリップと共に戻って来た。
 皆は少し遅かったとは思ったが、どうせフィリップがなかなか起きなかったのだろうと割り切っていた。

 夕食を終えたフィリップは、部屋に戻ってよからぬことを考えていたら、ノックの音が響いたのでその者を中に招き入れる。

「どうかしたの?」

 中に入って来たのは、パジャマ姿のエステル。もう寝る時間なのにやって来たので、フィリップも不思議に思っている。

「一緒に寝ようと思いまして。ダメ……ですの?」
「いいよ~。こっちおいで~」

 フィリップが布団をめくり、両手を広げて迎え入れているが、エステルは後ろに回り込んで端からベッドに入った。
 その行為にフィリップは特に何も言わずに、モゾモゾとベッドの中を移動してエステルの後ろから抱き締める。

「こっちから行こうと考えていたんだけど、女性のほうから来させて悪かったね」
「い、いえ。こちらのほうが人が寄りつかないですので……」
「これから毎日来てくれるんだ~」
「毎日はちょっと……」
「残念……じゃあ、おやすみのキスしてから寝よっか。顔向けてくれる?」
「はい……」

 2人は数度キスを交わすと、手を繋いで天井を見詰める。

「それじゃあ、おやすみ」
「はい。おやすみなさいませ」

 それだけ告げると2人は目を閉じて、心地良い眠りに誘われるのであった……

(眠れるか~~~!)

 と、寝息を立てているのはエステルだけ。こんな上物の女性が隣で寝ていては、フィリップはエロイ妄想をして眠れるわけがない。早くも揉もうとしてるし……
 昨夜も眠れずに、1人でゴソゴソして寝たのは朝方。だから朝はなかなか起きれずに、1日中寝ていたのだ。なんだったら、ウッラが呼びに来た時に土下座したほどだ。何をしたかは知らないが……

 今日も今日とて、フィリップは朝方までゴソゴソしてようやく眠りに落ちたのであった。


 翌朝は、フィリップが手を繋いだまま寝ていたのでエステルも優しく起こしていたけど、ぜんぜん起きなかったので口と鼻を押さえていた。
 それから1日の活動が始まり、イーダは明日には領地に帰ると言うのでエステルが午後にお茶会を開いていたが、フィリップは現れず。また寝ているみたいで、ベッドが膨らんだままだったらしい……

「殿下も最後ぐらい顔を出してもよろしいのに……」

 そのことでエステルはちょっと怒っていたけど、イーダはあっけらかんとしている。

「エステル様。もういいんですよ」
「でも、あれほどの未練があったじゃないですか。そんなにすぐ忘れられるものですの?」
「ウフフ。確かに初日は未練がましかったですね。でも、殿下とちゃんと話すことで吹っ切れました」
「イーダがそれでいいのでしたら……」

 イーダの顔を見ると晴れ晴れした顔をしているので、浮気の心配も友達の心配も忘れるようにして喋るエステル。
 その話は学院時代の話で、ルイーゼがムカつくといった内容や、その当時のフィリップの話、あとエステルののろけ話やイーダの領地の話。

 久し振りに会ったのだから、話が尽きない2人であった……
しおりを挟む
感想 26

あなたにおすすめの小説

『婚約破棄された悪役令嬢ですが、嫁ぎ先で“連れ子三人”の母になりました ~三人の「ママ」が聞けるまで、私は絶対に逃げません~』

放浪人
恋愛
「母はいりません」と拒絶された悪役令嬢が、最強の“ママ”になるまでの物語。 「君のような可愛げのない女は、王妃にふさわしくない」 身に覚えのない罪で婚約破棄され、“悪役令嬢”の汚名を着せられたクラリス。 彼女が新たに嫁いだのは、北方の辺境を守る「氷の公爵」ことレオンハルト・フォン・グレイフだった。 冷え切った屋敷で彼女を待っていたのは、無表情な夫と、心に傷を負った三人の連れ子たち。 「僕たちに、母はいりません」 初対面で突きつけられた三つの拒絶。しかし、クラリスは諦めなかった。 「称号はいりません。私が欲しいのは――あなたたち三人の『ママ』になれる日だけです」 得意の生活魔法『灯(ともしび)』で凍えた部屋を温め、『鎮(しずめ)』の歌で夜泣きを癒やし、家政手腕で荒れた食卓を立て直す。 クラリスの献身的な愛情は、頑なだった子供たちの心を解きほぐし、やがて不器用な夫の氷の心さえも熱く溶かしていく。 これは、不遇な悪役令嬢が「最強の母」となり、家族を脅かす元婚約者や魔獣たちを華麗に撃退し、最愛の家族から「ママ」と呼ばれるその日までを綴った物語。

里帰りをしていたら離婚届が送られてきたので今から様子を見に行ってきます

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<離婚届?納得いかないので今から内密に帰ります> 政略結婚で2年もの間「白い結婚」を続ける最中、妹の出産祝いで里帰りしていると突然届いた離婚届。あまりに理不尽で到底受け入れられないので内緒で帰ってみた結果・・・? ※「カクヨム」「小説家になろう」にも投稿しています

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

Sランク昇進を記念して追放された俺は、追放サイドの令嬢を助けたことがきっかけで、彼女が押しかけ女房のようになって困る!

仁徳
ファンタジー
シロウ・オルダーは、Sランク昇進をきっかけに赤いバラという冒険者チームから『スキル非所持の無能』とを侮蔑され、パーティーから追放される。 しかし彼は、異世界の知識を利用して新な魔法を生み出すスキル【魔学者】を使用できるが、彼はそのスキルを隠し、無能を演じていただけだった。 そうとは知らずに、彼を追放した赤いバラは、今までシロウのサポートのお陰で強くなっていたことを知らずに、ダンジョンに挑む。だが、初めての敗北を経験したり、その後借金を背負ったり地位と名声を失っていく。 一方自由になったシロウは、新な町での冒険者活動で活躍し、一目置かれる存在となりながら、追放したマリーを助けたことで惚れられてしまう。手料理を振る舞ったり、背中を流したり、それはまるで押しかけ女房だった! これは、チート能力を手に入れてしまったことで、無能を演じたシロウがパーティーを追放され、その後ソロとして活躍して無双すると、他のパーティーから追放されたエルフや魔族といった様々な追放少女が集まり、いつの間にかハーレムパーティーを結成している物語!

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています

浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】 ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!? 激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。 目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。 もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。 セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。 戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。 けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。 「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの? これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、 ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。 ※小説家になろうにも掲載中です。

~唯一王の成り上がり~ 外れスキル「精霊王」の俺、パーティーを首になった瞬間スキルが開花、Sランク冒険者へと成り上がり、英雄となる

静内燕
ファンタジー
【カクヨムコン最終選考進出】 【複数サイトでランキング入り】 追放された主人公フライがその能力を覚醒させ、成り上がりっていく物語 主人公フライ。 仲間たちがスキルを開花させ、パーティーがSランクまで昇華していく中、彼が与えられたスキルは「精霊王」という伝説上の生き物にしか対象にできない使用用途が限られた外れスキルだった。 フライはダンジョンの案内役や、料理、周囲の加護、荷物持ちなど、あらゆる雑用を喜んでこなしていた。 外れスキルの自分でも、仲間達の役に立てるからと。 しかしその奮闘ぶりは、恵まれたスキルを持つ仲間たちからは認められず、毎日のように不当な扱いを受ける日々。 そしてとうとうダンジョンの中でパーティーからの追放を宣告されてしまう。 「お前みたいなゴミの変わりはいくらでもいる」 最後のクエストのダンジョンの主は、今までと比較にならないほど強く、歯が立たない敵だった。 仲間たちは我先に逃亡、残ったのはフライ一人だけ。 そこでダンジョンの主は告げる、あなたのスキルを待っていた。と──。 そして不遇だったスキルがようやく開花し、最強の冒険者へとのし上がっていく。 一方、裏方で支えていたフライがいなくなったパーティーたちが没落していく物語。 イラスト 卯月凪沙様より

断罪まであと5秒、今すぐ逆転始めます

山河 枝
ファンタジー
聖女が魔物と戦う乙女ゲーム。その聖女につかみかかったせいで処刑される令嬢アナベルに、転生してしまった。 でも私は知っている。実は、アナベルこそが本物の聖女。 それを証明すれば断罪回避できるはず。 幸い、処刑人が味方になりそうだし。モフモフ精霊たちも慕ってくれる。 チート魔法で魔物たちを一掃して、本物アピールしないと。 処刑5秒前だから、今すぐに!

処理中です...