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四章 引きこもり皇子、暗躍する
091 フィリップ暗躍1
しおりを挟む時は遡り、ダンマーク辺境伯領にフレドリク皇帝たちがやって来た日の朝……
「アハハ。予想通りの馬車の数だな」
ギリギリまでエステルを気遣っていたフィリップは、フレドリクにバレないように到着前に辺境伯邸を出て、遠くから馬車の集団を見ていた。
その馬車は、ほとんどが輸送に使われる馬車だったので、フィリップは作戦の成功は確実だと笑っている。
「さってと……僕も行こっと。でも、注意しなきゃね~」
フィリップは走り出したけど、本当は夜に出発したかった模様。
「あんれま~。ご子息様が走ってるだ~」
「え? アレ、人間が走ってるの??」
だって本気で走ると目立つもん。それに道行く人に見られると変な噂が立ち兼ねない。フィリップはそこそこの速度で帝都を目指すのであった。
「あ~……そこそこ。きんもちいい~」
けど、やっぱり面倒になって、アルマル領の娼館でマッサージを受けるのであったとさ。
アルマル領にある、以前、御者に調査してもらっていた娼館で2日かけて夜型になったら、ここからは本気のダッシュ。
一晩で帝都手前の町に着くと朝から娼館に入り、体を綺麗にしてもらってから眠りに就く。夕刻になったら、またお風呂に入ってから着替え。二度入ったのは、たぶんそういうことだろう。
黒装束に着替えたフィリップは走り出し、帝都の高い壁はひとっ飛び。そして「ニンニン」とか言いながら屋根を飛び交い、城のお堀も壁も大ジャンプで乗り越え、2階のバルコニーに着地した。
「もう寝ちゃってるかな~?」
ここはフィリップの根城のバルコニー。大きなカギ付きの窓を氷で作ったカギでガチャガチャと開けたフィリップは忍び込む。
「おっと……僕僕。僕だよ~?」
するとマグカップが飛んで来たので、フィリップは2個ともキャッチして自分の存在を知らせた。
「プーちゃん? 本物なの??」
「やっと帰って来た。プーくん……」
「2人とも、ただいま~」
「「おかえり~~~」」
フィリップが笑顔で両手を広げると、2人の小柄な女の子が勢いよく胸に飛び込んだ。それだけでなく、けっこうディープな感じになり、気付いたら3人ともベッドの上で裸になっていた。
「ハァハァ……2人とも激しすぎ」
「だって……」
「ねえ?」
フィリップの左右の腕に頭を乗せているこの2人の正体は、フィリップ専属メイド。世間では幼女と噂されているが、れっきとした成人女性だ。
左腕で寝ているロングヘアーでお姉さんキャラのロリ巨乳は、カイサ24歳。カフェで働いているところをフィリップがナンパして、その日の内に関係を結びスカウトした。
右腕で寝ているショートカットで妹キャラの貧乳ロリは、オーセ23歳。偶然オーセが彼氏に殴られているところをフィリップが助け、その日の内に寝取ってスカウトした。
2人とも職場がお城となっていたから半信半疑で出向いたら、まさか第二皇子とそんなことしていたなんてと死ぬほど驚いたそうだ。
そこまで行ってしまっては断ることもできず、フィリップ専属メイドとして働く。けど、メイド仕事より夜のお仕事が大半を占めているらしい……
長きに渡りフィリップの改造手術を受けた結果、フィリップも驚くほどのドエロイ合法ロリが完成したらしい……
「いったい今までどこに行ってたの?」
「本当だよ。1年半だよ?」
激しい運動をして落ち着いたら、ようやくフィリップがどこにいたのかと聞くカイサとオーセ。フィリップは両手に花のまま答える。
「旅に出るって書いたでしょ? いろんな女性を抱いて回っていたんだよ」
「絶対ウソ。だったら、あんな大金置いていかないはずよ」
「そうそう。いくら女好きでも、移動すら面倒くさがるプーくんが1年以上もこの部屋から出ないよ」
「本当だって~。てか、お金足りた? イジメられたりしてない? ごはん食べてた? 家族も大丈夫??」
フィリップは秘密主義者。家出の理由は2人にも言っていない。これは情報漏洩のためと、兄であるフレドリク皇帝の質問には黙ってられないと思っての配慮だ。
だから早々に質問攻めにして、2人の追及を終わらせた。2人もそれを汲んでか、フィリップ心配してくれているからか、これまでのことを報告するのであった。
「みんな大丈夫そうでよかったよ」
カイサとオーセの話は、ほとんどが家族のこと。物価高騰で食べる物に困っていたところを、フィリップの残したお金で助けたらしい。
「でも、プーちゃんのお金、半分以上使っちゃった……」
「もしものために置いて行ったけど、正解だったね」
「こんなに貰っちゃって、本当にいいの?」
「いいに決まってるよ。2人には酷いことしてるもん」
「あ、自覚あったんだ」
「てっきり何も考えてないと思ってた」
「ホント、ゴメンね」
女の花の時間を奪っているのだから、フィリップだって悪いと思っているのは当然。しかし、2人の前では基本的には無能でいたので、謝るだけでもけっこうグッと来るらしい。
「あ、そうだ。城の噂話も聞かせてくれる?」
「プーちゃん、ホント下世話な話、好きだもんね」
「うんうん。でも、その話はあとででいいでしょ~?」
「あたしもそう思うわ」
「しょうがないな~」
久し振りに会ったのだから、第2ラウンドに突入。その後、夜食をして第3ラウンド。噂話を聞けるのは、まだまだ先になるのであった。
ちなみにフィリップの名誉のために言っておくと、この2人を雇った本当の目的は、城内の噂話を集めるため。
そのために2人を連れて歩き、他のメイドにも仲良くしてくれと頼み込んで情報を出やすくしていたのだが、フィリップの口から語られるのはかなりあとになった。けど、それまでが酷すぎたのでまったく信じてもらえなかったんだとか……
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