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四章 宇宙人との戦争
51 最後の戦い
しおりを挟む「なんか、無理心中してるみたいじゃなかった?」
「私も思った。睡眠薬が悪かったね」
ここは夢の中の草原。いつもの聖騎士と聖女コスプレに扮した蒼正と純菜は、現実での最後のやり取りが少しツボに入っている。
「それじゃあ行きますか!」
「うん。行こう!」
「「テレポート!!」」
二人は気を取り直して、瞬間移動。目指す先は、月の北極圏からやや裏側に回った場所。空気が無くても重力が六分の一でも、夢の中なら関係無い。普通に立っている。
「うわっ……ウジャウジャ居る」
「気持ち悪いね……」
そこには、侵略部隊の宇宙人が大集合。巨大蜘蛛やトンボ型ロボット、軍隊や騎士団といった蒼正達が戦った事のある宇宙人以外にも、見た事が無い宇宙人が万単位所か億を軽く超える数が整列していた。
「ま、まぁ作戦通りいったから結果オーライかな?」
「そうね。あ、アレ、ロケットじゃない? なんか光ってるよ??」
「どれどれ~?」
ここに宇宙人が大集合している理由は、電磁波爆弾を積んだロケットが無事に発射出来るように。
心配していた作戦の漏洩が起こっていると聞いた蒼正達は、最後の夢は時間指定して月の裏側で戦うと、わざと電子機器を使って石坂に報告していたのだ。
そのお陰で、攻撃準備をしていた者への宇宙人の攻撃は止まったが、二人は最後の報告は聞いていない。その時には、世界中の人々が連絡を取り合っていたから通信網がパンクしてしまったからだ。
そうして二人が緊張感無くロケットの光を探していたら、一騎の騎馬が駆けて来た。二人も気付いて何事かと良く見ていたら、最初の頃に色々と情報をくれた宇宙王子が乗っていた。
宇宙王子は、蒼正達に近付くと馬上から大声を張り上げる。
「貴様らがいくら足掻こうが、本体には絶対に敵わ無い! 無駄な抵抗等せず、死を受け入れろ!!」
「だから、そっちの仲間に入れてくれるなら、抵抗止めるって言ってんだよ?」
「貴様らのような凶暴な魂、仲間に入れられるか!!」
蒼正はまたしれっと仲間になりたいと言っても取り合って貰え無い。そこに純菜も聞きたい事があるので前に出た。
「ところでなんだけど、本体がそんなに強いなら、どうしてこんなに数を集めてるの?」
「貴様らが知る必要無い!」
「珍しく教えてくれないんだ~……てことは、私達が居ると何か不都合があるのかな~? 例えば、私達が頑張れば頑張る程、本体の質量が減るとか??」
「知る必要無いと言っている!」
宇宙王子は顔色ひとつ変えずに答える物だから、カマ掛けは失敗。純菜は蒼正の顔を見てどうするかを目で訴えた。
「どっちでも一緒だよ。仲間に入れてくれるまで暴れまくるからね」
「だね。全部は無理でも、半分は削ってやるわ。その時になって後悔しないことね!」
「今、仲間に入れた方が、絶対お得だよ~?」
「断る! そもそも我々だけで貴様らは死ぬ運命なのだからな! 首を洗って待っていろ!!」
問答はここまで。宇宙王子は馬を反転させて隊列に戻って行った。
「さってと……僕が守るから、引き付けてからぶっ放しちゃって」
「ロケットはアソコだから、だいたいあっちの方向かな? 任せて!」
「じゃあ、せ~の!」
「「かかってこいや~~~!!」」
その時間を使って、蒼正と純菜は軽く打ち合わせ。その後は、剣と杖を前に出して気合いを入れるのであった。
宇宙人の大軍は、ゆっくりと前進。最初は隊列を乱さず進んでいたが、敵は二人しかいないのだから中央に厚みが出て来た。
それは圧倒的な数の暴力。しかし、純菜達まで残り五メートルの位置に来た所で、前列から吹っ飛んだ。
「ジャッジメント~~~!!」
純菜の聖魔法だ。直径1キロメートルはある聖属性の光線が大軍に風穴を開けたのだ。
その月の重力を無視して宇宙空間に消えた光線の二射目を避けようと、宇宙人軍は両側に分かれて突撃する。
「純! 右側をぶっ飛ばせ!!」
「うん!」
「「ジャッジメント~~~!!」」
次は、一撃目よりおよそ三十度傾けた聖属性の二本の光線。見事に大量の宇宙人を巻き込んで宇宙空間に消えて行く。
その攻撃を繰り返していれば、大量の宇宙人は消滅するが、宇宙人の数は億超え。物量で乗り越えるケースもある。
その場合は蒼正が極太光線を左から右へ、右から左へと薙ぎ払う。その間も純菜はガンガン極太光線を発射すれば、開始一時間で宇宙人は半減。
二時間も経てば、宇宙人は全滅するのであった。
「思ったより早く終わったね」
月の裏側に動く物体が居なくなると、純菜は笑みを浮かべて蒼正を見た。
「まだ潜伏しているヤツが居るかも知れ無い。一応どちらか一人は警戒しておいた方がいいかも?」
「そうだね……あ、バリア張っておけばいいだけじゃない?」
「あっ! 忘れてた~」
高火力でうん億人の宇宙人を亡き者に出来たから、蒼正は防御を忘れていた模様。純菜に言われてから、数枚のバリアを張ってしまう。
「後は~……宇宙人の本体がまだ見え無いんだよね~。まだ遠くに居るのかな?」
「太陽ぐらいあるなら、見えてても可笑しく無いと思うけど……精神エネルギーの集合体だもんな~」
「そっか。目視は厳しいんだ。じゃあ、色を塗ったらいいんじゃない?」
「それ、採用。何色にしよっか?」
夢の中なら、目に見え無い敵も台無し。ジャンケンで色を決めていたけど、蒼正はまた負けていた。
その後、純菜の希望の桃色をイメージしながら目を開ける二人。
「「わっ!?」」
そこには、先程まで何も無かった空間に、桃のような巨大な物体が浮かんでいたのであった……
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