アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

ma-no

文字の大きさ
91 / 755
第四章 ハンター編其の二 怖い思いをするにゃ~

089 リータ、頑張る

しおりを挟む

「猫さ~~~ん~~~!!!」

 嘘……嘘でしょ? なんで猫さんが私を空から突き落とすの! 死んじゃう!!

 私が死を覚悟した瞬間、下から風が吹いて来た。

 これは猫さんの魔法? 落ちるスピードが緩やかになった……猫さんが広場の子供達と遊ぶ時に使っている魔法だ。これをするならするって言ってよね!

 私は猫さんの風魔法によって静かに着地した。

 うぅ。怖かった……まだ体が震えている。オシッコ漏らすところだったよ……たぶん大丈夫なはず……ちょっとだけ漏れたかも……

「もう! 猫さんのバカーーー!!!」

 初めて猫さんをバカって言っちゃった。猫さんは私を助けてくれた恩人なのに……それに私の村のために怒ってくれたり、助けてくれようとしている。
 こんなに早く村に着けたのも、猫さんのおかげで怒るのはお門違いだ。だけど、あんなに高い所から落とさなくてもいいと思う!
 いまは猫さんを怒っている場合じゃなかった。お父さんやお母さん、兄弟達、家族の命の危機が迫っている。急いで家に向かわなくっちゃ!


 私は走る。急いで家に向かって走っていると、ある事に気付く。

 私っていつからこんなに速く走れたっけ? いつもつまずいてばかりで、走ったら絶対こけていたのに……猫さんと出会ってからだ。猫さんに毎日歩かされたからだ!
 最初は変な歩き方だなぁと思っていたけど、猫さんを信じてやってきてよかった。やっぱり猫さんは凄い! ちょっと周りに女の子が多くいるのは気になるけど、凄い事には変わりない。


 しばらく走り、私は家に着くと大きな声で叫ぶ。

「お母さ~ん! お父さ~ん!! みんな~!!!」

 ……返事が無い。猫さんはこっちに人がいるって言ってたけど、私の家族とは限らないのかな? 私の家が近くにあるから早とちりしたかも。

「誰か~! 誰かいませんか~! 助けに来ました!!」

 私は再度、大きな声をあげると、ボロボロになった家から人が出て来た。

「リータ……リータか?」
「お父さん?」
「リータなの!?」
「お母さん……」
「なんでお前が?」
「リータ。危ないから、みんなと一緒に隠れましょう」
「みんな無事なの!?」
「大丈夫よ」
「よかった~。それはそうと、お父さん達はなんで避難所に行かないの?」
「突然襲われたから、逃げ遅れたんだ。一日地下倉庫に隠れていたが、ここも危険には変わり無いから様子を見に出たんだけど、この分じゃ……」
「いまは話してる場合じゃないわ。早く隠れましょう!」
「あ、ああ。そうだな。急ごう!」


 私達が地下倉庫に移動しようとしたその時、後ろからズシンズシンと音が響いた。後ろを振り向くと、2メートル近くある黒いイナゴが小さいイナゴを連れて、私達に近付いていた。

「二人ともゆっくり隠れるんだ。俺がおとりになる」
「あなた!」
「お父さん!」
「なあに。俺一人なら逃げ切れるさ」

 そんなわけはない。強がりだ。黒イナゴから逃げ切れるわけがない。怖い。猫さん……助けて……
 違う! 私が助けに来たんだ。猫さんに任されたんだ。私が家族を守らなきゃ!

「こっちだ! 来い!!」

 お父さんは黒イナゴに石を投げて、注意を引き付けて走り出す。しかし、黒イナゴはお父さんの進行方向に素早く移動して道を塞いだ。
 するとお父さんは、恐怖のあまり座り込んでしまった。

 危ない!

 私は急いでお父さんと黒イナゴの間に入り、猫さんが作ってくれた盾を構える。黒イナゴは私達に突進するが、私は力を込めて耐える。

「お前……」
「リータ……」
「お父さん、お母さん。私、ハンターになったんだよ。強いんだよ。だから二人とも早く逃げて!」

 私は二人に笑顔を向ける。

 ちゃんと笑えていたかは自信がない。それでも安心させたい。猫さんには魔力を節約しろと言われているけど、少しぐらい、いいよね?

「【土槍】!!」

 私は受け止めて動きの止まった黒イナゴに、猫さんに教えてもらった魔法を唱える。だが、黒イナゴはとっさに後ろに跳び、避けられてしまった。

「リータ、お前……魔法を使えたのか?」
「とっても強い猫さんに教えてもらったの。だから安心して逃げて」
「猫さん??」
「私の師匠で大好きな人だよ」

 あ……猫さんは人じゃないや。でも、いまはややこしいから人で通した方がいいかな?

「大丈夫だから早く行って!!」
「わ、わかった……でも、無理はするなよ」


 お父さんはお母さんの元へ走り、お母さんを連れて家に走る。だが、黒イナゴはそれを許してくれない。黒イナゴは羽を広げ出した。私は危険を感じ、お父さん達の間に入り、盾を構えて後退する。
 私が守りの準備に入ったその時、黒イナゴは羽をバタつかせ、多くの【風の刃】を飛ばした。

「キャーーー!」
「お母さん! お父さん!」
「大丈夫だ。家に当たったからビックリしただけだ。すぐに地下倉庫に入る」
「リータも……いえ、なんでもないわ」

 お母さんは心配して振り返ったが、言い掛けた言葉を呑み込んで、お父さんと共に家の中に消えて行った。

 お父さん達は大丈夫そうだ。でも、家がボロボロ……私の育った家を!


 私は怒り、黒イナゴに向けて走り出す。そして猫さんに習ったパンチを打つ。その瞬間、横から衝撃が走った。
 私は大振りにパンチを打ったので、その隙を狙われ、小さいイナゴに体当たりをされてしまい、吹っ飛ばされてしまったのだ。

 くっ……痛い。猫さんに攻勢に出るなと言われていたのに。猫さんの教え通り戦っていれば、こんな攻撃、盾で防げていたのに。私のバカ! 体は……動く。まだやれる。今度は猫さんの教えを守って戦おう!


 私は立ち上がり盾を構える。黒イナゴは私に【風の刃】を飛ばすが、私は盾で耐える。【風の刃】が止むと、また横から小さいイナゴが体当たりをして来る。
 私は冷静に小さいイナゴを盾で受け止める。そして……

「動きが止まった! 【土槍】!!」

 私は猫さんの教え通りに、動きの止まったイナゴに、下から【土槍】を突き上げる。【土槍】は、イナゴの腹から背中に貫通する。するとイナゴは、バタバタした後、動きを止めた。

 猫さん。やりましたよ!

 私はイナゴが動きを止めると、小さく拳を握り、次の戦いに気を引き締めるのであった。
しおりを挟む
感想 962

あなたにおすすめの小説

狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~

一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。 しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。 流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。 その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。 右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。 この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。 数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。 元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。 根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね? そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。 色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。 ……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

一緒に異世界転生した飼い猫のもらったチートがやばすぎた。もしかして、メインは猫の方ですか、女神様!?

たまご
ファンタジー
 アラサーの相田つかさは事故により命を落とす。  最期の瞬間に頭に浮かんだのが「猫達のごはん、これからどうしよう……」だったせいか、飼っていた8匹の猫と共に異世界転生をしてしまう。  だが、つかさが目を覚ます前に女神様からとんでもチートを授かった猫達は新しい世界へと自由に飛び出して行ってしまう。  女神様に泣きつかれ、つかさは猫達を回収するために旅に出た。  猫達が、世界を滅ぼしてしまう前に!! 「私はスローライフ希望なんですけど……」  この作品は「小説家になろう」さん、「エブリスタ」さんで完結済みです。  表紙の写真は、モデルになったうちの猫様です。

薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ

柚木 潤
ファンタジー
 実家の薬華異堂薬局に戻った薬剤師の舞は、亡くなった祖父から譲り受けた鍵で開けた扉の中に、不思議な漢方薬の調合が書かれた、古びた本を見つけた。  そして、異世界から助けを求める手紙が届き、舞はその異世界に転移する。  舞は不思議な薬を作り、それは魔人や魔獣にも対抗できる薬であったのだ。  そんな中、魔人の王から舞を見るなり、懐かしい人を思い出させると。  500年前にも、この異世界に転移していた女性がいたと言うのだ。  それは舞と関係のある人物であった。  その後、一部の魔人の襲撃にあうが、舞や魔人の王ブラック達の力で危機を乗り越え、人間と魔人の世界に平和が訪れた。  しかし、500年前に転移していたハナという女性が大事にしていた森がアブナイと手紙が届き、舞は再度転移する。  そして、黒い影に侵食されていた森を舞の薬や魔人達の力で復活させる事が出来たのだ。  ところが、舞が自分の世界に帰ろうとした時、黒い翼を持つ人物に遭遇し、舞に自分の世界に来てほしいと懇願する。  そこには原因不明の病の女性がいて、舞の薬で異物を分離するのだ。  そして、舞を探しに来たブラック達魔人により、昔に転移した一人の魔人を見つけるのだが、その事を隠して黒翼人として生活していたのだ。  その理由や女性の病の原因をつきとめる事が出来たのだが悲しい結果となったのだ。  戻った舞はいつもの日常を取り戻していたが、秘密の扉の中の物が燃えて灰と化したのだ。  舞はまた異世界への転移を考えるが、魔法陣は動かなかったのだ。  何とか舞は転移出来たが、その世界ではドラゴンが復活しようとしていたのだ。  舞は命懸けでドラゴンの良心を目覚めさせる事が出来、世界は火の海になる事は無かったのだ。  そんな時黒翼国の王子が、暗い森にある遺跡を見つけたのだ。   *第1章 洞窟出現編 第2章 森再生編 第3章 翼国編  第4章 火山のドラゴン編 が終了しました。  第5章 闇の遺跡編に続きます。

【完結】487222760年間女神様に仕えてきた俺は、そろそろ普通の異世界転生をしてもいいと思う

こすもすさんど(元:ムメイザクラ)
ファンタジー
 異世界転生の女神様に四億年近くも仕えてきた、名も無きオリ主。  億千の異世界転生を繰り返してきた彼は、女神様に"休暇"と称して『普通の異世界転生がしたい』とお願いする。  彼の願いを聞き入れた女神様は、彼を無難な異世界へと送り出す。  四億年の経験知識と共に異世界へ降り立ったオリ主――『アヤト』は、自由気ままな転生者生活を満喫しようとするのだが、そんなぶっ壊れチートを持ったなろう系オリ主が平穏無事な"普通の異世界転生"など出来るはずもなく……?  道行く美少女ヒロイン達をスパルタ特訓で徹底的に鍛え上げ、邪魔する奴はただのパンチで滅殺抹殺一撃必殺、それも全ては"普通の異世界転生"をするために!  気が付けばヒロインが増え、気が付けば厄介事に巻き込まれる、テメーの頭はハッピーセットな、なろう系最強チーレム無双オリ主の明日はどっちだ!?    ※小説家になろう、エブリスタ、ノベルアップ+にも掲載しております。

猫王様の千年股旅

ma-no
ファンタジー
 神様のミスで森に住む白猫に転生させられた老人。  紆余曲折の末、猫の国の王となったけど、そこからが長い。  魔法チートで戦ったり技術チートしたり世界中を旅したりしても、まだまだ時間は有り余っている。  千年の寿命を与えられた猫は、幾千の出会いと別れを繰り返すのであった…… ☆注☆ この話は「アイムキャット!!? 異世界キャット驚く漫遊記」の続編です。 できるだけ前情報なしで書いていますので、新しい読者様に出会えると幸いです。 初っ端からネタバレが含まれていますので、気になる人は元の話から読んでもらえたら有り難いですけど、超長いので覚悟が必要かも…… 「アルファポリス」「小説家になろう」「カクヨミ」で同時掲載中です。 R指定は念の為です。  毎週日曜、夕方ぐらいに更新しております。

異世界に落ちたら若返りました。

アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。 夫との2人暮らし。 何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。 そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー 気がついたら知らない場所!? しかもなんかやたらと若返ってない!? なんで!? そんなおばあちゃんのお話です。 更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。

転生したらただの女の子、かと思ったら最強の魔物使いだったらしいです〜しゃべるうさぎと始める異世界魔物使いファンタジー〜

上村 俊貴
ファンタジー
【あらすじ】  普通に事務職で働いていた成人男性の如月真也(きさらぎしんや)は、ある朝目覚めたら異世界だった上に女になっていた。一緒に牢屋に閉じ込められていた謎のしゃべるうさぎと協力して脱出した真也改めマヤは、冒険者となって異世界を暮らしていくこととなる。帰る方法もわからないし特別帰りたいわけでもないマヤは、しゃべるうさぎ改めマッシュのさらわれた家族を救出すること当面の目標に、冒険を始めるのだった。 (しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます) 【キャラクター】 マヤ ・主人公(元は如月真也という名前の男) ・銀髪翠眼の少女 ・魔物使い マッシュ ・しゃべるうさぎ ・もふもふ ・高位の魔物らしい オリガ ・ダークエルフ ・黒髪金眼で褐色肌 ・魔力と魔法がすごい 【作者から】 毎日投稿を目指してがんばります。 わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも? それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。

処理中です...