アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

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第六章 ハンター編其の四 遊ぶにゃ~

150 穏やかな一日にゃ~

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 はぁ……昨夜は一段と激しかったな……

 盗賊討伐の翌日、わしは目を覚ますと、隣に寝ているリータとメイバイを見つめる。

 みんな着流しも乱れておる。こんな姿、さっちゃんに見られたら、また怒られそうじゃわい。いっそ、この二人のどちらかと結婚して体裁ていさいを保つか?
 いや、そんな事をしてしまったら何が起こるか想像がつかん。それにわしも覚悟が決まっておらんしのう。
 それにしても、二人とも今日は仕事に行かないのかな? 昨日は夜遅くまでわしを撫で回していたから寝坊しておるのか? まぁこんな朝もいいか。


「ん……シラタマさん?」
「ふニャー……」

 穏やかな時間が過ぎ、二人を見つめながら頭を優しく撫でていると、二人も目を覚ました。

「おはようにゃ」
「おはようございます」
「おはようニャー」
「さて、起きて行動を起こすにゃ」
「もう少しこのままで……」
「幸せニャー」
「そうだにゃ~」
「「!?」」

 わしの発言に、リータとメイバイは目をパチクリさせて見つめ合う。

「どうしたにゃ?」
「シラタマさんは、いつもなら、無理にでも抜け出そうとします」
「私達と居て、幸せって言ったニャー!」
「そうだったかにゃ?」
「シラタマさん!」
「シラタマ殿~!」
「にゃ!? 朝からそんにゃこと……ゴロゴロ~。首を噛むにゃ。ゴロゴロ~。リータもそこは触らにゃいで……ゴロゴロ~」

 今日も朝からめちゃくちゃにされて一日が始まる。撫で回すのに気の済んだ二人は恍惚な表情をし、毛並みの乱れたわしは、また朝からお風呂に入る事となった。
 二人に洗ってもらい、二人もわしで洗う。バススポンジも慣れたモノだ。お風呂から上がるとブラッシングをしてもらい、簡単な朝食を済ませる。そして、二人には家の掃除を頼み、わしは庭に出て、旅の準備を行う。

 まずは飛行機からいこうかな。横に広げるだけじゃからすぐに終わりそうじゃが、ガラスが割れないように慎重にやらねば。

 わしは次元倉庫から取り出した飛行機を、土魔法で横に広げる。そして中に入って椅子を設置。椅子はこのままでは硬いので、毛皮で作ったクッションを配置していき、完了となる。

 う~ん。縦長の飛行機が太ったように見えてバランスが悪い。とても空を飛びそうに見えん。羽をもう少し大きくして……これでも変じゃな。先を伸ばして空気抵抗を少なくして……こんなものかな?
 ちょっと不細工じゃが、元の形に戻す事を考えたら,こんなもんじゃろう。

 飛行機の改造が終わり、わしがしげしげと眺めていると、縁側にリータとメイバイがやって来た。

「シラタマさん。掃除終わりました~」
「何してるニャー?」
「二人とも、ありがとうにゃ。移動に使う乗り物を用意していたにゃ」
「大きくなりましたね」
「こんな物で、空が飛べるのが不思議ニャー」
「女王も乗るから人数が増えるにゃ。形は変だけど、にゃんとかなると思うにゃ」

 わしは話しながら飛行機を次元倉庫に仕舞い、盗賊からカツアゲした……仕事の報酬で手に入れた剣を取り出す。

「あ……いつ見てもシラタマさんの収納魔法は凄いです。あんなに大きな物が消えました」
「剣もいっぱい出て来たニャー。それはどうしたニャ?」
「盗賊から没収して来たにゃ。にゃ! そうそう。これ、二人にプレゼントにゃ」
「この鞄はなんですか?」
「収納袋にゃ」

 わしが収納袋と言うと、リータとメイバイの顔が曇った。

「収納袋って高いんじゃないニャー? シラタマ殿に貰ってばっかりニャ……」
「これも盗賊の持ち物にゃ。お金は掛かってないから貰ってくれにゃ」
「それなら……ありがとうございます」
「ありがとニャ。大事に使うニャー」

 二人はタダだと聞くと、渋々だが受け取ってくれた。

「リータはその中に入っている宝石の鑑定をしてくれるかにゃ? ちょっと気になる物があったから持って帰って来たにゃ」
「はい。わかりました」
「いまから車を作るから時間が掛かるにゃ。鑑定が終わったら、二人は外にでも遊びに行くかにゃ?」
「いえ。見ています」
「シラタマ殿を見ているのは、飽きないニャー」
「じゃあ、最近冷えて来たし、焚き火を用意するにゃ。体を冷やさないようにするにゃ」
「ありがとうございます」
「はいニャー」

 わしは縁側の側に薪を置いて、魔法で火を点ける。そして盗賊の剣を鉄魔法で次々とスプリングに変え、数が揃うとサスペンションとソファーに組み込む。
 次に土魔法で車の形を作り、サスペンションを組み込む。外観が完成すると中に入り、ガラスを取り付け、固定の椅子とテーブルを配置し、ソファーも固定する。

 女王用に作ったけど、少し飾りっ気が無いか? まぁ猫のわしに貴族の豪華さを期待されても困る。運転席は右に二席寄せ、キッチンやベットも無いから広く使えて、ゆったり出来るからこれでいいか。

 完成した車の中をチェックしていると、リータとメイバイも乗り込んで来た。

「シラタマさん。出来ましたか?」
「うんにゃ。出来たにゃ」
「こっちは広いのですね」
「女王用だからにゃ。さすがに街中を歩かせるわけにも、いかないからにゃ~」
「このソファー、弾力があって楽しいにゃ~」

 リータの質問に答えていたら、メイバイは奥まで進み、ソファーで飛び跳ねていたので慌てて止める。

「そんにゃに乱暴に扱うにゃ~。壊れちゃうにゃ~」
「ごめんニャー……」
「わかってくれたらいいにゃ。二人とも、ソファーを作るの手伝ってくれてありがとにゃ。おかげで早く終わったにゃ」
「シラタマ殿~」
「少しでもお手伝い出来てよかったです」
「さっきの宝石はどうだったにゃ?」
「このひとつだけ普通の宝石で、あとは悲しい感じがします」

 お! リータが言うなら間違いないな。気になったから持って帰って来たけど正解じゃった。

「やっぱり当りだったにゃ。そのひとつは、わしも気にならなかったにゃ」
「シラタマさんも、わかるようになったのですか?」
「いや、気になっただけにゃ。リータのように感情まではわからないにゃ」
「いいニャー。私もリータのように、シラタマ殿の役に立ちたいニャ……」

 メイバイは先ほど怒られたからか、しゅんとしながらリータとわしを見る。

「これは適材適所にゃ。メイバイもいつか必ず、違う形でわしを助けてくれると信じているにゃ」
「シラタマ殿~。私、頑張るニャー」
「にゃ!? 泣くにゃ~。メイバイは笑っている顔が、一番好きにゃ~」
「うぅぅ。そんなこと言われたら、嬉しくてもっと泣いちゃうにゃ~」
「わかった。わかったからにゃ?」
「メイバイさん。いいな~」
「もちろんリータの笑顔も好きにゃ。いつまでも、わしのそばで笑っていてくれにゃ」
「シラタマさ~ん」

 わしが笑顔が好きだと言うと、二人は泣き出す。矛盾しているが、嬉し涙とわしは受け取った。そうして二人が落ち着いた頃には、太陽が真上に近付いていた。

「そろそろお昼だけど、外に食べに行こうかにゃ? みんにゃどこがいいにゃ?」
「「どこでもいい(ニャー)です」」

 それが一番困るんじゃが……まぁいいか。

「それじゃあ、広場の露店を冷やかしに行くにゃ~」
「「にゃ~!!」」

 メイバイはわかるけど、リータまで……

 気の抜ける掛け声に、わしはズッコケそうになったが耐えて、広場に向かう。広場の露店で買い食いしながら、露店の人、道行く人と言葉を交わし、お腹を膨らませていく。
 リータとメイバイは終始笑顔で、わしも釣られて笑顔になる。そんな笑顔に釣られたのか、広場も笑い声が包み込む。お腹も脹れ、おばちゃんの店でも買い出しの終わったわし達は、広場をあとにした。


 ぺちゃくちゃと話しながら家に戻ると、離れでコーヒーをれる。リータとメイバイも珍しくわしに付き合い、畳に座っている。

「二人は無理に付き合わなくてもいいにゃ」
「だいぶ慣れて来ましたから大丈夫です」
「そうだニャ。嗅ぎ慣れてなかっただけかもしれないニャ-」
「じゃあ、ミルクと砂糖を多目に入れてカフェオレにするにゃ」
「「カフェオレ?」」

 初めて聞いた単語に、二人の声が重なった。

「ああ。元の世界の飲み物にゃ。英語とは違う言葉で、コーヒーとミルクを半分って意味にゃ」
「へ~。シラタマさんの元の世界では、言葉がいっぱいあるのですね」
「文字もいっぱいあるニャ?」
「そうにゃ。それで摩擦が起きる事もあるにゃ」
「言葉がわからないですもんね」
「はいにゃ。カフェオレ、出来上がりにゃ」

 二人と話している間も手を動かしていたわしは、二人の前にコーヒーカップを並べる。二人は匂いを嗅ぎ、それから口を付ける。

「あ! 飲めるかも?」
「うん。甘くて美味しいかもニャ?」
「にゃはは。食べ物にゃんてそんなもんにゃ。あと、これもカフェオレに合うから食べるにゃ」

 わしは次元倉庫からチョコを取り出し、二人に勧める。

「苦い? 甘い? でも、美味しい……」
「不思議な味で美味しいニャー」
「これはコーヒー豆の苦みを使ったお菓子。チョコレートにゃ。本当は、前回の旅の目的がこれだったにゃ」
「そうだったのですか!」
「てっきり、女王様の誕生日の品を探しに行ったんだと思っていたニャ」

 二人は驚きながらもチョコに手を伸ばし、わしはコーヒーをすすりながら軽く愚痴る。

「まぁコーヒー豆は、わしが欲かっただけで、ガウリカに任せていたからにゃ。エンマはいいとして、スティナに無理矢理仕事を押し付けられたから、大変な目にあってしまったにゃ」
「シラタマさんは、スティナさんに、よく酷い目にあってますもんね」
「ホントにゃ~」
「私はフレヤが苦手ニャー」
「にゃはは。着せ替え人形にゃ~」

 わしの愚痴にリータが「うんうん」と頷き、メイバイは被害にあっていたので愚痴に乗っかる。

「もう! リータは誰が苦手ニャー?」
「私は……しいて言えば、エンマさん?」
「エンマは、特ににゃにもしないにゃ」
「それです! シラタマさんは、エンマさんを庇うところがあります!」
「そうそう。よく脚を見てるニャー!」
「そんにゃこと……」
「「「にゃ!?」」」

 わし達が悪口に花を咲かせていると、突如、離れの扉が開き、アダルトフォーが登場した。

「なんでみんな驚くのよ?」
「そ、それは……いきなり扉が開いたからにゃ~。にゃ?」
「そ、そうです」
「びっくりニャー」

 スティナの問いにわし達が言い訳すると、エンマ、フレヤ、ガウリカは疑いの目で見て来た。

「「「怪しい…」」」
「「「そんにゃことないにゃ~」」」
「ほら。みんなシラタマちゃんの口調になっているじゃない」
「「「にゃ!?」」」

 何故かわしをマネするリータとメイバイ。納得のいかないわしは二人の顔をキョロキョロ見ていると、エンマは微笑みながらわしの頭を撫でる。

「フフフ。息ピッタリですね。妬けちゃいます」
「シラタマさんは渡しません!」
「そうニャー! シッシッ、ニャー」

 リータとメイバイはわしを守り、エンマを追い払おうとする。しかしフレヤとスティナが、わしとメイバイに襲い掛かって来た。

「メイバイちゃん。新作の服よ~」
「ニャー! シラタマ殿、助けてニャー」
「シラタマちゃん、朝まで飲むわよ~」
「にゃ~! わしも助けて欲しいにゃ~」
「わ! 猫、あたしに抱きつくな!」

 一番わしに害がないガウリカに助けを求めたが、そのせいでリータとメイバイの目が怪しく光ってしまった。

「「新たな敵 (ニャ)です」」
「ち、違う!」
「にゃはははは」

 ガウリカも二人の目が怖かったのか、焦って言い訳するので、わしは大口開けて笑ってしまった。すると、スティナを筆頭に、皆に笑いが伝染する……

「何笑っているの……フフフ」
「「「「フフフフフ」」」」
「「「「「アハハハハハ」」」」」

 穏やかな一日がアダルトフォーの登場で、笑い声の聞こえる一日と変わる。わしは穏やかな一日も好きだが、こういう一日も悪く無いと思ってしまった。

「さあ、飲むわよ~」
「首を持つにゃ~」
「じゃあ、抱いた方がいい?」
「いえ。首でいいですにゃ……」

 これが無ければ……

 その後、エミリの料理に舌鼓を打ち、笑い声の絶えない夜を終え、眠りに就く事のであった。
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