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第六章 ハンター編其の四 遊ぶにゃ~
150 穏やかな一日にゃ~
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はぁ……昨夜は一段と激しかったな……
盗賊討伐の翌日、わしは目を覚ますと、隣に寝ているリータとメイバイを見つめる。
みんな着流しも乱れておる。こんな姿、さっちゃんに見られたら、また怒られそうじゃわい。いっそ、この二人のどちらかと結婚して体裁を保つか?
いや、そんな事をしてしまったら何が起こるか想像がつかん。それにわしも覚悟が決まっておらんしのう。
それにしても、二人とも今日は仕事に行かないのかな? 昨日は夜遅くまでわしを撫で回していたから寝坊しておるのか? まぁこんな朝もいいか。
「ん……シラタマさん?」
「ふニャー……」
穏やかな時間が過ぎ、二人を見つめながら頭を優しく撫でていると、二人も目を覚ました。
「おはようにゃ」
「おはようございます」
「おはようニャー」
「さて、起きて行動を起こすにゃ」
「もう少しこのままで……」
「幸せニャー」
「そうだにゃ~」
「「!?」」
わしの発言に、リータとメイバイは目をパチクリさせて見つめ合う。
「どうしたにゃ?」
「シラタマさんは、いつもなら、無理にでも抜け出そうとします」
「私達と居て、幸せって言ったニャー!」
「そうだったかにゃ?」
「シラタマさん!」
「シラタマ殿~!」
「にゃ!? 朝からそんにゃこと……ゴロゴロ~。首を噛むにゃ。ゴロゴロ~。リータもそこは触らにゃいで……ゴロゴロ~」
今日も朝からめちゃくちゃにされて一日が始まる。撫で回すのに気の済んだ二人は恍惚な表情をし、毛並みの乱れたわしは、また朝からお風呂に入る事となった。
二人に洗ってもらい、二人もわしで洗う。バススポンジも慣れたモノだ。お風呂から上がるとブラッシングをしてもらい、簡単な朝食を済ませる。そして、二人には家の掃除を頼み、わしは庭に出て、旅の準備を行う。
まずは飛行機からいこうかな。横に広げるだけじゃからすぐに終わりそうじゃが、ガラスが割れないように慎重にやらねば。
わしは次元倉庫から取り出した飛行機を、土魔法で横に広げる。そして中に入って椅子を設置。椅子はこのままでは硬いので、毛皮で作ったクッションを配置していき、完了となる。
う~ん。縦長の飛行機が太ったように見えてバランスが悪い。とても空を飛びそうに見えん。羽をもう少し大きくして……これでも変じゃな。先を伸ばして空気抵抗を少なくして……こんなものかな?
ちょっと不細工じゃが、元の形に戻す事を考えたら,こんなもんじゃろう。
飛行機の改造が終わり、わしがしげしげと眺めていると、縁側にリータとメイバイがやって来た。
「シラタマさん。掃除終わりました~」
「何してるニャー?」
「二人とも、ありがとうにゃ。移動に使う乗り物を用意していたにゃ」
「大きくなりましたね」
「こんな物で、空が飛べるのが不思議ニャー」
「女王も乗るから人数が増えるにゃ。形は変だけど、にゃんとかなると思うにゃ」
わしは話しながら飛行機を次元倉庫に仕舞い、盗賊からカツアゲした……仕事の報酬で手に入れた剣を取り出す。
「あ……いつ見てもシラタマさんの収納魔法は凄いです。あんなに大きな物が消えました」
「剣もいっぱい出て来たニャー。それはどうしたニャ?」
「盗賊から没収して来たにゃ。にゃ! そうそう。これ、二人にプレゼントにゃ」
「この鞄はなんですか?」
「収納袋にゃ」
わしが収納袋と言うと、リータとメイバイの顔が曇った。
「収納袋って高いんじゃないニャー? シラタマ殿に貰ってばっかりニャ……」
「これも盗賊の持ち物にゃ。お金は掛かってないから貰ってくれにゃ」
「それなら……ありがとうございます」
「ありがとニャ。大事に使うニャー」
二人はタダだと聞くと、渋々だが受け取ってくれた。
「リータはその中に入っている宝石の鑑定をしてくれるかにゃ? ちょっと気になる物があったから持って帰って来たにゃ」
「はい。わかりました」
「いまから車を作るから時間が掛かるにゃ。鑑定が終わったら、二人は外にでも遊びに行くかにゃ?」
「いえ。見ています」
「シラタマ殿を見ているのは、飽きないニャー」
「じゃあ、最近冷えて来たし、焚き火を用意するにゃ。体を冷やさないようにするにゃ」
「ありがとうございます」
「はいニャー」
わしは縁側の側に薪を置いて、魔法で火を点ける。そして盗賊の剣を鉄魔法で次々とスプリングに変え、数が揃うとサスペンションとソファーに組み込む。
次に土魔法で車の形を作り、サスペンションを組み込む。外観が完成すると中に入り、ガラスを取り付け、固定の椅子とテーブルを配置し、ソファーも固定する。
女王用に作ったけど、少し飾りっ気が無いか? まぁ猫のわしに貴族の豪華さを期待されても困る。運転席は右に二席寄せ、キッチンやベットも無いから広く使えて、ゆったり出来るからこれでいいか。
完成した車の中をチェックしていると、リータとメイバイも乗り込んで来た。
「シラタマさん。出来ましたか?」
「うんにゃ。出来たにゃ」
「こっちは広いのですね」
「女王用だからにゃ。さすがに街中を歩かせるわけにも、いかないからにゃ~」
「このソファー、弾力があって楽しいにゃ~」
リータの質問に答えていたら、メイバイは奥まで進み、ソファーで飛び跳ねていたので慌てて止める。
「そんにゃに乱暴に扱うにゃ~。壊れちゃうにゃ~」
「ごめんニャー……」
「わかってくれたらいいにゃ。二人とも、ソファーを作るの手伝ってくれてありがとにゃ。おかげで早く終わったにゃ」
「シラタマ殿~」
「少しでもお手伝い出来てよかったです」
「さっきの宝石はどうだったにゃ?」
「このひとつだけ普通の宝石で、あとは悲しい感じがします」
お! リータが言うなら間違いないな。気になったから持って帰って来たけど正解じゃった。
「やっぱり当りだったにゃ。そのひとつは、わしも気にならなかったにゃ」
「シラタマさんも、わかるようになったのですか?」
「いや、気になっただけにゃ。リータのように感情まではわからないにゃ」
「いいニャー。私もリータのように、シラタマ殿の役に立ちたいニャ……」
メイバイは先ほど怒られたからか、しゅんとしながらリータとわしを見る。
「これは適材適所にゃ。メイバイもいつか必ず、違う形でわしを助けてくれると信じているにゃ」
「シラタマ殿~。私、頑張るニャー」
「にゃ!? 泣くにゃ~。メイバイは笑っている顔が、一番好きにゃ~」
「うぅぅ。そんなこと言われたら、嬉しくてもっと泣いちゃうにゃ~」
「わかった。わかったからにゃ?」
「メイバイさん。いいな~」
「もちろんリータの笑顔も好きにゃ。いつまでも、わしのそばで笑っていてくれにゃ」
「シラタマさ~ん」
わしが笑顔が好きだと言うと、二人は泣き出す。矛盾しているが、嬉し涙とわしは受け取った。そうして二人が落ち着いた頃には、太陽が真上に近付いていた。
「そろそろお昼だけど、外に食べに行こうかにゃ? みんにゃどこがいいにゃ?」
「「どこでもいい(ニャー)です」」
それが一番困るんじゃが……まぁいいか。
「それじゃあ、広場の露店を冷やかしに行くにゃ~」
「「にゃ~!!」」
メイバイはわかるけど、リータまで……
気の抜ける掛け声に、わしはズッコケそうになったが耐えて、広場に向かう。広場の露店で買い食いしながら、露店の人、道行く人と言葉を交わし、お腹を膨らませていく。
リータとメイバイは終始笑顔で、わしも釣られて笑顔になる。そんな笑顔に釣られたのか、広場も笑い声が包み込む。お腹も脹れ、おばちゃんの店でも買い出しの終わったわし達は、広場をあとにした。
ぺちゃくちゃと話しながら家に戻ると、離れでコーヒーを淹れる。リータとメイバイも珍しくわしに付き合い、畳に座っている。
「二人は無理に付き合わなくてもいいにゃ」
「だいぶ慣れて来ましたから大丈夫です」
「そうだニャ。嗅ぎ慣れてなかっただけかもしれないニャ-」
「じゃあ、ミルクと砂糖を多目に入れてカフェオレにするにゃ」
「「カフェオレ?」」
初めて聞いた単語に、二人の声が重なった。
「ああ。元の世界の飲み物にゃ。英語とは違う言葉で、コーヒーとミルクを半分って意味にゃ」
「へ~。シラタマさんの元の世界では、言葉がいっぱいあるのですね」
「文字もいっぱいあるニャ?」
「そうにゃ。それで摩擦が起きる事もあるにゃ」
「言葉がわからないですもんね」
「はいにゃ。カフェオレ、出来上がりにゃ」
二人と話している間も手を動かしていたわしは、二人の前にコーヒーカップを並べる。二人は匂いを嗅ぎ、それから口を付ける。
「あ! 飲めるかも?」
「うん。甘くて美味しいかもニャ?」
「にゃはは。食べ物にゃんてそんなもんにゃ。あと、これもカフェオレに合うから食べるにゃ」
わしは次元倉庫からチョコを取り出し、二人に勧める。
「苦い? 甘い? でも、美味しい……」
「不思議な味で美味しいニャー」
「これはコーヒー豆の苦みを使ったお菓子。チョコレートにゃ。本当は、前回の旅の目的がこれだったにゃ」
「そうだったのですか!」
「てっきり、女王様の誕生日の品を探しに行ったんだと思っていたニャ」
二人は驚きながらもチョコに手を伸ばし、わしはコーヒーをすすりながら軽く愚痴る。
「まぁコーヒー豆は、わしが欲かっただけで、ガウリカに任せていたからにゃ。エンマはいいとして、スティナに無理矢理仕事を押し付けられたから、大変な目にあってしまったにゃ」
「シラタマさんは、スティナさんに、よく酷い目にあってますもんね」
「ホントにゃ~」
「私はフレヤが苦手ニャー」
「にゃはは。着せ替え人形にゃ~」
わしの愚痴にリータが「うんうん」と頷き、メイバイは被害にあっていたので愚痴に乗っかる。
「もう! リータは誰が苦手ニャー?」
「私は……しいて言えば、エンマさん?」
「エンマは、特ににゃにもしないにゃ」
「それです! シラタマさんは、エンマさんを庇うところがあります!」
「そうそう。よく脚を見てるニャー!」
「そんにゃこと……」
「「「にゃ!?」」」
わし達が悪口に花を咲かせていると、突如、離れの扉が開き、アダルトフォーが登場した。
「なんでみんな驚くのよ?」
「そ、それは……いきなり扉が開いたからにゃ~。にゃ?」
「そ、そうです」
「びっくりニャー」
スティナの問いにわし達が言い訳すると、エンマ、フレヤ、ガウリカは疑いの目で見て来た。
「「「怪しい…」」」
「「「そんにゃことないにゃ~」」」
「ほら。みんなシラタマちゃんの口調になっているじゃない」
「「「にゃ!?」」」
何故かわしをマネするリータとメイバイ。納得のいかないわしは二人の顔をキョロキョロ見ていると、エンマは微笑みながらわしの頭を撫でる。
「フフフ。息ピッタリですね。妬けちゃいます」
「シラタマさんは渡しません!」
「そうニャー! シッシッ、ニャー」
リータとメイバイはわしを守り、エンマを追い払おうとする。しかしフレヤとスティナが、わしとメイバイに襲い掛かって来た。
「メイバイちゃん。新作の服よ~」
「ニャー! シラタマ殿、助けてニャー」
「シラタマちゃん、朝まで飲むわよ~」
「にゃ~! わしも助けて欲しいにゃ~」
「わ! 猫、あたしに抱きつくな!」
一番わしに害がないガウリカに助けを求めたが、そのせいでリータとメイバイの目が怪しく光ってしまった。
「「新たな敵 (ニャ)です」」
「ち、違う!」
「にゃはははは」
ガウリカも二人の目が怖かったのか、焦って言い訳するので、わしは大口開けて笑ってしまった。すると、スティナを筆頭に、皆に笑いが伝染する……
「何笑っているの……フフフ」
「「「「フフフフフ」」」」
「「「「「アハハハハハ」」」」」
穏やかな一日がアダルトフォーの登場で、笑い声の聞こえる一日と変わる。わしは穏やかな一日も好きだが、こういう一日も悪く無いと思ってしまった。
「さあ、飲むわよ~」
「首を持つにゃ~」
「じゃあ、抱いた方がいい?」
「いえ。首でいいですにゃ……」
これが無ければ……
その後、エミリの料理に舌鼓を打ち、笑い声の絶えない夜を終え、眠りに就く事のであった。
盗賊討伐の翌日、わしは目を覚ますと、隣に寝ているリータとメイバイを見つめる。
みんな着流しも乱れておる。こんな姿、さっちゃんに見られたら、また怒られそうじゃわい。いっそ、この二人のどちらかと結婚して体裁を保つか?
いや、そんな事をしてしまったら何が起こるか想像がつかん。それにわしも覚悟が決まっておらんしのう。
それにしても、二人とも今日は仕事に行かないのかな? 昨日は夜遅くまでわしを撫で回していたから寝坊しておるのか? まぁこんな朝もいいか。
「ん……シラタマさん?」
「ふニャー……」
穏やかな時間が過ぎ、二人を見つめながら頭を優しく撫でていると、二人も目を覚ました。
「おはようにゃ」
「おはようございます」
「おはようニャー」
「さて、起きて行動を起こすにゃ」
「もう少しこのままで……」
「幸せニャー」
「そうだにゃ~」
「「!?」」
わしの発言に、リータとメイバイは目をパチクリさせて見つめ合う。
「どうしたにゃ?」
「シラタマさんは、いつもなら、無理にでも抜け出そうとします」
「私達と居て、幸せって言ったニャー!」
「そうだったかにゃ?」
「シラタマさん!」
「シラタマ殿~!」
「にゃ!? 朝からそんにゃこと……ゴロゴロ~。首を噛むにゃ。ゴロゴロ~。リータもそこは触らにゃいで……ゴロゴロ~」
今日も朝からめちゃくちゃにされて一日が始まる。撫で回すのに気の済んだ二人は恍惚な表情をし、毛並みの乱れたわしは、また朝からお風呂に入る事となった。
二人に洗ってもらい、二人もわしで洗う。バススポンジも慣れたモノだ。お風呂から上がるとブラッシングをしてもらい、簡単な朝食を済ませる。そして、二人には家の掃除を頼み、わしは庭に出て、旅の準備を行う。
まずは飛行機からいこうかな。横に広げるだけじゃからすぐに終わりそうじゃが、ガラスが割れないように慎重にやらねば。
わしは次元倉庫から取り出した飛行機を、土魔法で横に広げる。そして中に入って椅子を設置。椅子はこのままでは硬いので、毛皮で作ったクッションを配置していき、完了となる。
う~ん。縦長の飛行機が太ったように見えてバランスが悪い。とても空を飛びそうに見えん。羽をもう少し大きくして……これでも変じゃな。先を伸ばして空気抵抗を少なくして……こんなものかな?
ちょっと不細工じゃが、元の形に戻す事を考えたら,こんなもんじゃろう。
飛行機の改造が終わり、わしがしげしげと眺めていると、縁側にリータとメイバイがやって来た。
「シラタマさん。掃除終わりました~」
「何してるニャー?」
「二人とも、ありがとうにゃ。移動に使う乗り物を用意していたにゃ」
「大きくなりましたね」
「こんな物で、空が飛べるのが不思議ニャー」
「女王も乗るから人数が増えるにゃ。形は変だけど、にゃんとかなると思うにゃ」
わしは話しながら飛行機を次元倉庫に仕舞い、盗賊からカツアゲした……仕事の報酬で手に入れた剣を取り出す。
「あ……いつ見てもシラタマさんの収納魔法は凄いです。あんなに大きな物が消えました」
「剣もいっぱい出て来たニャー。それはどうしたニャ?」
「盗賊から没収して来たにゃ。にゃ! そうそう。これ、二人にプレゼントにゃ」
「この鞄はなんですか?」
「収納袋にゃ」
わしが収納袋と言うと、リータとメイバイの顔が曇った。
「収納袋って高いんじゃないニャー? シラタマ殿に貰ってばっかりニャ……」
「これも盗賊の持ち物にゃ。お金は掛かってないから貰ってくれにゃ」
「それなら……ありがとうございます」
「ありがとニャ。大事に使うニャー」
二人はタダだと聞くと、渋々だが受け取ってくれた。
「リータはその中に入っている宝石の鑑定をしてくれるかにゃ? ちょっと気になる物があったから持って帰って来たにゃ」
「はい。わかりました」
「いまから車を作るから時間が掛かるにゃ。鑑定が終わったら、二人は外にでも遊びに行くかにゃ?」
「いえ。見ています」
「シラタマ殿を見ているのは、飽きないニャー」
「じゃあ、最近冷えて来たし、焚き火を用意するにゃ。体を冷やさないようにするにゃ」
「ありがとうございます」
「はいニャー」
わしは縁側の側に薪を置いて、魔法で火を点ける。そして盗賊の剣を鉄魔法で次々とスプリングに変え、数が揃うとサスペンションとソファーに組み込む。
次に土魔法で車の形を作り、サスペンションを組み込む。外観が完成すると中に入り、ガラスを取り付け、固定の椅子とテーブルを配置し、ソファーも固定する。
女王用に作ったけど、少し飾りっ気が無いか? まぁ猫のわしに貴族の豪華さを期待されても困る。運転席は右に二席寄せ、キッチンやベットも無いから広く使えて、ゆったり出来るからこれでいいか。
完成した車の中をチェックしていると、リータとメイバイも乗り込んで来た。
「シラタマさん。出来ましたか?」
「うんにゃ。出来たにゃ」
「こっちは広いのですね」
「女王用だからにゃ。さすがに街中を歩かせるわけにも、いかないからにゃ~」
「このソファー、弾力があって楽しいにゃ~」
リータの質問に答えていたら、メイバイは奥まで進み、ソファーで飛び跳ねていたので慌てて止める。
「そんにゃに乱暴に扱うにゃ~。壊れちゃうにゃ~」
「ごめんニャー……」
「わかってくれたらいいにゃ。二人とも、ソファーを作るの手伝ってくれてありがとにゃ。おかげで早く終わったにゃ」
「シラタマ殿~」
「少しでもお手伝い出来てよかったです」
「さっきの宝石はどうだったにゃ?」
「このひとつだけ普通の宝石で、あとは悲しい感じがします」
お! リータが言うなら間違いないな。気になったから持って帰って来たけど正解じゃった。
「やっぱり当りだったにゃ。そのひとつは、わしも気にならなかったにゃ」
「シラタマさんも、わかるようになったのですか?」
「いや、気になっただけにゃ。リータのように感情まではわからないにゃ」
「いいニャー。私もリータのように、シラタマ殿の役に立ちたいニャ……」
メイバイは先ほど怒られたからか、しゅんとしながらリータとわしを見る。
「これは適材適所にゃ。メイバイもいつか必ず、違う形でわしを助けてくれると信じているにゃ」
「シラタマ殿~。私、頑張るニャー」
「にゃ!? 泣くにゃ~。メイバイは笑っている顔が、一番好きにゃ~」
「うぅぅ。そんなこと言われたら、嬉しくてもっと泣いちゃうにゃ~」
「わかった。わかったからにゃ?」
「メイバイさん。いいな~」
「もちろんリータの笑顔も好きにゃ。いつまでも、わしのそばで笑っていてくれにゃ」
「シラタマさ~ん」
わしが笑顔が好きだと言うと、二人は泣き出す。矛盾しているが、嬉し涙とわしは受け取った。そうして二人が落ち着いた頃には、太陽が真上に近付いていた。
「そろそろお昼だけど、外に食べに行こうかにゃ? みんにゃどこがいいにゃ?」
「「どこでもいい(ニャー)です」」
それが一番困るんじゃが……まぁいいか。
「それじゃあ、広場の露店を冷やかしに行くにゃ~」
「「にゃ~!!」」
メイバイはわかるけど、リータまで……
気の抜ける掛け声に、わしはズッコケそうになったが耐えて、広場に向かう。広場の露店で買い食いしながら、露店の人、道行く人と言葉を交わし、お腹を膨らませていく。
リータとメイバイは終始笑顔で、わしも釣られて笑顔になる。そんな笑顔に釣られたのか、広場も笑い声が包み込む。お腹も脹れ、おばちゃんの店でも買い出しの終わったわし達は、広場をあとにした。
ぺちゃくちゃと話しながら家に戻ると、離れでコーヒーを淹れる。リータとメイバイも珍しくわしに付き合い、畳に座っている。
「二人は無理に付き合わなくてもいいにゃ」
「だいぶ慣れて来ましたから大丈夫です」
「そうだニャ。嗅ぎ慣れてなかっただけかもしれないニャ-」
「じゃあ、ミルクと砂糖を多目に入れてカフェオレにするにゃ」
「「カフェオレ?」」
初めて聞いた単語に、二人の声が重なった。
「ああ。元の世界の飲み物にゃ。英語とは違う言葉で、コーヒーとミルクを半分って意味にゃ」
「へ~。シラタマさんの元の世界では、言葉がいっぱいあるのですね」
「文字もいっぱいあるニャ?」
「そうにゃ。それで摩擦が起きる事もあるにゃ」
「言葉がわからないですもんね」
「はいにゃ。カフェオレ、出来上がりにゃ」
二人と話している間も手を動かしていたわしは、二人の前にコーヒーカップを並べる。二人は匂いを嗅ぎ、それから口を付ける。
「あ! 飲めるかも?」
「うん。甘くて美味しいかもニャ?」
「にゃはは。食べ物にゃんてそんなもんにゃ。あと、これもカフェオレに合うから食べるにゃ」
わしは次元倉庫からチョコを取り出し、二人に勧める。
「苦い? 甘い? でも、美味しい……」
「不思議な味で美味しいニャー」
「これはコーヒー豆の苦みを使ったお菓子。チョコレートにゃ。本当は、前回の旅の目的がこれだったにゃ」
「そうだったのですか!」
「てっきり、女王様の誕生日の品を探しに行ったんだと思っていたニャ」
二人は驚きながらもチョコに手を伸ばし、わしはコーヒーをすすりながら軽く愚痴る。
「まぁコーヒー豆は、わしが欲かっただけで、ガウリカに任せていたからにゃ。エンマはいいとして、スティナに無理矢理仕事を押し付けられたから、大変な目にあってしまったにゃ」
「シラタマさんは、スティナさんに、よく酷い目にあってますもんね」
「ホントにゃ~」
「私はフレヤが苦手ニャー」
「にゃはは。着せ替え人形にゃ~」
わしの愚痴にリータが「うんうん」と頷き、メイバイは被害にあっていたので愚痴に乗っかる。
「もう! リータは誰が苦手ニャー?」
「私は……しいて言えば、エンマさん?」
「エンマは、特ににゃにもしないにゃ」
「それです! シラタマさんは、エンマさんを庇うところがあります!」
「そうそう。よく脚を見てるニャー!」
「そんにゃこと……」
「「「にゃ!?」」」
わし達が悪口に花を咲かせていると、突如、離れの扉が開き、アダルトフォーが登場した。
「なんでみんな驚くのよ?」
「そ、それは……いきなり扉が開いたからにゃ~。にゃ?」
「そ、そうです」
「びっくりニャー」
スティナの問いにわし達が言い訳すると、エンマ、フレヤ、ガウリカは疑いの目で見て来た。
「「「怪しい…」」」
「「「そんにゃことないにゃ~」」」
「ほら。みんなシラタマちゃんの口調になっているじゃない」
「「「にゃ!?」」」
何故かわしをマネするリータとメイバイ。納得のいかないわしは二人の顔をキョロキョロ見ていると、エンマは微笑みながらわしの頭を撫でる。
「フフフ。息ピッタリですね。妬けちゃいます」
「シラタマさんは渡しません!」
「そうニャー! シッシッ、ニャー」
リータとメイバイはわしを守り、エンマを追い払おうとする。しかしフレヤとスティナが、わしとメイバイに襲い掛かって来た。
「メイバイちゃん。新作の服よ~」
「ニャー! シラタマ殿、助けてニャー」
「シラタマちゃん、朝まで飲むわよ~」
「にゃ~! わしも助けて欲しいにゃ~」
「わ! 猫、あたしに抱きつくな!」
一番わしに害がないガウリカに助けを求めたが、そのせいでリータとメイバイの目が怪しく光ってしまった。
「「新たな敵 (ニャ)です」」
「ち、違う!」
「にゃはははは」
ガウリカも二人の目が怖かったのか、焦って言い訳するので、わしは大口開けて笑ってしまった。すると、スティナを筆頭に、皆に笑いが伝染する……
「何笑っているの……フフフ」
「「「「フフフフフ」」」」
「「「「「アハハハハハ」」」」」
穏やかな一日がアダルトフォーの登場で、笑い声の聞こえる一日と変わる。わしは穏やかな一日も好きだが、こういう一日も悪く無いと思ってしまった。
「さあ、飲むわよ~」
「首を持つにゃ~」
「じゃあ、抱いた方がいい?」
「いえ。首でいいですにゃ……」
これが無ければ……
その後、エミリの料理に舌鼓を打ち、笑い声の絶えない夜を終え、眠りに就く事のであった。
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彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
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#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
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追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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