247 / 755
第九章 戦争編其の二 帝国と戦うにゃ~
245 首長を監禁にゃ~
しおりを挟むラサの街の広場にて、太った男は鞭を振り上げ、猫耳少女に振り下ろさんと構える。わしは作戦の遂行を優先し、我慢しようとしていたが、リータが飛び出してしまった。
「ダメ~~~!!」
「リータ!!」
リータは猫耳少女に覆い被さり、振り下ろされた鞭を背中で受け……ない。
「なっ……。鞭が……」
ふう。間に合った。
太った男が鞭を振ると、鞭の先は消えていた。わしが風魔法で切ったからだ。小さな【鎌鼬】を一瞬で飛ばし、鞭が振り下ろされる前に切り裂いてやったのだ。
「貴様がやったのか!」
「え? 鞭が来ない?」
「何を惚けてやがる! 人様の物に触れてるんじゃねえ!」
太った男は憤り、リータに詰め寄る。なので、わしは念話でケンフに指示を出し、その状況を見守る。
「私の連れがご迷惑を……申し訳ございません!」
「お前の連れ? こんな事をしでかして、タダで済むと思っているのか!!」
「わかっています。少ないですが、これでご勘弁してください」
ケンフは引いていた荷車ごと、ジャガイモを全て献上する。
「これは……フンッ。今回は不問にしてやる! 次からは注意させるんだな」
「ありがとうございます」
太った男はジャガイモの入った袋を見て満足そうな顔をしたが、すぐに顔を引き締め、捨て台詞を吐き、猫耳少女達に荷車を引かせてこの場をあとにした。
「すみません……」
太った男が去ると、リータはわしを抱き上げて謝罪する。
「気にするにゃ」
「でも、作戦を乱すような行動をしてしまいました……」
「リータが止めに入らなくても、わしがなにかしていたにゃ」
「リータ。ありがとうニャー!」
「シラタマさん……メイバイさん……」
「それじゃあ、そろそろ目的地に向かうかにゃ。メイバイ。案内を頼むにゃ~」
「わかったニャー!」
落ち込むリータを宥め、わし達はメイバイの案内で、とある屋敷に辿り着く。その屋敷とは、街の中でも一番大きな建物。この街を治める首長の屋敷だ。
猫耳族が、街に攻撃を仕掛けられる距離に陣を張れば、首長が指揮を取ると踏んで、この場に待機する作戦だ。
あとは予定通りに事が進むのを待つだけ。首長が動かなくとも、人質にして立てこもり、兵を割く事が出来るので、どちらに動いても問題ない。
「兵が慌ただしく動き出しましたね」
「猫耳族が来たみたいだにゃ」
リータが言う通り、屋敷の前で待機していると、馬に乗った兵士が屋敷に飛び込み、しばらく待つと飛び出し、さらに待つと、十数人の兵士が屋敷から飛び出して行った。
「首長が出て来てくれたら、楽にゃんだけどにゃ~」
「あ、アレは違うかニャー?」
メイバイが豪華な馬車を指差す。
う~ん。首長の顔を知っている者が、いないんじゃよな~。メイバイは会った事がないみたいじゃし、どう判断したものか……
時間も迫っているし、強襲して、違っていたら脅してでも案内させるか。
「よし! あの馬車を襲うにゃ。いまから武器を渡すからにゃ」
リータには盾と猫の手グローブ、メイバイには二本のナイフ、ノエミには杖、その他必要になる装備を渡して準備完了。茶色い猫のわしを先頭に歩き、馬車の行く手を阻む。
わし達が道を塞ぐように立つと馬車は止まり、御者が怒鳴り付けて来る。
「どけっ! この馬車は首長様がお乗りの馬車だぞ! 平民ごときが道を塞いでいいと思っているのか!」
うん。馬鹿で助かる。首長を探す手間が省けたわい。
「聞いているのか! さっさとどけっ!!」
御者の男が叫んでいると、馬車が止まっていると気付いた中の者が指示を出したのか、振り向いた後、馬車でわし達を轢こうと発車させる。
わしはその動きを見て馬車に突進し、馬を縛っている縄を風魔法で切り裂き、車輪の前に穴を作って急停止させる。
すると馬は走り去り、急停止させられた馬車から御者が飛び落ちる。ここでやっと、首長らしき偉そうで太った男が姿を現した。
「何事だ!?」
首長らしき男は周りを見て、瞬時に事態を把握する。
「その者達を殺せ!」
「「「はっ!」」」
護衛の兵士はリータ達を囲み、剣を構える。
リータ達は背中を合わせ、中央にノエミを配置する。
そんな中、わしは……
「グアッ!」
「「「首長様!?」」」
「武器を捨てるにゃ~! 捨てにゃいと、首長の命は無いにゃ~~~!!」
馬車の下に潜り込んで人型に変身したあと、リータ達に注意が集中したところで、首長の後ろに回り込んで蹴り倒し、首筋に【白猫刀】を当てた。
その結果、兵士達はわしの脅しに屈して、剣を投げ捨て……
「猫?」
「猫が喋ってる!?」
「猫が服着て立ってるぞ?」
「なんだアレ?」
捨てずに混乱した。
くそ! わしの見た目のせいで、すんなりいかんのう。
「いいから剣を捨てろにゃ! 首長が死ぬにゃ~~~!!」
「お、お前達! 早く俺を助けろ!!」
「人質は黙っているにゃ!」
「グフッ」
わしは、助けを求める首長の背中を踏み付けて黙らせる。兵士達はその姿を見て、ようやく事態を把握したのか、顔を見合わせ、一人、また一人と剣を捨てる。
「みんにゃ、こっちに来るにゃ。ケンフは首長を縛るにゃ」
「ワン!」
リータ達は馬車を背にして集まり、警戒を解かない。ケンフは馬車に上がり、わしの渡した縄で首長を拘束する。すると、首長はケンフの顔を見て、気付いた事があるようだ。
「お前は武術大会の……。帝国軍人が何をしている! 敵はこいつらだ! 早く俺を助けろ!!」
「いえ。俺はもう軍人ではありません。シラタマ様……この猫様の、犬ですワン」
「猫の犬??」
うん。わしも言っている意味がわからん。いつまでその設定、続けるんじゃろう? わしが止めるまでか。まぁ面白いから、もう少し続けるかな。
とりあえず首長は混乱して黙ったので、ケンフに体を起こさせて、わしは語り掛ける。
「さて、首長よ。お前の命はわし達の手の中にあるけど、どうするにゃ? このまま猫耳族と戦争を続けると言うにゃら、いますぐ死んでもらうにゃ」
「皇帝陛下から預かった街だ……。降伏なんて出来ない……。皆の者、剣を拾え! そして、死ぬまで戦え!!」
「「「「「おおおおお!!」」」」」
ありゃ? 自分かわいさに命乞いすると思っておったが、なかなか骨のある男じゃな。それとも皇帝が怖いのか?
いまはそんな事より、この事態の収拾じゃな。
「鉄魔法【操作】にゃ!」
わしは目に見えている剣を、兵士に拾われる前に、一気に浮き上がらせる。そして、馬車の屋根に乗せる。
「みんにゃ、馬車に乗り込むにゃ~!」
「「「「にゃ~!」」」」
皆が乗り込むと、今度は土魔法を操作して馬車をバック。屋敷に突っ込む。
「【大土壁】にゃ~~~!」
屋敷の敷地に入ると、高さ30メートルの【土壁】で屋敷を大きく囲み、皆の安全を確保する。
「よし! 家探しにゃ。残っている人間を、片っ端から拘束するにゃ~!」
「「「「にゃ~!」」」」
……ケンフは「ワン」じゃないのか?
皆の気の抜ける返事を聞き、わしは一人、別行動で屋敷を探索する。わしは屋敷の屋根に飛び上がると、上から部屋をひとつずつ回り、下からはリータ達が部屋を回る。
屋敷の者はわしを見る度、驚いて固まり、猫耳族はご先祖様と拝む。そのせいで、わしの仕事はなかなか進まず、リータに怒られて拗ねる。
残っていたのは、首長の家族、非戦闘員の召し使い、猫耳族の奴隷。首長の家族以外はすんなり、リータ達の指示に従い、一階の部屋に別々に監禁される。
部屋の窓もわしの土魔法で塞いだので、突破は困難。唯一の扉も、土魔法で作った引き戸を外から取り付けたので、中からは開ける事が出来ない。
最後に梃子でも動かない首長家族のいる二階の部屋も、外から土魔法で封じる。それらが済むと、リータとメイバイには猫耳族に事情説明をお願いして、わしは首長とノエミ、ケンフを連れて、家族の部屋にお邪魔する。
首長の家族は五人。嫁さんらしき太ったおばさんと、子供らしき太った男性二人。太った女性一人と、太っていない少女が一人。
こいつらを脅して、白旗を上げてもらおうという三段腹……算段だ。
「さて、みにゃさん。こちらの首長様が、降伏したくないって言ってるにゃ。みんにゃで説得してくれにゃいかにゃ?」
「お前達! こんな猫の言葉を聞くな! 降伏なんてしたら皇帝陛下に、一家全員、処刑されるぞ!!」
う~ん。やはり皇帝に恐怖で支配されておるのか。でも、わしに同じ事をされないとでも思っているのかな? 聞いて見るか。
「あの~? わしも、一家全員、皆殺ししてもいいんにゃけど……」
「え?」
「気付いてなかったにゃ? 戦争にゃら、相手の国の人間を皆殺しにしてもかまわないにゃろ?」
「そんなわけない! 人道的に問題だ!!」
「人道的にゃ? お前達が猫耳族にして来た所業は知らないのかにゃ?」
「奴隷として生かしてやってるだろ!」
「はぁ……」
「ギャーーー!」
わしはため息を吐いて、首長の人差し指を逆に曲げる。
「生かしてやってるにゃ? お前達は肥えているのに、猫耳族は痩せこけてフラフラだったにゃ」
「ギャーーー!」
喋りながら中指を逆に曲げると、首長は再度悲鳴をあげた。
「うるさいにゃ! これぐらいの痛み、猫耳族の痛みの万分の一……億分の一にゃ! お前の全ての骨を砕いても足りないにゃ!!」
「も、もうやめて……」
「お前はやめてと懇願した猫耳族に、慈悲を与えた事があるのかにゃ?」
「あ、あるぞ! 一回や二回じゃ……ギャーーー!」
「慈悲があるにゃら、ここに居た猫耳族は、にゃんで全員痩せこけてボロボロなんにゃ!!」
「ギャーーー!」
首長の薬指、小指と折ると、わしは手を握ったまま目線を合わせる。
「いいかにゃ? わしは猫耳族の怒りの代行者にゃ。この国を滅ぼす為にやって来たにゃ。皇帝が怖いにゃ? そんにゃもん、わしの怖さには遠く届かないにゃ!! 痛いの痛いの飛んで行け~にゃ!」
わしは首長の折った指を、全て回復魔法で治す。
「い、痛くない……治った?」
「次は指を切り落としてくっつけてやるにゃ。全ての指を切ったあとは手足にゃ。首長が終わったら、次は家族にゃ。簡単に死ねると思うにゃよ!!」
わしの言葉に、この部屋に居る者は敵味方関係無く、恐怖に唾を呑み込む。
「……最後通告にゃ。兵に降伏を指示するにゃ」
わしは低い声で言葉を紡ぐ。恐怖で皆、黙り込む中、首長家族の一番下の少女が声をあげる。
「わ、私が降伏させます!」
「センジ! 何を言っているんだ! ぐっ……」
センジと呼ばれた少女を首長が止めようとするので、わしは首を掴んで黙らせる。
「このままでは猫さんに、一家全員殺されます。それならば恭順を示し、私だけでも生き残るほうがお家の為です」
「にゃははは。賢い娘さんだにゃ。センジと言ったかにゃ?」
「はい……」
「センジの申し出は嬉しいんにゃけど、センジで、この街の兵を抑えられるにゃ?」
「それは……家族の首を、全て兵士に見せれば容易かと……」
お、おう……この少女、涼しい顔でえげつない事を言うな。いや……体は正直じゃな。震えているし、冷や汗をかいている。
……ん? 何か言いたげな目じゃな。何か策があるのか? 乗ってやるのも一興か。
「センジ!」
「ケンフ! 首長の口を塞ぐにゃ! ノエミはわしと、センジ以外の家族を縛るにゃ~」
「ワン!」
「……わかったわ」
ケンフはわしの指示通り、首長の口に猿ぐつわを噛ませると、わし達の作業を手伝う。それが終わるとセンジを連れて部屋を出て、扉の引き戸を開かないように閉め、一階に降りる。
一階の応接室らしき部屋にセンジを連れて行き、ケンフとノエミに見張ってもらっている間に、リータとメイバイを迎えに行き、猫耳族の部屋から連れ出す。
「事情はわかってもらえたかにゃ?」
「多少は……」
「にゃ?」
「まだ自由になれるのが信じられないみたいニャー」
「食事も、なかなか手を付けてくれませんでした……」
「そうにゃんだ……まぁ時間が経てば、解決するにゃろ。いまは様子を見守ろうにゃ。リータ達も、こっちに来てくれにゃ」
「「はい(ニャー)」」
二人を連れて応接室に戻ると、皆にお茶を振る舞い、センジの対面に座る。
「飲まないにゃ?」
「………」
「毒にゃんて入れてないから安心するにゃ」
「……はい」
センジは恐る恐る、カップを持ってお茶をすする。そうして、気持ちが落ち着くのを待って、わしは質問する。
「さて、センジは何か兵を止める策があると思って、家族から引き離したにゃ。どうしたら兵は止まるにゃ?」
「え? ……さきほど言った通り、家族全員の首を取れば……」
策はそれしかないんかい! 買い被り過ぎだったみたいじゃ……
1
あなたにおすすめの小説
青い鳥と 日記 〜コウタとディック 幸せを詰め込んで〜
Yokoちー
ファンタジー
もふもふと優しい大人達に温かく見守られて育つコウタの幸せ日記です。コウタの成長を一緒に楽しみませんか?
(長編になります。閑話ですと登場人物が少なくて読みやすいかもしれません)
地球で生まれた小さな魂。あまりの輝きに見合った器(身体)が見つからない。そこで新米女神の星で生を受けることになる。
小さな身体に何でも吸収する大きな器。だが、運命の日を迎え、両親との幸せな日々はたった三年で終わりを告げる。
辺境伯に拾われたコウタ。神鳥ソラと温かな家族を巻き込んで今日もほのぼのマイペース。置かれた場所で精一杯に生きていく。
「小説家になろう」「カクヨム」でも投稿しています。
猫好きのぼっちおじさん、招かれた異世界で気ままに【亜空間倉庫】で移動販売を始める
遥風 かずら
ファンタジー
【HOTランキング1位作品(9月2週目)】
猫好きを公言する独身おじさん麦山湯治(49)は商売で使っているキッチンカーを車検に出し、常連カードの更新も兼ねていつもの猫カフェに来ていた。猫カフェの一番人気かつ美人トラ猫のコムギに特に好かれており、湯治が声をかけなくても、自発的に膝に乗ってきては抱っこを要求されるほどの猫好き上級者でもあった。
そんないつものもふもふタイム中、スタッフに信頼されている湯治は他の客がいないこともあって、数分ほど猫たちの見守りを頼まれる。二つ返事で猫たちに温かい眼差しを向ける湯治。そんな時、コムギに手招きをされた湯治は細長い廊下をついて歩く。おかしいと感じながら延々と続く長い廊下を進んだ湯治だったが、コムギが突然湯治の顔をめがけて引き返してくる。怒ることのない湯治がコムギを顔から離して目を開けると、そこは猫カフェではなくのどかな厩舎の中。
まるで招かれるように異世界に降り立った湯治は、好きな猫と一緒に生きることを目指して外に向かうのだった。
攻撃魔法を使えないヒーラーの俺が、回復魔法で最強でした。 -俺は何度でも救うとそう決めた-【[完]】
水無月いい人(minazuki)
ファンタジー
【HOTランキング一位獲得作品】
【一次選考通過作品】
---
とある剣と魔法の世界で、
ある男女の間に赤ん坊が生まれた。
名をアスフィ・シーネット。
才能が無ければ魔法が使えない、そんな世界で彼は運良く魔法の才能を持って産まれた。
だが、使用できるのは攻撃魔法ではなく回復魔法のみだった。
攻撃魔法を一切使えない彼は、冒険者達からも距離を置かれていた。
彼は誓う、俺は回復魔法で最強になると。
---------
もし気に入っていただけたら、ブクマや評価、感想をいただけると大変励みになります!
#ヒラ俺
この度ついに完結しました。
1年以上書き続けた作品です。
途中迷走してました……。
今までありがとうございました!
---
追記:2025/09/20
再編、あるいは続編を書くか迷ってます。
もし気になる方は、
コメント頂けるとするかもしれないです。
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
狼の子 ~教えてもらった常識はかなり古い!?~
一片
ファンタジー
バイト帰りに何かに引っ張られた俺は、次の瞬間突然山の中に放り出された。
しかも体をピクリとも動かせない様な瀕死の状態でだ。
流石に諦めかけていたのだけど、そんな俺を白い狼が救ってくれた。
その狼は天狼という神獣で、今俺がいるのは今までいた世界とは異なる世界だという。
右も左も分からないどころか、右も左も向けなかった俺は天狼さんに魔法で癒され、ついでに色々な知識を教えてもらう。
この世界の事、生き延び方、戦う術、そして魔法。
数年後、俺は天狼さんの庇護下から離れ新しい世界へと飛び出した。
元の世界に戻ることは無理かもしれない……でも両親に連絡くらいはしておきたい。
根拠は特にないけど、魔法がある世界なんだし……連絡くらいは出来るよね?
そんな些細な目標と、天狼さん以外の神獣様へとお使いを頼まれた俺はこの世界を東奔西走することになる。
色々な仲間に出会い、ダンジョンや遺跡を探索したり、何故か謎の組織の陰謀を防いだり……。
……これは、現代では失われた強大な魔法を使い、小さな目標とお使いの為に大陸をまたにかける小市民の冒険譚!
スキルはコピーして上書き最強でいいですか~改造初級魔法で便利に異世界ライフ~
深田くれと
ファンタジー
【文庫版2が4月8日に発売されます! ありがとうございます!】
異世界に飛ばされたものの、何の能力も得られなかった青年サナト。街で清掃係として働くかたわら、雑魚モンスターを狩る日々が続いていた。しかしある日、突然仕事を首になり、生きる糧を失ってしまう――。 そこで、サナトの人生を変える大事件が発生する!途方に暮れて挑んだダンジョンにて、ダンジョンを支配するドラゴンと遭遇し、自らを破壊するよう頼まれたのだ。その願いを聞きつつも、ダンジョンの後継者にはならず、能力だけを受け継いだサナト。新たな力――ダンジョンコアとともに、スキルを駆使して異世界で成り上がる!
魔法使いの国で無能だった少年は、魔物使いとして世界を救う旅に出る
ムーン
ファンタジー
完結しました!
魔法使いの国に生まれた少年には、魔法を扱う才能がなかった。
無能と蔑まれ、両親にも愛されず、優秀な兄を頼りに何年も引きこもっていた。
そんなある日、国が魔物の襲撃を受け、少年の魔物を操る能力も目覚める。
能力に呼応し現れた狼は少年だけを助けた。狼は少年を息子のように愛し、少年も狼を母のように慕った。
滅びた故郷を去り、一人と一匹は様々な国を渡り歩く。
悪魔の家畜として扱われる人間、退廃的な生活を送る天使、人との共存を望む悪魔、地の底に封印された堕天使──残酷な呪いを知り、凄惨な日常を知り、少年は自らの能力を平和のために使うと決意する。
悪魔との契約や邪神との接触により少年は人間から離れていく。対価のように精神がすり減り、壊れかけた少年に狼は寄り添い続けた。次第に一人と一匹の絆は親子のようなものから夫婦のようなものに変化する。
狂いかけた少年の精神は狼によって繋ぎ止められる。
やがて少年は数多の天使を取り込んで上位存在へと変転し、出生も狼との出会いもこれまでの旅路も……全てを仕組んだ邪神と対決する。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる