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第十四章 新婚旅行編其の二 観光するにゃ~
375 批評してもらうにゃ~
しおりを挟むリータが人間に驚かれた事で大笑いしたわしが、地面に減り込まされて針でチクチク刺されていたら、質素な着物を着た村人が集まって来たので、遊んでいる場合ではなくなった。
なので地面から抜け出して穴を埋め、日本語が話せるわしが代表して、村人に挨拶をする。
「みにゃさん、こんにゃちは。わしは海を越えた、遠い西の地から来たシラタマにゃ。こちらは妻と仲間にゃ。それで出来れば代表の方と話をしたいんにゃけど、どちらにいますにゃ?」
わしの問い掛けに、ヨボヨボのじいさんが女性の手を借りながら前に出て来た。
「ボソボソボソボソボソボソ」
「にゃ~~~?」
じいさんは何か話しているようだが、何を言っているかさっぱりわからない。わしが疑問を口にすると、女性が申し訳なさそうに声を出す。
「すみません。村長はもう歳で、声も小さいのです」
「そうにゃんだ。じゃあ、代理の人でもいいにゃ」
「では、私が……」
女性の名前はお海。村長の孫にあたるらしい。ここで話そうとしたが、村長が辛そうにしているので休ませるように言って、村長の家にお邪魔する事となった。
だが、村長は足も悪いようなのでなかなか進まず、お海が背負おうとするので、わしが担いで運んであげる。「綺麗な着物が汚れてしまう」と若干揉めたが、「気にするな」と言い聞かせた。
そうして村長のボロボロの家に着くと中に通してもらい、板間で村長達と共に座るが、村民が家を取り囲んでわし達をジロジロ見て来る。
わしは慣れているから無視しているが、リータは気になるのか、会話で気を紛らわそうととする。
「シラタマさん。私の村の村長さんより酷い家なんですけど、本当に村長さんなのですか?」
「う~ん……」
たしかに一般的な村民の家並みじゃ。貧乏なのか? まるで江戸時代にタイムスリップしたような……
あ! 黒船が来ていないから、江戸時代で文明が止まっているのかも? 江戸時代ならば、地方の漁村なんてボロボロの家ばっかりだったはずじゃ。
なるほど……だから服装もボロボロの着物を着ておるんじゃな。となると、東京や京都、都市もたいして発展してないのかも?
「たぶんこれが、普通の暮らしにゃ。あまり言ってやるにゃ」
「あ……そうですね。私もシラタマさんと出会わなければ、こんなにいい暮らしはしてなかったです……」
リータが落ち込むので慰めていると、お海が人数分、不揃いの湯飲みを出してくれたが白湯だったので、わし達は顔を歪めてしまった。
「すみません。お口に合わなかったですよね……」
「こっちこそすまないにゃ。気を使わせてしまったにゃ~」
「いえ……それはそうと、異国の方なのに、言葉が通じるのですね」
「わしだけにゃ。他は魔法で聞いているし、声を届ける事が出来るにゃ。こんにゃ風ににゃ」
わしが念話でも語り掛けると、お海はキョロキョロしたあと、驚いた表情を見せる。
「はぁ……異国の人は凄いのですね」
「いや、極一部にゃ。普通は使えないから、一緒にしないほうがいいにゃ。それにしても、どうしてわしの姿を見ても驚かないにゃ?」
「どうしてと言われましても、お侍様はシラタマさんのような姿をしている人が多くいるので、普通なのですが……」
これが普通!? あり得ないじゃろ……
「そんにゃに、猫が立って歩いているにゃ?」
「……猫??」
「わしは見ての通り、猫にゃ」
「ええぇぇ!?」
え? いまさら驚くの??
「お海さんには、わしはにゃにに見えていたにゃ?」
「てっきりタヌキだと思ってました~!!」
「にゃ……」
「「「「ブッ……あははははは」」」」
大爆笑。お海のカミングアウトに、リータ達は吹き出して笑いやがった。
「にゃんで笑うにゃ~!」
「だって~。やっと驚かれたんですもん」
「それに、シラタマ殿が嫌っている言葉ニャー」
ひ、ひどい……たしかにワンクッション置いてツッコムのは笑いの基本じゃけど、そんなに笑わなくても……。それに、わしをタヌキと言う奴はいたけど、少数じゃったぞ? 三割程度なら少数じゃろ?
そんな事より! この世界の日本では、タヌキが立って歩いておるのか。そっちのほうが驚きじゃわい。平成ポンポコ合戦じゃないんじゃから……
お海の驚きと、リータ達の爆笑が落ち着くのを待って、わしは話を再開する。
「ところで、この近くに大きにゃ町はあるかにゃ?」
「はい。南に行けば宿場町がありますが、大きいとなると、その先の『京』になります」
ビンゴ! やはり空から見た碁盤の街並みは、京都じゃったんじゃな。と言う事は、ここは舞鶴あたりで間違いないんじゃな。
「そこに入るには、にゃにか必要にゃ物はあるのかにゃ?」
「そうですね……道中に関所があるので、通行手形が必要です。私どもも、たまに干物を売りに行くので通ります」
「にゃるほど~。そこを通りさえすれば、京に入れるんにゃ」
「はい。関所で身元改めなんかもしているので、そこさえ通れば……まさか、関所を通らずに行くつもりですか?」
「まっさか~。そんにゃ事しないにゃ~」
わしがごまかして言うと、お海は何かを思い出したのか、「ハッ」とした顔になった。
「さっきの黒い鳥!!」
「にゃ! さっき挨拶した人にゃ!?」
「やっぱり見間違いじゃなかった! おじいちゃん! 私、夢なんて見てなかったよ!!」
どうやらお海はわし達が去ったあと、漁村に戻って事の顛末を話していたようだ。だが、黒い鳥に乗って飛び去ったと言ったら笑われ、夢でも見たのだと信じてもらえなかったようだ。
でも、真実だとわかったからって、じいさんをぐわんぐわん揺らすのはやめてあげて! 口から魂が出てるから!!
そうして村長がぐったりしてお海の気持ちが落ち着いたら、わしはお願いをする。
「えっと……わし達の事は秘密にして欲しいんにゃけど……」
「……無理ですね。そんな怪しい人を、お代官様に届けないわけにはいきません」
「そこをにゃんとか!」
「まぁ場合によっては、考えない事はないんですけどね~」
何その指の輪っか……袖の下を要求しておるのか? 京に入る前には追い付けないじゃろうが、後々報告されても困るし、払ってやるか。お海さんはなかなかのやり手じゃな。
「お金は価値が違うと思うから、獣でもいいかにゃ?」
「それでもいいですけど、少量では口が滑ってしまうかもしれませんよ~?」
お海の嫌味な言い方に「ピキッ」と来たわしは、外に出ると5メートルオーバーの黒い野犬を取り出してやった。
「「「「「あわわわわわわ」」」」」
自身の倍以上ある野犬を見たお海達の反応はこんなもん。あわあわするだけだ。なので、わしは勝ち誇った顔で交渉に乗り出す。
「やっぱり京に行くのはやめて帰ろっかにゃ~? それにゃら支払いも必要ないからにゃ~?」
「ま、待ってください! 皆に秘密にするように約束させますから、譲ってください」
「にゃはは。冗談にゃ」
「ホッ……」
「でも、もうひとつ要求を聞いてもらうにゃ」
お海はホッとしたのも束の間。わしの追撃に顔が曇った。
「うっ……出来る事ならば……」
「お金が欲しいにゃ。用意できないかにゃ?」
「お金ですか……村ではあまり使わないので、持ち合わせが少ないのですが」
「少し分けてくれるだけでいいにゃ。毛皮を売れば、それぐらい取り戻せるにゃろ?」
「は、はあ……」
こうしてわしは、交渉では勝利したのだが、受け取ったお金は小銭だった。
黒野犬は高級食材なのだから小判を期待していたが、こんな寂れた漁村では致し方ない。おそらく毛皮を売れば、うん十倍のリターンがあるだろうが、お海はいまいち価値がわかっていないと思える。
いちおう価値を説明してみたが伝わらないので諦めて、日本の情報を仕入れる。
京、江戸、侍、神社……。どれもわしの知っている知識ばかりで面白味に欠ける。と言うか、お海が知らな過ぎる点から想像するに、漁村から出ないから情報量が少ないのであろう。
そうして話をしていたら日が暮れてしまったので、今日はここに泊まる事となった。しかしこんな廃れた漁村では泊まる施設も無く、考えた結果、わし達は漁村の外で寝泊まりする事にする。
さっそく漁村を出ようとしたが、黒野犬を解体する村人の姿があったので見学。ボロボロの包丁では毛皮を通らないようで、かなり手こずっている。なので四枚に切り分け、その場をあとにした。
「モフモフ~。もういい?」
「あ、いいにゃ。お疲れさんにゃ~」
漁村から出たと思われる辺りまで進むと、コリスはリスの姿に戻る。そこで夕食にするのだが、黒野犬の肉を食べたであろう村人の騒がしい声が聞こえて来た。
「叫び声が凄いですね」
「高級食材だもんにゃ~。ちょっと払い過ぎたかもしれないにゃ」
「私もなんだかマヒしてたみたいニャー。あの人達の反応が普通だったニャー」
「森を抜けるのに、大量に黒い獣が手に入ったし、わし達は王族なんにゃから、ちょっとぐらいいいにゃろ? てか、自分達の食べ物は自分で狩ってるしにゃ」
わしの発言でリータとメイバイは、高級食材を食べている事への罪悪感は少し減ったようだ。
「それで明日は、キョウって場所に行くのですか?」
「もちろんにゃ! 江戸時代にタイムスリップしたみたいで楽しみにゃ~」
「また知らない単語が出て来たニャー」
「わしの世界ではにゃ……」
夕食を食べながら皆に日本の歴史を聞かせ、お風呂やバスで寝転んでも話し続けたら、皆、寝てやがった。どうやら、室町時代辺りから飽きていたようだ。
仕方がないので興奮冷めやまぬわしも、そのまま眠りに就くのであった。
翌朝……
わし達が外に出したテーブルで朝ごはんを食べていたら、人が近付いて来たので、コリスをバスに押し込んで挨拶をする。
「お海さん。おはようにゃ~。まだわし達に用があるのかにゃ?」
「おはようございます。昨日のお礼がまだだったので、別れる前に挨拶に来ました」
「お礼にゃ?」
「獣のお肉、すっごく美味しかったです! 村を代表してお礼を述べさせていただきます。ありがとうございました! それと、これをお納めください」
お海は頭を下げながら大量の小銭を渡して来た。黒野犬を食べる事で、ようやく価値が理解できたようだ。わしは受け取るのを一瞬躊躇ったが、最初に受け取ったお金では心許なかったので、有り難く頂戴する。
「こんにゃにいっぱいありがとにゃ。それに、いろいろ良くしてくれて助かったにゃ~。あ、そうにゃ。もうひとつ頼みたい事があるんにゃけど、いいかにゃ?」
「それはもう……なんなりとお申し付けください」
お海は黒野犬の価値を知ったからか、わし達に接する態度が変わったので、お言葉に甘えて頼み事をする。
と言っても、たいした事ではない。ファッションチェックだ。
コリス以外の全員に、大蚕の糸で作られた綺麗な着物と、色とりどりだが普通の糸で作られた着物を着させて、バスから出て来てもらう。
「わっ! 凄く綺麗な反物ですね。お姫様みたいです!」
リータからバスを降り、イサベレで止めると、お海はうっとりとしながら褒めてくれた。
「これだと京を歩くには、ちょっと高価なのかにゃ?」
「そうですね……それほどの物は、大店やお代官様のようなお金持ちしか着れないと思います」
「にゃるほど……。次、行ってみようにゃ~」
次は、普通の糸で作られた質素な浴衣や甚平を着せて批評してもらった。
「それなら、京を歩いても問題ないです。でも、女性に甚平は有り得ませんね」
「わかったにゃ。最後はオオトリ、コリスにゃ~」
わしの呼び出しに、コリスはどんな着物を着て降りて来るのかと、お海は期待してわくわくと待っていたが、ノシノシとバスから降りるコリスに悲鳴をあげる。
「キャーーー!!」
あら? やっぱり巨大リスはダメか。まぁ他の街でも怖がる人は居たもんな。
「かわいい~!!」
どうやらお海は、巨大リスを見ても怖くないようだ。
ホンマでっか!? コリスにビビらないとは、この世界の日本は、いったいどうなっておるんじゃろう……
もちろんわしは、納得がいかないのであった。
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(しばらく本人も周りも気が付きませんが、実は最強の魔物使い(本人の戦闘力自体はほぼゼロ)だったことに気がついて、魔物たちと一緒に色々無双していきます)
【キャラクター】
マヤ
・主人公(元は如月真也という名前の男)
・銀髪翠眼の少女
・魔物使い
マッシュ
・しゃべるうさぎ
・もふもふ
・高位の魔物らしい
オリガ
・ダークエルフ
・黒髪金眼で褐色肌
・魔力と魔法がすごい
【作者から】
毎日投稿を目指してがんばります。
わかりやすく面白くを心がけるのでぼーっと読みたい人にはおすすめかも?
それでは気が向いた時にでもお付き合いください〜。
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