アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

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第十七章 日ノ本編其の三 関ケ原その後にゃ~

476 お家に帰るにゃ~

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「なんじゃ。王らしい話も出来るじゃないか。コ~ンコンコン」

 引き継ぎ式も終わり、会食が始まると玉藻がわしを笑う。

「笑うにゃ~! だからやりたくなかったんにゃ~!!」
「復興が終わったあかつきには、そちにも式典に出席してもらって、有り難いお言葉をいただこうじゃないか。コ~ンコンコン」
「だから笑うにゃ~! ぜったい欠席するからにゃ~~~!!」

 まったく玉藻の奴、からかいやがって……ババアって言った仕返しか? 事実を口にして何が悪い。
 それはそうと、ちびっこ天皇がうるさい。ヤマタノオロチ肉初体験じゃから仕方がないだろうけど、いい加減にしないと玉藻に怒られるぞ?

 案の定、ちびっこ天皇は玉藻に行儀が悪いと怒られていたが、わしが玉藻のヤマタノオロチ肉初体験話をしてあげたら、怒りの矛先がわしに向いたので、ちびっこ天皇は助かったようだ。
 玉藻は誰にも取られるわけもないのに、両手だけでなく、全ての尻尾にも串焼きを握っていたんだ。頬張って叫ぶぐらい、他と変わらない。
 今日もちびっこ天皇からのはからいってていで、ヤマタノオロチ肉が被災者に振る舞わられ、そこかしこから歓喜の声が上がっているから、そう考えるとちびっこ天皇の声は小さいくらいだ。

 しかし、バラされた玉藻は別だ。わしに「コンコン」と怒りをぶつけ、わしも「にゃ~にゃ~」反論。ちょっとした喧嘩に発展したら、ちびっこ天皇に「仲が良いな~」と笑われて恥ずかしくなる。
 家康もそんな玉藻を見た事がないからかバカ笑いし、玉藻の標的が移る。また喧嘩になっていたので、テーブルに居た全員で「仲が良いな~」と微笑ましく言ってみたら、二人して小さくなっていた。よっぽど恥ずかしいのであろう。

 それから日が暮れて来ると、騒がしい食事会はお開き。被災者も片付けを始め、わし達も会議室に入って現状の再確認と、他国からの支援についても話し合う。


 会議が終わり、各自寝床に入ってしばらく経つと、わし達の寝ていたバスにノックの音が響く。だが、誰も起きなかったからか、ノックをした人物がわしの首根っこを掴んで連れ去った。

「もう食べれないにゃ~。モグモグ」
「夢の中でも何か食べておるのか……いい加減、起きろ!」
「へっくしん! にゃろめ~」

 わしを連れ去った人物は、玉藻。わしがなかなか起きないので、協力者に抱かせて、尻尾で鼻をわさわさしやがった。

「にゃ~? にゃに!? ひっくしょん! にゃろめ~」
「ようやく起きたか」
「玉藻……ご老公!?」

 幼女の玉藻は見慣れているから驚かないが、夜に巨大タヌキ家康を下から見たら、ちょっと驚いてしまった。

「えっと……にゃんですか? 眠たいんにゃけど……」

 二人は変な空気をまとっていたので、わしは恐縮して質問する。

「まぁまぁ。そこに座れ」

 座れも何も、わしは家康に、外に敷かれた畳の上に下ろされたので、そのまま座る。
 その家康は、巨大タヌキのままでは狭い畳みからはみ出してしまうからか、タヌキ耳太っちょおっさんバージョンに変化へんげして、三人でトライアングルとなって座った。

「それで……にゃんですか?」
「慌ただしかったからな。シラタマが帰る前に、マタノオロチ討伐お疲れ様会をしようと思うてのう」

 玉藻が改まってそんな事を言うので、わしは家康を見る。

「あれほどの大物、いまでも体が震えるわい。それを臆せず一人で相手取ったお主との共闘……楽しかったぞ」

 家康は玉藻の出した杯に酒を注ぎ、酒が満たされると玉藻はわしに手渡す。そして玉藻に一升瓶を渡し、玉藻は家康の酒を注ぐ。

「ほれ。そちも注いでくれ」
「にゃ? ああ」

 玉藻がわしに一升瓶を渡すので、受け取って杯を満たす。

「乾杯じゃ」
「乾杯」
「乾杯にゃ~」

 玉藻の乾杯に家康が続くので、わしも釣られ、皆で一気に飲み干す。

「ぷは~……うまい!」
「うまいのう。ポンポコポン」
「にゃんかしんにゃいけど、タダ酒はうまいにゃ~。にゃははは」

 それから三人で手酌をしつつ、武勇伝を一人ずつ喋り、一升、二升と瓶を空ける。
 二人の話は戦国時代、幕末での戦いだったのでわしは楽しく聞き、歴史の真相なんかも教えてもらった。そのお返しに、千匹の大蟻や、一万人の帝国兵、巨大な象との戦いを披露して、二人に楽しんでもらった。

 そうして酒が進むと、わしはろれつがおかしくなり、玉藻と家康も酒が回って来たようだ。

「シラタマ! 本当に有り難うな!!」
「ひっく。玉藻は酔ってるにゃ? にゃん回言うにゃ~。もう聞き飽きたにゃ~」
「何度でもだ。この時に、日ノ本がひとつにまとまっていなければ、こうも上手くいっておらん」
「ご老公も飲みすぎにゃ~。ひっく。それは陛下のおかげにゃろ~」
「いやいや、東と距離が近付いたのは、シラタマのおかげじゃ」
「そうじゃぞ。共通の敵がいてこそ、ようやく助け合えるというものだ」
「ひっく。わしを敵扱いするにゃ~! 三人の力を合わせて強敵と戦ったんにゃから、もう戦友にゃろ~? またにゃんかあったら、一緒に戦おうにゃ~。ひっく」

 わしの発言に、玉藻と家康は顔を見合わせ、ニヤリと笑う。

「コンコンコン。そうじゃ! 妾達は戦友じゃ! また一緒に戦おう!!」
「ポンポコポン。また共闘できるとは、いまから楽しみじゃな~」
「本当にのう。コ~ンコンコン」
「ささ。飲め飲め。ポンポコポン」
「にゃははは。二人も飲めにゃ~」

 こうしてわし達は夜通し飲み続け、親交を深め過ぎたのであった……




「酒くさっ!」
「くさいニャー!」
「モフモフくさい……」
「くっさ~」
「猫さん……お酒に漬かって来たのですか?」

 朝まで飲んで、わしが千鳥足でバスに帰ると、敬語を忘れたリータ、鼻をつまむメイバイ、嫌そうな顔をするコリス、珍しく顔を歪めるオニヒメ、奈良漬けを見る目で見て来るエミリ、全員に嫌われた。

「玉藻と家康に飲まされてしまったにゃ~。ひっく」
「今日帰るのに、何してるんですか!」
「そんなのでキャットトレインに乗せられないニャー!」
「ぐっ……大きな声を出さないでにゃ~」

 頭の痛いわしは、リータとメイバイに怒鳴られただけでグロッキー状態。なので、あとの事はウンチョウに頼んでと言って、そのまま夢の世界に旅立った。
 とりあえずウンチョウに任せておけば、多国籍救助隊は全員キャットトレインに乗せてくれて、ちびっこ天皇との別れの挨拶も済んだようだ。あとで聞いた話だと、被災者も乗り込んでいたらしい。

 ちなみにわしはロープで縛られ、リータの市中引き回しの刑を受けて、キャットトレインの屋根に結ばれたらしい。
 ちなみにちびっこ天皇との別れの挨拶は、ぬいぐるみを持ったメイバイが念話で乗り切ったらしい。
 ちなみに玉藻と家康は、二日酔いではあったが、リータ達とちゃんと別れの挨拶をしたらしい。


 キャットトレインに揺られて関ヶ原に着くと、同じ便に乗っていた被災者は、親類を頼って各地に向かうとのこと。多国籍救助隊に感謝の言葉を送って、宿場町に消えて行ったらしい。
 多国籍救助隊は、ウンチョウを先頭にオクタゴンに向かい、最後尾はリータに引き摺られるわし。まだ酒が抜けていなかったので、市中引き回しの刑は続いていたらしい。

 オクタゴンの自室に入るとお風呂に放り込まれ、リータとメイバイの揉み荒いの刑。気持ち良くて、さらに深い眠りに落ちてしまった。
 それから夕食に一度起き、皆に食事だけは支給して、わしは何も食べずに水だけがぶ飲みして就寝。この時にはさすがに酒が抜けていたらしく、リータとメイバイの間で眠ったようだ。

 そして翌日……

 丸一日寝ていたわしは、モゾモゾとベッドから這い出した。

 ここはどこ? わしはシラタマ……えっと……ここはオクタゴンか?? いつの間にここにおるんじゃ!? しかも、また全裸じゃ!!

 わしが辺りを見てキョロキョロしていると、後ろから殺気を感じたので、ゆ~っくりと振り返る。

「よ~~うやく起きましたね~」
「いったいいつまで寝てるニャー」
「にゃ~~~! ゴロゴロゴロゴロ~!!」

 今日の罰は、撫で回しの刑。気絶するほど撫で回されて、わしはまた深い眠りに落ちるの……すぐに叩き起こされるのであった。


「あ~……えっと……昨日はすみにゃせんでした!!」

 大食堂に行くと、皆はすでに食事を食べていたので、わしは深々と頭を下げる。王様の謝罪に、一同何故か同情の目を向けてくれて、許してくれた。どうやら皆は、昨日の酷い仕打ちを見ていたので、わしを哀れんでくれているようだ。
 とりあえず隣に立つリータとメイバイからも許可が出たので、わしもテーブルに着いてモグモグ。昨日、全然食べていなかったので、コリスといい勝負ぐらい食べてしまった。

 そうして腹を擦っていたら、ウンチョウが寄って来たので、後片付けの指示。せめて自分の使った部屋ぐらいは掃除してもらう。
 大食堂はキッチンだけ掃除して、お玉にはまだ使うなら綺麗にしてねと言っておく。王族の使った家具はどうしようかと考えた結果、帰って聞いてから、持ち帰る事にした。
 また関ヶ原を見たいとか、観光に行きたいとか言い出すかもしれないので、無理して運ぶ必要はないだろう。
 なので、お玉にはマスターキーのスペアを渡して、「たまに掃除してくれると有り難いな~」と言っておいた。これで忖度そんたくしてくれるだろう。

 それからわしも部屋の掃除に参加し、昼前に食堂に集合すると、ゾロゾロと三ツ鳥居に移動する。

「え~。みにゃさん。数日間、お疲れ様でしたにゃ。行きと同じように、慌ただしい帰還になるけど、それが終われば自由にゃ。数日は猫の国で疲れを取って、帰ってくれていいからにゃ」

 わしは皆の顔を見渡し、次の言葉を続ける。

「さあ! お家に帰ろうにゃ~~~!!」
「「「「「にゃ~~~!!」」」」」

 皆の力強い返事らしき声を聞いて、ひとつ目の三ツ鳥居を開く。

「どんどん行けにゃ~~~!!」

 こうして駆け足で三ツ鳥居を潜る皆の交通渋滞を解消して、最後の猫ファミリーを見送ったわしも三ツ鳥居を駆け抜けると、日ノ本への道は閉じたのであった。
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