アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

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第二十章 冒険編其の二 さっちゃんの大冒険にゃ~

561 誕生日会は台無しにゃ~

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 さっちゃんに完膚無きまでに叩きのめされたちびっこ天皇は、泣きながら御手洗いに走って行ったので、わしはさっちゃんを「メッ!」と叱っておいた。
 ただ、わしの顔は笑っていたので、全然効いていなかった。


 とりあえず、諸々の騒ぎは落ち着いたので、わしとコリスの合同誕生日会の始まりだ。


 女王の用意してくれた豪華な食事、皆からのプレゼントや出し物、それと撫で回し。「ゴロゴロ、ホロッホロッ」と言いながら笑い、楽しく話をしていたら双子王女と女王が消えていた。
 少し変だなとは思ったが、次の出し物は同じ誕生日のコリスがやってくれるとのこと。どうやらわしから貰ってばかりだから、ちょっとはお返ししたいようだ。
 しかし出し物は、コリスVSお玉のマジバトルだったので慌てて止めに入り、相撲で決着をつけさせる。さすがは猫パーティ№2のコリス。体格と力で勝り、押し倒し……モフ倒しで勝利を収めた。

 勝者のコリスには、わしのほっぺにチューとヤマタノオロチ鍋。結局コリスに、また物をあげてしまったが、「ホロッホロッ」と嬉しそうだからまぁいいや。でも、賞品は鍋だけでよかったので、無駄な事をしてしまった。
 その無駄を欲しがる荒ぶる乙女が多いので大失敗。皆が飛び掛かって来て、壁際にまで追い詰められてしまった。なので、じゃんけん大会の開催。
 三位までに入ったら、ほっぺにチューをする約束をして、なんとか引き下がってもらった。

 じゃんけん大会の勝者は、一位エミリ、二位お春。なんだか並々ならぬほど燃えていて勝ち残った。
 わしは不思議に思ったが、チュッチュッとして、さっさと終わらせる。そして三位にも……

「にゃんで陛下が勝ち残ってるんにゃ~」
「知らん! ノリで参加したら残ってしまったんだ!」
「まぁやらにゃいと終わらにゃいし、さっさと頬を出せにゃ」
「嫌に決まってるだろ!」

 わしとちびっこ天皇が揉めていると、よけいな奴がよけいな事を言い出す。

「ねぇ~。陛下~? その権利、いらないのなら、わたくしに譲ってくださらな~い?」

 さっちゃんだ。さっちゃんが珍しく女を使ってちびっこ天皇に擦り寄った。

「いいぞ! さっちゃんに譲ろう!!」

 当然、さっちゃんにメロメロなちびっこ天皇は権利を譲るのだが、わしには思うところがある。

 それでいいのかエロガキよ……恋のライバルに譲っているようなもんじゃぞ? ま、妻帯者のわしには関係ない話か。関係ないじゃろ?

「いよっにゃ~~~!!」

 さっちゃんの喜びようは信用ならんが、関係ないはずじゃ。もう狙うなよ~??

 一抹の不安はあるが、わしはさっちゃんの頬にチュッとすると、何故か返された。

「「「「「あ~~~!!」」」」」

 そのせいで、納得できないと皆に犯された……というわけではなく、服をひんむかれ、至るところにキスをされた。

「にゃ~~~! もう十分にゃろ! イサベレはどこにしようとしてるにゃ~~~!!」

 もうこれは、犯されたとカウントしていいぐらい至るところにキスをされて、わしは「にゃ~にゃ~」泣き叫ぶ。
 そうしていたら女王が助けてくれて、なんとか貞操は守られたのであった。


 女王は騒ぎの収拾をはかり、皆を落ち着かせたらわしを双子王女に抱かせ、自身のプレゼントであるレコードを流させていた。
 それからちびっこ天皇を膝に乗せ、皆がクラシック音楽に聞き入っている姿を見ていたが、何かがおかしい。どう考えても、ちびっこ天皇を膝に乗せる必要がない。なので、二人に念話を繋いで盗み聞きしてやった。

「な、なんでボクを抱くの?」

 なんじゃ? エロガキのヤツ、子供になっておる。いつもなら、乳を揉んで卑猥な顔になっておるのに……

「うちは女の子しかいなかったから、男の子だとどんな感じがするのかと思ってね。少しの間、抱かせて欲しいの」

 女王までお母さんみたいな事を言っておるけど……その邪悪な顔は違うよね? エロガキ……後ろ後ろ!!

 わしは逃げろと言いたかったが他愛ない話ばかりだったので、盗み聞き継続。そうして、クラシック音楽の盛り上がりが最高潮になったところで女王が仕掛けた。

「この曲、素晴らしいでしょ?」
「うん! 日ノ本にはないから、民にも聞かせてあげたいな」
「でしょ? こういうのはどうかしら? 日ノ本で楽団の演奏会を開くの」
「いいね! みんなも楽しんでくれそう!」
「その対価で、東の国に発電所を作ってくれない? ママからのお願いよ~」
「わかっ……」
「いつから女王が陛下のママになったんにゃ~~~!!」

 あまりにも安く発電所を買おうとするので、黙ってられないわしは双子王女の抱き締めから抜け出し、テーブルに乗って叫んだ。

「ママのお願いだもんね~?」
「まだ続けるにゃ!?」
「う……」
「陛下も安請け合いしにゃい!」

 女王のハニートラップならぬママトラップは潰し、お玉にちびっこ天皇を確保させたら、女王と双子王女を並べてわしの説教。さすがに策略がバレた事に反省しているようだ。

「てか、わかって発電所を作らせようとしているにゃ?」
「詳しくはわからないわ……。でも、日ノ本と猫の国が欲しがっているって事は、重要な施設だとは理解しているわ」
「それでよく欲しがったにゃ!?」

 双子王女には説明を先延ばしにしていた事は効果大だったのだが、女王は何をする施設か知らないくせに先走るとは、先見の明がありすぎる。

「ママ上。電気を作るんだよ」
「陛下もまだ続けるにゃ!? もう黙っ……」
「イサベレ!」
「はっ!」

 情報ダダ漏れのちびっこ天皇の口を塞ごうとしたら、逆に女王の命令を聞いたイサベレに口を塞がれてしまった。
 しばしバタバタして、念話を使えばリータに止めてもらえると気付いた時には、もうすでに電気の説明は終わっていた。

「つまり、光の呪具の代わりに、光を放つ道具に電気という力を流せば光るのね」
「さすがママ上です!」
「イサベレ。シラタマをここへ」
「はっ!」

 全ての情報を理解した女王は、イサベレに首根っこを掴ませてわしを正面に座らせる。

「説明は聞かせてもらったわ。まるでキャットトレインに使っている魔道具みたいね」
「そ、それは……」

 女王のネチネチした尋問はかろうじてかわすわしだが、ちびっこ天皇が秘密にしろと言った事をべらべら喋るので、このままではレンタル事業まで暴かれてしまう。

「もういいにゃ! ちゃんと説明してやるにゃ~!!」

 なので逆ギレ。わしはレンタル事業以外の電気の説明をする。

「ここに取り出したりにゃすは、日ノ本で作られた電球と電池ににゃります~。べんべん」

 ミニ座卓を出して座布団に座ったら、講談師のような口調で、わしが昔作った裸電球と、源斉の作った新作電池を取り出し、雷魔道具の宝石も隣に置く。

「この魔道具に電球を繋げにゃすと……」
「あ! 光った!!」
「次に電池に電球を繋げにゃすと……」
「こっちも光った!!」
「見た通り、どちらも中に電気が入っているから電球が光るんにゃ~。さあ、奥さん。これさえあれば、もう光に困らなくにゃるんにゃよ~? 今日はこの品を、通常価格の五倍で販売するにゃ~。お得ですにゃ~」
「なに言ってるのよ」

 女王の反応が良すぎるから、講談師から実演販売員になってしまったが、元ネタを知らないので通じなかった。マジで五倍で売り付けようと思っていたのに……

「まぁ冗談はさておき、これがキャットトレインを動かしているブラックボックスの正体にゃ。電気を使えば光が作れるし、モーターが回るんにゃ」
「それで大規模な施設が必要と……街灯なんかに使えそうね」
「街灯だけじゃないにゃ~。一番の効果を忘れているにゃ~」
「一番の効果? ……魔法使いの節約……」
「さすが女王、ご明察にゃ。電気の技術があれば、いま生活魔道具に使っている魔法使いが削減できるにゃ。さらに、魔法使い以外の人でも魔法使いと同じだけ、いや、もっと多くのエネルギーを作れるにゃ~」

 わしの演説を聞いた皆は、ゴクリと生唾を飲んで黙り込んでしまう。夢のエネルギーの発見だ。これからの生活が、ガラっと変わると想像して声も出ないのだろう。

「と、メリットばかりを喋ってしまったけど、デメリットもあるにゃ」
「そ、そうよね……それなりに危険はあるわよね」
「電気を使う事での発火、それに伴う火事ってのは起こるだろうにゃ。街の消防体勢の見直しが必要になるにゃ」
「火事は怖いわね……」
「そうだにゃ。でも、そもそもにゃ話があるんにゃけど……」
「な、なに??」
「まだ計画段階で、にゃにも進んでないにゃ~。にゃははは」
「「「「「はぁ~~~~~~」」」」」

 全員ガッカリ。期待が膨らんでからのしぼみ方がすんごい。そのせいで、わしの笑い声しか聞こえないのであった。

「ま、夏までの進捗状況を見て、使えそうにゃ技術を誕生祭の目玉にしたらいいかもにゃ」
「それはいいわね。それには先にやらないといけない事も……」
「じゃ、わしはこの辺で……にゃ~~~!!」

 そこからは、三ヶ国のトップと双子王女を交えての密談。わしは逃げようとしたけど、ゲストルームに隔離されて誕生日会が台無しとなるのであったとさ。


 密談が終わったら、もう外は真っ暗。今日には猫の街に帰る予定であったが、もう一泊する事となった。

「にゃんでまだ居るにゃ?」
「話し疲れちゃった」
「モフモフし足りないみたいな?」

 誕生日会が終わったのに、女王とさっちゃんは帰らない。どちらの言い分も納得できないし、さっちゃんの言い分は意味不明だ。撫で回すし……

「それより旅の話をしてよ~。猫帝国と北極に連れて行ってよ~。私も赤い宮殿とオーロラ見たい~」
「もうリータ達から聞き終えているにゃろ! 揺らすにゃ~~~!!」

 どうやらさっちゃんは、リータ達から写真を見せてもらって話も聞き終えていたのに厚かましい。チェクチ族の集落も、ちゃっかりくれとか言ってくるし……
 黄金郷と聞いて女王も搦め手を使って来るが、絶対にやらない事と、しつこくするなら連れて行かないと言って、なんとか黙らせた。

 旅の話も終われば、わしも話し疲れたので、一時撤退。縁側に座り、BGMのクラシック音楽を聞きながらしっぽりと酒を飲む。
 そうしていたら、さっちゃんが後ろに座ってわしの頭にアゴを乗せて来た。

「にゃに~? ちょっとは休憩させてくれにゃ~」
「ひとつだけ! ひとつだけ質問させて!」
「面倒にゃ~」
「そんなこと言っていいのかな~? お母様に言っちゃおっかな~??」

 さっちゃんはわしの耳元で脅して来たが、脅しのネタに思い当たる節がない。

「別にいいにゃ~」
「じゃあ仕方がない……シラタマちゃんの実家に電球があった事は、報告させてもらうわ」
「にゃ……にゃぜそれを……」
「初めて行った時に、アイノがスイッチ押してたじゃない? 光らなかったのは、電気が無かったからよね?」

 初めてわしの実家に来た時……あ! あった!! たしかに裸電球を見られておった!! しまった……現物を見せたらそりゃ気付くじゃろう……わしのアホ~~~!!

「えっと……質問をうけたまわりにゃすので、にゃにとぞ、ソフィ達にも箝口令をお願いしにゃす」
「フッフ~ン♪ それでいいのよ」

 さっちゃんは勝ち誇った声を出したあと、真面目な顔で質問する。

「シラタマちゃんって……いったい何者??」
「えっと……猫だにゃ~」
「チクるよ??」
「冗談ですがにゃ~」

 わしのボケは一切通じず。さっちゃんは笑いもせずに脅すので、今度二人きりの時に話す事となってしまった。

「あとね~……」
「ひとつじゃなかったにゃ!?」

 当然さっちゃんがそんな脅しのネタを手に入れたならば、質問は追加されまくるのであったとさ。
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