アイムキャット❕~異世界キャット驚く漫遊記~

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第二十三章 アメリカ大陸編其のニ アメリカ横断旅行、延長戦にゃ~

655 博士から話を聞くにゃ~

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「繋ぎ目も何もない……どうなっておるんじゃ?」

 白髪の博士が黒魔鉱の防護服をベタベタ触って来るが、わしの視界は悪いのでどこに行ったかわからなくなってしまった。なので念話を使ってお願いしてみる。

「正面に来てくんにゃい? 来てくれたらいろいろ教えてやるにゃ~」
「またテレパシーじゃ……まさか、宇宙人……」
「いいから顔を見せろにゃ~」
「しかし、どこが正面……このガラスの所か。『Cat』と書いてあるから、宇宙人の線は消えてしまったか」

 Cat? 誰がそんなイタズラ書きしたんじゃ?? ……リータか!? 起こす時にやりやがったな……

 防護服の額の所に「Cat」と書かれているらしいが犯人はわかったので、とりあえず博士と話をしてみる。

「わしはアメリヤ王からここに派遣されたシラタマにゃ。じいさんはにゃに者にゃの??」
わしはこの施設をアメリヤ王から任されているケラハー・バイアットじゃ。そう言えば、最近見に来られておらんな」

 あら? このじいさん、浦島太郎になっておる。

「代替わりしたの知らないにゃ?」
「それぐらい知っておる。父君が亡くなったから長兄殿下が挨拶に来たぞ」
「その人も死んでるにゃ~」
「あん??」
「ちにゃみに、いまはジョージ王が王様をやっていて、アメリヤ王国は東の国に戦争で負けたにゃ」
「なんじゃと……それじゃあこの画期的な研究はどうするんじゃ!!」
「叩くにゃよ~」

 ケラハーは敗戦よりも研究が出来なくなる心配をしているようなので、わしは突き落とす。

「その研究は破棄してもらうにゃ」
「ならん! これがあれば、アメリヤをより豊かにする事が出来るんじゃぞ!!」
「豊かににゃっても、その土地に住めなくにゃったら意味がないにゃろ」
「だからこうやって、細心の注意を払っておるんじゃろう! ……はて?」

 ケラハーは熱くなってわしと議論していたが、急に止まった。

「この施設は極一部の者にしか知らせておらんはずなのに、どうしてその危険性を知っておるのじゃ?」
「我が国でも研究して失敗したからにゃ。発電所はメルトダウンしてにゃ。放射能を撒き散らしたにゃ。さらに核分裂を兵器に使ってにゃ。街と人を一瞬で焼き払ったにゃ」
「兵器じゃと……そんなこと……いや、やろうと思えば……」
「切っ掛けは素晴らしい物だろうにゃ。でも、必ず、強欲な王にゃらば兵器開発に使うにゃ」

 ケラハーは核を兵器に使う事を想定していなかったので、ぺたんと腰を落としてブツブツ言い出したのでトドメを刺す。

「にゃん万人殺せるんだろうにゃ~? その土地で暮らしたらにゃん万人病気で亡くなるんだろうにゃ~? じいさんは、歴史的殺戮者と呼ばれるだろうにゃ~」
「うっ……」
「王様を二人も殺したから、もうすでに大罪人かにゃ?」
「えっ……」

 ケラハーは先代、先々代の死因を知らなかったのか固まってしまった。

「この施設は閉鎖にゃ。異論はあるかにゃ?」
「……ない」
「じゃあ、職員を集めてくれにゃ~」

 フラフラッと動き出したケラハーは、各部屋を回って四人の中年男性を連れて来てくれたが、一人足りないとのこと。その男は入口付近で寝てるので、施設では六人が働いていたことになる。
 人数が確認できたら質疑応答。放射能を調べる機械はあるのかと聞いたらあったので辺りを調べさせて、その辺の計器でも安全は確認できたが、信用できないので防護服は脱がない。
 あとはどの様な研究をしていたか見せてもらい、研究資料なんかは全て没収。次元倉庫に入れておいた。


「う~ん……本当に安全は確保しているみたいにゃのに、にゃんで二人も王様は放射能で死んだんにゃろ??」

 ケラハーの案内では危険な部屋は隔離してあったのに、そこまで急激に病気が進行するようにわしには見えない。ケラハーも頭を捻りながらブツブツ言っている。

「たしかに……儂の前の前の研究者は多く病に掛かったとは聞いていたから、お二人は近付けさせなかったんじゃが……」
「他にも研究施設があるとかかにゃ?」
「いや、ここだけじゃ。あとは採掘地……奴隷に掘らせて死者が多いはずじゃから、入るとは思えん」
「とにゃると……暗殺の線が濃厚だにゃ」
「うむ。じゃが、そんなことをしてメリットがあるのか? 研究費用が打ち切られるだけじゃぞ??」
「さあにゃ~? ここに出入りする人、全員に聞いてみたらわかるんじゃないかにゃ~??」
「なっ……なんでこんな所に土が……動いておるぅぅぅ!!」

 目の前の男達全員を足元から出した土で縛ったら、ケラハーは何故か嬉しそう。魔法を科学的に解析しようとしているようだが、魔法とは一言も言っていないのでまったくわからないようだ。
 その驚く男達の中に、滝のような汗を流す男が居たので、まずは彼から拷問してみると言ってみた。

「私がやりました!!」

 拷問発言だけで全て話をしてくれたが、念の為、奴隷紋で縛ってからもう一度聞いてみたら、もう一人、自分が犯人だと言う者が現れた。奴隷紋で苦しむ同僚の声が怖かったそうだ。
 そいつも奴隷紋で縛って確認を取っていたら、残りの男達は関係ないと命乞いして来た。表情から察するに嘘は無さそうなので契約魔法にしてあげた。
 契約魔法のグループは本当に関与していなかったので、あとで入口で寝ている男も契約魔法で縛ってから聞いてみる予定だ。

 暗殺犯は全て拘束したから、あとはこの施設を完全消滅。放射能濃度の高い部屋は、土魔法で外から圧縮してぺちゃんこに。その塊は次元倉庫の肥やしにする。
 残りの部屋は大事な物だけ持ち出して、土を流し込んで埋めてしまう。土は全てわしが固めたから、掘り起こす事も難しいだろう。

 全員を長い廊下に運び出したら、土魔法の荷車に乗せて発車。廊下も端から端まで綺麗に埋めて、入口付近で拘束した男も契約魔法で尋問してから積み込む。
 長い階段も土で埋めながら荷車は浮上。階段の入口まで埋めたら、もうこの施設はただの地面と成り下がったのであった。


「シラタマさん! どうでしたか!?」

 施設から出るとジョージが近付いて来たので、念話で近付くなと言ってから、わしは黒魔鉱の防護服の背中を開けて、ゆっくりと外に出た。

「「「「「UMA!?」」」」」

 ケラハー達は、変な物体から変な生き物が出て来たので未確認生物と断定して混乱してしまったが、いつもの反応なので無視。わしは放射能測定器を持って辺りを計り、ケラハー達や防護服にも近付ける。

「間違いはなさそうだにゃ。微量の放射能は放っているけど、これぐらいにゃら人体に影響はないよにゃ?」
「「「「「喋った!?」」」」」
「答えてくれにゃ~」

 ケラハー達はますます混乱中。でも、念話より驚くってどういうこと??

 これでは話が出来ないので、リータだけを呼んで防護服の頭の部分に書かれた「Cat」の文字をわしは指差す。

「これ、リータがやったにゃろ?」
「いえ……最初からでしたよ??」
「そんにゃわけないにゃ~」
「それより、早く女王様に報告してください。プッ……」
「嘘つくにゃらつきとうしてにゃ~」

 リータは最後の最後で吹き出したので、わしに完全にバレてしまった。なので、謝罪と超絶技巧の撫で回し。誠意ある撫で回しのようだが、気持ち良すぎて落ちてしまった。
 それから女王の前まで連行されたわしは、リータに活を入れられて息を吹き返した。

「えっと~……にゃんだったかにゃ??」

 少し記憶が飛んでしまったのでキョロキョロしていたら、リータが耳打ちしてくれて、皆にもわしがボケてないと説明してくれた。ちょっとやり過ぎたから反省しているようだ。

「そうそう。やっぱり核の研究施設で間違いなかったにゃ~。それと放射能も微量だったから、人体への影響も大丈夫そうにゃ」

 まずは皆を安心させたら、ざっくりした研究内容の説明。まだ研究途中で実用化までは届いてなかった事と、完全に埋めてしまったと説明したから、復活は難しいと判断してくれた。

「それとにゃ。重大発表がありにゃ~す。ニャニャニャニャ……」

 わしが重大発表のあとに口でドラムロールをしたら、リータ達はどうでもいい事だと思って溜め息が漏れていた。

「ジョージ君のお父さんとお兄さんは、暗殺されていましたにゃ~」
「「「「「はひっ!?」」」」」

 リータ達が呆れた顔をしていたから皆にも緊張が無くなっていたので、重大発表の内容に、皆は声を裏返して驚いてくれた。

「だ、誰が、父と兄を……」

 そんな中、被害者家族のジョージが震えた声で質問するので、施設で働いていた二人の男を指差して紹介する。

「あちらの二人ですにゃ~」
「なんだと……」
「でも、主犯に無理矢理やらされたから、犯人とは言えないかもにゃ~」

 ジョージが怒りの目を二人に向けたが、わしの言葉で少し冷静になった。

「たしかに……自発的に王殺しなんて無理がありますね。その主犯は誰なんですか?」
「王と次期王にゃ」
「父と……兄??」
「にゃんかお兄さんは早く王になりたかったみたいだにゃ。んで、お父さんは長く王をやりたかったようにゃ」

 事の顛末はこうだ。早く全権を握りたかった兄は、父の弱味を調べていた時に知った放射能を使って、病死に見せ掛けて殺そうとしたのだ。
 しかし暗殺をたくらんでいると父にバレて、父も同じ方法で兄の暗殺をくわだてた。兄さえ殺してしまえば、やる気のないジョージなら退任を迫るわけがないからだ。
 そこで協力者である男に放射能まみれの服や食品、ウラン鉱石を入れた置物等を用意させていたのだが、お互い同じ事をしていたので、歳上の父から倒れ、時間差で兄が倒れ、双方自滅してしまったのだ。

「あはははははは」

 真相を知ったジョージは笑うしかない。ただ、わし達はどう声を掛けていいか迷っていた。

「どうりで仲が悪かった二人が仲良くしていたわけだ。でも、自滅って……まぬけすぎる。あはははは」

 ジョージが狂ったように笑い続けていると、女王が前に出てジョージの肩に手を当てた。

「親兄弟でいがみ合う王族は少なからず居るわ。うちでもそうだった。過去をさかのぼれば、もっと酷い歴史がある。あなたはこの事から学ぶしかない。歴史が繰り返されないように」
「ペトロニーヌ陛下……」
「いまは泣きなさい。そして泣き止んだら国の事だけを考えなさい」
「うっ……ううぅぅ……」

 ジョージは女王の胸の中で涙する。

 その涙は、父と兄のいがみ合いを止められなかった涙かもしれない……
 その涙は、父と兄の死を今ごろ悲しんでいる涙かもしれない……
 その涙は、王としての重圧を受け止めた涙かもしれない……

 わし達はしばし、二人を黙って見続けるしか出来ないのであった。
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