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第二十四章 アメリカ大陸編其の三 南米で遺跡発掘にゃ~
692 山の集落にゃ~
しおりを挟む白アナコンダをぶつ切りにして次元倉庫に入れたらお片付け。わし達の戦闘のせいで自然破壊が起きてしまったので、倒木だけは次元倉庫に入れておく。
白アナコンダの血が広範囲に残っているから水魔法で薄めておけば、植物が急成長して多少は自然が回復するだろう。
そんな場所では野営が出来ないので、わし達は移動。プレイリードッグの縄張りまで戻ったら、めっちゃ感謝された。どうやらプレイリードッグの縄張りは、白アナコンダの狩り場だったようだ。
これで今後は食べられる心配が無くなったので、わしのアニキ度がアップ……
でも、超アニキって、なに? オジキとか組長とかないの??
プレイリードッグではそんな言葉を知らないみたいなので、ここは「社長」と呼ばせる事にした。わしはヤクザじゃないからな。
でも、もうちょっと流暢に喋ってくれ。さん付けはいらん!!
「シャチョサン」「シャッチョサン」とわしにスリ寄るプレイリードッグ達は威嚇して追い払い、野営の準備。プレイリードッグをモフモフし過ぎてけっこう毛だらけなリータ達をお風呂で洗ってあげて、夕食。
この日は、またプレイリードッグをモフりに行ったリータ達は何度もお風呂に入り、一日が終わるのであった。
翌朝は、またプレイリードッグをモフりに行こうとしたリータ達に「狩りはいいの?」と唆したら、戦闘機に乗ってくれた。散々プレイリードッグをモフっていたくせに、獣も殺したいようだ。
それから空を行くこと南に数十分、大きな白い森があったので降りろと言われたから着陸したら、そこはもぬけの殻。どうやらここは、昨日倒した白アナコンダの縄張りだったみたいだ。
これでは仕方がないと戦闘機を出してみたが、リータ達は縄張りの主が居ない空振りを喰らって戦闘熱に火がついていたので乗ってくれない。皆が満足するまでその辺の獣を狩ってから、戦闘機で空に行くのであった。
ようやく順調に進み、夕方頃になったらパナマにある大きな水辺近くに着陸し、今日の疲れを落とす。
「それにしても、この辺は変わった地形ですね」
夕食を終えてわしが航空写真を見ていたら、リータが興味を持ってくれたのでわしも嬉しい。
「気付いたにゃ~?」
「はい。空から見たら、ふたつの大陸を繋ぐ橋みたいに見えました」
「その通りだにゃ。わしの世界では、ここを通って南と北の人が行き来してたんにゃ」
「へ~。強い獣が居ないと、そんな移動も出来るのですね~」
「もっと凄いこともしてたにゃ~」
わしとリータが楽しく喋っていると、メイバイ達も興味を持って話に入って来る。
「凄いことってなんニャー?」
「わしの世界には海も強い生き物が居なかったから、船での輸送が主流でにゃ~。このアメリカ大陸は北や南に行くのは楽なんにゃけど、東西に抜けるのが難しいんにゃ」
「う~ん……それのどこに凄いが繋がるニャー?」
「じゃあ質問にゃ。この縦長の大陸を、東から西に船で抜けるにゃら、どうしたらいいかわかるかにゃ~??」
リータ達はわしの質問に、地球儀を見ながら最北端と最南端を回る航路を提示していたが、わしは首を横に振り続ける。すると、意外にもコリスが正解に近い答えを出した。
「いまいるパナマってところをよこぎったらいいんじゃない?」
「にゃ! コリスは天才にゃ~!!」
「ホロッホロッ」
「え? 船だと水がないと通れないじゃないですか」
「そうニャー。陸があったら無理ニャー」
「そこはふねをかついでいくの~」
「「「「その手があったにゃ~!」」」」
「ホロッホロッ」
大天才のコリス案に皆は納得して褒めているが、わしはちょっと違う。
パナマを横切るは正解なんじゃけどな~……思ったより脳筋の発想じゃったわい。ま、正解にしとこうかのう。コリスも賢くなったもんじゃ。ウンウン。
いや、親バカなので甘々。ただし、きちんと正解を言っておかないと、そんな文化が根付きそうなのでわしはちゃんと説明する。
「この世界でにゃら正解なんにゃけどにゃ。わしの世界では、力持ちが居ないから無理だにゃ~」
「じゃあどうやってたの?」
「陸を削ってにゃ。ここの水辺と海を繋げたんにゃ。すると、船を降りずに陸を渡れて、みんにゃハッピーになったにゃ~」
「あ~……いま猫の国でやってる川を作ったのですか」
「そんな大きな川を作るなんてすっごいニャー!」
猫の国でも北にある山から水を引く工事をしているので、リータ達にも苦労が伝わってよかった。以前わしがちょちょいとダムを作ったので、伝わらないかと思っていたが杞憂だったらしい。
「そんな世界が未来に待ってるかもにゃ~」
この世界は、人間が生きるには苦労が多い世界だ。いつか元の世界に近い発展を遂げる事を夢に見つつ、この日は眠りに就くのであった……
翌日も、移動と狩り。狩りのせいで移動速度が延びないので、コスタリカ南部で一泊してしてからペルーに入った。
「う~ん……この辺は黒い森が少ないですね」
「そうかニャー? 正面は真っ黒ニャー」
「ほら、左右は緑と土じゃないですか?」
リータとメイバイは戦闘機から見える黒い森の分布が気になるらしいので、わしが説明してあげる。
「東側はアマゾンにゃ。西側は海が近いから砂浜が見えてるのかにゃ?」
「西はわかるとして、アマゾンとはなんですか?」
「世界最大面積を誇る熱帯雨林が集まる場所の名称にゃ。だからアマゾンは人間が暮らすには厳しいんにゃ~」
「それなら黒い森のほうがもっと厳しいニャー」
「そりゃそうなんにゃけど、元々人間が住めない土地ってことは、戦争に巻き込まれることはないから、本来の動植物がそのままの姿で残されてるってことにゃ」
「じゃあ、強い獣は居ないのですね」
「そんなのつまらないニャー」
「元の世界では、それでも危険な土地だったんにゃ~」
わし的にはアマゾン探検もやってみたかったのだが、皆には不評。男の子の夢、ヘラクレスオオカブトムシを捕まえたいと言っても通じない。
ただ、美味しい果物が見付かるかもと言ったらコリスが味方に付いてくれた。なのでオニヒメも興味を持ってくれたので超嬉しい。
そうしてぺちゃくちゃと喋っていたら、イサベレが何かを見付けたようだ。
「あの山……何か形がおかしくない?」
「どれにゃ~?」
イサベレの指差す方向に機首を向けるが、山は霧に覆われていていまいちわからない。ただし、シルエットが気になったので高度を落としながら近付いてみた。
「う~ん……」
「どうかしたのですか?」
「わしの探していた遺跡だと思うんにゃけど、霧のせいでいまいちわからないにゃ」
「じゃあ、先に進みましょっか?」
「降りて探すという選択肢はにゃいのでしょうか?」
リータは質問して来たわりにはあっさりしているので、スリスリごまスリ。なかなか許可が下りないが、オニヒメとイサベレがわしの味方に付いてくれる。
「たぶん人が居るよ」
「ん。この感じは人」
「だってにゃ!! ゴロゴロ~」
「しょうがないですね~」
しょうがないと言っているわりには、リータは嬉しそう。そんなリータをニヤニヤ見ていたら、わしゃわしゃされてしまった。心を読まれて恥ずかしかったみたいだ。
若干操縦の邪魔だが頑張って操縦して、その山の中で親指みたいな山の頂上に着陸。機内では、メイバイ達に空気魔道具内蔵のマスクを配る。
「また毒の心配ニャー?」
「違うにゃ。ここは標高が高いから空気が薄いんにゃ」
「空気が……薄いニャ?」
「あ、わかりにくかったにゃ。こう言う場所は息がしづらくってにゃ。高山病と言って頭痛や吐き気、体調不良が起こるんにゃ。日ノ本で高く飛んだ時になってたにゃろ?」
「あっ! アレニャー!!」
「まぁ二千メートル半ばにゃから大丈夫だと思うんにゃけど、苦しかったら使うんにゃよ~?」
メイバイ達に高山病の説明を終えたら、戦闘機のハッチを開ける。外に出ると霧が深いので、毛皮が湿って細い猫になりそう。なので、全員猫耳マントを装備してから戦闘機をしまって歩き出す。
「ちょっと足場が悪いしわかりにくいにゃ。全員リータの鎖を握って移動しようにゃ~」
「「「「「はいにゃ~」」」」」
こんな場所、あっと言う間に滑落事故が起きてしまいそう。全員落ちても大丈夫だろうが、どれぐらい下に落ちるかわからないので安全策だ。
全員が鎖を握ったのを確認したら、わしの探知魔法頼りに進み、すぐに人間の痕跡が見付かったから、真後ろに居るオニヒメと一緒に調べる。
「おお~。この辺から階段になってるにゃ~」
「本当だね。でも、なんでこんな山の頂上なんかにあるの?」
「たぶん登る事に意味があるんにゃ。太陽信仰って太陽を神聖視する者が居るんにゃけど、そういう人達は太陽に近付きたがるんにゃ」
「へ~。だからこんな高い場所に人が集まってるんだ」
オニヒメが興味を持ってくれたのでぺちゃくちゃ喋り、皆に気を付けるようにと声を掛け、山肌に作られた通路を歩き、およそ500メートルほど下りた頃に、探知魔法で家の形がある場所に辿り着いた。
「ここもよく見えないにゃ~。家があるんにゃけど、わかるかにゃ?」
「「「「「ぜんぜんにゃ~」」」」」
「人といつ会ってもおかしくにゃいし、準備だけしておこうにゃ~」
まだ霧でわかりづらいが、人間と出会った場合、わしとコリスがヤバイ。なので、コリスはさっちゃん2に変身。わしはリータの抱っこ。準備が整えば、近くの家らしき建物へと向かう。
その建物はノックをしても誰も出て来なかったから、ドアを開けたら農具置き場だったので、次へ。集落の外れにある建物はイサベレ曰く、誰も居ないとのことだったので、早く言ってよね~。
それから集合住宅のような場所まで進めば、近くの扉をノックしてみた。
「#&#? ……#&**&#*??」
その家からは、人種の系統で言えばモンゴロイドのおばちゃんが出て来てくれたのだが、言葉がわからないので、全員、念話を繋いでリータが対応する。
「私達は旅の者です。いまは不思議な力で頭の中に語り掛けているので驚かないでください。怪しい者でもありません」
おばちゃんはキョロキョロしながらリータの念話を聞いていたが、なかなか返事が来ないのでリータはそのまま続ける。
「この地の代表の方とお話をしたいのですが、取り次いでいただけないでしょうか?」
「あ……えっと……あんた~! ちょっとちょっと!! ちょっと待っててね。あたし、ちんぷんかんぷんで。夫と相談して来るわ」
おばちゃんは奥にいる旦那に声を掛けたが、旦那から返事が無かったので奥に消えて行った。それから数分「ワーワー」聞こえていたが、静かになったかと思ったら、二人で玄関に現れた。
「本当だな……見たことのない顔だ……」
登頂部が薄いおっちゃんはリータの顔を見て困っているので、リータから声を掛ける。
「私達は遠くの地からやって来たので、少し顔や髪の色が違うのですよ」
「頭の中で……これがさっき言っていた不思議な力か……」
「それで……代表の方とお会い出来るでしょうか?」
「そ、そうだな。俺じゃあどうしていいかわからない。ちょっと行って来るから、お前、相手しておいてくれ!!」
おばちゃんは「あたしが!?」って顔をしているのに、おっちゃんはリータ達を押し退けてどこかに走って行ってしまった。
おばちゃんもどうしていいかわからないのか、中に招き入れてくれてお茶まで出してくれた。わしも飲みたかったが、ここはもう少し様子見。おばちゃんとの世間話を盗み聞く。
そうしてわし達の暮らしをリータが説明していたら、霧のせいで髪の毛がぺっちゃんこになったおっちゃんが戻って来た。どうやらここの代表の人の元へ連れて行ってくれるようだ。
おばちゃんとは違いおっちゃんは何も喋ってくれないが、チラチラ見ているからリータ達のことが気になるのだろう。いや、リータが抱いてるわしがなんだか気になるのかもしれない。
しばし歩き、階段を上がったところにある神殿みたいな建物の前には数人の男が立っており、わし達を見てガヤガヤと喋っていたが、奥に居る人物に何かを言われてわし達を中に通してくれた。
その一番奥には、背が高そうな老人が椅子に座っており、わし達はその老人の前に連れて行かれ、椅子に座るように促された。
「このような地に、遠路遥々よう参られた。長らくなかった来客に、正直、何から聞いていいかわからないんじゃが……目的だけ、先に教えてもらえんかのう?」
老人は困惑しているが丁寧に対応してくれているので、リータも丁寧に念話の説明をして、目的を告げた。
「はあ……ここを見て回るだけか……」
「皆さんは旅行をした事が無いからわからないと思いますが、凄く楽しいんですよ。その土地土地に人が居て、いろいろな文化があるんです。ちなみに、我が国には、こんな人間も居るんですよ」
「こんな人間とは??」
「怖がらないでくださいね? 繊細なので、怖がると泣きますからね?」
「言ってる意味が……」
リータは細心の注意事項を説明してから、わしを膝から下ろして床に立たせてくれる。ここでようやくわしの出番だ!
「にゃ~はっはっはっ。我輩は猫であるにゃ。名前はシラタマにゃ。引っ掻いたりしないにゃ~」
猫耳マントを脱ぎ捨て、笑いながらの自己紹介。かなり決まったと思うが、老人達は口をパクパクしているだけで反応は無し。
「あの~……にゃんか言ってくれにゃいと恥ずかしいにゃ~」
「なんじゃこの生き物は~~~!!」
「だから猫って言ってるにゃ~」
やはり、わしの見た目はすんなりとは受け入れてもらえず、もうしばらくは落ち着くのを待たないといけないわし達であったとさ。
「そうそう。ちょっとやってみたいことがあるんにゃけど、外でいいかにゃ?」
ようやく落ち着いたところで、向こうからの質問は無視。返事も無視してトコトコと歩いて外に出たら、わしの風魔法。
「【大竜巻】にゃ~!!」
わしのやりたいことは、霧を吹き飛ばすこと。辺りの霧を竜巻で集めたら、一気に四方に吹き飛ばす。
「「「「「うわ~~~」」」」」
「「「「「お、おおおお……」」」」」
その結果、空から太陽の光が射し込み、猫パーティだけじゃなく、原住民からも感嘆の声があがる。
「にゃはは。やっぱりマチュピチュだったにゃ~」
そう。ここはペルーにある天空都市『マチュピチュ』。霧のベールを剥がされ、その姿がはっきりと現れたのであった……
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