28 / 43
猫歴15年
平行世界17日目その1にゃ~
しおりを挟む元女房のララと密会していたことがバレたわしは平謝り。誠心誠意謝って、ララとの関係を説明したら、ちょっとだけ許してくれた。
「この人がシラタマさんの……」
「若すぎるニャー!」
「一回死んでるからにゃ~。ゴロゴロゴロゴロ~」
撫で回しの刑は免れないので、わしはそのまま気絶。晩ごはんには起こしてくれたけど、怒られたり撫でられたりしながらなので、ぜんぜん食べた気がしない。
「それはなに~?」
「コリスも食べるにゃ?」
「食べる!」
なので、インスタントラーメンを追加。頬袋が膨らんだままのコリスと一緒に3分待つ。
「熱いから気を付けるんにゃよ~? ズルズル~」
「うん! ズルズル~。星みっちゅ!」
コリスが最高得点を付けるものだから、子供たちも「くれくれ」うるさかったので、わしの分が取られた。でも、いっぱい買ってあるので新しく作ろうとしたら、全員御所望。
全員分、魔法でお湯を入れて3分待たせたら、ズルズルとすする。ちょっとジャンクだけど、インスタントラーメンは大好評。お湯を入れるだけで作れるので、特に子供に大人気だ。
そんななか、昔ながらののインスタントラーメンとちょっとお高いインスタントラーメンを交互に食べているベティにツッコンでみる。
「にゃんてわんぱくな食べ方してるんにゃ。太っても知らないにゃよ?」
「いや~。つい気になっちゃって。こっちの生麺タイプっての? よくこのクオリティを出せるわね。それに、昔のまんまのラーメンも残っているのも嬉しいわ~」
「まぁわしも、結局は昔ながらのヤツを手に取ってしまうからにゃ。なくしたら、暴動が起こるかもにゃ~」
「アハハ。それはそうと、インスタントラーメンの技術も手に入れられない? あたしが料理する時は、シラタマ君にはそれを出してあげるから」
「手抜きするにゃよ~」
ベティの言い方はムカつくが、わしも食べられる物ならうちでも食べたい。とりあえずスマホでインスタントラーメンを調べてみて、簡単な作り方や最新の作り方の画面をスクショで収めておく。
それから晩酌をしつつ、今日の京都観光の感想を聞いてみたら、ララとの密会が再燃。いちおうどうやってバレたのかと聞いたら、外務省の七三メガネのせいだった。
わしはエミリに抱かれて安らかに眠っていると皆に思われていたらしいが、七三メガネに電話が掛かって来て焦っているなと見ていたら、スマホの画面でララの動画サイトを見せられたとのこと。
わしが分身の術でも使っているのかと問い詰めて、七三メガネが触ってみたらぬいぐるみ。これでは言い訳もできないので、事情を知ってるベティが「脱走しちゃった」と嘘ついたんだって。
そのあと、七三メガネはずっと電話を掛けていたと聞いたから、たぶんわしの捜索をしていたのだろう。おそらく、高校にも大勢の警官がアミを持って向かったと思うけど、わしは隠密行動をしていたので捕まえられなかったと推測する。
わしの影武者がバレた話を聞いたら、怒りを逸らそうと玉藻に京都観光を質問。そしたら、めっちゃうるさい。まったく違う町になっているのだから、わからないこともないが、声のトーンを押さえてくれ。
ただ、御所の建物が半数近く壊された上にほとんど使われていないと聞かされて、かなり落ち込んだそうだ。
そのせいで、わしはやけ酒に付き合わされて酔い潰れるのであった。でも、リータとメイバイの説教が減ったので、助かったとも思うわしであったとさ。
平行世界滞在17日目は朝早くから叩き起こされて、さっさと移動。移動中の電車の中で、わしは爆睡。皆はだいたいゲーム。一両貸し切りだから、やりたい放題だ。
そしてやって来たのは、大阪にある埋め立て地。ペンペン草も生えなかったあの場所は、複合リゾート施設へと様変わりしていた。
「さあ、カジノで一攫千金を当てるにゃ~~~!!」
「「「「「にゃ~~~!!」」」」」
そう。ここはカジノも併設されていると聞いたので、遊びに来たのだ。ちょっと子供と猫兄弟が黒服に止められたけど、勉強のためと嘘をついてなんとか入れてもらえた。
基本、子供はママロックで捕まってスロットやパチンコで遊んでいるので、わしはさっちゃん1人では2人の子供と猫兄弟を相手にするのは大変だろうと思って一緒に回っている。
「それにしても、いっぱいゲーム機があって楽しい場所ね~」
「正確に言うと、アレはゲーム機じゃないんだけどにゃ~」
「どゆこと?」
「カジノってのは、ギャンブルにゃ。高額当選にゃんてしたら、いっぱいお金が貰えるんにゃ~」
「あ……一攫千金ってそういうこと!?」
「意味もわからずに返事してたにゃ??」
さっちゃんは「日本語喋れませ~ん」とか言っていたけど、それが日本語。そうツッコンだら、わしの説明不足と返って来たので、ルーレットのテーブルに逃げ込んだ。
「ほい。赤か黒、好きなほうにこのコインを置くんにゃ~」
「うん!」
「ちょっと~。娘に変な遊び教えないでよ~」
さっちゃんの娘に遊び方を教えていたら、さっちゃんがいまさら教育論を語っていたけど、娘が当てて「きゃっきゃっ」と息子と嬉しそうにしていたので、自分もやるとかうるさくなった。
「次こそ21番が来る予感!」
「熱くなるにゃよ~」
一回数字を当てただけでさっちゃんは高配当ばかり狙うので、あっと言う間におけら。わしと子供たちが遊んでいたコインも奪おうとしやがったので、黒服に追い出してもらおうかと思うわしであったとさ。
さっちゃんは反省したとか言いながら、次のブラックジャックでも「イカサマ」とか叫び出したので、わしは口を塞ぐ。
そして、子供たちに「ギャンブルには人の怖い一面を引き出す欠点がある」と教えていたら、さっちゃんも恥ずかしくなったのかゲームはやらなくなった。
かといって、カジノもわしたちの世界にお持ち帰りするかもしれないので、勉強はしなくてはならない。わしとさっちゃんは、子供たちがゲームをする姿を見ながら話し合うのであった。
ゲームをしたり楽しそうに遊んでいるリータたちにも感想を聞いてウロウロしていたら、ベティ親子を発見。ルーレットの場所で何やら叫んでいたので寄ってみたら……
「エミリ。この指輪とコインを交換して来て。異世界の物って言ったら、絶対に高く買い取ってくれるから!」
「にゃにわしがあげた物を売ろうとしてるんにゃ……」
「シラタマ君!?」
「ベティ……退場にゃ~~~!!」
「そんな~~~」
借金してまでやろうとしていたので、激オコ。さっちゃんにも「これがさっちゃんの未来だった」と教えたら、今ごろ怖がっていた。
ベティを追い出したいところであったが、1人にするほうが危険なので、わしは手を掴んで離さない。
わしたちの組にエミリと一緒に加えて歩いていたら、ブラックジャックのコーナーにめちゃくちゃ人だかりができていたので覗いてみたら……
「またノルンちゃんの勝ちなんだよ~~~!」
ノルンがバカ勝ちしていた。
「てか、見ないと思ったら1人でにゃにしてるんにゃ~。危ないにゃろ~」
「だって、ベティといたら、ノルンちゃんのコインが奪われるんだよ」
「こんにゃ小さい子に集るにゃよ~」
ノルンをちょっと叱ったら、矛先は「シーッ!」とか言ってるベティに変更。
さっちゃんたちはブラックジャック攻略法を聞いていたけど、ノルンは「全てのカードを覚えているから楽勝」って言ったので、「できるか~!」ってツッコミが聞こえて来た。
ノルンのことはエミリに任せてまたウロウロしていたら、丁半バクチで玉藻を発見。なんか揉めていたから寄ってみたけど……
「こやつがイカサマしてるとか疑って来るんじゃ」
玉藻もバカ勝ちしてるっぽい。それも、一回も外してないらしい……
「勝ちすぎだからにゃ~。もう許してやれにゃ~」
「なんじゃと? こんな稼げるチャンスを妾に捨てろと言うのか??」
「稼げるにゃ??」
玉藻の言い方がおかしかったので必勝法を聞いてみたら、ディーラーが下手クソだから、玉藻の動体視力ならばサイコロが丸見えだったらしい……
「ちょっと君。イカサマとか言う前に、もっと上手い人を呼んで来いにゃ。ツボからサイコロが見えてるらしいんにゃ」
「シラタマ! そちは何をバラしておるんじゃ!!」
「玉藻はもっと洋風のゲームをしろにゃ~」
日本独自のギャンブルがあるのは凄く嬉しいことなのだが、玉藻はそこから排除。ポーカーの席に着けて次に移動する。
会う人会う人に注意しているわしを見たさっちゃんの子供に「おじちゃんも大変だね~」って労われたり わしが「お兄ちゃんって呼んで」と反論していたら、スロットコーナーでゴージャスにモグモグしているコリスとオニヒメを発見。
やたら儲けているように見えたので、また不正していないか心配だから話をしてみる。
「そのお菓子の数々、どうしたにゃ?」
「モゴモゴモゴモゴ~」
「んっとね。お姉ちゃんは……」
コリスは頬袋が膨らんでいて何を言っているかわからないので、オニヒメが通訳。といっても、オニヒメもどうしてこうなっているかわからないようだ。
「マジにゃ……ジャックポット当てたんにゃ……」
「うん。コインが止まらなくて困ったの」
わし、愕然。ジャックポットとは、全てのスロット台で外れて溜まりに溜まったコインが1人の元へ流れるシステムなのだから、コリスの運の強さに驚きを隠せない。
いくらかと言うと、うん千万は確実。下手したら何億もありそうなので、普通の人なら人生が変わりそうな額だ。
それなのに、コリスは通常運転。スロットのレバーを引けばいくらでもジュースとお菓子をバニーガールが運んで来てくれると思っているのか、無駄遣いしている。
バニーガールはその都度コインを持って行ってるのに、そのことも理解していないようだ。
その隣では、オニヒメがコインを拝借。なくなったら補充しているようだけど、コリスの台はガバガバなのか全然減る気配がない。わしが見てるだけでも、何度か高額配当を当ててたもん。
「もうじきお昼にゃし、ごはんにしにゃい?」
「うん! ごっはっん。ごっはっん♪」
というわけで、ギャンブルはお昼で終了。コリスだけでもとんでもなく勝っているので、台から引き離すわしであった。
ちなみに、離れ際にバニーガールが「ありがとうございます」とボソッと言った気がしたので振り返ったら、スロットに故障中の張り紙を張っていたので、機械に何か不具合があったのかもしれない……
1
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
転生先はご近所さん?
フロイライン
ファンタジー
大学受験に失敗し、カノジョにフラれた俺は、ある事故に巻き込まれて死んでしまうが…
そんな俺に同情した神様が俺を転生させ、やり直すチャンスをくれた。
でも、並行世界で人々を救うつもりだった俺が転生した先は、近所に住む新婚の伊藤さんだった。
【完結】剣の世界に憧れて上京した村人だけど兵士にも冒険者にもなれませんでした。
もる
ファンタジー
剣を扱う職に就こうと田舎から出て来た14歳の少年ユカタは兵役に志願するも断られ、冒険者になろうとするも、15歳の成人になるまでとお預けを食らってしまう。路頭に迷うユカタは生きる為に知恵を絞る。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
死んだはずの貴族、内政スキルでひっくり返す〜辺境村から始める復讐譚〜
のらねこ吟醸
ファンタジー
帝国の粛清で家族を失い、“死んだことにされた”名門貴族の青年は、
偽りの名を与えられ、最果ての辺境村へと送り込まれた。
水も農具も未来もない、限界集落で彼が手にしたのは――
古代遺跡の力と、“俺にだけ見える内政スキル”。
村を立て直し、仲間と絆を築きながら、
やがて帝国の陰謀に迫り、家を滅ぼした仇と対峙する。
辺境から始まる、ちょっぴりほのぼの(?)な村興しと、
静かに進む策略と復讐の物語。
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
薬漬けレーサーの異世界学園生活〜無能被験体として捨てられたが、神族に拾われたことで、ダークヒーローとしてナンバーワン走者に君臨します〜
仁徳
ファンタジー
少年はとある研究室で実験動物にされていた。毎日薬漬けの日々を送っていたある日、薬を投与し続けても、魔法もユニークスキルも発動できない落ちこぼれの烙印を押され、魔の森に捨てられる。
森の中で魔物が現れ、少年は死を覚悟したその時、1人の女性に助けられた。
その後、女性により隠された力を引き出された少年は、シャカールと名付けられ、魔走学園の唯一の人間魔競走者として生活をすることになる。
これは、薬漬けだった主人公が、走者として成り上がり、ざまぁやスローライフをしながら有名になって、世界最強になって行く物語
今ここに、新しい異世界レースものが開幕する!スピード感のあるレースに刮目せよ!
競馬やレース、ウマ娘などが好きな方は、絶対に楽しめる内容になっているかと思います。レース系に興味がない方でも、異世界なので、ファンタジー要素のあるレースになっていますので、楽しめる内容になっています。
まずは1話だけでも良いので試し読みをしていただけると幸いです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる