アイムキャット❕❕❕~異世界の猫王様、元の世界でやらかす記~

ma-no

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猫歴15年

平行世界24日目と25日目その1にゃ~

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 某・公園にて、緑の中でゆっくりしようと思っていたのに、リータたちがわしに襲い掛かって来たので相手をしてあげたら、バッタバッタと倒れて行った。わしは受けているだけなのだが、リータたちは全力で動いていたから疲れたのだろう。
 ちなみにテレビクルーは、わしたちが戦うと知って浮かれてカメラを回していたけど、速すぎてほとんど映っていない。時には、明後日の方向にカメラを向けていた。
 どうしてスーパースローカメラを持って来なかったのかと悔やんでいたけど、今日の予定はのどかなピクニックなんだから必要ないからだ。

 その訓練は大詰め。最後に立っていたのは玉藻だけであった……

「もういいにゃろ~。いくらやっても、わしは女に攻撃しにゃいからにゃ~」
「そこがそちの短所じゃな。まぁこれで最後にしておこうか」
「短所じゃなくて長所にゃ~」

 ラストの攻撃は、扇二刀流による舞い。玉藻の高速回転攻撃で旋風が起こったが、わしはキッチリ刀で全てを受け止めたのであった。


 玉藻も息を切らせて座ったら、ようやく訓練の終了。さっちゃんや子供たちは拍手してくれていたから楽しかったのだろうが、テレビクルーの顔は真っ青。
 最初は面白そうにカメラを回していたけど、わしたちの動きが異常すぎて今ごろ怖くなったのだろう。わしが近付いたら「あの人たちどうなってるの?」って言われたし……てか、その中心にいたのわしなんじゃけど……
 どうもテレビクルーは、わしがそんなに動いていないから皆の攻撃を捌いていたと思っていなかったみたいで、説明したら「またまた~?」とか言っていた。あまり信じていないようだ。

 皆が休憩して動けるようになったら、ピクニックは終了。バスに揺られて近くで一番お高いホテルのワンフロアを借りて今日の疲れを落とす。

「いや、お前はいつになったら帰るんにゃ~。学校もどうしたんにゃ~」
「パパとママには許可を貰っているから大丈夫よ。あと学校もね」
「学校公認にゃの!?」

 あと、今日もわしをモフるララと……

「その部屋にもエリザベスはいないにゃよ?」
「そんな~~~」

 エリザベスに近付こうとするジュマルもお泊まりするのであったとさ。


 平行世界24日目は、さらに田舎へと足を運ぶ。バスの中では昨日とは違うテレビクルーが「今日も戦ってくれますよね~?」とかゴマをすって来るから面倒くさい。
 昨日の訓練がテレビで流れていたからスーパースローカメラを持って来たのだろうけど、今日の予定は農業の視察と言っておろう?
 「そこをなんとか!」と言うテレビクルーを押し返していたら、予定通り農業をやっている地区へ到着。しかし、テレビクルーが拗ねて、農家との顔繋ぎをしてくれない……

「わかったにゃ。わしの最強魔法を見せてやるから機嫌直してにゃ~」
「「「「「ひゃっほ~い!」」」」」
「まだ見せてないんにゃけど……」

 魔法を見せると言っただけで、テレビクルーは復活。小躍りしながらカメラセッティングをしている。

「私も撮っていいよね? 許可なくても撮るけどね!」
「勝手にしろにゃ~」

 あと、ララもテンション上がっているので面倒くさい。とりあえずテレビクルーとララの準備を待って、【四獣】を召喚するわしであった。

 【四獣】を召喚すると、撮影者は大興奮。一番大きな土の亀【玄武】は体長20メートルもあるのに、ジュマルを登らせていた。自分で登るのは怖いけど、ちょうどいいヤツがいたからジュマルに行かせたっぽい。
 ジュマルが【玄武】の頭から滑り降りると、反対属性どうしのぶつかり合い。火の鳥【朱雀】と氷の龍【青龍】がお互いの熱で相殺。風の虎【白虎】が【玄武】を滅多斬りにして質量を減らしてどちらも消滅。
 わしの最強魔法を撮影できたテレビクルーは、感動の拍手を送るのであった。

「あ、そうにゃ。スーパースローカメラでわしを撮ってくれにゃ~」
「「「「「やっほ~い!」」」」」

 スーパースローカメラはわしも興味があったので、どれぐらいの速度まで映るか、何度も反復横跳びをして遊ぶわしであったとさ。


 撮れ高のいい絵が撮れたテレビクルーはひと仕事終えた感じで帰りそうになったので、慌てて引き止めて農業見学。畜産業や果樹園も連れて行ってくれたので、ベティとエミリがテンション高く質問をしていた。
 わしたちはビデオカメラを回しつつ、紹介してもらった作物の味見。コリスと猫兄弟がいくらでも食べていいと勘違いしていたので、その都度、串焼きを食わせてやった。

「いや、確信犯じゃろうが……」

 玉藻が何か言っていたが、コリスたちはいい子だから泥棒なんて絶対しない。皆に甘々的なことを言われても、本人が首を横に振っていたからわしは信じている。

「1個でお腹いっぱいなんだよ……」

 イチゴのビニールハウスに入ったら、ノルンが大きなイチゴに噛み付いてギブアップ。時の賢者の設定の「イチゴみっちゅ」が使えないから落ち込んでいるようだ。

 そんななか、わしは技術面の質問。どう考えても作物の面積と作業員の数が合っていないので不思議に思って聞いてみたら、AIで管理しているそうだ。それは凄い進化だから日本中で使われているのかと聞いたら極一部。
 条例やらなんやと行政が邪魔することが多いし、農家が反対運動をして企業の参入を止めているので、AI技術に力を入れる自治体はかなり少ないみたいだ。


 農業の視察を続けていれば、もちろんお昼もご馳走してくれる。取れたてピチピチ鮮度のいい食材ばかりだから、ベティもエミリも自分で作りたいみたいなので、簡易キッチンを出して好きにさせる。
 その料理は農家や畜産業の人にもお裾分け。ついでに猫の国料理も振る舞ってあげた。

 皆で食べれば大宴会。わしも美味しく食べているけど、いちいちお肉になった動物さんの名前を笑顔で呼ばないでくれ。食べづらいんじゃ……

 そんな感じで農家の人たちと打ち解けて食事を終えると、またウロウロ。米の収穫も見せてくれると聞いたので、わしのバスを使って移動した。

「なんじゃ。トラクターで稲刈りしているだけじゃないか。これには最初は驚かされたが、もうある技術じゃから面白味に欠けるのう」

 日ノ本にも猫の国産のトラクターを販売しているから玉藻が文句を言っているが、見るところはそこではない。

「もっとよく見ろにゃ。トンでもないことをしてるにゃ」
「トンでもないじゃと? 周りも特に不自然なところは見当たらないが……」
「そっちじゃないにゃ。トラクターの運転席にゃ~」
「運転席? お、おおぉぉ……」
「「「「「にゃ~~~……」」」」」

 見るべき点に視線が集中すると、一同感嘆の声。そりゃ、人が操縦せずにトラクターが勝手に稲を刈っていたら、わしだってそんな声をあげたい。
 しかし乗り遅れたので、おっちゃんに機能面の質問をしつつ、綺麗に刈り取り上手く曲がって進むトラクターを見続けるのであった。


 農業の視察が終わったら、しばしのどかな雰囲気を楽しみながら休憩。わしの元へは、さっちゃんと玉藻が集まっていた。

「農業もここまで進化できるなんて凄いですね」
「うむ。この世界の人間はどれほど楽をしたがっているのかと、ちと不安にも思うがな」
「ウフフ。どうりでシラタマちゃんが怠惰になるわけね~」
「そうじゃな。こんなに働かないヤツも珍しいと思っていたが、なんでもあってなんでもやってくれる機械まであれば、怠惰な猫になっても仕方がないことだったんじゃな」

 なんだか2人の話がわしのディスリになって来たので、話の流れを元の位置に戻す。

「わしのことはいいにゃろ~。てか、先進国ってのは、お年寄りの人口が増えるから、自動化ってのは必要な技術なんにゃ~」
「「年寄りの人口?」」
「ここの医療は凄く発展してるし、食生活はうちと比べられないぐらいよかったにゃろ? そうすると、寿命が延びるんにゃ。ここの日本は老人だらけで出生率が低いから、必然的に働く人口が減るってわけにゃ」

 さっちゃんと玉藻は難しい問題が未来に待っていると理解して、驚愕の表情を浮かべる。

「ププッ。急に難しいこと言わないでよ~」
「どうもそのアホ面から難しい言葉が出るのは慣れないんじゃよな~。プププッ」

 いや、わしが真面目なことを言ったからうけてやがる。

「顔は関係ないにゃろ~。そんにゃに笑うにゃら、少子高齢化になっても助けてやらないからにゃ~」
「「それは困る!!」」

 ちょっと脅したら2人は誠心誠意謝って来たけど、わしもそんな大問題を解決する頭を持ち合わせていないので、結局バカにされるのであったとさ。


 帰り道は、バスの中で少子高齢化の解決策をテレビクルーに聞いてみたが、こいつらも知らないとのこと。さすがに日本政府が解決する行動を起こしているだろうと思っていたのに、ちょびっとしか動きがないそうだ。
 これでは参考にならないので、さっちゃんと玉藻と一緒にスマホで検索しまくり。他国で少子高齢化を解決した方法を調べて、ホテルに帰っても長いディスカッションに突入し、この日はくたくたになって終わるのであった。


 農業の視察を終えた次の日、平行世界25日目は近所の大学病院に向かう。テレビクルーはまたわしに「なにかやって」とうるさかったので、病院を更地にしていいならやってやると脅しておいた。悩むなよ……
 病院に足を踏み入れると、白衣のオッサンたちの壁。今日わしたちが来ることは打診していたから、院長回診の順路にわしたちが入っていたようだ。

「わしが代表のシラタマにゃ。今日はこの世界の素晴らしい医療を見せてくれにゃ~」
「私が院長の鈴木です。患者もいますから隅々とは言えませんが、この病院の知識を平行世界に役立たせてください」

 院長は思っていたより偉ぶっていないので好感が持てそうだ。なので握手に写真を何枚も撮ってあげたら、あとのことは広報に丸投げ。医者を全員引き連れて去って行った。やっぱり好感は持てそうにない。
 残されたわしたちは、広報の女性の案内で病室に隔離。なんか清潔な服に着替えるように丁寧に言われた。手術の現場を見せてくれるのだろう。

 そう思いながら入った部屋は、レントゲン室。患者はわしたちだった……

「わしたち視察に来たんにゃけど~??」
「院長からは隅々まで調べるように言われていまして。人間ドック……いえ、人間キャット……逆? 猫ドックはいかがでしょう??」
「わしたちのデータを取るのが目的にゃろ!!」

 そう。こんな変わった人種が揃っていたならば、医者としては解剖案件。そこまではできないから、できる範囲のデータを取ろうとしてやがったのだ。
 ただし、わしの素晴らしいツッコミは、広報の「人間キャット」の時点で後ろから大笑いが聞こえていたので、まったく決まらないのであったとさ。
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