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04 逃亡
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しおりを挟む騎兵の手当てを頼んだ姫騎士だったが、テレージアがキレてなかなか話が進まないので勇者に頼む。
「包帯を持っていないか?」
「ああ。あるぞ。サシャとテレージアは馬を頼む」
「わかりました」
「まだ話は終わってないわよ~……ムグッ」
「話は後で聞きますから、お願いします」
テレージアは魔王に捕まって馬の元へと運ばれ、姫騎士と勇者は負傷者の手当てにあたる。すると、姫騎士は勇者の顔を見ながら疑問を口にする。
「お前は不思議な男だな。体は強靭なのに、誰一人傷を負わせないとは……」
「頑丈だけが取り柄なんだ」
「そんな事はないだろう。走るのも速いし、馬にも負けない力がある。それほどの力があれば、殴るだけでも敵は倒せるだろう」
「かもな。でも、出来ないんだ」
「血を見るのが怖いってわけでもなさそうだが……私の見立てでは、かなりの修羅場を経験しているのだろ?」
「買い被り過ぎだよ」
「話したく無いと言う事か……」
「いや。修羅場に居ても、立っているだけで、俺は何もしていないんだ」
「……そうなのか」
「お喋りしてないで、手を動かそう。日が暮れてしまいそうだ」
「……わかった」
姫騎士は質問を諦めて、勇者と黙々と応急手当てをする。
一方、魔王達はと言うと……
「お馬さん。かなり苦しそうです。治せそうですか?」
「誰に言ってるのよ! このテレージア様に任せなさい!!」
「さすがテレージアさんです!」
「へへん。もっと褒めなさ~い」
「すごいすご~い……これでいいですか?」
「やっつけ仕事か!」
「まあまあ。お願いしますよ~」
「わかったわよ……と言いたいところだけど、あたしは集合魔法しか使えないのよね~」
「は?」
テレージアの発言に、珍しく魔王は顔を歪める。よいしょまでさせられたのだから、仕方がない事だろう。
「だ、だから、魔王も手伝って! そしたら簡単に治せるのよ」
「……いいですけど、どうするのですか?」
「魔王って魔力が多いでしょ? それを分けてくれたらいいのよ」
「そんな魔法は知りません」
「あたしの詠唱の後に続いてくれたらいいだけよ。それなら出来るでしょ?」
「魔族の使う集団魔法みたいなモノですか……わかりました。それではお願いします」
「オッケー!」
テレージアの唱える呪文に続き、魔王も呪文を唱える。詠唱が終わると【癒しの風】が完成し、馬の怪我が完全に治るのであった。
「かなりの魔力を使うのですね」
「本来は妖精10人以上でやるからね。それを魔王一人でやって、ケロッとしてるなんてたいしたものよ」
「テレージアさんに褒められました! 奇跡です!!」
「あたしだって褒める時は褒めるのよ!」
魔王の言葉にテレージアは照れて、プイッと横を向く。魔王はそんなテレージアは無視して馬を撫でていると、二人の元へ勇者が走って来た。
「一人死にそうな奴がいるんだ。ちょちょいと治してくれないか?」
「コリンナの味方をするわけじゃないけど、助ける必要あるの? 魔王の敵が減るのよ?」
「あ、そっか。それじゃあ、魔力が尽きたとでも言っておくか」
「それはダメですよ。助けられる命があるのなら、助けましょう!」
「サシャがいいのなら、俺はかまわないぞ」
「もう! わかったわよ。ホント甘いんだから~」
テレージアは悪態をつくが顔は笑っているので、怒っているわけではなさそうだ。
皆で姫騎士の元へ行くと、テレージアは相談する。
「あたしの治療魔法は強すぎて、完全に治ってしまうんだけど、どうする?」
「動けないままの方がいいのだが……まぁ治してから、足を折るなりすればいいか」
「わりと残酷な事を言うのね……」
「でしたら私が治療してみます」
「サシャが?」
「弱い回復魔法なら使えますので、血止めぐらいなら出来ると思いますよ」
「じゃあ、魔王に任せるわ」
「はい!」
魔王が呪文を唱えると血は止まったが、完全には治せなく、ちょうどいい塩梅で治す事は出来たようだ。そこを包帯を巻いて、応急手当てを終わらせる。
魔王が加わった事で、応急手当はスピードアップし、全員の手当てを終わらせると勇者は馬を追い掛け、二頭捕まえて戻って来た。
皆には信じられないモノを見る目で見られていたが……
「馬か……私は乗れるけど、他はどうだか」
「私も乗れますけど……」
姫騎士と魔王は馬に乗れるようだが、その他は首を横に振っているので、勇者は元々の案を実行する。
「ああ。馬車を出すから、繋ぐのを手伝ってくれ」
「馬車を……あの男は、どうなっているのだ?」
「まぁお兄ちゃんは変わっていますからね」
「変態よ」
「それで話を終わらせないでくれ! 剣は効かないし、家は出て来るし、かなり変だぞ!!」
姫騎士はついにキレた。今まで我慢していたのかも知れないが、魔王もテレージアも、説明出来ないので宥める事しか出来ない。
当の本人も、自分の能力を詳しく知らないので、笑って答えるしか出来ないのであった。
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