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05 戦準備
044
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ドアーフと武器作りの交渉を終わらせた魔王一行は、アルマの引く馬車に揺られて走り出したのは束の間、後ろ脚に跳ね上げられた土を被って急停止する事となった。
「土まみれです~」
皆の悲惨な状況に、魔王は愚痴る。馬よりも遥かに速く走るアルマの巻き上げる土を、屋根の無いオープン使用の馬車では、ガード出来ないので仕方が無い。
「お兄ちゃ~ん。なんとかなりませんか~~~?」
まるで青い猫に泣き付く男児のような声を出す魔王。
「アルマなら、アレでもいけるかな?」
まるで「テレレテッテレー」と答える勇者。
「おっきいです~~~」
「家……?」
勇者のアイテムボックスから出て来たモノは巨大な馬車。しかも、屋根や壁まで鉄で出来ている。
「こんなのあるなら言ってくださいよ~」
「重量軽減のマジックアイテムを付けてあるが、それでも大型魔獣か、馬十頭で引かないと動かないから、出番が来るとは思わなかったんだ」
「どうして、そんな物を持っているのですか?」
「妹が広い馬車で旅をしたいと言って、買って来たんだ。でも、従魔スキルを持つ仲間が居なかったから、魔獣を操れなくてな~」
「では、一度も使わなかったのですか?」
「いや。一度だけ、俺が引いて使った」
「……へ?」
「でも、町に着いたら変な目で見られたとかで、妹が使いたくないと言い出して、それっきりだ」
「へ~~~」
魔王は気の抜けた返事をするが、勇者が馬車を引く姿を想像して、「そりゃ変な目で見られるよ~」と思い、皆もコクコクと頷いていた。
その後、巨大馬車と巨大牛アルマを繋いだ馬車は、魔都へ向けてひた走る。ちなみに、中にいると前が見えないので、勇者とテレージアはアルマの背に乗って誘導すしている。
そんな中、車内では……
「うるさいですね……」
「石がぶつかっているんだな……」
「乗り心地はいいのですがね~」
「確かに……音さえ無ければ最高だな」
カンカンと鉄の音が鳴り響き、苦情で盛り上がる魔王と姫騎士。これぼど楽が出来ているのにも関わらず……
すると、二人の話を聞いていたコリンナがいい案を思い付く。
「魔王さんの魔法で、音を消せるかも?」
「本当ですか?」
「出来たらだけど、前面に土魔法で盾を作れば、土や石を弾いてくれるかも?」
「なるほど……それならば、直撃を避けられるな。出来るか?」
「……土を操作するだけですから、出来そうです!」
魔王は馬車の側面から顔を出し、勇者にストップを掛けて、コリンナと姫騎士と話し合いながら土避けを付ける。
それが終わると快適な馬車の旅が始まり、ようやくスピードが乗って来たようだ。
だが、次なる興味が魔王達に降り掛かる。
「私達が座っている場所は、何かおかしくないか?」
姫騎士がボソリと呟く。
「何がですか?」
「外から見た時と、中の面積が違うと思うんだ。だいたい四分の一ぐらいかな?」
「本当ですね。L字になっているのも、キッチンがあるのもおかしいです」
「あそこ、扉があるわよ」
二人と同じように部屋を眺めていたコリンナは、指を差して会話に入る。皆は気になるのか、頷き合って扉を開ける。
「廊下……ですね」
「まるで家だな」
「まだ扉があるわ」
先頭にいたコリンナは、扉を開けては閉めてを繰り返し、「ワーキャー」言いながら元に居た場所に戻った。
「寝室、お風呂、トイレもありましたね」
「つまりここは、一般的な住居で考えるとリビングと言う訳か」
「ソファーやキッチンもありますものね」
「お菓子と飲み物、見つけたわよ~」
魔王と姫騎士がブツブツ言って疑問を整理していると、三少女と一緒にキッチンを漁っていたコリンナが席に着く。
「コリンナさんは、変だと思いませんか?」
「う~ん……お金持ちなら、これぐらい持っているんじゃないの? パクッ」
コリンナに聞くのは酷ってものだ。孤児で家に住むのも、ボロボロの空き家で暮らした事があるぐらいなので、普通の生活すら想像が大きくなっている。そんな事よりも、見付けたお菓子にご執心だ。
「勇者と言ったか……戦えなくとも、何かと規格外な生き物だな」
「本当ですね。もしも妹様を召喚できていればと悔やまれます」
「妹か……強いのか?」
「魔法と剣が凄いと聞きました」
「そう言えば、刀は妹の持ち物だったな。一度手合わせして欲しいものだ」
「異世界の魔王を倒した勇者様では、さすがの姫騎士さんでも勝てないんじゃないですか?」
「だろうな。それを確める為に挑戦してみたかっただけだ」
姫騎士はサシャの力を思い浮かべ、勇者についての想像を膨らませる。魔王も過去に人界で活躍した勇者の伝説を質問し、お喋りは魔都に着くまで続くのであった。
一部はお菓子をボリボリ食べてるが……
「土まみれです~」
皆の悲惨な状況に、魔王は愚痴る。馬よりも遥かに速く走るアルマの巻き上げる土を、屋根の無いオープン使用の馬車では、ガード出来ないので仕方が無い。
「お兄ちゃ~ん。なんとかなりませんか~~~?」
まるで青い猫に泣き付く男児のような声を出す魔王。
「アルマなら、アレでもいけるかな?」
まるで「テレレテッテレー」と答える勇者。
「おっきいです~~~」
「家……?」
勇者のアイテムボックスから出て来たモノは巨大な馬車。しかも、屋根や壁まで鉄で出来ている。
「こんなのあるなら言ってくださいよ~」
「重量軽減のマジックアイテムを付けてあるが、それでも大型魔獣か、馬十頭で引かないと動かないから、出番が来るとは思わなかったんだ」
「どうして、そんな物を持っているのですか?」
「妹が広い馬車で旅をしたいと言って、買って来たんだ。でも、従魔スキルを持つ仲間が居なかったから、魔獣を操れなくてな~」
「では、一度も使わなかったのですか?」
「いや。一度だけ、俺が引いて使った」
「……へ?」
「でも、町に着いたら変な目で見られたとかで、妹が使いたくないと言い出して、それっきりだ」
「へ~~~」
魔王は気の抜けた返事をするが、勇者が馬車を引く姿を想像して、「そりゃ変な目で見られるよ~」と思い、皆もコクコクと頷いていた。
その後、巨大馬車と巨大牛アルマを繋いだ馬車は、魔都へ向けてひた走る。ちなみに、中にいると前が見えないので、勇者とテレージアはアルマの背に乗って誘導すしている。
そんな中、車内では……
「うるさいですね……」
「石がぶつかっているんだな……」
「乗り心地はいいのですがね~」
「確かに……音さえ無ければ最高だな」
カンカンと鉄の音が鳴り響き、苦情で盛り上がる魔王と姫騎士。これぼど楽が出来ているのにも関わらず……
すると、二人の話を聞いていたコリンナがいい案を思い付く。
「魔王さんの魔法で、音を消せるかも?」
「本当ですか?」
「出来たらだけど、前面に土魔法で盾を作れば、土や石を弾いてくれるかも?」
「なるほど……それならば、直撃を避けられるな。出来るか?」
「……土を操作するだけですから、出来そうです!」
魔王は馬車の側面から顔を出し、勇者にストップを掛けて、コリンナと姫騎士と話し合いながら土避けを付ける。
それが終わると快適な馬車の旅が始まり、ようやくスピードが乗って来たようだ。
だが、次なる興味が魔王達に降り掛かる。
「私達が座っている場所は、何かおかしくないか?」
姫騎士がボソリと呟く。
「何がですか?」
「外から見た時と、中の面積が違うと思うんだ。だいたい四分の一ぐらいかな?」
「本当ですね。L字になっているのも、キッチンがあるのもおかしいです」
「あそこ、扉があるわよ」
二人と同じように部屋を眺めていたコリンナは、指を差して会話に入る。皆は気になるのか、頷き合って扉を開ける。
「廊下……ですね」
「まるで家だな」
「まだ扉があるわ」
先頭にいたコリンナは、扉を開けては閉めてを繰り返し、「ワーキャー」言いながら元に居た場所に戻った。
「寝室、お風呂、トイレもありましたね」
「つまりここは、一般的な住居で考えるとリビングと言う訳か」
「ソファーやキッチンもありますものね」
「お菓子と飲み物、見つけたわよ~」
魔王と姫騎士がブツブツ言って疑問を整理していると、三少女と一緒にキッチンを漁っていたコリンナが席に着く。
「コリンナさんは、変だと思いませんか?」
「う~ん……お金持ちなら、これぐらい持っているんじゃないの? パクッ」
コリンナに聞くのは酷ってものだ。孤児で家に住むのも、ボロボロの空き家で暮らした事があるぐらいなので、普通の生活すら想像が大きくなっている。そんな事よりも、見付けたお菓子にご執心だ。
「勇者と言ったか……戦えなくとも、何かと規格外な生き物だな」
「本当ですね。もしも妹様を召喚できていればと悔やまれます」
「妹か……強いのか?」
「魔法と剣が凄いと聞きました」
「そう言えば、刀は妹の持ち物だったな。一度手合わせして欲しいものだ」
「異世界の魔王を倒した勇者様では、さすがの姫騎士さんでも勝てないんじゃないですか?」
「だろうな。それを確める為に挑戦してみたかっただけだ」
姫騎士はサシャの力を思い浮かべ、勇者についての想像を膨らませる。魔王も過去に人界で活躍した勇者の伝説を質問し、お喋りは魔都に着くまで続くのであった。
一部はお菓子をボリボリ食べてるが……
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