宇宙の紳士と宇宙人

えいちふみひさ

文字の大きさ
9 / 18
宇宙の紳士と宇宙人

少女たちの笑顔と最悪の邂逅

しおりを挟む
宇宙はいつでも宇宙だった。



惑星ディモから三日。相変わらずマリガンはダンマリ落ち込んでいたし、逆にルーチェは落ち着きが無かった。



母親に早く会いたくてしょうがないのだから当然のことである。



「まだ着かないかなぁ」



 相変わらずスリーの部屋に入り浸っていた。



「それ一日に何遍言うんだよ」



「母さんにあうまで!」



 勘弁してくれとスリーは思った。



「……母親にあったらどうするんだ?」



「え?」



「いや久しぶりに会うんだろ?何か言いたい事とかやりたい事とか、あるだろ?」



「……うーんお話したいなぁ。今まで何してたのーとか。」



「そうか。良いことだな」



「そういえばスリーのお父さんやお母さんはどんな人なの?」



「俺?俺はどっちも会った事ねぇよ」



「……ごめん」



「別に大したことじゃないさ。このご時世珍しい事じゃ無いしな」



「…………」

気まずい雰囲気になってしまった。



スリーは溜息を一つつくと、にゃんキューブの飾った棚の前に立ち、一つを掴んでルーチェにさし出した。



「え?」



「やるよ」



「けどこれアトムスフィアの限定品じゃ……」



「いいからやるよ。大事にしろよ」



「……ありがとうスリー」



「いい人だといいな、お母さんさ」



「……うん!」



すっかり機嫌がよくなったらしい。二人は時間を忘れて話続けた。









キジヌは自室にいた。



座席に深く座りリラックスしていた。



部屋の中にはクラシック音楽が鳴っていた。



キジヌの魂は今深緑の中にあった。



羽ばたく鳥。そよぐ風。舞う蝶。這いずる芋虫。



彼の魂は肉体を離れて羽ばたいていた。



彼を縛るものは何も無い。自由だ。



キジヌは立ち上がりデスクの上に上がった。



片足を上げて両の腕を伸ばした。



自由だ。今彼は自由そのものだった。



「……あのーそろそろいいデスカ」



キジヌはすぐさま椅子に座りなおした。



アビゲイルが扉の前に浮いていた。



「ノックは」



「何度もしましタヨ」



「そうかそれで何か用かね?」



「はい言われた通りに調べてみまシタ。『黒』デシタ。」



「……そうか残念だ。彼女は今なにをしている?」



「変わらずデスネ――」



 アビゲイルの言葉を遮るように警報が鳴り始めた。



「敵襲か!」



「らしいデスネ」



二人はブリッジへと駆けて行った。







ブリッジには全員が揃っていた。キジヌは声を上げた。



「敵は何機だ?」



「一隻デスネ。どこの艦かは分かりませんが戦艦級デス」



「どうするボス?砲撃戦じゃ勝ち目無いぜ。」



「……『バレル』を使おう。」



「了解。準備が出来たら言ってくれ。」



「あの……『バレル』とは……?」



「見てからのお楽しみってね!」



『こちらの準備は整った。いつでも撃ってくれ』



『バレル』とは要は『人間大砲』である。



グレートジェントルマン号の正面砲にキジヌの入った砲弾を装填し打ち出す兵器である。



星越者であるキジヌを敵艦に直接叩きこむことにより敵艦内部から攻撃、制圧する為のものである。



「『バレル』ファイア!」



スリーの号令で『キジヌ砲弾』は発射された。



放たれた砲弾は見事敵艦の左舷部に突き刺さった。



砲弾から飛び出したキジヌは艦内を風よりも早く駆けた。



だが何かがおかしい。艦内に人ひとり居ないのだ。



グレートジェントルマン号は内部機能のすべてをアビゲイルが統括し運用している為、四人でも十分運用出来ている訳であったが、この艦にはそれすらも感じられなかった。 



ブリッジにたどり着いた。



そこには漸く一人の男と出会うことが出来た。



三メートルを超える筋骨隆々の巨躯。



純白の肌に身の丈程の長さの八角棒。



キジヌはそれが誰だか一瞬で分かった。瞬時に体内



通信機でスリーに叫んだ



「トウゴだ!早く逃げろ!」



眼前に居たのは、宇宙最強の賞金稼ぎだった。

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします

ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。 マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。 それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。 ※複数のサイトに投稿しております。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

精霊のお仕事

ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
【完結】 オレは前世の記憶を思い出した。 あの世で、ダメじゃん。 でもそこにいたのは地球で慣れ親しんだ神様。神様のおかげで復活がなったが…今世の記憶が飛んでいた。 まあ、オレを拾ってくれたのはいい人達だしオレは彼等と家族になって新しい人生を生きる。 ときどき神様の依頼があったり。 わけのわからん敵が出てきたりする。 たまには人間を蹂躙したりもする。? まあいいか。

処理中です...