宇宙の紳士と宇宙人

えいちふみひさ

文字の大きさ
13 / 18
宇宙の紳士と宇宙人

光の柱

しおりを挟む
「久しぶりねルーチェ」



女はルーチェに駆け寄り言った。



「そちらはルーチェのお友達かしら。早く解いてあげなさい」



「分かりましたわ」



マリガンは二つ返事で答えた。スリーはコールドスリープから解放され、大きくせき込んだ。



「なんだよここは。説明してくれ」



「そうだよ母さん」



二人とも状況が理解できなかった。マリガンの行動にも違和感があった。



まるで眼前の女性に付き従っているかのような態度だった。



「自己紹介がまだでしたね私はアルモニーア。ルーチェの母親です」



 律儀に頭を下げて言った。スリーは口を開いた。



「あんたは実験対象じゃ無かったのか?なんでダークマターの施設で自由にしている?そういう実験なのか?」



 スリーの質問にアルモニーアは笑って答えた。



「私も最初はモルモットでした。しかしある日一瞬だけ能力に目覚めたのです。それで十二年前にルーチェだけを逃がすことが出来たのです。それからは自身の能力を隠して自己研鑽の日々でした」



「あんたの能力は一体何なんだ?」



「洗脳です。正確には全ての生物を私の思うように動かす能力です。故に私は自分の力をダークマターのエージェントに気付かれないようにしなければなりませんでした。

この力に気付かれれば彼らは何をするか分かりませんから。……この十二年は本当に長かった。けど今はこの星の人々は全て私の手中にあるのです。たとえば……ほら」



アルモニーアのその言葉でマリガンは笑顔で自身の首を両手で絞め始めた。ルーチェは叫んだ。



「母さんやめて!」



「駄目よ。この女は生かしてはおけない。この女は様々な人体実験を繰り返してきた残虐な女なのよ」



「それでもこんな事駄目だよ!やめて母さん……」



ゴギリ、という音が響いた。マリガンは膝から崩れ落ちて倒れた。



「あんた……」



スリーはアルモニーアを睨みつけた。アルモニーアは平然としていた。



「あなたも『宇宙人』なら判るでしょうに。彼らの残虐さが。あなたの体がその結果ではなくて?」



 スリーは返す言葉が無かった。



「誰がダークマターかは、判らない。故に全ての人間を一度支配して炙り出さなければなりません。今は銀河一つ程度しか支配出来ませんがいずれ宇宙中全ての生物を支配できるでしょう。けどその前にルーチェ、あなたの能力を覚醒させなければなりません。こちらにいらっしゃい」



ルーチェの足は彼女の意思に反してアルモニーアの方に向かって行った。



スリーは身動き一つ取れなかった。言葉も出せなかった。



すでにアルモニーの術中に嵌っていたのだ。



「さあ見せなさい。あなたの力を」



 ルーチェの頭を掴みアルモニーア囁いた。ルーチェの体は仰け反った。



「なんだぁこの状況はぁ!?」



「スリー、大丈夫デスカ!」 



『チームライトニングス』とアビゲイルが辿りついた。しかし一足遅かった。



「うるさいですね。少し黙っていてください。」 



その一言で『チームライトニングス』とアビゲイルは身動き一つ取れなくなった。



 一人を除いて。



ギリアンは手を振り稲妻を放った。アルモニーアは片手で稲妻を払い退けた。



「星越者ですか、面倒ですね」



 アルモニーアが手を振った。



アビゲイルがミサイルを、ドミニクとアストが稲妻をギリアンに放った。



ギリアンもアルモニーアの支配に完全に抵抗出来てる訳では無かった。



重い体を動かして攻撃を回避し続けた。



「さてそろそろでしょう」



アルモニーアの声に呼応してルーチェの体がびくりと動いた。



ルーチェの体から光が放たれて天へと伸びた。



反動でアルモニーアが吹き飛ばされた。



光はぐんぐんと伸び続け惑星ギャロットの衛星の一つにぶつかった。



衛星は徐々に惑星ギャロットに引き寄せられて行った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

わたしの下着 母の私をBBA~と呼ぶことのある息子がまさか...

MisakiNonagase
青春
39才の母・真知子は息子が私の下着を持ち出していることに気づいた。 ネットで同様の事象がないか調べると、案外多いようだ。 さて、真知子は息子を問い詰める? それとも気づかないふりを続けてあげるか? そのほかに外伝も綴りました。

“いつまでも一緒”の鎖、貴方にお返しいたします

ファンタジー
男爵令嬢エリナ・ブランシュは、幼馴染であるマルグリット・シャンテリィの引き立て役だった。 マルグリットに婚約が決まり開放されると思ったのも束の間、彼女は婚約者であるティオ・ソルベに、家へ迎え入れてくれないかというお願いをする。 それをティオに承諾されたエリナは、冷酷な手段をとることを決意し……。 ※複数のサイトに投稿しております。

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

とある令嬢の断罪劇

古堂 素央
ファンタジー
本当に裁かれるべきだったのは誰? 時を超え、役どころを変え、それぞれの因果は巡りゆく。 とある令嬢の断罪にまつわる、嘘と真実の物語。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

精霊のお仕事

ぼん@ぼおやっじ
ファンタジー
【完結】 オレは前世の記憶を思い出した。 あの世で、ダメじゃん。 でもそこにいたのは地球で慣れ親しんだ神様。神様のおかげで復活がなったが…今世の記憶が飛んでいた。 まあ、オレを拾ってくれたのはいい人達だしオレは彼等と家族になって新しい人生を生きる。 ときどき神様の依頼があったり。 わけのわからん敵が出てきたりする。 たまには人間を蹂躙したりもする。? まあいいか。

処理中です...