宇宙の紳士と宇宙人

えいちふみひさ

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宇宙の紳士と宇宙人

紳士は空へと舞い上がる

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「一体何が起きているのだ?」



遅れてやって来たキジヌには何が何やら判らなかった。



ドミニクとアストとアビゲイルがギリアンを攻撃し、スリーは身動き一つ取らず、見知らぬ女性が膝をついており、マリガンは死んでいた。



そしてルーチェは天に光を放っていた。



光の先の衛星が近づいてくるのを見て、まずい状況だと理解できた。



「そこの女が黒幕だぁ!こいつら止めてくれぇ」

ギリアンの一言で一応理解は出来た。



アルモニーアに向かってキジヌはレンキを纏い距離を詰めた。



アルモニーア立ち上がりキジヌに能力を放った。



だが彼女は自身の能力を完全に理解していた訳では無かった。



彼女の能力は不可視の糸を放ち対象に突き刺すことで自由に操る事が出来るモノだった。



そして今まで星越者級に能力を使った事が無かったのだ。



故にギリアンには完全に決まらず、レンキを纏っていたキジヌには通用しなかった。



アルモニーアは鳩尾に一撃をもらい意識を失った。



アルモニーアが気絶した事により能力は解除された。



ルーチェが放った光も消えた。



キジヌは崩れ落ちたルーチェに駆け寄った。



「大丈夫かね?怪我は無いかい?」



「はい……大丈夫です。それよりも衛星が」



「あれはいったいどうなっているのだ」



「ルーチェの母親が黒幕だった。能力で無理矢理ルーチェに能力を使わせたんだ。」



 スリーが近づいてきて言った。



「スリー!君も無事みたいで何よりだ」



「どうも。とにかくあの衛星をどうにかしないと不味いぜ」



「とにかく外に出よう。グランマが心配だ」



キジヌがアルモニーアを抱きかかえ一行は外に出た。



 グランマはバラバラになった機械の破片の中心に立って空を眺めていた。直ぐにこちらに気付いた。



「そっちは終わったかい。あの近づいて来てる衛星は何だい」



「ルーチェの能力でああなったらしい。ところでそちらの御仁は?」



キジヌはグランマの隣にいた腕のない機械生命体を指して聞いた。



「吾輩はギャロット連合軍シックスシックル将軍である!当方軍事を一任された身である!可能ならばあれの対処に助力願いたい!」



 あれとは衛星の事である。グランマが言った。



「ルーチェ、能力で押し戻すことは可能かい?」



「ごめんなさい。どうやって力を使ってたか分からなくて……」



「ミサイルかなんか無いのかよ」



 スリーがぼやいた。将軍が答えた。



「あれを破壊できるミサイルは当方には存在しない!表面を削るのが精々である!」



「ならば私がミサイルに乗って行こう」



 キジヌは言った。将軍は驚いて聞いた。



「もしや貴公は星越者であるのか!」



「ああその通りだ。恐らく砕くことも出来る。しかし……」



「うむ!破片は我々で引き受けよう!」



 最早一刻の猶予も無かった。無茶でも何かをやるしか無かった。



一行はミサイル発射場に向かった。





 準備は出来た。キジヌはワイヤーでミサイルに固定されていた。



「信管は抜いてある!爆発はせぬから安心せい!」



「あぁ、助かるよ」



「キジヌさんよろしくお願いします……」



 無理矢理やらされたとはいえ責任を感じているのだろう。



ルーチェがしおらしく言った。キジヌは笑って答えた。



「心配しないでくれたまえ。必ず成功させてみせよう」



「うちのボスなら大丈夫さ。安心して茶でも飲んで待ってりゃいいのさ」



「破片なら俺も砕くぜぇ!安心してろやぁ!」



「我々も破片を砕く!安心召されよ!」



 ギリアンと将軍が言った。ルーチェの顔が少しだけ明るくなった。



そして作戦は開始された。







『発射三秒前、二、一』



『発射ぁ!』



ミサイルは発射された三秒程で宇宙に出た。



キジヌはレンキを纏えば呼吸無しで一時間以上は宇宙空間での戦闘が可能である。



ミサイルは衛星に突き刺さった。



問題は落ちても大丈夫なサイズまで砕けるかどうかだった。



溜めていたレンキを左拳に纏い、衛星を打ち抜いた。



衛星に亀裂が入り、砕けた。細かく砕くことが出来た。



しかし問題が起きた。



 衛星に核が存在していた。それも金属の核である。



何度殴っても核はへこむだけだった。作戦は失敗した。



「その程度であきらめるのか?」  



キジヌは声の方へ向いた。そこにはトウゴ=ジュサンが立っていた。



「生きていたのか!?」



「あの程度では死なん。良い一撃ではあったがな。それよりもこいつをどうするかだ」



「何か策はあるのかね?」



「貴様と俺とで核を挟んで殴る。そうすれば内部で衝撃波がぶつかって砕けるかもしれん」



「やるしかあるまい」



 二人はそれぞれ位置に付いた。



「一」



「二」



『三!』



二人の拳は同時に核に打ち付けられた。衝撃は内部でぶつかり合い呆気なく核を砕いた。



 何千にも砕けた衛星は、大気に焼かれれるか撃ち落された。



 一つの被害もなく、作戦は成功した。

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