黄昏時の神社の前は、いつも君の匂いがする

yumeca

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再会

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ど、どうして。
目の前の現象をどうしても信じることができない。
だって、目の前にいるのは、葵だから。
「夏瀬。」
葵はもう一度私の名前を呼んだ。
「ど、どうして。」「驚いただろ?」
涙腺がどんどん緩んでいくのを感じた。そして気づいたら、私は葵に抱きついて泣いていた。
「驚くに決まってるでしょ!?急にいなくなっちゃって、そしたらいきなり現れて…ずっと会いたかった。」
言葉がどんどん浮かんでくる。
「ごめんな。夏瀬。俺もお前に会いたかったよ。」
葵が抱き締め返してくれるのを感じた。暖かいあの温もりだって、何も変わらない。
「俺、3年間ずっと天国に行けてないんだ。」「え。」「ずっと夏瀬のこと心配で。こちらに未練がある者はあちらへ行けないんだ。それを見かねた神様が、俺に少しだけ時間をくれた。俺は夏瀬がこの神社に来た黄昏時の短い間だけ夏瀬の前に現れることが出来る。それも、1ヶ月の間だけ。」
1ヶ月。それはとても短い時間だと思った。だけど、もう一度葵に会えるとなると、それは何ものにも変え難い喜びだった。
「葵のバカ、私のことで天国に行けないなんて…。」
私は涙を拭いて、思い切りの笑顔で葵に言った。
「葵、ありがとう!」
こうして、私と葵の短い夏が始まった。

また小さい頃のことを思い出した。
私が小学2年の時、夜にお母さんとケンカして家を飛び出し、この神社で泣いていた。家に帰るにしても周りは真っ暗で怖かった。
その時葵がこちらに走ってくるのが見えた。
「バカ!おばさんも心配してたぞ。」「ひっく…ごめんなさい。」「もう、帰ろう。」
葵に手を握られて、家までの帰路を歩いた。
あの時は、葵が私にバカって言ったんだ。あの時、そのバカの言葉がなんだか温かく感じて、嬉しかった。
今、私は葵の顔を見て、葵も同じ気持ちだったらいいなと思った。
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