黄昏時の神社の前は、いつも君の匂いがする

yumeca

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黄昏時

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私は、夕日が沈んだあとも神社の階段に座っていた。
黄昏時。
この言葉を教えてくれたのも葵だった。

「夏瀬、もう帰ろうよ。」「やだ!もっとここにいたい。」「でももう黄昏時だよ?」「タソガレドキ?」「黄昏時にはお化けが出るっておばあちゃん言ってたぞ。」「えー、夏瀬怖いから帰る。」
私が帰りたくないと駄々をこねると、葵は決まってそう言った。

「あの時に、戻りたい。」
気づいたら呟いていた。もう一度葵の顔をみたい。もう一度葵の声を聞きたい。思いが溢れて、涙がでた。
その時、「リーンリーン」この音は風鈴?どうしてだろう。誰かがここに風鈴を付けたのだろうか。
辺りを見ていると、もう一度「リーンリーン」とても耳に心地いい音だった。夏の始まりを感じさせるような、風情ある音。
街の方を眺め、そろそろ帰ろうかと思っている時、
「夏瀬。」
突然呼ばれた私の名前。
聞き間違えるはずがない。
でも、そんなわけない。
だってこの声は、この声は…
私は、ゆっくりと後ろを振り返った。そこには…
あの頃と何も変わっていない、笑顔の葵の姿があった。
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