死神の館の主様

魂の一部

「さて、主様もわかっていると思いますがその子は松本（まつもと）　千坂（ちさか）です」
「うん。姿は会ってるよ」
「えへへ～～」
「でも、言動が違い過ぎる」
　アリスが用意したお菓子を食べ終わると僕の膝の上に座り、腕の中でおさまった。
　身長差的にはギリギリで千里の方が小さいからまだいいけど、腕を持っていくのはやめてほしい。
「それもそのはず、その子は千坂の魂です」
「……え？？」
「死んではいませんが、魂の一部だけがこちらにやってきました」
　よくわからなくなってきた。
　顔に出ていたのかアリスはため息をついて、説明を始める。
「大前提として千坂さんは生きています。ですが、その身体には魂が一部だけ欠けています」
「生きているのに？」
「はい。私と同じようなものだと考えるのがわかりやすいかもしれません。私はあなたの人形であり、本来の魂は眠っています。その辺りならわかるでしょう？」
　なるほど、確かに千里はアリスと同じように口調が変わっている。
　それは僕の黒の力で支配しているため本来の物ではないと言えばそうだ。
「ですので、こういうものだと割り切った方がいいですね」
「とりあえずはわかったよ……で、一番聞きたいことがあるんだけど」
「なんでしょうか？」
「結局、この屋敷に入らなかった理由ってなんなの？」