シノビトサキュバス

XX GURIMU

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シノブは嫌な予感を覚えた。

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「大丈夫? シノブ」
「はい……えっ?」
「どうかしたかしら?」
「あ、いえ、何もないです」
 起き上がるために学院長の手を取るが呼ばれる名称が気になった。
 確かに、忍び同士では任務の都合上、固有名称が変わることが多いため、お互いにさん付けすることはあまりない。
 とはいえ、普通は苗字ではなく名前で呼ばれる。違和感を感じた。
(しかも、少し聞きなれた感じがする。私はどこかで合っていたんだろうか)
 全く思い出すことができない。いっそのこと聞いてしまった方が早いかもしれないと考えたその時、リリム様の声が聞こえる。
『あら、もう2人目もかかったの?』
 楽しそうな声で学院長を品定めしているのが分かった。
 確かに、この状況ならヨウコ先生は意識を失っているから2人きりと言う状況を作れている。
 そして、今まさに手を握っているこの距離は絶妙な距離と言える。失敗することはあり得ない。ただ、学院長のお腹に手を当てて≪ヒュプノ≫と言えば、終わることだが―――――。
「学院長、ヨウコ先生を運びましょう」
「そうね。頭の方を持ってくれるかしら」
「はい」
 駄目だ。どういう理由かはわからないけど今はまだ早い気がする。
 そうそうにヨウコ先生を家畜化しておいて警戒もないが、違う気がする。
 学院長を家畜化するのならもっと同士を作る必要が…………ん?
「学院長。1つ聞きたいのですがいいですか?」
「なんだね?」
「ヨウコ先生のお腹にある淫紋って付けられた人ってどうなるんでしたっけ?」
「全く、全員が帰っているから話すが報告書通り。性欲が増して、日常生活すら困難になるぞ」
「あのその困難な人たちは今どうしているんですか?」
「忍びの里に預けている。レズ乱交場が出来上がったそうだよ」
『あら、それは行ってみたいわね』
 …………これは家畜牧場ができていると考えていいのだろうか?
 ポジティブに考えるならそう考えることができる。学院長ですら魔力のことは知っていない。
 でも、リリム様の言う通りにこの学園を家畜化するのなら…………。
(協力者を作ることができないじゃない)
 もしかするとこれはとんでもなく難しいことをしなければならないんじゃないかと改めて思った。
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