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シノブの危機
しおりを挟む「ふぅ、ようやく後片付けが終わった……」
散々散らかした生徒指導室を完璧に片づけて、膝の上で眠るヨウコ先生が起きるのを待つ。
「あ、あれ……シノブ、さん?」
「はい。ヨウコ先生、おはようございますと言ってももう19時を回ってますけどね」
「え!? もうそんな時間なの! っ! いたっ……」
慌てて起き上がろうとして、膝から崩れ落ちるヨウコ先生を支える。
多分、リリム様の調教で普段は使わない全身の筋肉を使ったからまだ治りきっていないんだと思う。
「大丈夫ですか? リリム様のことは思い出せますか?」
「リリム様? ……あっ! そうだ、わたしは……。んっ!?」
ヨウコ先生の身体が飛び跳ねる。そして、両手で自分の身体を抱いて小刻みに震えている。
(え、まさか、これって……)
「そこで何をしているの!?」
「っ!!」
ガララッと盛大な音を立てて生徒指導室の扉が開かれた。
そこから現れたのは学院長。片手に何かお札みたいなものを持っている。
「シノブ? あなた、どうして……」
さっきまでの鬼の形相が打って変わり、きょとんとした表情を浮かべられる。
どうやって、説明しようと思ったその時、不意に私の身体をヨウコ先生が押し倒した。
「はぁ、はぁ……我慢、できない!!」
「ヨ、ヨウコ先生!」
誰から見ても理性を失っているように見える目をし、呼吸を荒くしている。
(っ! 力が強い!!)
人とは思えないほどの怪力を発揮され、抜け出すことができない。
ヨウコ先生の両手が私の制服を鷲掴みした。
「そこまで、です!!」
「あうぅ……」
学院長がタックルしてヨウコ先生をどかせ、今度は学院長先生がマウントを取る。
そのまま流れるように服をめくり、ヨウコ先生のお腹を確認する。
「やっぱり、怪物に毒された後でしたか」
「じゃ、じゃまです!!」
「そうはさせません」
「はひゃっ!」
抵抗しようとしたヨウコ先生のお腹に右手に持っていたお札を張り付ける。すると、変な声をあげた後、すぐに大人しくなり、気絶するように目を閉じた。
「さてと、何があったか説明してくれる?」
「えっと……」
学院長先生は同じ忍びの仲間だ。話して都合の悪いことはない。自身の失態を披露することになるけど、淫紋を見せつけようとしたその時に、リリム様の声が聞こえる。
『それは駄目よ。あなた以外のこと、目の前の家畜に淫紋がついていることだけを説明しなさい』
動き出そうとしていた唇が止まり、頭を動かす。リリム様が言っていることをそのまま違和感なく伝えるにはどうすればいいのか。
「悲鳴を聞いてこの部屋に入りました。倒れているヨウコ先生の腹部を確認したら襲われました」
この説明で問題ない。私自身も淫紋について調べに来ていることは学院長も知っていることだ。
顎に手を当てて、考え込む仕草で学院長は黙った。
それから少しすると、自分の中でかみ砕くことができたのか柔らかい笑みを浮かべた。
「そうなの。危なかったわね。シノブ」
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