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第三章
証拠
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「あ...あ...」
...が声を出すことなくすれ違ってしまった。
俺たちと合ったときのようにモジモジと、恥ずかしそうに目を伏せている。
グループでの自己紹介でもそうだつたが、そういえば藤桜は人と話すのが苦手だった。
初対面の人に話しかけるのは見たことがない。
若しくは異性だと緊張してしまうのかもしれない。
「そんな無理しなくても良いぞ?」
「ううん。頑張る」
ガッツポーズを胸の前で作り、何か呟き続けている姿が幼気に感じる。
昼休みも半分過ぎたくらいであり、この時間は食堂に大勢固まっているため、廊下を歩いている人は少ない。
話しかけやすい状況ではあるが藤桜にとってはかなり勇気がいるのだろう。
隣を歩く藤桜の少しだけ早い音がやけに大きく聞こえた。
角を曲がると今度は女子生徒三人で楽しそうに話しながら向かってくる。
見覚えがある顔ぶれだ。
確か藍水がよくつるんでいるメンバーではなかったか。
俺からするとかなり苦手は部類だ。
少なくとも女子同士、藤桜の方が話しかけやすそうではあるがどうだろうか。
「頼む」
「うん」
俺が居ても良いことはなさそうなので離れた場所から聞くことにした。
「あ..あ...あの」
「うん?どうしたの?」
矢鱈と大きい声で話していたためまたスルーされるかと考えていたが、立ち止まってくれた。
「あの...茜澤君のこと知りたいんだけど」
「茜澤?ああ噂になってるね。聞いた限りとんでもないこと屋ってんじゃん」
「本当は...茜澤君やってない...濡れ衣被されられてるだけ」
「...知ってるよ」
「え?」
「は?それは本当か?」
思わず大声で叫ぶように聞き返してしまった。
「君もいたんだ。まあ私たち見ていたからね」
横にいる二人も頷く。
「桑原っていう人たちでしょ?鍵を盗んでいるのを見た」
「でも今とんでもないやつって...」
「あーその桑原って人が聞いた通りだったらつてことだよ」
「じゃあ何でそれを先生に言ってくれないんだよ!」
てっきり知らない物だと思っていたため、言動が荒々しくなってしまいそうだ。
「私たちが言ったって無駄でしょ。Eグループが何を言ったところで信じてくれないんだから」
「...」
その通りだ。Eグループが集まって何か言ったとしても、上のグループが一人でも別のことを言えば、上のグループの考えが優先される。
無駄に終わるだけ。
「いやそれでも、事実を証明できる人数が多ければ少しは」
「三人増えたところで何か変わる?Eランク全員が行っても信用してくれるかわからないんだ。やるだけ無駄だよ」
「話はそれだけ?もういいかな?」
「ああ。悪かった」
これ以上食い下がっても劣勢に追い込まれて行くだけだった。
道を空けるとまた意味のわからない話をしながら歩き去ってしまった。
「良かった、知ってる人はいるんだね」
「だが結果としては変わってない」
「うん...」
もし反論するなら、あいつらの言う通りDグループのやつが事実を知っており、証言してくれるなら望みはあるが、誰一人としてEグループと関わろうとしない。あまつさえ俺たちには。
鍵を盗んでいる場面を見た生徒はいるということはわかった。どのように証拠として曝せるだらう。
結局、俺が一緒にいても大した成果はないため、藤桜に聞いて回ってもらうことになった。
俺は他に桑原たちの証拠となるものがないか探した。
...が声を出すことなくすれ違ってしまった。
俺たちと合ったときのようにモジモジと、恥ずかしそうに目を伏せている。
グループでの自己紹介でもそうだつたが、そういえば藤桜は人と話すのが苦手だった。
初対面の人に話しかけるのは見たことがない。
若しくは異性だと緊張してしまうのかもしれない。
「そんな無理しなくても良いぞ?」
「ううん。頑張る」
ガッツポーズを胸の前で作り、何か呟き続けている姿が幼気に感じる。
昼休みも半分過ぎたくらいであり、この時間は食堂に大勢固まっているため、廊下を歩いている人は少ない。
話しかけやすい状況ではあるが藤桜にとってはかなり勇気がいるのだろう。
隣を歩く藤桜の少しだけ早い音がやけに大きく聞こえた。
角を曲がると今度は女子生徒三人で楽しそうに話しながら向かってくる。
見覚えがある顔ぶれだ。
確か藍水がよくつるんでいるメンバーではなかったか。
俺からするとかなり苦手は部類だ。
少なくとも女子同士、藤桜の方が話しかけやすそうではあるがどうだろうか。
「頼む」
「うん」
俺が居ても良いことはなさそうなので離れた場所から聞くことにした。
「あ..あ...あの」
「うん?どうしたの?」
矢鱈と大きい声で話していたためまたスルーされるかと考えていたが、立ち止まってくれた。
「あの...茜澤君のこと知りたいんだけど」
「茜澤?ああ噂になってるね。聞いた限りとんでもないこと屋ってんじゃん」
「本当は...茜澤君やってない...濡れ衣被されられてるだけ」
「...知ってるよ」
「え?」
「は?それは本当か?」
思わず大声で叫ぶように聞き返してしまった。
「君もいたんだ。まあ私たち見ていたからね」
横にいる二人も頷く。
「桑原っていう人たちでしょ?鍵を盗んでいるのを見た」
「でも今とんでもないやつって...」
「あーその桑原って人が聞いた通りだったらつてことだよ」
「じゃあ何でそれを先生に言ってくれないんだよ!」
てっきり知らない物だと思っていたため、言動が荒々しくなってしまいそうだ。
「私たちが言ったって無駄でしょ。Eグループが何を言ったところで信じてくれないんだから」
「...」
その通りだ。Eグループが集まって何か言ったとしても、上のグループが一人でも別のことを言えば、上のグループの考えが優先される。
無駄に終わるだけ。
「いやそれでも、事実を証明できる人数が多ければ少しは」
「三人増えたところで何か変わる?Eランク全員が行っても信用してくれるかわからないんだ。やるだけ無駄だよ」
「話はそれだけ?もういいかな?」
「ああ。悪かった」
これ以上食い下がっても劣勢に追い込まれて行くだけだった。
道を空けるとまた意味のわからない話をしながら歩き去ってしまった。
「良かった、知ってる人はいるんだね」
「だが結果としては変わってない」
「うん...」
もし反論するなら、あいつらの言う通りDグループのやつが事実を知っており、証言してくれるなら望みはあるが、誰一人としてEグループと関わろうとしない。あまつさえ俺たちには。
鍵を盗んでいる場面を見た生徒はいるということはわかった。どのように証拠として曝せるだらう。
結局、俺が一緒にいても大した成果はないため、藤桜に聞いて回ってもらうことになった。
俺は他に桑原たちの証拠となるものがないか探した。
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