ひどい家族だと思っていたら求婚してきた相手もひどかった

天野 チサ

文字の大きさ
3 / 6

幻聴じゃなかった

しおりを挟む
 ナイトレイ公爵の再訪日。
 身支度を整えたルイゼリナの前に現れたミシェリアは、勝ち誇ったように笑みを浮かべた。

「あらお姉様。公爵様がいらっしゃるというのに、そんな装いでよろしいの?」

 そう言うミシェリアの姿は輝いていた。
 比喩でもなく、眩く飾りつけられた異母妹を前にルイゼリナは目をシパシパと瞬かせる。

 先日の豪遊で手に入れたらしい王都の最先端ファッションとやらの真っ赤なドレスは、これでもかと上半身のラインを強調するものだった。キュッと締め上げられた細い腰に、大きく開いた胸元からは妹の豊満な胸を見せつけるようにギュッギュッと寄せた谷間が見える。そしてその膨らみにはたかれたラメの輝きが、否が応でも胸元に目を釘付ける。
 まとめ上げたローズゴールドの髪も、絶妙な加減でたれている後毛が、顔立ちゆえに愛らしさが目立つミシェリアに女性の色気を感じさせた。
 念入りに施された化粧からも、彼女とそのメイドたちが力を入れまくった渾身の仕上がりであろうことが伺える。

 そんな妹の前に立つルイゼリナは淡い水色のかっちりとしたドレスに、黒髪には控えめな髪留めを付けた程度。化粧も薄いながら施されているが、まあそれなりの仕上がりとなっていた。

 着飾ってはいるし身に着けている装飾品も上質なのだが、どこかパッとしない装いのルイゼリナを見てミシェリアの周りのメイド達までもがクスクスと笑い声をこぼしている。ふふんと鼻を鳴らして満足したように通り過ぎていく一団を見送るなり──ルイゼリナも瑠璃色の目を輝かせて笑みを浮かべた。

「バッチリよ。みんな良くやってくれたわ!」

 言えば、背後に控えていた二人のメイドが口を尖らせる。

「でも悔しいですっ」
「お嬢様はこれでいいんですか?」
「大っ満足よ!」

 ええー。と綺麗に重なる声を引き連れて、ルイゼリナも玄関ホールを目指す。


 縁談の申し込みとナイトレイ公爵の再訪を聞いて、ルイゼリナは先程口を尖らせたメイドたちへ一つのお願いをしていた。
 ──ミシェリアに付いているメイドたちに、これ見よがしに自慢してきてくれる?

 二人は今までにない指示を受けて首を傾げていたが、お願いは完璧にこなしてくれた。

 公爵様が訪れる日はルイゼリナお嬢様が主役である。
 思う存分着飾らせてあげられる。
 当主様からも許しが出ている。
 ああ、楽しみだわぁ。

 そんなことを、彼女たちがいる場でキャーキャー騒いでくれたのだ。

 突然だが、ラード家では現在『第二次使用人大戦』が勃発している。
 継母&ミシェリア派と前妻&ルイゼリナ派の者たちが日々バチバチと火花を散らしていた。──ちなみに、第一次は継母たちがこの屋敷にやって来た頃だ。どちらに付くかという派閥割れで大いに揉めていた。

 本来ならば、元々愛人だった継母たちを連れて来た当主たる父親が上手くまとめ上げるべきなのだろうが、残念ながらそんな細やかな気遣いができる男ではない。そうであればルイゼリナと一歳しか違わない異母妹などいるわけがないし、そもそも誰も父親にそんなことは期待していなかった。

 現在は継母&ミシェリア派が優勢である。どうしようもないが一応当主である父親がそちら側に付いているのだから、まあ仕方がない結果ともいえる。
 だからこそ、それでもルイゼリナに良くしてくれるメイドや使用人たちは、もはや家族以上に大切な存在だった。
 
 とまあ、このような事情の中、敵陣営のルイゼリナ派メイドがキャッキャウフフと浮かれていれば、ミシェリアたちがどう出るかなど──先程の目に痛いほど眩い、渾身の仕上がりとなったミシェリアが答えだ。

(煽ったとはいえ、主役である姉が霞むほど着飾ってくる神経は改めてどうかと思うけれど……今だけはさすがだわ! 思った以上の輝きっぷりねミシェリア!)

 念のため落ち着いた衣装を選んだルイゼリナではあったが、そのような心配は不要であったらしい。
 発光体のような妹たち一団に続いて、玄関ホールへ向かう道すがら、眩い背中のなんと安心できることか。

 こんなにも妹を頼もしいと思ったことは初めてだった。
 自分も負けずに気合を入れねば! とルイゼリナはフンッと期待の鼻息を鳴らした。



「こんにちはラード伯爵。無理を言ってお時間をいただき申し訳ない」
「…………え」

 にこやかに父親と挨拶を交わす公爵を見て、横に立つ妹から聞こえた熱を含んだ呟きに、ルイゼリナは内心「よしきたあぁっ!」と叫ばずにはいられなかった。
 ナイトレイ公爵は今日も変わらずやはり美形だ。背も高い。足も長い。とにもかくにも見目が良い。となれば──と、ルイゼリナはチラリと横を見やる。

 そこには頬を赤く染めて、驚愕したように目と口をかっ開く異母妹の顔があった。

「先日はご挨拶できませんでしたが、こちらは妻と、娘のミシェリアです」

 ここぞとばかりに父親が紹介をすれば、その期待に応えるようにミシェリアはズズイッと前に出る。その瞳は間違いなくうっとりと潤んでいた。

(面白いほどに予想通り……!)

 いいぞ父。もっとやれ。ミシェリアを売り込むのよ! と密かに声援を送る。

「そうですか。ああ……っ! ルイゼリナ嬢、またお目にかかれて光栄です」

 ──だというのに、ナイトレイ公爵は発光するほど可愛らしい輝きを放つミシェリアを一瞥しただけで、即座にルイゼリナの前に立つと手を取ってきた。鳥肌が立った。

(ちょっと、本当になにこの執着)

 私が一体なにをした。と腰が引けたが、同じだけ公爵が間を詰めてくる。
 横からミシェリアに、これでもかと恐ろしい目つきで睨みつけられているのを肌に突き刺さる視線で感じるが、ならばどうぞ代わってくれと切に願う。

「せっかくですから、我が家の庭園でも見ていかれませんか? 娘たちに案内させましょう」
「ええ、ぜひとも」

 揉み手で父親がお伺いを立てれば、公爵はにこりと快諾した。娘たちと言いながら、その言葉が差す人物と目的は明らかだ。

 案の定、ルイゼリナの前に進み出たミシェリアはナイトレイ公爵に突撃した。
 しなだれかかるように並び「庭園はこちらですわ」なんて可愛らしく手を引いている。ふふんと姉へ勝ち誇った視線を送るのも忘れない。その目は完全にギラついている。さすがミシェリア。どうやら狙いを定めたようだ。

 だが後ろに続くルイゼリナこそ、無表情の心の中では「いいぞミシェリア。もっとやれ! ほらいけーーっ!」と太鼓をドンドコ打ち鳴らしながら、あらん限りの雄叫びを上げている。

 庭園では、それはもうミシェリアの独壇場となった。
 ナイトレイ公爵の腕を離すことなく、ピッタリと横に張り付いている。しかし、この妹が庭園に咲いている花の種類まで知っているはずもないので、後ろからルイゼリナが説明をするたびに「綺麗ですわよね。わたしお花が大好きですの!」だなんて、可愛い笑顔で乗っかってきた。

 ルイゼリナの視線はミシェリアが絡みつく公爵の腕に釘付けだ。
 その意味を勘違いしただろうミシェリアが、たびたびニンマリとした目でチラッチラと見てくるが、そんなものに構っていられない。ルイゼリナが見ていたのは妹の強力な武器であるたわわな胸元だ。

(もっとギュッと押し付けなさいよ! その胸はなんのためなの!? ここで使わないでどうするのミシェリア! ほらどうですか公爵様! うちの妹の胸大きくてたまらないでしょう!?)

 力強く凝視する目に念を込める。どうかこのまま妹にメロメロになってくださいと。
 ──しかし、なかなかどうも……そう簡単にはいかなかった。

 こんなにも愛らしく男受け抜群な妹に縋りつかれているというのに……むしろ、縋りつかれるほど公爵の表情筋が死んでいく。気づいた瞬間ルイゼリナはゾッとしたのだが、ミシェリアは気付いていないらしい。

「ねえ公爵様、よろしければ庭のガゼボでお茶でもいかがですか? わたし公爵様ともっとお話しした──」
「触るな」

 その瞬間、場の温度がガクンと下がった。
 ブリザードが吹雪いたかのようにとんでもなく低く、氷点下のようにとんでもない冷たさをまとった声が周囲の温度を一気に下げた。

「え…………」

 姉妹の呟きは見事に重なり、おそるおそる視線は声のした方へ動く。
 そして、

「ひぃ……っ」

 悲鳴までも見事に重なった。
 そこにはすでに、にこやかなナイトレイ公爵などいなかった。心底汚らわしそうにミシェリアの手を払うと、汚物でもついたのかと思えるほどの表情でパンパンと服を叩いている。
 冷ややかな紫色の瞳はギロリと今まで縋りついていたミシェリアを捉えた。

「お前みたいに、顔の良い男を見るや否や尻尾を振って寄ってくる馬鹿な女が一番つまらん」

 なんだって? 思考が一瞬停止した。
 幻聴かとも思ったが、虫の死骸を視界に入れてしまったかのような目でミシェリアを見下ろしている様子は、どう見ても幻聴ではなかった。

「ルイゼリナ嬢の妹というから期待していたのに、とんだ雌犬で残念だ」
(め、雌犬!? いえ待って! 期待ってなにを!? 応えていたらどうするつもりだったの!?)

 ギョッと目を剥いたまま唖然とするルイゼリナの前で、謎の怒りをあらわにする公爵が止まらない。

「最初から雌犬ではなんの面白みもないだろうが」

 つまりどういう意味だ。考えるの怖い。と慄いている間に、男はシッシッとそれこそ虫を追い払うように妹へ向かって手を振った。怒りに震えるミシェリアが顔を真っ赤にして立っているが、すでに公爵の興味は完全に失せたらしい。

「邪魔だ。どけ」

 視線を向けることすらなく、ミシェリアの身体を脇に押しやった。
 おかげで、恨みの込められたなんとも恐ろしく吊り上がった目がルイゼリナに向けられる。
 ああ、面倒だわぁ……なんて遠い目をしていたら、雌犬と罵られた妹の目の前で掬うように手を取られた。
 見上げれば、恍惚としたように熱っぽく──奥にはギラギラとした獰猛さを孕んだ瞳で見下ろしてくる、ナイトレイ公爵。

「さあルイゼリナ嬢。お茶でもしよう」
(嫌です)

 内心では即答だ。言えなどしないけれど。
 さっきの今で誰がこの男と喜んでお茶などするか。
 そんなもの嫌に決まっているだろう。

 ルイゼリナの表情筋こそ今死んでいる。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

【完結】使えない令嬢として一家から追放されたけど、あまりにも領民からの信頼が厚かったので逆転してざまぁしちゃいます

腕押のれん
ファンタジー
アメリスはマハス公国の八大領主の一つであるロナデシア家の三姉妹の次女として生まれるが、頭脳明晰な長女と愛想の上手い三女と比較されて母親から疎まれており、ついに追放されてしまう。しかしアメリスは取り柄のない自分にもできることをしなければならないという一心で領民たちに対し援助を熱心に行っていたので、領民からは非常に好かれていた。そのため追放された後に他国に置き去りにされてしまうものの、偶然以前助けたマハス公国出身のヨーデルと出会い助けられる。ここから彼女の逆転人生が始まっていくのであった! 私が死ぬまでには完結させます。 追記:最後まで書き終わったので、ここからはペース上げて投稿します。 追記2:ひとまず完結しました!

婚約者を奪った妹と縁を切ったので、家から離れ“辺境領”を継ぎました。 すると勇者一行までついてきたので、領地が最強になったようです

藤原遊
ファンタジー
婚約発表の場で、妹に婚約者を奪われた。 家族にも教会にも見放され、聖女である私・エリシアは “不要” と切り捨てられる。 その“褒賞”として押しつけられたのは―― 魔物と瘴気に覆われた、滅びかけの辺境領だった。 けれど私は、絶望しなかった。 むしろ、生まれて初めて「自由」になれたのだ。 そして、予想外の出来事が起きる。 ――かつて共に魔王を倒した“勇者一行”が、次々と押しかけてきた。 「君をひとりで行かせるわけがない」 そう言って微笑む勇者レオン。 村を守るため剣を抜く騎士。 魔導具を抱えて駆けつける天才魔法使い。 物陰から見守る斥候は、相変わらず不器用で優しい。 彼らと力を合わせ、私は土地を浄化し、村を癒し、辺境の地に息を吹き返す。 気づけば、魔物巣窟は制圧され、泉は澄み渡り、鉱山もダンジョンも豊かに開き―― いつの間にか領地は、“どの国よりも最強の地”になっていた。 もう、誰にも振り回されない。 ここが私の新しい居場所。 そして、隣には――かつての仲間たちがいる。 捨てられた聖女が、仲間と共に辺境を立て直す。 これは、そんな私の第二の人生の物語。

醜い私は妹の恋人に騙され恥をかかされたので、好きな人と旅立つことにしました

つばめ
恋愛
幼い頃に妹により火傷をおわされた私はとても醜い。だから両親は妹ばかりをかわいがってきた。伯爵家の長女だけれど、こんな私に婿は来てくれないと思い、領地運営を手伝っている。 けれど婚約者を見つけるデェビュタントに参加できるのは今年が最後。どうしようか迷っていると、公爵家の次男の男性と出会い、火傷痕なんて気にしないで参加しようと誘われる。思い切って参加すると、その男性はなんと妹をエスコートしてきて……どうやら妹の恋人だったらしく、周りからお前ごときが略奪できると思ったのかと責められる。 会場から逃げ出し失意のどん底の私は、当てもなく王都をさ迷った。ぼろぼろになり路地裏にうずくまっていると、小さい頃に虐げられていたのをかばってくれた、商家の男性が現れて……

聖女だけど婚約破棄されたので、「ざまぁリスト」片手に隣国へ行きます

もちもちのごはん
恋愛
セレフィア王国の伯爵令嬢クラリスは、王太子との婚約を突然破棄され、社交界の嘲笑の的に。だが彼女は静かに微笑む――「ざまぁリスト、更新完了」。実は聖女の血を引くクラリスは、隣国の第二王子ユリウスに見出され、溺愛と共に新たな人生を歩み始める。

本物の『神託の花嫁』は妹ではなく私なんですが、興味はないのでバックレさせていただいてもよろしいでしょうか?王太子殿下?

神崎 ルナ
恋愛
このシステバン王国では神託が降りて花嫁が決まることがある。カーラもその例の一人で王太子の神託の花嫁として選ばれたはずだった。「お姉様より私の方がふさわしいわ!!」妹――エリスのひと声がなければ。地味な茶色の髪の姉と輝く金髪と美貌の妹。傍から見ても一目瞭然、とばかりに男爵夫妻は妹エリスを『神託の花嫁のカーラ・マルボーロ男爵令嬢』として差し出すことにした。姉カーラは修道院へ厄介払いされることになる。修道院への馬車が盗賊の襲撃に遭うが、カーラは少しも動じず、盗賊に立ち向かった。カーラは何となく予感していた。いつか、自分がお払い箱にされる日が来るのではないか、と。キツい日課の合間に体も魔術も鍛えていたのだ。盗賊たちは魔術には不慣れなようで、カーラの力でも何とかなった。そこでカーラは木々の奥へ声を掛ける。「いい加減、出て来て下さらない?」その声に応じたのは一人の青年。ジェイドと名乗る彼は旅をしている吟遊詩人らしく、腕っぷしに自信がなかったから隠れていた、と謝罪した。が、カーラは不審に感じた。今使った魔術の範囲内にいたはずなのに、普通に話している? カーラが使ったのは『思っていることとは反対のことを言ってしまう魔術』だった。その魔術に掛かっているのならリュートを持った自分を『吟遊詩人』と正直に言えるはずがなかった。  カーラは思案する。このまま家に戻る訳にはいかない。かといって『神託の花嫁』になるのもごめんである。カーラは以前考えていた通り、この国を出ようと決心する。だが、「女性の一人旅は危ない」とジェイドに同行を申し出られる。   (※注 今回、いつもにもまして時代考証がゆるいですm(__)m ゆるふわでもOKだよ、という方のみお進み下さいm(__)m 

【完結】嫌われ公女が継母になった結果

三矢さくら
恋愛
王国で権勢を誇る大公家の次女アデールは、母である女大公から嫌われて育った。いつか温かい家族を持つことを夢見るアデールに母が命じたのは、悪名高い辺地の子爵家への政略結婚。 わずかな希望を胸に、華やかな王都を後に北の辺境へと向かうアデールを待っていたのは、戦乱と過去の愛憎に囚われ、すれ違いを重ねる冷徹な夫と心を閉ざした継子だった。

才能が開花した瞬間、婚約を破棄されました。ついでに実家も追放されました。

キョウキョウ
恋愛
ヴァーレンティア子爵家の令嬢エリアナは、一般人の半分以下という致命的な魔力不足に悩んでいた。伯爵家の跡取りである婚約者ヴィクターからは日々厳しく責められ、自分の価値を見出せずにいた。 そんな彼女が、厳しい指導を乗り越えて伝説の「古代魔法」の習得に成功した。100年以上前から使い手が現れていない、全ての魔法の根源とされる究極の力。喜び勇んで婚約者に報告しようとしたその瞬間―― 「君との婚約を破棄することが決まった」 皮肉にも、人生最高の瞬間が人生最悪の瞬間と重なってしまう。さらに実家からは除籍処分を言い渡され、身一つで屋敷から追い出される。すべてを失ったエリアナ。 だけど、彼女には頼れる師匠がいた。世界最高峰の魔法使いソリウスと共に旅立つことにしたエリアナは、古代魔法の力で次々と困難を解決し、やがて大きな名声を獲得していく。 一方、エリアナを捨てた元婚約者ヴィクターと実家は、不運が重なる厳しい現実に直面する。エリアナの大活躍を知った時には、すべてが手遅れだった。 真の実力と愛を手に入れたエリアナは、もう振り返る理由はない。 これは、自分の価値を理解してくれない者たちを結果的に見返し、厳しい時期に寄り添ってくれた人と幸せを掴む物語。

家族から邪魔者扱いされた私が契約婚した宰相閣下、実は完璧すぎるスパダリでした。仕事も家事も甘やかしも全部こなしてきます

さら
恋愛
家族から「邪魔者」扱いされ、行き場を失った伯爵令嬢レイナ。 望まぬ結婚から逃げ出したはずの彼女が出会ったのは――冷徹無比と恐れられる宰相閣下アルベルト。 「契約でいい。君を妻として迎える」 そう告げられ始まった仮初めの結婚生活。 けれど、彼は噂とはまるで違っていた。 政務を完璧にこなし、家事も器用に手伝い、そして――妻をとことん甘やかす完璧なスパダリだったのだ。 「君はもう“邪魔者”ではない。私の誇りだ」 契約から始まった関係は、やがて真実の絆へ。 陰謀や噂に立ち向かいながら、互いを支え合う二人は、次第に心から惹かれ合っていく。 これは、冷徹宰相×追放令嬢の“契約婚”からはじまる、甘々すぎる愛の物語。 指輪に誓う未来は――永遠の「夫婦」。

処理中です...