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もりもりさんの結婚
第423話 ぎりぎりの戦い
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――地下211階
あと1階層降りればいいだけなのだが、私たちは苦戦していた。
対峙しているのは5体のサラマンダー・デビル。
トカゲを巨大にしたその姿は全長2メートルほどある。全身は真っ赤な鱗に覆われており、鱗の隙間からは炎が吹き出している。
全身が炎に包まれたサラマンダー。本来なら地を這うことしかできないサラマンダーだが、このモンスターには悪魔の翼が生えている。そのため名付けられたのが〝サラマンダー・デビル〟だ。
ここは通路を抜けた先にある、やや広い部屋になっている。
この場所にサラマンダー・デビルが5体いた。
誰かがモンスターを集めてしまうこともあるが、偶然集まってしまうこともある。
この階層に人がやってくることはほとんどないため、後者に該当する。通常は1体しか相手にすることがないレアなモンスターが、たまたま集まってしまったのだ。
1体でも厄介なサラマンダー・デビルが5体もいると、はっきりいって手に負えない。
部屋の入り口で1体ずつ相手をすることも考えたが、お行儀よく順番を待ってくれるようなモンスターではない。
狭い通路で混戦になってしまうほうが怖い。飛ぶことのできるサラマンダー・デビルは頭上を超えてくる。誰か1人がサラマンダー・デビルの群れに飲み込まれてしまったら、そこで終了。ゲームオーバーとなる。
ここで言うゲームオーバーとは、単なるゲームの終了ではない。現実の死を迎え、人生におけるゲームオーバーとなる。そうなったら結婚式どころではなく、仲間の葬儀が待っている。
ここを通らないと下へは降りられない。
私たちは部屋に飛び込み、5体のサラマンダー・デビルを同時に相手するしかなかった。
サラマンダー・デビルのレベルは130。私たちのレベルをおよそ25上回っている。私たちのレベルを超えるこのモンスターに立ち向かうことができるのは、こちらには強力な装備やアイテムがあるからだ。
しかし、格上の相手に対してアドバンテージなどはない。
後ろにいた湊ちゃんが叫んだ。
「飛び上がったサラマンダー・デビルは私が対処します!」
後方支援が湊ちゃんの役割だが、積極的に攻撃に加わっている。サラマンダー・デビルが飛び上がった時だけでなく、飛び上がろうとする直前にも弓矢を放って飛行を阻止する。
お兄ちゃんは最前列に立ち、大盾を手にしていた。神王の盾ではなく、サラマンダーが噴く炎対策だ。
「炎に注意しろ! 俺の盾だけでは防ぎきれん!」
お兄ちゃんが大盾で炎を防ぎ、もりもりさんと私がメインで攻撃する。
もりもりさんが持つ〝サタンの大鎌〟がここでは活躍する。リーチが長いため、距離を取って攻撃することができた。
私のミスリルの大剣もそれなりの大きさだが、もりもりさんの持つサタンの大鎌にはかなわない。
走り回り、サラマンダーを撹乱させるのは春日井君の役だ。春日井君が手にするのは二刀流のインフェルノ・ブレード。日本刀のように刀身が細く、補助効果として燃える炎を纏っている。
だが、サラマンダーとの相性は良くない。細い刀身は皮膚の柔らかい人型モンスターには効果的だが、サラマンダーのように硬い鱗に覆われていると攻撃が通らない。また、インフェルノ・ブレードの炎はサラマンダーに効かない。
春日井君は目の前のサラマンダー・デビルを挑発する。
「ほら、こっちだ! 俺に向かってこい!」
春日井君のやっていることはタゲ取りだ。モンスターのターゲットを自分に向けさせ、仲間が横から効果的な攻撃を加えやすいようにする。
一見すると、私たちは善戦しているように見えた。しかし、実際のところはそうではなかった。
戦いは完全に拮抗していた。1匹でもサラマンダー・デビルを倒すことができれば、戦いのバランスはこちらに傾く。
だが、誰か1人でも負傷し戦線から離脱するようなことになれば、こちらが不利に傾いてしまう。
戦いの様子はライブ配信されている。視聴者からのコメントを見る余裕はないため、イヤホンから音声に変換されて耳に届いている。
■意外と厳しい211階。
■それもあるけれど、完全に運が悪いよね。レアなモンスターが固まっていたんだから。
■行くのをやめろってことなんじゃない? ここで帰れっていうメッセージかも?
■神様に見放された?
■もっと大人数で、複数パーティで挑まないと無謀なのでは?
■今はなんとか持ちこたえているけれどさ。何かが起こったら取り返しがつかないよ?
■だからといって、逃げるのも難しいのでは? 拮抗が崩れるのも怖い。
■サラマンダー・デビルに挑まなきゃよかったんじゃね? 最初から戦わずに逃げるべきだった。
■引く勇気ってあるよね。
■結婚とか言い出すから良くないんだよ。引けなくなるからさ。
■もう結婚とかいいからさ。無事に帰ってこい。
■さっさと引こう。いいじゃねえか、ドラゴンなんて倒さなくたって。そんなに頑張んなくていいよ。無理すんな。
■ここで引いても誰も責めない。
■誰かが負傷でもしたら一気に全滅もありうる。
■ここに来るまでだって、通常モンスターでも倒すのがやっとだっただろ? ドラゴンはとても無理。
あと1階層降りればいいだけなのだが、私たちは苦戦していた。
対峙しているのは5体のサラマンダー・デビル。
トカゲを巨大にしたその姿は全長2メートルほどある。全身は真っ赤な鱗に覆われており、鱗の隙間からは炎が吹き出している。
全身が炎に包まれたサラマンダー。本来なら地を這うことしかできないサラマンダーだが、このモンスターには悪魔の翼が生えている。そのため名付けられたのが〝サラマンダー・デビル〟だ。
ここは通路を抜けた先にある、やや広い部屋になっている。
この場所にサラマンダー・デビルが5体いた。
誰かがモンスターを集めてしまうこともあるが、偶然集まってしまうこともある。
この階層に人がやってくることはほとんどないため、後者に該当する。通常は1体しか相手にすることがないレアなモンスターが、たまたま集まってしまったのだ。
1体でも厄介なサラマンダー・デビルが5体もいると、はっきりいって手に負えない。
部屋の入り口で1体ずつ相手をすることも考えたが、お行儀よく順番を待ってくれるようなモンスターではない。
狭い通路で混戦になってしまうほうが怖い。飛ぶことのできるサラマンダー・デビルは頭上を超えてくる。誰か1人がサラマンダー・デビルの群れに飲み込まれてしまったら、そこで終了。ゲームオーバーとなる。
ここで言うゲームオーバーとは、単なるゲームの終了ではない。現実の死を迎え、人生におけるゲームオーバーとなる。そうなったら結婚式どころではなく、仲間の葬儀が待っている。
ここを通らないと下へは降りられない。
私たちは部屋に飛び込み、5体のサラマンダー・デビルを同時に相手するしかなかった。
サラマンダー・デビルのレベルは130。私たちのレベルをおよそ25上回っている。私たちのレベルを超えるこのモンスターに立ち向かうことができるのは、こちらには強力な装備やアイテムがあるからだ。
しかし、格上の相手に対してアドバンテージなどはない。
後ろにいた湊ちゃんが叫んだ。
「飛び上がったサラマンダー・デビルは私が対処します!」
後方支援が湊ちゃんの役割だが、積極的に攻撃に加わっている。サラマンダー・デビルが飛び上がった時だけでなく、飛び上がろうとする直前にも弓矢を放って飛行を阻止する。
お兄ちゃんは最前列に立ち、大盾を手にしていた。神王の盾ではなく、サラマンダーが噴く炎対策だ。
「炎に注意しろ! 俺の盾だけでは防ぎきれん!」
お兄ちゃんが大盾で炎を防ぎ、もりもりさんと私がメインで攻撃する。
もりもりさんが持つ〝サタンの大鎌〟がここでは活躍する。リーチが長いため、距離を取って攻撃することができた。
私のミスリルの大剣もそれなりの大きさだが、もりもりさんの持つサタンの大鎌にはかなわない。
走り回り、サラマンダーを撹乱させるのは春日井君の役だ。春日井君が手にするのは二刀流のインフェルノ・ブレード。日本刀のように刀身が細く、補助効果として燃える炎を纏っている。
だが、サラマンダーとの相性は良くない。細い刀身は皮膚の柔らかい人型モンスターには効果的だが、サラマンダーのように硬い鱗に覆われていると攻撃が通らない。また、インフェルノ・ブレードの炎はサラマンダーに効かない。
春日井君は目の前のサラマンダー・デビルを挑発する。
「ほら、こっちだ! 俺に向かってこい!」
春日井君のやっていることはタゲ取りだ。モンスターのターゲットを自分に向けさせ、仲間が横から効果的な攻撃を加えやすいようにする。
一見すると、私たちは善戦しているように見えた。しかし、実際のところはそうではなかった。
戦いは完全に拮抗していた。1匹でもサラマンダー・デビルを倒すことができれば、戦いのバランスはこちらに傾く。
だが、誰か1人でも負傷し戦線から離脱するようなことになれば、こちらが不利に傾いてしまう。
戦いの様子はライブ配信されている。視聴者からのコメントを見る余裕はないため、イヤホンから音声に変換されて耳に届いている。
■意外と厳しい211階。
■それもあるけれど、完全に運が悪いよね。レアなモンスターが固まっていたんだから。
■行くのをやめろってことなんじゃない? ここで帰れっていうメッセージかも?
■神様に見放された?
■もっと大人数で、複数パーティで挑まないと無謀なのでは?
■今はなんとか持ちこたえているけれどさ。何かが起こったら取り返しがつかないよ?
■だからといって、逃げるのも難しいのでは? 拮抗が崩れるのも怖い。
■サラマンダー・デビルに挑まなきゃよかったんじゃね? 最初から戦わずに逃げるべきだった。
■引く勇気ってあるよね。
■結婚とか言い出すから良くないんだよ。引けなくなるからさ。
■もう結婚とかいいからさ。無事に帰ってこい。
■さっさと引こう。いいじゃねえか、ドラゴンなんて倒さなくたって。そんなに頑張んなくていいよ。無理すんな。
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