【悲報】レベル1の妹。兄の装備でダンジョン配信を始める。(84億円相当の激レア装備で最下層スタート、未確認ドラゴンに遭遇した模様)

高瀬ユキカズ

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もりもりさんの結婚

第435話 ロードの名を冠する意味

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 ロードの名を冠するモンスターは特別だ。君主や支配者を意味するこの言葉は、頂点に君臨することを伝えている。

 地下215階層の階層主は、フレイムドラゴン。

 奥多摩ダンジョンにおいて、この階層まで潜らないとドラゴンは登場しない。フレイムドラゴンが初めて登場するドラゴンだ。

 私が初めて出会ったドラゴン、そして人類が初めて遭遇したドラゴン。それはフレイムドラゴン・ロードだった。ロードの名がつけられていたのだ。

 なぜ最初のドラゴンが〝ロード〟の名だったのか。これは巨大掲示板ゴーゴーチャンネルやダンジョンチューブでも話題に上がっていた。

 しかし、それまでドラゴンが出現した事例はない。このロードの意味は、モンスターたちの頂点に君臨するという意味だろうと思われてきた。

 そうではない事実が今、判明した。

 この階層における階層主は〝フレイムドラゴン〟――通常のノーマルなドラゴンだ。

 一方で、ダンジョンには滅多に遭遇することのできないレアなモンスターが存在する。

 春日井君が出会ったホワイトウルフや、地下40階層のレアボスであるジャイアントアント・クイーンなどだ。地下40階は『通常ボス』と『レアボス』がいて、普段は通常ボスであるジャイアントアントが出現する。『レアボス』の出現条件はわかっていない。たまたま偶然に出現したという意見が多い。

 いずれにせよ、めったに遭遇することのない低確率な当たりくじだ。私は当たりくじ(はずれくじとも言う)を引き当ててしまったのだろう。

 地下215階層の『レアボス』――〝フレイムドラゴン・ロード〟。

 そして現在、もりもりさんが交戦中なのは通常ボスであるフレイムドラゴン。

 戦う相手がフレイムドラゴン・ロードではないのだから、勝利する確率が0%なのは当然だ。

 どうりでブレスの回数も少ないし、知力も劣ると感じたはずだった。

 もりもりさんはフレイムドラゴン・ロードを倒してお兄ちゃんと結婚式を挙げるつもりでいる。なぜ倒さなければならないかという理由については、私の義姉あねとして認めてもらいたいからだ。

 それが理由なら、通常ノーマルのフレイムドラゴンだってかまわない。私がもりもりさんを認めて、称賛してしまえばよいのだから。

(すごいですね、もりもりさん。1人でフレイムドラゴン・ロードを倒しきってしまうなんて。)

 フレイムドラゴン・ロードだと信じたままにさせておく。

(ありがとうございます、春菜さん。これで私もあなたのお義姉さんとして胸を張れます。)
(はい。お兄ちゃんと結婚して、幸せになってください。)

 そして、真相は隠しておく――

「はは……」

 私は首を振って否定する。

 そのまま死ぬまで、もやもやを抱えたまま生きていくことなんてできない。そんなことができるわけがない。もりもりさんに対しても裏切り行為だ。

 なんとなく感じていた、もりもりさんに勝ってほしくないと思った理由はこれだった。嫉妬なんかじゃなかった。ドラゴンがフレイムドラゴン・ロードじゃなかったからだ。

 湊ちゃんと春日井君は映像に集中している。お兄ちゃんは、いつでももりもりさんを助けられる場所で待機している。

 私は2人から一歩引いた位置で考え込んでいた。

 どうしたらいいのか?
 ジャイアントアント・クイーンだって、出現は数ヶ月に1度だと聞く。レアボスを都合よく出現させることなんてできない。

 フレイムドラゴン・ロードの出現を期待していたら、どれだけ待たされるのかわからない。出現条件があるのだとしたら、その条件を満たさない限り、永久に出現しないかもしれない。

 今、私ができることはなんだろうか?
 なにか妙案はないだろうか。
 ふと、ある考えが頭をよぎった。

 …………………………
 ……………………
 ………………
 …………
 ……

 ……ドラゴンをすり替える?
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